変わらぬ輝きを見守る者   作:Kuroa430

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今回は本編の前日の話になります。
水琴さんのを指す彼女が途中から水琴になっていると思います。
今後は1度名前を出したキャラクターを指す場合はキャラクターネームでやろうと思います。


修了任務前日

A.P.238/2/19/10:00

 

惑星ナベリウス、鬱蒼と茂る森の中、大樹の根元で彼女は気絶しかけていた。

 

「くっ……はぁ……はぁ、なんとか……ここまでは飛べたが、時空間の長距離移動の直後にナベリウス、アムドゥスキア、リリーパの三惑星間の空間移動、更には10年の時間移動……はぁ……シオンもなかなかに無茶言ってくれる……」

 

既に、満身創痍ギリギリな彼女だがここはナベリウス、動けない者は原生生物に襲われてしまうだろう。

ガサッ……草木が揺れる音と共になにかの影が飛び出してきた。彼女は咄嗟に臨戦態勢をとろうとするが身体が動かない。

 

「ハァーハッハー!謎のフォトンを感じ取り!六芒の六!ヒューイ参上!」

 

物凄いうるささにギリギリで耐えていた彼女の意識は途切れた。

 

「……あ、あれ?気絶した?大丈夫か!君!」

 

 

A.P.238/2/19/16:00

 

アークスシップ、メディカルセンター。

 

「あっ、目が覚めましたね。気分はいかがですか?娘さんも無事保護されていますよ。」

 

目が覚め、まず話しかけてきたのは赤髪のウェーブヘアで看護師風の格好をした女性だった。

状況が理解出来ていない。そんな表情を感じ取ったのか赤髪の女性は説明を続けた。

 

「ここは、アークスシップのメディカルセンターです。惑星ナベリウスで貴女が倒れていたのをヒューイさんが発見し、連れてきたんです。あ、申し遅れました。私はフィリア。ここで怪我人などの治療をしています。」

 

フィリアの話を聞いていると、突然、娘を抱えた青い逆立った髪の男が入ってきた。

 

「やあ!目覚めたようだな!君の娘がママに会いたいと言っていたのでな!連れてきた!」

「ヒューイさん……この子の話がわかるんですか?あと、声が大きすぎます……他にも患者がいるんですから自重してください。」

「あぁ、すまない。あと、この子の言ってることは正直わからん。勘だ。」

 

娘を受け取り、寝かしつけた後、彼女は質問攻めにあうことになった。

ナベリウスにいた理由、ヒューマンでもニューマンでもキャストでもデューマンでも無いこの姿について……

 

「では、まずあなたの名前を聞いてもいいですか?」

「あぁ、私の名前は水琴だ。」

 

彼女が名前を告げると2人は驚いたような顔をした。

 

「水琴といえば、アークス研修生のなかでも屈指の実技成績を誇り、その実力は六芒均衡に匹敵するとまで言われた超逸材じゃないか!」

「ですが、数年前の修了任務中に行方不明になったと聞きましたが……」

 

どうやら、シオンの情報操作によって水琴はかなりのエリートの設定にされていたらしい。

しばらく、水琴の情報を調べていたヒューイが突然口を開いた。

 

「なぁ、君は現在アークスではない。そこで、提案なんだが明日、修了任務がある。君も出てみないか?なに、細かいことはオレに任せろ!そして、アークスになったら1度オレと手合わせしてくれないか?」

 

水琴にそう提案してきたヒューイの瞳は小さい子供がおもちゃを買ってもらう時のようにキラキラしていた。まさか、アークスと戦う約束をすることになるとは思っていなかった水琴だったが修了任務を受けられるということでその提案をのんだ。

そして、行方不明期間が長かったため、マイルームを持っていないことになっていた水琴は部屋が確保できるまでフィリアのマイルームに居候させてもらえることになった。

 

 

A.P.238/2/19/19:00

 

明日の修了任務についてアークス上層部からの許可が出たとの連絡をもらった水琴はフィリアの仕事が終わるまで娘と共に適当に艦内をぶらつく事にした。

ショップエリアをうろついていると、元気のいいニューマンの姉妹に出会った。

 

「ちょっと、そこのあなたー!ストーップ!」

 

大きな声で呼び止められ、振り返ると茶髪でフィリアと比べると身長が低めな女の子がこっちに向かってダッシュしてきていた。よく見ると、後ろの方にもう1人走ってきている子がいる。先に走ってきた少女は水琴の前に立つと勢いよく喋り出した。

