人身売買の商品を運んでいた船で昼寝してたらめちゃくちゃ別嬪さんが多いところにたどり着いた。何でも『吉原』とかいうらしい。…てか腹減った、食い物ください   作:月詠の髪おろした姿可愛すぎ

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早く出したいキャラがいるので急ピッチで話が進んでいきます!
ああ!早く月と蜘蛛だしてぇぇぇ!!


友達が少ないことを嘆くのよりも大切なのは、友達を作る勇気を作ること。ニートにはそれが欠如していることが多い。

「紅郎!ちょいと私の髪をすいておくれ。」

 

「あいあいさー」

 

 

 

 

「紅郎!あそこのお客さんにお酒と食事を運んどくれ」

 

「あいあいさー」

 

 

 

「紅郎!そこが終わったら今度は廊下の掃除をしとくれ!」

 

「…あいあいさー」

 

 

 

「紅郎!ちょいと買い出しに行ってきてくれないかい?お米が足りなくなってね。」

 

「……あいあいさー」

 

 

 

「ふぅ…やっと仕事が終わった…紅郎!私にお茶を入れてくれないかい?」

 

「あいあい…っていい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

パタパタと着物の胸あたりをつかんで自身を仰いでいた日輪に呼ばれた紅郎は我慢できないというように持っていたお盆を床へとたたきつける。

ガシャーン!という音と共にお盆の上にあった湯呑を割れ、入っていたお茶がこぼれ出る。

そんな紅郎を見て日輪は驚いたように首を少し傾げた。

 

「ちょっと!いきなりなにするんだい紅郎!湯呑がもったいないじゃないか。」

 

「うるせぇぇぇ!!なにするんだはこっちのセリフなんだよ!なんだこのとんでもねぇ仕事量は!おもっきしブラック企業じゃねぇか!!食事持ってきたり掃除やったり買い出し行ったり髪すいたり!俺はアンタのメイドさんかコラァ!!ていうか最後の仕事でも何でもねぇし!条件反射でうごいちまった俺のバカヤロー!!」

 

「いいじゃないか。それだけ体に仕事が染みついてきたってことさ。その調子ならもうニートは脱却できそうだね。」

 

「かれこれ2カ月働いてますからね!!作者のご都合主義により時間がものすごい早く通りすぎちゃってますからね!!こんなんがニートって呼ばれるなら俺は今すぐ将軍の家に突撃してニートなんて言葉を即刻廃止するよう直談判するね!」

 

頭を激しく掻きむしりながらぬがあああああ!!と叫び続ける紅郎を見て、嬉しそうに笑っている日輪。

日輪が厨房で紅郎を拾ってからはや二カ月。

紅郎は日輪の下で主に店の雑用をする仕事についていた。

日輪の客や、時々ほかの店員の客に用意した料理や酒をあらかじめ準備して置いたり、店が始まる前に廊下などをきれいにしたり、足りなくなった食材の買い出しに行ったり

日輪がいるせいか、ここ吉原でも特に繁盛しているこの店では、その雑用ですら目が回るような仕事量である。

ただでさえニートだった紅郎にいきなりこんなきつい仕事、しかもその待遇は予想をはるか超えるものである。

 

これは、とある少年がとある女性とともにとある店の店長に初めて会った時の場面である。

 

『店長!』

 

『ん、おお…日輪か、さっきは仕事ごくろうさん…って、誰だそのガキ?ッ!?おま、まさか…にん』

 

『やだぁ!もう店長ったら違いますよ!私の子なんかじゃないですこの子は!』

 

『おお…そうか、良かったぁ…いくらお前といえども妊娠しちまったら百華に出さねばならないからな…。ん?だとするとそのガキは?』

 

⦅この女、一体どうやってごまかすつもりだ?⦆

 

『盗人です』

 

『ごまかすどころか正直に言っちゃってるんですけどこの人ぉぉぉぉぉぉぉ!!?』

 

以上である。

そう、紅郎は今この店で盗人を働いた罰としてただ働きさせられているのだ。

日輪のまさかの裏切りである。

 

「大体、アンタが俺のことばらさなけりゃこんなとこでただ働きさせられることもなかったんだよこのやろー!あっさりとうらぎりやがってこのあばずれめ!」

 

「そんな汚い言葉つかうもんじゃないよ。それに、盗人なのは事実じゃないか。自分がしてきた罪をちゃんと償わせるのもいい女の役目さ。」

 

「あの米食べていいって言ったのはてめぇの方じゃねぇか!俺はそれに従っただけだ!」

 

「おや?確かに私は米を食べていいとは言ったけど、何も盗みを不問にするとは言ってないよ?それに、お米の代金を肩代わりするとも、アンタをかばってやるなんてことも、私は何一つ言ってないしね。私は言葉にしたことは必ずやるけど、それ以外のことはやったりやらなかったり、色々さ。現に、アンタをこうして私の家で面倒見てやってるんだし。」

