求めていた物はきっと。   作:あくぜろ

1 / 4
初めましての方は初めまして。初めましてじゃないという方は嘘つきさんですね。あくぜろという者です。
この作品が僕のハーメルンさんでの初投稿となります。

一応、以前他のサイトで小説を書いていたのですが、仕事の関係もあって二年ほど物語を書くという行為から離れていましたので、恐らく文体がめちゃくちゃだったり、読みにくい部分が多いと思われますが、そういう部分はどんどん指摘していただけると嬉しいです。

ちなみに僕は所謂ギャグ描写が苦手で、この作品も他の作者の方に比べてかなり固い話になってしまうと思われるので、「あんまり固い話だと肩凝っちゃうよ」という方には先にごめんなさい、と言わせてください。

それでもお付き合い頂ける方という方はありがとうございます。楽しんで頂けるように精一杯全力で書かせて頂きます。

前置きが長くなっちゃいましたね。それでは本編、どうぞ!


序章 前日談
原点回帰という名の


 俺は、普通になりたかった。人より優れた能力も、何かに対する抜きん出た才能もいらない。ただ、全力で何かに取り組んでも壁にぶつかり、そしてその壁を乗り越えるためにまた全力になって、それを乗り越えたときには思いっきり笑える、そんな普通の人間になりたかった。

 

 それはもちろん今の自分が、悪い意味で普通じゃない人間ーーーつまりは反社会的な人間であるからと言うわけではなく、きっと周りから見れば良い意味で俺は普通じゃなくて、俺はそれが嫌で仕方ないからだ。

 

一を教えれば十以上を覚え、何かを見れば、それを自分にもっと適した方法に変えた上で再現できる。俺はそんな、口々に天才などと言われるような人間だった。

 

 周りの人間からは賞賛され、期待や羨望、或いは嫉妬などの感情を向けられて特別扱いを受けることが日常で。だけどそこに普通の、対等な人間関係は成立しなくて、俺に対等に接してくれる人間は飛び抜けて優しい人間か、良い意味でバカな人間くらいだった。

 

 だから、俺は自分が嫌いだ。どんなことでも全力を出すことなく、完璧に、効率良くこなせて、それ故に孤独になってしまう、そしてそれが分かっていて尚、適度に手を抜くと言うことが出来ない、そんな普通じゃなくて、不器用な自分が大嫌いだ。

 

 そして同時に、俺に自分自身を嫌いにさせる、退屈なことばかりの世界もまた、俺は嫌いだった。

 

 昔はなにかを出来るようになることがとても楽しくて、嬉しかった筈なのに、何時からかそれは俺にとって当然のことになってしまって。何をこなしても達成感を得られることは無くなってしまっていた。

 

 この世界には熱くなる価値すらない退屈なものが溢れかえっていて。少しでも面白い、と思ったことは結局、熱くなる前にこなせてしまい何度も失望させられた。それが原因で決定的に壊れてしまった関係も沢山あった。

 

 それでも、自分では到底追い付けない所にいる存在、自分を本気にさせてくれる存在が周りにいさえすれば、まだ救いはあったのだが、それすらも俺の周囲にはいなかった。

 

 だから、自分を負かしてくれる何か、自分にとっての壁を求めて、住み慣れた町を離れることを、より広い世界へ出て行くことを選んだ。その時に自分を引き留めてくれた、数少ない友人とは酷い喧嘩をして。それでも自分の沸点が知りたかった。

 

 それなのに、現実はどこまでも残酷で、俺にとって世界は何一つとして変わることはなかった。手を出したこと一つ一つが簡単で、くだらなくて。結局、世界は退屈で溢れかえっていた。

 

 何かに感動させられることが無かった訳じゃない。実際この時期、今までの人生の中で一番と言えるほどの感動を味わった。だけど、それがあっても尚、どこか冷めている自分がいて。

 

 きっと自分は一生自分の沸点を知らずに生きていくのだろう。俺の中にはそんな、確信めいた予感があった。

 

 だけど、そんな中でも一つだけ、たった一つだけ、俺には子供の頃からずっと楽しみ続けて来たもの、絵画や音楽といった芸術が残っていた。母親が音楽に携わる仕事をしていたせいもあるのかもしれない。それでも、どこまでも自分だけの世界を追い求めることのできる芸術の世界は俺にとって唯一の楽しみだった。

 