 

「ねぇ、あなた!明日の修了任務に参加する人でしょ!そうでしょ!なんてったって、この辺慣れてなさそうな動きしてるもんね!」

「……はぁはぁ、ちょっと、パティちゃん!いきなり失礼でしょ!すいません、不肖の姉が突然。」

「私たちは、情報屋姉妹パティエンティア!私が姉のパティでこっちが妹のティア!もし良かったら私がこの辺案内してあげよっか?」

「話を聞けこのバカ姉。……あなたがしばらく歩いてるのを見て迷ってると思っちゃったみたいです。もし何か困っている事があれば教えてくれませんか?」

 

明るい姉と対照的に落ち着いた雰囲気の妹の情報屋を名乗る姉妹に水琴は、抱えている娘を見せ、娘用のオムツが売っている場所は無いかと聞いた。

 

「オムツですか……ビジフォン……あったかなぁ?」

「赤ちゃん可愛い〜!それにしても、今どきこんな小さい子連れている人なんて滅多に見ないよね?」

「うん……まぁ、そうだよね。子供は貴重だからある程度の大きさになるまではほぼ施設が面倒見てくれるからね。もちろん、断る人もいるけどアークスを目指す人の場合ほぼ居ないよね。……あ、オムツありましたよ。」

 

ショップエリアの隣にある休憩室で水琴は娘のオムツを替えて、ミルクをあげながら情報屋姉妹と話していた。普段、誰も話を聞いてくれないのか姉の方はかなり上機嫌だ。そして、話をしているうちに明日の修了任務についての話を聞かれることになった。

 

「水琴って一応ヒューマンなんだよね?そうは見えないけど。……まぁ、明日の修了任務、その子を連れたまま受けるの?」

「確かに、修了任務に子供を連れていった前例はないけど、簡単とはいえ戦闘もあるし赤ちゃん抱えたまま戦闘は無理なんじゃないかな?」

 

確かに戦場に子供連れは真っ先に死ぬだろうし、危険だ。しかし、だからといって娘を置いていく訳にもいかない。しばらく悩んでいると突然姉のパティが何かを思いついたようだ。妹のティアに何か話したと思ったら2人は突然立ち上がり、

 

「明日、出発ゲート前に来てね!」

「明日、出発ゲート前に来てください!」

 

と言い残して走り去っていった。

何もかも唐突すぎて水琴はしばらく固まっていたが、ふと時計を見るとそろそろフィリアの仕事が終わる時間になるようなのでメディカルセンター前まで行くことにした。

 

 

A.P.238/2/19/23:00

 

フィリアのマイルーム。

 

「あの子は眠っちゃいましたか?」

 

小さな声で水琴に話しかけるフィリア。制服のときとは違いゆったりとした私服を着ている。水琴はコクリと頷くとそっと娘をベッドに寝かせフィリアと共に夜ご飯を食べに隣の部屋に移る。

フィリアの部屋は機能性を重視したの物を揃えた部屋でベッドは少し大きめだった。仕事で疲れているであろうフィリアに昼のお礼の意味も込めて水琴は料理をしていた。コートを脱ぎラフな格好にエプロン姿の水琴は完全にお母さんそのものだった。キッチンで鍋とフライパンを動かすと同時に揺れる尻尾にはすごい癒されるものがあった。

30分程で並べられたご飯、鶏肉のマリネ、野菜スープ。その味は……

 

「あ、美味しい……このお肉すごく柔らかいですしスープの野菜も短い時間で作ったとは思えないくらい味が染みてます!しかも、濃すぎず優しい味で本当に料理が上手なんですね。」

「あ、あぁ、その……ちょっと知らない食材もあってドキドキしたがそういってもらえて……嬉しい……」

 

フィリアの余りのべた褒めにかなり恥ずかしそうにしながら水琴は箸をすすめる。食事をしながらフィリアの仕事の話やマイルームについての説明などを聞き、0:00頃私たちは寝ようとした。しかし、問題が発生する。ベッドが一つしかないのだ。水琴はソファで寝ると言ったがフィリアの

 

「大事な任務を前に風邪なんてひいたりしたらどうするんですか!」

 

の一言に一緒に眠ることになった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
実は、今回で最初の任務まで書こうとしていたのですが思いのほか長くなってしまったので1度切ります。
次回からは、初任務が始まります。
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