 

「きれいな顔して腹の中黒すぎじゃねぇか!どこぞの○イダー卿のマスクより黒い!お前の腹の中からシュコーって音までしてやがる!!」

 

そしらぬ顔でお茶を飲む(また紅郎が入れなおして持ってきた)日輪を見て、グぬぬ!と悔しそうにうめき声をあげた紅郎は、やがてあきらめた様に肩を落とし、彼女と同じように持ってきた湯呑に手をかけた。

 

「はぁ…ついこの間まで船の上で昼寝してたってのに、今じゃただの社畜だよこんちくしょう…。しかも給料は出ねぇ上に鎖でがんじがらめにされてるときた。これじゃあニートだろうが働こうが碌な人生になってねぇじゃねぇか。二つとも茨の道じゃねぇか。しかも別嬪さんとはいえ歳食ったおb」

 

「あ?」

 

「あ、いや、その…べ、別嬪さんなお姉さんと暮らせてることだけが唯一の救いかなぁ~あ、あははははは」

 

「おや、なんだいいきなり。そんなこと言われたら照れちまうよ」

 

紅郎の言葉をきいて至極嬉しそうに笑顔を浮かべる日輪だが、対する紅郎は冷や汗がだらだらで浮かべる笑顔も乾いており、片手に持った湯呑が震えすぎて中のお茶がこぼれだしていた。

そんな彼から視線を外した日輪は軽く湯呑に口をつけて傾けた後、ふと視線を外の店の方へとむけた。

 

「けどさ、スリやって誰かに恨まれたり、誰かに追われたりするよりも、汗水かいて働いてさ、誰かに感謝される方が、よっぽど楽しいって思わないかい?」

 

「汗水かいてくんずほぐれつして感謝されてる遊女に言われても説得力の欠片もありませんがな。」

 

「そこは言わないどくれよ。」

 

顔を日輪からそむけながら毒を吐く紅郎の言葉に思わず苦笑いをしてしまう日輪。

そんな彼女を一瞬視界の端にとらえた紅郎はしばらく黙っていた後、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「まぁ…確かに、生まれて初めてだな。誰かにお礼を言われたり、誰かに自分の行いを褒められたりするのは。…言われるっつっても店長とアンタの二人くらいにしか言われてないけど…」

 

「大丈夫さ、店長はもちろん、ほかの奴らだってアンタを褒めてるやつはいっぱいいるよ。仕事の飲み込みは早いし、何か言わなくても自然と動いてくれてるってね。ここのみんなは意外とアンタのこと見ていてくれてるよ。もちろん、わたしだってね。」

 

そういって紅郎の頭に手を置き、ゆっくりとその頭を撫でる日輪。

さながら子供を褒めている母親のような姿である。

突然頭に手をのせられた紅郎は一瞬目を見開いて日輪を見るが、彼女がそれに気づいて微笑みかけると、気恥ずかしいのか少しばかり頬を赤くした後「けッ!」と言ってそっぽを向いた。

が、わずかに感じた違和感に紅郎はわずかに眉をしかめた。

そして、自身の頭を撫でていた手はいつの間にか自身の頭をがっしりとつかんでおり、

 

「ッ!?いで!いでででででででで!!」

 

思いっきりアイアンクローをかましていた。

 

「ちゃーんと見てるんだよ?アンタ、また昨日の夜厨房の食材つまみ食いしただろう?」

 

「見てるってそっちのことかよ!?ってか痛い!!めちゃくちゃいてぇんだけど!?前から思ってたけどアンタ力強すぎだろ?なんでそんな細腕なのにこんな力が出せるんだよ!?アームレスリングのチャンピオンかアンタは…てかちょ、いだだだだだだだだ!マジ痛い!割れる!頭がトマトのように赤いしぶきを出しながら割れちまうぅぅぅぅ!!」

 

どうにか頭の手をどけようとジタバタもがき続けるが、その手は一向に離れず、むしろもっと掴む力が強くなってしまった。

そして、紅郎の頭がトマトになりかける寸前で日輪はようやくその手を放した。

 

「まったく、これに懲りたら二度とつまみ食いするんじゃないよ?」

 

「もう聞き飽きたってのそのセリフ…いってぇ…」

 

「誰のせいで言わなきゃならなくなってると思ってんだい?ほら、明日も早いんだから、さっさと風呂に入って寝なさいな。」

 

「さっきまで永眠しそうだったよこのやろー…」

 

若干涙目で自分の頭をさする紅郎を見て日輪は笑みを浮かべたものの、何を考えたのかその笑みが底意地の悪そうな笑みへと変わっていった。

 

「それとも何かい?私も一緒にお風呂に入っって、背中でも流してやろうか?」

 