 そして、それを通じて新しい友人を作ることもできた。彼女と色々な話をすることで自分の見方も少しだけ変わって、世界が少しだけ広がったような気でいたんだ。

 

 だけど俺は、自分が普通でなかった為に、無自覚に放った残酷な言葉で彼女を傷つけてしまった。今思い返せば、本当に最低だった。

 

 結局何一つ変わっていなかった癖に、何かが変わったと調子に乗っていた。

 

 それ以降、自分の中で決定的に何かが終わってしまった。どんなに素晴らしい音楽に触れても、素晴らしい景色を絵にしてみても、他のことをする時と同じようにつまらない、足りないと感じるようになってしまった。もう何もしたくなくなって、何をすれば良いのか分からなくなった。

 

 自分で自分のことが何も分からなくて、それでも何かを求める自分が確かに存在していて、でも何を求めているのかも分からない。それは多分ただの現実逃避と分かっていても、それでもどうしていいか分からなかった。

 

 そんな俺は結局、『原点に立ち返る』などというそれらしい言い訳をぶら下げて、三年前自分で見限ったはずのこの場所に、懲りもせずに何かを求めて再び戻って、いや逃げ帰って(・・・・・)来ていた。

 

 

* * *

 

 

 寒い。それが、ここ沼津駅のホームに降り立った俺、古河 優理(ふるかわ ゆうり)が最初に抱いた感想だった。

 

 暦上、春にあたる三月の下旬。しかし今年は全国的に冷え込んでおり、外に出ればまだまだ寒さを感じる。そしてそれは、三年ぶりに訪れた俺の生まれ故郷であるここ、静岡県沼津市も例外ではなく、先程まで乗っていた電車の車内とはうって変わって、肌寒い風が肌を突き刺してくる。

 

「また、戻って来たんだな……。」

 

 ふと頭に浮かんだ言葉を呟きながら、ほんの一時間程前にいた東京に比べて汚染の少ない、澄んだ空気を肺一杯に吸い込みながら伸びをすれば、肩の関節がポキポキと小気味いい音を鳴らす。

 

 一時間座りっぱなしで硬くなっていた体を解し終わり、再び手荷物の旅行用キャリーケースを引いて改札を抜け、荷物はもう家に着いてる頃だろうか。等と他愛のない事を考えながら、バス停に移動する。事前の調べでは、バスの発車は電車が駅に到着する十分後だった筈なので、時間的にはかなり余裕があるのだが、既にバスは停留所に停車しているのが目に入る。

 

 発車時間まで少し時間があるが、特にすることも無いので、念の為バス乗り場の番号と行き先を確認してからバスに乗り込む。乗り込んだバスの中には、今が平日の昼下がりであることもあり、俺の他にはお婆さんが一人と、俺と同い年くらいの学生と思われる女の子の計二人しか乗っておらず、これ幸いと二人掛の席にどっかりと座り、空いたスペースにキャリーケースを押し込んでおく。常に満員の東京のバスでは出来なかった事で、こういう違いに触れることで、ああ、戻ってきたんだな。と改めて思わされる。

 

 一息つきながら時間を確認しようと、ポケットからスマートフォンを取り出すがその待ち受け画面に設定された、小さなトロフィーを持って自分と並んで写真に写っている女の子の姿を見て、一瞬感傷に浸りかけるが、鼻で笑うことでなんとか平静を保つ。

 

「ふん、俺も未練がましいよなぁ。いい加減、待ち受けなんて変えちまえばいいのに。」

 

 もう何度似たようなことを言ったのかも分からないような台詞を思わず呟くが、今までもなんだかんだと変えられずに来たのだから無駄か。と結論を出して、そのまま画面の電源を落としたスマートフォンをポケットにしまい直すと、バスが揺れ、窓の外の景色が流れ始める。それを何をするでもなく、ただボーッと眺めていると、不意に後ろから声がかかる。

 

「お兄さん、随分大きな荷物を持っているけど、ここには旅行で来たのかい?」

 

 少し体をずらして振り返ると、一つ後ろの席に座るお婆さんが、柔和そうな笑みをこちらに向けていた。俺が振り向いたことを確認したお婆さんは、そのままの調子で言葉を続けた。

 

「でも、今の時期は海も寒くて泳げた物じゃないし、他に大した物も無いから、この辺りはお兄さんみたいな若い人が旅行で来るには、少しばかり退屈じゃないかねぇ。」

 

「いえ、旅行じゃないんです。実は僕、今年からこっちの高校に通うことになっているので、ここには引っ越して来たんです。」

 

