黒田正樹の西木野真姫がこの戦国時代にタイムスリップして数ヶ月が経ち、彼らは守谷の村にて力を合わせながら生活して無事に過ごせていた。
しかし、自分達の身を守るのに必死で帰る方法は未だ何一つ探し出すことが出来ていなかった。
「ふぅ……今日も疲れた」
借りている床屋で、村の畑仕事を終えて帰ってきた
「お帰り、相当疲れてるみたいね」
そう、正樹より先に帰宅していた真姫がむかえる。
「ああ、昔の人はこんなのが当たり前なんだよな…そう考えると文明の凄さが分かるよ」
「それいうとなんか年寄りみたいじゃない」
こっている肩を叩く正樹を見て年寄りのように見えると軽く言い放つ真姫
この数ヶ月でこの二人は一緒にいたために気軽に話し合う仲までになっていた。
「でも…これじゃあ駄目なんだよな…」
肩を叩いていた正樹は真剣な瞳で今後のことを考え始める。
このままでは帰れないそれら二人にとってよく分かる、だからこそ、そろそろ行動を起こさないといけないとその方法を考えた。
「やっぱり私のせいで動きづらいのよね」
「いや、西木野さんのせいじゃないよ…」
ここまで動けなかったのは自分の性だと責める真姫に、即答で正樹は否定する。
この時代、真姫のような赤髪は南蛮人という印象が濃い。
そのためにこの時代では真姫は南蛮人として迫害される可能性が高いのだ。
幸いにも今彼らがいる村はそういう迫害意識がなかったために…無事に暮らしている。
「でも、このままこまねいても…何も変わらないわ」
(わたしのことが邪魔ならいっそ、黒田さんだけでも…)
いっそのこと黒田さんだけでも…とそう考える真姫に正樹はそんなこと全く気付かずに何かいい手を模索する。
(うーん、やっぱり一番の問題は西木野さんの髪なんだよな…この時代じゃあ西木野の髪は物凄く目立つし…それに今は戦国乱世…この前も山賊がこの辺りに出たって噂だったし…みんな襲われないか怯えてた…これが…この時代の…当たり前…なんだよな……どうにか…西木野さんが自由に動き回れれば……ん?)
長くそして深く考え、正樹はあることを思い浮かべる。
「いや……でもな…けど上手くいけば…一石三鳥?でもそれだと…」
正樹は頭の中でそれのシミュレーションをして上手くいくか考える。それを真姫が見て声を掛ける。
「ねえ、いきなりどうしたの?」
「え?いや、今考えてること上手くいけば…西木野さんみたいな人も狭い思いしないかな~って思って」
「ほ、本当!?」
正樹の考えていることを少しだけ話すと当然のごとく食いついてきた。
「いや、これは…………物凄く……夢見がちなことなんだよ」
「それでも、お願い」
「………」
言おうか戸惑っている正樹に真姫は即答で返事をして、無言で言うべきか数秒考えると潔く話すことを決めて口を開けた。
「いや、今は戦国乱世なんだし、自分で挙兵して勢力作って拡大して…そしたら帰る方法も見つかるし村の人達も治安とか安定する訳だから…ねえ」
「……」
あまりにも現実味のない方法に真姫は完全に無言で正樹の顔をじとめでみた。
「あ、あの……西木野さん?」
「あ、あなたって……」
「バカなの!?普通に考えて無謀よ!どう考えたらそういう考えになるのよ!仮に挙兵できたとしても、かなり危険なの分かってる!?西はあの北条よ!」
無言の重力に耐えきれない正樹は真姫に話しかけると、真姫はあまりにも無謀な正樹の作戦、それの不安要素を少し怒り口調で言い放つ。
「だ、大丈夫俺達二人なら何とか…なる…たぶん」
「全然根拠無いじゃない…はぁ…その突拍子の発案は初めてじゃないから…いいけど……でも確かにそれなら方法も見つかるかもしれないけど…はぁ…やっぱりこう言うのはやってないと分からないわよね」
多分大丈夫と不安しか聞こえない声でしゃべる正樹、それを見た真姫は溜め息を付きながら、渋々とやってみてもと承諾する。
「じゃあ、明日、村の人達にも聞いてみましょう、もしかしたら賛同してくれるかもしれないし」
「そうだな、それじゃあ明日はよりいっそう頑張らないとな」
そうして、動き出そうと決意した二人は食事を取った後、一服して早めに眠りについた。