「おらぁ!いつまで茶ぁしばいとんのじゃ!さっさと風呂へ行かんかぁい!」

 

「…そこは普通顔を真っ赤にして恥ずかしがるところじゃないのかい?」

 

てっきりこの手の話には恥ずかしがってしまう年頃だと思っていたのだが、対する紅郎は軽業師もびっくりの早着替えを見せ、一瞬にしてパンツ一丁になり、風呂桶とマイタオルをわきに抱えて仁王立ちしていた。

 

「誰が恥ずかしがるか!せっかく読者お待ちかねの保健体育の時間がやってきたっていうのに顔真っ赤にしてられるかってんだ!真っ赤になるのはお風呂であーんなことやこーんなことをしてのぼせちまった時になればいいんだよ!…あ、いやでもやっぱいいわ。うん、アンタの年齢考えたら急に俺の名刀ムラマサが折りたたみナイフに変わっちゃったわ。」

 

「その粗末なもの握りつぶしてやろうかい?」

 

「やめて!さっきの握力で握られたら俺ここで遊女として働かなきゃならなくなっちゃうから!新人類として働かなきゃならなくなっちゃうから!吉原初のモノホンニューカマーになっちゃうから!」

 

こちらを見て笑顔で拳を作る日輪に思わず股間を抑えながら逃げていく紅郎。

それを見た日輪はあきれた様に笑みを浮かべるが、突然紅郎が立ち止まったのを見て、きょとんとした表情を浮かべた。

 

「?どうしたんだい?速く風呂に行かないと風邪ひくよ。ほら、風呂は私が沸かしとくから」

 

「日輪さん」

 

「!」

 

「この恩は…必ず返す。いつになるはわからねぇけど、もらったもんを返さねぇほど、俺は落ちぶれちゃいない。いつか、いつか必ず…」

 

「…返すも何も、私は何もアンタにはあげてないよ。今ここにいるのは、アンタが一生懸命頑張って生きてるからさ。私はその手助けを」

 

「貰ってるさ。」

 

「?」

 

「アンタから、俺は沢山のモノを貰ってる。」

 

「……」

 

「何のことかわからなくてもいい。アンタがわからなくても、俺は、アンタからもらったものも、その大切さも、全部わかってる。それをくれたアンタには、本当に感謝してる。

 

 

 

ありがとう、日輪さん。」

 

そういって紅郎は

 

「…ぶぇぇぇえぇえぇぇぇっくしょおおおおおい!!!」

 

「……」

 

「ういぃぃ…さみぃ!早く風呂入ってこよ!!」

 

今までの雰囲気を全部ぶち壊しにしてそそくさと風呂場の方へと走っていった。

それを見た日輪はあきれ半分驚い半分の微妙な表情を浮かべた後

 

「やだねぇ…2カ月でこうも変わるもんなんだ…。子供の成長は早いわね…お母さんって大変だなぁ。」

 

嬉しそうな、優し気な、それでいてどこか寂しそうな笑みを浮かべ、夜空の月を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私だって同じだよ、アンタからいろいろなものを貰ってる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとね、紅郎。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもあのくしゃみはないよ。」

 

夜空に響く笑い声は、儚く空へと散っていく。

これは、彼女が子を地上へと置いていき、夜へと縛られることになる、その少しばかり前の話。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「だから!料理は冷めないように早く運べって言ってんだろ!?全く、いつになったらアンタは仕事を覚えるんだいこのぼんくら!」

 

店内に響く怒号、客がいればなんだなんだと騒ぐところだが、あいにくと今は客が来る前の準備段階であり、その怒号に興味を示すものは少ない。

ここ一カ月では、もうこの怒号は半ば当たり前となっているのだ。

 

「まったく、またやってるよ亀吉の奴は…」

 

「ギャーギャーとうるさいやつだなぁおい。ツーカ、あれで早くないって言うんだったら俺なんて騒ぎが露点してからの政治家の対応並の早さでしかないってのに…」

 

「なんだよそのわかりにくい例え方。もう少しましな例え方はなかったのかよ。例えば…ほら、伝説の花魁、鈴蘭の死期くらいに遅い…みたいな?」

 

「確かにあの人今でも現役だもんな…。ってそっちの方が分かりにくくねぇっすか?」

 

亀吉と呼ばれる意地の悪い従業員は、新人が来たらまずその新人をこき使いまくって、散々いびり倒すのだ。

その底意地の悪さから多くの新人の花魁や、同僚たちから煙たがられている、この店一の性悪女。

なまじそこそこ美人なだけに調子に乗ることも多いため、こんなふうに新人に怒鳴りつけることなどしょっちゅうある。

そんな様子を横目で見ていた紅郎と店長は廊下の掃除をしながらあきれた様に話し込んでいた。

紅郎は主に日輪に拾われたせいもあるものの、日輪の下で働いているため、仕事上の接点や私生活等の接点を含め、日輪とともにいることが多い。

そして、その次に接点が多いのはこの店の店長、欄香である。

欄香は口調も性格も男勝りなうえにガサツでおおざっぱな、まさに男のような性格ではあるものの、その裏表もなく、まっすぐ自分の思うがままに生きていくそのさまは日輪と似た雰囲気があり、紅郎自体もそんな彼女の姿を見て尊敬の念を抱いている。