 俺が軽く笑いながらそう返すと、お婆さんはばつの悪そうな表情であらやだ、と呟く。

 

「そうだったのね。私ったら早とちりしちゃって。ごめんなさいねぇ。」

 

「いえ、お気になさらないでください。僕がお婆さんの側だったらきっと同じ質問をしていたと思いますから。」

 

 そう言って軽く笑いかけると、お婆さんは一瞬だけ驚いたように目を丸くしたが、すぐに元の見ていて安心するような笑顔に戻って口を開いた。

 

「あら、お兄さんは優しいのねぇ。私、最近の子はもっと冷たいものだと思っていたのだけれど」

 

「あー、一部、というか七割方はそんな感じですね。けど僕がどうなのかは別としてですが、一部例外はいますよ。でも、やっぱりこれくらいの年だとそう見えちゃうものなんですかね……。」

 

「そうねぇ。でも、お兄さんのお陰で少しだけ見方が変わったわ。ありがとうねぇ。」

 

「いえいえ。お気になさらず。」

 

 そこからは気を良くしたお婆さんと、つい色々なことを話し込んでしまった。基本的にはお婆さんの質問に俺が答える形での会話で、見方を変えれば質問攻めにされたとも取れるのだが、お婆さんの会話の間の作り方がとても上手だったからか、不思議と不快には感じなかった。こういうのを年の功、とでも言うのだろうか。

 

 と、そうこうしている内に話題は、俺が何処から来たのかという話になっており、東京から、と答えるとお婆さんはまた目を丸くした。

 

「おや、東京なんてまた随分な都会からきたんだねぇ。でも、それじゃあこっちの生活に慣れるまでは大変だろうねぇ。何せこっちは東京ほど便利には出来てないから。」

 

「あはは、大丈夫ですよ。東京にいたと言っても三年だけですし、生まれてからの十二年間は内浦で育ったので、ある程度勝手は知っていますから。」

 

 それを聞いたお婆さんは、また目を丸くする。それを見て、すごく表情の豊かな人だなぁ、なんて心の中で笑ってしまう。

 

「あれま、お兄さんこっちの人だったのかい。でも、どうしてまた東京の中学校に通おうと思ったんだい?」

 

「うーん、なんと言いますか外の世界を、広い世界を見てみたかったんですよね。あの頃の僕は、ここには何もないなんて思って、ここでの日常に飽き飽きしてたんですよ。それで両親に頼み込んで、東京の従兄弟の家に下宿させてもらう形で向こうの中学に通わせて貰ったんです。」

 

 すると、お婆さんは急に真剣な目付きになって、こう問いかけて来た。

 

「それで、向こうで『何か』を見つけられたのかい?」

 

 雰囲気の変わったお婆さんの様子に多少驚かされ、一瞬だけ考え込んでしまうが、すぐに考えるまでもない、と自嘲するように笑って、かぶりを振りながらこう答える。

 

「いいえ。ここも東京も、そんなに変わりませんよ。人が多いか少ないか、違いは精々その程度でした。」

 

「そうかい。……あらいけない。私、次で降りなきゃいけないのよ。こんな年寄りの話に付き合わせてごめんねぇ。お兄さん聞き上手なものだから私、つい楽しくなっちゃって。」

 

 俺の答えを聞いたお婆さんは難しい顔で何かを考え込んでいたが、ふと顔を上げると数瞬前の真面目な雰囲気はどこへやら。バタバタとバスから降りる準備をし始めた。

 

「いえ、僕も久し振りに誰かと話し込んだ気がしますし、楽しかったです。こちらこそ付き合って頂いてありがとうございました。」

 

「そう言って貰えると嬉しいねぇ。それじゃあお兄さん、元気でねぇ。」

 

「はい。お婆さんもお身体にお気をつけて。」

 

 そんな風に言葉を交わしているとバスが止まり、席から立ち上がったお婆さんがこちらに手を振りながらバスを降りて行くのを、こちらも軽く手を振って見送る。そうしてから、そう言えば自分も次のバス停で降りるんだな、と思い、片手をキャリーケースに添えてすぐに降りられるようにしていると、ふと後ろの方から視線を感じた。

 

 振り返って見ると、後ろの方に座っていた女の子が、何を言うでもなくこちらをじっと見つめており、目があった。その表情から感情を伺い知ることは出来なかったが、もしかしたら先程までの会話が五月蝿かったのかもしれないと思い、謝罪の意味を込めて会釈をしてから再び前を向いた。

 

(ん……?)

