ズサが行く異世界転生 作:グルバスター
(ワタシハダウンサイジングサレタノカ………………
…………元カラ体高ハ高クナイノニ……………………)
「そうですねぇ………ブースターポッドは転生させられないので…………、そもそもMSが自我に目覚めて、異世界転生なんて前代未聞なんですよ」
(何故ワタシガ?)
「転生の条件としては、激しい後悔や思い残しだとか、
自らの生きざまへの否定に加え、何が正しかったのかと追求する思いなどがあります」
ズサは自身とパイロットの最期に思いを馳せた。ロボットですらないズサに自我を目覚めさせたあの出来事を。
圧倒的な力を振るう白い悪魔。赤い輝きがそのユニコーンガンダムの居場所を示している。だが、誰にも堕とせない。何から何まで規格外なあのMSに寄せ集めの袖付き MSでは歯が立たない。このような局地的戦闘では量より質が物を言う。数でもパイロットの技量でも不足はないはずだった。
だが、ユニコーンガンダムはたった1機で戦況をひっくり返した。もはや、残っているのはズサと両腕をもがれたザクIII、ガ・ゾウムが堕ち、残るは2機。
(まだだ、俺たちだけじゃない!アンジェロ大尉がいるんだ!3機がかりならば、武装の大半を失い消耗しているガンダムに隙ができる!)
ザクIIIのパイロットは、自機を最高速でユニコーンガンダムへ突撃させた。ジオニズムを崇拝する彼にとっては、自らの命などジオンの勝利に比べればなんでもなかった。彼は2度のネオジオン抗争に参戦したそう多くないパイロットだった。ザビ派やキャスバル派ではなく自身が信奉する理想のために戦う彼には元よりテロリストの素質があった言えるのかもしれない。
(アンジェロ大尉ならばガンダムを仕留められる!こちらも援護しよう)
ズサのパイロットは狂信的ではなくとも、やはりジオニズムの信奉者だった。暗黒の宇宙に棄てられた自分たちに差し込んだ一筋の光、重力から解放されたスペースノイドがアースノイドに従属して生きていく必要などないのだという考え方は彼の希望だった。そのためなら何だってできた。この戦いの果てに自分たちの世界があるように思えた。ズサもまたユニコーンガンダムを追った。
三筋の黄緑の閃光がさらに後からユニコーンガンダムを追ってきた。ザクIIIはメガ粒子砲を撃つこともできずに、その光に押し潰されるように貫かれた。ズサは両断され、その半身もそれぞれメガ粒子の束に轢かれ一瞬のうちに焼かれることとなった。2機はパイロットもろとも爆発四散した。宇宙に溶けていく2人のパイロットは、彼等を堕としたローゼン・ズールと彼等が堕とそうとしたユニコーンガンダムのパイロットが発した言葉を聞いた。
「味方ごと撃つのか!!」
「忠義面して世界を滅茶苦茶にした戦争屋ども、皆汚らわしい染みだ!」
2人は最期に知ってしまった、自分たちが理想のために戦うことが、必ずしもスペースノイドのためにならないということを。いや、見て見ぬ振りをしていただけだった。それを最後に勝てば、スペースノイドは皆幸せだと考えて、その恐ろしい考えに蓋をしていたのだ。だが、
最期に味方だと思っていた人物によって、突き付けられることになった。
(俺たちやジオン公国の奴らが間違ってたのか……?)
(ジオニズムのための戦いなど無ければ良かったのか?)
彼等は自分を見失ったまま、宇宙に消えた。
(コレマデノ戦イガ無意味ダトシタラワタシタチハ存在自体ガ否定サレル、納得ナドデキルワケガナイ………)
このとき、宇宙にもう1つの思念が溶けて流れた。
(ソウ、ワタシハ悔シカッタ!無論、有意義な戦争ナドナイコトハ考エラレルヨウニナッタ今ハ良クワカル……)
「あなたは自分たちの存在価値を求めているということでしょうか?」
(ワタシニハ良クワカラナイ………自分ガ何ヲ望ンデココニ来タカモ…………)
「それを新たな世界で探してみるのはどうでしょうか?
私は、ここにいてもその答えを出せるとは思えません」
ズサも同じことを考えていた。いつまでもウジウジしているのは、ミサイルを撒き散らして戦う自分らしくないな、と。まして、同じ無念を抱えて死んだであろうパイロットに顔向けができない。
(アル程度ノ説明ハ受ケテイル!続キハ、異世界トヤラヲ体感シナガラ聞カセテモラオウ、女神ヨ!)
ズサは自分より背の高い女性、女神に宣言した。
「ええ、そこに異世界への入り口をつくりました
頑張ってください、ズサ!」
(ズサ出る!)
ズサはかつてのパイロットを思い出しながら、異世界へと飛び出していった。