早い話が日輪と同じ人望のある愛すべき店長なのである。

 

「まぁ…あいつの新人いびりは今に始まったことじゃないからいいんだけどよ…新人のぶすーっとした顔のせいかね?なーんかあの野郎いつにもまして勢いが強いんだよなぁ…大丈夫か?」

 

「そう思うんなら教育担当変えてやったらどうですかい?てかあの人は野郎じゃねぇでしょうよ…」

 

「いやぁ…日輪はお前さんに取られっちまってるし…もう亀吉以外に新人任せられそうなやつがいねぇんだよ…。新米にはかわいそうだが、我慢してもらうか…。そうだ!おい紅郎、お前後で新人にフォローでも入れてやったらどうだ?見たところあの子もお前も年が近そうだし、いい友達になるんじゃねぇか?」

 

そういって親指を亀吉に怒られている少女に向ける。

それをけだるそうに追っていくと、そこにはがみがみ亀吉に怒られているというのに、亀吉の方に視線を向けもせずぶすーっとした面をしている少女がいた。

確かに紅郎と年が近そうだし、容姿も吉原にふさわしいほどの美少女である。

大人になればとても美しい女性に成長するであろうことが想像できる。

しかし、そんな少女を見ても紅郎のけだるそうな表情は変わらない。

 

「掃除に洗濯買い出し準備…そのうえ人の面倒まで押し付けるのか…アンタはそんなに俺の胃を蜂の巣にしてぇのか…!」

 

「いいからいいから。ツーカフォロー入れねぇとせっかく出始めた給料を減給するぞ?」

 

「脅迫じゃねぇか!!ちっくしょおおおおおお!誰か俺をこの折から出してくれぇぇ!!こんな地獄もうイヤだぁぁぁ!」

 

「コラァ!!欄香!紅郎!アンタら二人でさぼって何話し込んでるんだい!?さっさと仕事しなぁ!!」

 

「やばッ…!?鬼が来た!行くぞ紅郎!次は厨房に逃げ込むぞ!」

 

「そこでついでにつまみ食いってことですな旦那ぁ!了解しやしたぜぇい!」

 

「わかってるじゃねぇか!ついでに、私は旦那じゃなくて店長だよ?」

 

「あ、コラァァァァ!バカ二人ぃぃぃ!誰か、欄香と紅郎は捕まえて!そいつら厨房の料理食いつくすつもりだよ!!」

 

日輪の声を聴いた瞬間、脱兎のごとく走り出した欄香と紅郎。

それをドタバタと追いかける日輪率いるつまみ食い防止隊(犯人は店長と悪ガキ)。

店の中でにぎやかな鬼ごっこが繰り広げられている中、一人の少女は、その光のない目をひそめて、不機嫌そうにその様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

この町はもう死んでいる。

これが、その少女が吉原に来た時に頭へとよぎった言葉だった。

誰一人としてここで生きている女などいなかった。

誰一人、女として扱われている者などいなかった。

皆、道具としてしか扱われず、人間として扱われず、誰一人として、その目に生を宿していない。

自分を叱ってくるあの女すら、その目は死んでいた。

気味が悪いと思った。

死んでいるのに説教をし、死んでいるのに男の相手をして、死んでいるのに生きている。

まるで、死ねない亡者のようだった。

 

(…いやだ)

 

少女は縛られているその体をわずかに揺らした。

あの亀チキとかいう女にこの暗い折檻部屋にで縛られている自分も、いつか同じようになってしまうと考えると、いや…

もうすでに同じになってしまっているのではないかと考えると、少女の心に言い知れぬ恐怖が湧いてきた。

 

(私も…ここで、死んでしまうのか?)

 

嫌だ、死にたくない、私は生きていたい。

そう思いながらも、心のどこかで

もう無理だと、あきらめるしかないと

親から売られたその時点で、自分はここにいる女たちと同じ運命を辿るのだと

そう考えてしまっていた。

 

(それならば、それならばいっそ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死んだ方が…ましじゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いきなり何怖いこと言ってんだよお前…うつ病患者か?上司に怒られすぎておつっちゃう前にうつっちゃってるんですか?」

 

いつの間にか、暗い折檻部屋に一筋の光が現れた。

いつの間にか、折檻部屋の扉が開いていた。

いつの間にか

一人の少年が、あきれた様にこちらを見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お先に失礼するぜぃ日輪さーん
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