 

 が、ふと何かが意識に引っ掛かるのを感じた。たった今目があった女の子、そのマリンブルーの瞳に見覚えがあった気がしたのだ。どこかで会ったことのある人物だろうか、と思いもう一度振り向いて確認したい衝動に駆られたが、わざわざ振り返って確認するのは失礼だろうと考えて踏みとどまる。結局、誰か知り合いに似ていたのだろう、と結論を出して考えるのをやめ、前を見ると既にバス停が見えて来ていた。

 

 財布をポケットから取り出して運賃を用意しているとバスが止まったので、キャリーケースを引き、運賃を支払ってバスから降りる。バスの中でも感じたが、バスから降りると一段と強烈な潮の香りが鼻腔を満たし、同時に懐かしさを感じる。三年前は毎日この空気を吸っていたんだな、などと思いながら周囲を見渡すと、記憶にあるものと変わらない景色が広がっていて、ここも変わっていないな。と苦笑させられる。

 

「さてと、それじゃあさっさと行くか」

 

 そう呟いてからキャリーケースを引いて歩き出そうとした所で、「あ、あの!」不意に後ろから呼び止められる。

 

 振り返ると、先程のバスに乗っていた女の子がそこにおり、どうやら彼女もこのバス停でバスから降りたようだった。一瞬無視してさっさと家に向かいたい衝動に駆られるが、特に急ぐ訳ではないし、折角呼び止められたのだから、バスの中で自分が感じた感覚の正体を確かめるためにも、改めて彼女の容姿を観察する。

 

 少し色素の抜けたショートヘアと先程も気になったマリンブルーの瞳に快活そうな整った顔立ち。自分のそういう感覚があてになるかは微妙だが、美少女の部類に入るのではないだろうか。そんな風に冷静に分析していると、彼女が口を開いた。

 

「あの、さっきバスの中で少し聞こえたんだけど東京から来たって、前にこの辺りで暮らしてたって本当ですか!?」

 

 盗み聞きとは趣味が悪い、そう思いながらも俺の中でそれとは別の部分が叫んでいる。俺は彼女を知っている(・・・・・・・・・・)、と。間違いなく俺は以前彼女に会ったことがあると、意識が俺にそう訴えかけていた。だからだろうか、盗み聞きを咎めることもせずに、俺は自然と、素の口調で彼女の質問に答えていた。

 

「ああ、本当だよ。それにしても懐かしいよ。小さい頃はよく友達と暗くなるまで砂浜を走り回ってさ、帰るのが遅くなってよく親父に怒られたんだよな。」

 

 と、そこまで言ってこれまで自分の意識に引っ掛かっていた感覚の正体に気づく。そう、友達だ。あの頃、俺に分け隔てなく接してくれた三人の幼なじみ、その一人に丁度彼女と同じマリンブルーの瞳を持った子がいなかっただろうか。記憶にある姿よりもずっと女性らしくなっており、髪の色素もここまで薄くなかったような気がするのだが、よく見れば三年前、俺が東京に行くと言った時に一番激しく喧嘩をした相手にそっくりではないだろうか。

 

 そう考えていると、彼女がずんずんとこちらに歩いて来て、俺の前でピタリと止まると、必然的に俺より身長の低い彼女が見上げる形でこちらの顔を覗き込んでくる。

 

「やっぱりそうだ……。」

 

 俺の顔を覗き込みながら呟く彼女は怒っているような、何かを噛み締めているような表情をしていて、その表情は三年前のあの時のあの子の表情にそっくりで、もう見間違えようがなかった。

 

「お前、もしかして……。」

 

「……こんの、バカァァァァァァーーーーーーーッッッ!!!!」

 

 彼女の名前を口にしようとした所で、思い切り殴られた。それはしっかりと腰の入った右ストレートで、いきなりのことであったために俺はバランスを崩して尻餅をついてしまう。その時、風に揺れる彼女のスカートの中から水色の布地が見えたような気がするが、今そんなことはどうでもいい。……どうでもいいのだ。と別の方向に逸れかけた思考を強引に切り替えて、地面に手を付いて立ち上がる。

 

「痛ってぇな。いきなり何すんだよ」

 

 立ち上がりながら、目の前にいる幼馴染みの少女、渡辺 曜(わたなべ よう)に抗議する。

 

