「・・・・・・・・・・」
俺は薄暗い廃棄場の中で意識を取り戻した。だが体の方は思うように動かない。処分されるときに主要な機能はほとんど停止させられてしまったからだ。。
俺はかつて人間だった。名前は確か・・・・・織斑一夏、家族は姉一人のどこにでもいるごく普通の少年だった。だが姉が優秀なばかりに周りからは「恥さらし」やら「劣化コピー」と呼ばれていた。そんな俺でも姉は自分なりに愛情を持って接してくれた。憶えている限りは・・・・・・・
俺は今から一年ぐらい前、姉が出場するIS=インフィニット・ストラトスの大会の会場に行っていた。俺はそのとき姉の決勝戦棄権のための人質として誘拐された。俺はそのとき姉が助けに来てくれると心の奥底で信じていた。迷惑なのはわかっているがあの家族思いの姉だ。俺のことを捨てるはずがない。
だが姉は俺を助けに来ることはなかった。俺と誘拐犯たちは唖然とした顔で決勝に出場している姉の姿を見た。
ショックだった。
俺は所詮オマケなのか?
その後俺はショックのあまりに発狂し、さっさと殺してくれとばかりに犯人に懇願した。だが犯人たちは俺をある組織へと売り渡した。名前は憶えていない。そこの組織はかつてISが登場するまで注目が高かったロボット工学の権威ギル・ヘルバート教授、通称プロフェッサー・ギルを中心とする対IS用戦闘ロボットを製作している組織だった。
教授は俺の姉の知り合いでISの生み親である篠ノ之束をひどく憎んでいたらしい。彼女のISの登場によりそれまで順調だったロボット(当時は戦闘用ではなく宇宙開発用もかねての研究だったという)開発もストップ、さらには女尊男卑主義団体の弾圧によって一人息子を無実の罪で殺されたらしくそれ以降彼はひたすら裏で戦闘ロボットの開発と世界への復讐にその生涯をささげていた。
プロフェッサーは篠ノ之束の知人の弟であるこの俺を恨みを晴らすためなのかというばかりに様々な人体実験を施した。何をされたかはほとんど忘れてしまったが今まで見てきた世界が天国に見えるほどつらいものだった。そのおかげでもあり俺の体は使い物にならなくなり、最終的に組織で開発中だった最新鋭の対IS破壊用戦闘ロボット・・・・・・・・・・・・・・・つまり脳を元の体から取り出して今のボディへと移し替えた。だが、俺の意識が強すぎたということもあって暴走、その後俺はすぐに機能を停止され、この廃棄場へと送られた。以降俺は意識を持ったままこの廃棄場で眠り続けている。幸い脳の生命維持機能は動いているが決して迎えが来ることはない。来るのは俺同様に失敗作として送られてくるロボットの残骸ばかり、はっきり言って俺も周りから見ればスクラップにしか見えない。
元の体はどうなったのだろうか?必要なくなり焼却処分されてしまったに違いない。そう思うだけで俺はつらくなる。
俺はこんな運命を歩むために生まれてきたのか?
時々俺はそんなことを考えることがある。しかし、それも無駄だ。次第にまた意識が薄れていく。それにかつて人間だったころの記憶はもうほとんど憶えていない。
雨が俺の黒いボディを濡らす。
俺はまた静かに機能を停止した。
「束様、現在目的地点に到着しました。」
『はいはい、あのロボット軍団がいつまたごみを捨てに来るかわからないから回収を急いでクーちゃん。』
銀髪の少女は通信を終えるとロボットの残骸から目的の物を探し始める。様々なロボットの残骸があちこちに転がっておりある物は頭部しかないもの、あるものは全身がバラバラになってしまった物もあった。少女はその中から黒いボディの一体のロボットを発見した。このロボットも右腕が取れかけていたが奇跡的に全身が残っていた。彼女は早速そのロボットの頭部を調べ始める。一通り調べた後、彼女は急いでそのロボットを回収して去って行った。
(・・・・・・・・・・ここはどこだ?)
黒いロボットは再び再起動したとき、久しぶりの人口の光に照らされていたことに気が付いた。よく見ると廃棄されたときに損傷した右腕が治っている。誰が修理したのか機能は処分以前の状態に戻っていた。彼は周りを確認する。
組織に再利用で回収されたわけではないようだ。周りから考えると組織とは違う何らかの研究施設だということはわかる。そして、自分の脇にカチューシャを付けた女性が眠っている。
「・・・・・・・・・」
ロボットは女性の顔を知っているように感じたがどうしても思い出せなかった。殆どの記憶を失ってしまったからだ。取りあえずロボットはここがどこなのかを調べるために動こうとする。
「う、う・・・・・ん。」
突然眠っていた女性が目を覚ました。ロボットはどう反応すればいいのかわからず女性の顔を見る。女性は驚いた顔でロボットを見た。
「め、目が覚めたんだね!いっくん!」
『いっくん?』
ロボットは首をかしげて言う。聞き覚えのない単語のようだ。その反応を見た女性はえっ?と言う顔になり恐る恐る聞いてきた。
「私のことが分かる?」
『誰だ貴様は?』
「織斑一夏って名前は知ってる?」
『憶えていない。』
「そ・・・・・そう・・・」
女性はショックを受けたのかのようにしょぼんとする。ロボットは状況が呑み込めなかったがここにいても仕方がないと思いさっさと歩き始める。
「ちょっ!どこ行く気なのいっくん!」
『どこへ行こうが俺がここに縛られる理由はない。でも修理をしてくれたことは感謝する。』
そう言うとまた去ろうとする。女性は慌てて前に出て静止させる。
「待った待った~!まだ話は終わってないよ~!」
『俺は貴様に話すことなど一つもない。それに俺はそんなふざけたような名前でもない。』
「私はあるんだよ~!それにここは束さんのラボの中なんだから外に出ちゃダメ!」
束と名乗る女性はロボットに向かって言う。
『?』
「はあ・・・・・・・・少し落ち着いてお話ししようよ。(せっかくちーちゃんを呼ぼうと思ったのにこれじゃ合わせる顔がないよ・・・・・トホホ)」
これがこのロボット『ハカイダー』の物語の始まりである。
ここでの設定
ハカイダー
デザインは「ハカイダー」版、「REBOOT」版のどちらにするのか迷いましたが現代向けということもあり「REBOOT」版にしました。しかし飽くまでも外見だけです。
篠ノ之束
当初は彼女ではなくスコールたちに回収されるという案がありましたが亡国企業とダークを同時に登場させるのは厳しいので束に変更しました。一夏誘拐までは原作同様の性格でしたが誘拐後は責任を感じるようになり、千冬から一夏の捜索を引き受ける。連載になった場合は協力者になる予定。
織斑千冬
飽くまで弟思いの姉です。決して悪人ではありません。
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