小金の地にて原胤貞の率いる部隊を夜襲による襲撃で撃破することに成功した黒田家
そして一夜が明けて、小金の地にはこの地で黒田家に討ち取られた北条家の兵達の亡骸が至る所に転がっていた。
そんな場所を正樹は悲痛な表情で見渡していた。
正樹はこれは自分が命令して起こしたことだと決意した代償であるとその目に焼き付ける。
既に何度も吐き気に襲われて我慢できずに吐いている、こういう目も当てられない光景をこの世界に生きている人達は誰もがみてきた光景なんだろうと正樹は思う。
「こんなところにいたの」
正樹は光景を見ていると後ろから部隊の状況などに駆り出されていた、真姫がやってきて正樹の顔色を見ながら伺ってくる。
「…後悔…してるの?」
「っ!!ええ、やっぱりわかってはいたことなのに…認識が甘かったんですよ…本当に…」
真姫にズバリ言い当てられた正樹は自身の認識の甘さを口にする。
「あんたの気持ちも判らなくないわよ、後戻りはできないのは判ってることでしょ…私達ができることは一刻も早く日本を平和にすることだと思うわ」
「平和に…か…そうだな…こんなところで立ち止まったらここで力尽きた人たちに申し訳ない」
真姫に今できることはこの日の本を平和にすることだと強く言われ、立ち止まる訳にはいかないと死んだ人達のためにもやらねばならないと…改めて確認した正樹。
「それじゃあ急いで守谷城に戻りましょう、ここからは真っ向から挑んだらこっちもただじゃすまないし、規模が大きくなった守谷城でなら北条軍を籠城して迎え撃つことだってできるんだから」
「そうだな、よし!守谷城に戻ろう!」
真姫に守谷城に戻ってからの行動を口にしそれに正樹は頷くと自身の軍を引き連れて守谷城へと戻るので会った。
日は流れ八月中旬、守谷城に無事に帰城した黒田軍、一方北条陣営でも先の小金の戦いの情報が守谷城に迫ってきている北条綱高の耳に届いていた。
「なんだと!?先鋒隊だった胤貞の部隊が全滅だと!?」
優勢と思われた北条軍であったが原胤貞の敗走は北条陣営に動揺を引き起こした。
「どうやら、夜襲の奇襲に遭い、態勢を立て直すまもなく」
「ふむ、胤貞め、どこか判らぬ若造と思うて油断したな」
伝令兵から原胤貞の敗走を聞かされて敗因は油断からの敗北だと決めつける北条綱高。
そして北条綱高を率いる部隊は黒田軍を恐れることなく進撃し8月の下旬、北条綱高の部隊は黒田家の居城守谷城に到達した。
守谷城の外で陣を築くのを守谷城の天守閣にて正樹は眺めていた。
「遂に北条の血縁者の部隊が来たか…」
相手はあの北条家の直系が指揮する部隊、士気も小金で戦った原胤貞の部隊とは決定的に北条綱高の部隊が上であろう。
「にしても…北条の別働隊は一向に姿を見せない…どうなっているんだ?」
真姫の報告から聞いていた海を渡って東から迫ってくるはずの高木胤吉率いる一部隊が一向に現れないことから正樹は疑問に思っているが今は目の前の敵と綱高の部隊を見据える。
そして守谷城防衛戦が始まり、北条綱高隊は外門に張り付くと城門を壊そうと攻撃を開始された。
「城門を壊させない!弓隊!放て!」
守備についていた真姫率いる部隊が矢で北条綱高隊を攻撃し北条綱高の兵を討ち取っていく。
「むぅ!城門が堅い!先鋒隊が崩されたことで敵に時間を与えてしまったか!」
先鋒隊であった原胤貞隊が壊滅したことで黒田家に猶予を与えたことを痛感する。北条綱高、そして彼の脳裏にはもう一つ気がかりなことがあった。
(それにしても胤吉は何をしているのだ!?我らより早く到着するはずが一向に姿を現さん…もしや、敵と内通を…)
現れない胤吉を疑い始める、綱高に一人の伝令兵がやってくる。
「申し上げます!」
「何事か?」
内容を訪ねる綱高に伝令兵は伝えるべき情報を伝えられて血相をかいた。
「な、なんだと!?」
……
守谷の地の東に位置する、牛久という地そこで北条家家臣、高木胤吉は東より守谷城を攻めるため進軍している…はずであった。
(なぜ…なぜこんなことに…)
高木胤吉は大いに頭を抱えた本来なら既に守谷城についていても可笑しくなかった…だが彼らは牛久で足を止める事態となった…そのわけは
「我等の地から出て行け!」
「北条家がなんぼのおもじゃ!!」
牛久で敵と遭遇し足止めをくらっていた。だがその敵は黒田家ではなく…
「なぜ小田が我等の邪魔をしてくるのだ!!!」
今現在胤吉が戦っている敵、それはここから北に位置する地にて勢力を持つ小大名小田家の兵士達であった。
これにより、高木胤吉の部隊は守谷城に辿りつくのに大きな遅れを及ぼすことになる。
東で起きた合戦は北条家は勿論、黒田家にもその報は耳に届いた。
「なるほどな…道理でいつまで経っても来ないわけだ…」
「いかがいたしますか?」
「よし、なら東の敵はもう脅威じゃないまずは眼前の北条綱高を押し返すぞ!それとこれを守備しているもの達にも伝えてくれ士気が上がるだろう」
「はっ!」
そして予期せぬ朗報が黒田家の士気を高め逆に北条家は援軍の到来がなくなったことにより士気は大きく低下した。
「ぐっ!このままでは…やもえん、退け!退けぇ!!」
状況は圧倒的不利と見るや北条綱高は守谷城攻めを断念し軍を撤退させることを宣言し責め立てていた北条家の兵達は北条綱高前頭に撤退していった。