「うるさいっ!三年間、一度も帰って来ないで、なんの連絡も寄越さないで!私が!果南ちゃんが!千歌ちゃんが!どれだけあんたの事を心配したと思ってるの!!」

 

 立ち上がると同時に胸ぐらを掴まれ、俺の抗議の声すら無視して強引に捲し立てられる。彼女の顔を見ると、目尻には涙を浮かべていて、本気で怒っていることが良く分かった。そして、誰よりも優しかった彼女をこんなに怒らせて、涙まで流させているのが自分だと言う事実に、最高に胸糞の悪い気分になる。そうして俺が黙って為されるがままにしていると、それがまた気に入らなかったのか、俺を掴む腕に力を入れ、彼女はさらに言葉を続ける。

 

「今さら!どの面下げて!一体何しに戻ってきたのよ!!」

 

 涙を流しながら捲し立て、わなわなと震える彼女を見て、これはもう一発は覚悟した方がいいな、と思う。その一方でこんな状況でも冷静で、どこまでも冷めている自分自身に反吐が出る。そんなことを考えていると、再び彼女が拳を振り上げたので、今度は倒れてしまわないように、両足に力を入れ、歯を食い縛るが、覚悟した痛みが訪れることは無かった。なぜなら、振り上げられた彼女の腕は彼女の後ろに立っている別の女性に掴まれていたからだ。

 

「曜、気持ちは分からないでもないけどそれくらいにしておきなよ。」

 

 曜の腕を掴んだその女性は、青みがかった長い黒髪をポニーテールの形に縛っており、曜よりも少し背が高い。そして俺は、彼女のことも知っている。彼女の名前は松浦 果南(まつうら かなん)。俺の幼馴染みの中で唯一年齢の違う、俺達の姉貴分だ。ちなみに俺は彼女の事を、昔から果南姉ちゃんと呼んでいる。

 

「っ、離して果南ちゃん!このバカにはまだ……!」

 

「いいから。あまり聞き分けの無いことばかり言ってると怒るよ?」

 

 果南姉ちゃんが鋭い眼光を向けると、渋々と言った様子ではあったが、曜は無言で俺から手を離して一歩下がった。それでもまだ俺の事を睨んではいるが、仕方のない事だろう。

 

 しかし、先程までそれこそ手のつけられない状態だった曜を一睨みで黙らせるとは、流石の一言である。そんな様子を見て、「果南姉ちゃん、昔から怒ると怖かったからなぁ。」と思っていると、彼女はこちらに向き直って、片手をあげながら声をかけてくる。

 

「や、久しぶりだね。ユウ。」

 

「ああ、久し振りだな。果南姉ちゃん。」

 

 これが俺と、暫く会っていなかった幼馴染み達との再会の瞬間だった。




というわけで世の中舐めてる自分嫌い系主人公優理くん。
主人公がこんな奴だから話も固くならざるを得ない。つまり話が固いのは全部こいつのせいで僕は何も悪くない。


と、盛大な責任転嫁をしたところでここからはチマチマとした設定を。

本作品では、Aqours結成はアニメの劇中描写から2017年、μ's結成はSIDを基準に2013年として扱います。これは時代的齟齬をなくしたり、物語の軸を作る上で必要な設定なので、非公式設定ですがご容赦ください。

次に人物の年齢ですが、この一話時点では優理くん15歳、曜ちゃん15歳、果南ちゃん16歳。
つまり現時点でAqours結成の一年前、二年生組が高校に入学する年です。

基本はアニメのストーリーを軸に肉付けしていく形になりますが、このお話から数話ほど前日談が続きます。

最後に人物の設定ですが、こちらは原作ではなくアニメに準拠した上で、原作から引っ張れる物を引っ張る、という形にしたいと思っています。

理由としては僕がこの二年間、仕事が忙しくて原作が追えておらず、原作側の人物像を把握出来てないということ、アニメ設定を元にした方がより多くの人に分かりやすい作品になるということです。

二次創作という、読み手側にある程度の原作知識を要求するコンテンツの性質上、ここをはっきりさせておかないと、僕と読み手の方の間で致命的な齟齬が出来かねません。
分かりやすい例を挙げると、ダイヤさんがスクールアイドルオタクであるか否か、等ですね。ちなみに、アニメ準拠のこの作品ではダイヤさんはスクールアイドルオタクになる予定です。

今の時点ではこんな所でしょうか。感想、評価等辛口で構わないのでお待ちしています。
それではこの辺で、また次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。