EDENからログアウトしたアミは、まるでデータの怪人のような姿になってしまった。
絶体絶命の危機だったアミを助けたのは中野で探偵事務所の所長をしている暮海杏子だった。
そして、事務所のテレビの中のネットワークに入ることができてしまう。杏子はコネクトジャンプと名付けた。
ある種のスペシャリストになる可能性があることを見抜いた杏子はアミを自分の仕事に同行させるのだった。
Chapter1 暮海探偵事務所へ、ようこそ 後編
セントラル病院
カミシロがEDEN症候群に関してのなんらかの隠蔽工作を行っている可能性があることから、アミは杏子と共にセントラル病院を訪れることになった。
「さてどうするか…こんな時、私はいつも、まず"正攻法"を試みる。特別病棟への立ち入りを許可してもらえるよう直接"交渉"してみよう。」
正攻法と言っているが、かなり怪しいと感じているアミ。だがアミはあえてそこには触れなかった。
「それで…私は何をすればいいですか?」
「君には追って指示を出す。それまでは、院内で情報を集めておいてくれたまえ。」
「聞き込み調査ってことですね。」
「そうだ。探偵行動の基本中の基本だよ。君を「専門家になりうる」と表現したのは揶揄ではないぞ、"助手候補"くん。」
「助手候補?」
「開業医となって、私の活躍を伝記に綴るか。はたまた、赤いほっぺを輝かせた少女になるか…実に楽しみだよ、ふふ。」
杏子がそう言うと受付に向かった。アミは聞き込み調査をすることになった。
「杏子さんの独特な言い回し…わかりずらいよ~。まぁ、とにかく聞き込み聞き込み!」
アミがそう言いながら歩き出すと…。
「うん?」
アミは立ち止った。アミの目の前には黒髪の少女がいた。黒い髪の少女はアミを黙って見つめている。
「………」
「こんにちは」
アミは挨拶した。黒髪の少女は、後ろのエレベーターの扉が開くと何も言わずにエレベーターに乗った。
「スルーされちゃった。っていけない、聞き込みしなきゃ。」
アミは聞き込み調査をしているところ、特別病棟へはエレベーターで上がれることを知った。
アミはエレベーターで上がった。
セントラル病院 特別病棟
「ここが特別病棟ね。警備員が見張ってて中に入るのは難しそうだね。」
アミが入り方を考えていると杏子はデジヴァイスに着信が入った。
『私だ。どうやら特別病棟にはエレベーターで行けるが、許可がなければ病室には入れないようだな。』
「私達、許可なんてもらってませんもんね。」
『…そこでどうするか。2人の警備員を排除し、ロックされているであろう扉をハッキングして突破、室内に入る。この場合、このやり方は正攻法といえなくもないのだが…準備に時間がかかるし、その分リスクも高くなる。』
「あまりに危険すぎますよそのやり方…!?」
『そうだな、このやり方は危険すぎる。そこでここは正攻法を取らず"奥の手"、君の特殊能力に頼るとしよう。』
「コネクトジャンプですか?」
『あぁ、「ナースステーション」にある端末は施設内のネットワークに接続しているはずだ。それは、つまり…ふっ皆まで言わんよ。』
ナースステーションの端末は病院全体にネットワークがつながっているはず、ならばそこから特別病棟へ侵入できる可能性があるということだ。
アミは一般病棟にあるナースステーションに向かった。
セントラル病院 一般病棟
ナースステーションにたどり着いたアミは早速端末を見つけた。
「これだね、今は誰も観てないよね。」
アミは周りを見渡す。端末の近くに人がいることは珍しくないようで、何一つ怪しまれていない。
「よし!!」
アミは端末に右手を課がしてコネクトジャンプした。デジタルネットワークの中を進んで行く。そして、特別病棟の端末にたどり着いた。
セントラル病院 特別病棟
特別病棟の部屋の端末から特別病棟の病室に出たアミはすぐに杏子に連絡する。
『無事たどり着いたようだな ふふ、私の見込み通りだ。では、行動を開始しよう。患者の様子を確認しつつ、奥の制御室で情報を手に入れてくれ。』
「はい、任せて下さい!」
もはや犯罪かもしれないが、仕方ないことと割り切ったアミだった。
そして病室の患者を見るとアミは驚愕する。
「え?私の…名前!?」
アミは自分の名前が病室のドアに書かれていたことを見て驚愕した。アミはすぐに病室の中を見た。
「そんな…これは…「私」!?私の…体!?」
病室にはアミの体があった。アミはベットで眠っている自分の体を見ていた。
「と、とりあえず私のか身体はここにあったことは、喜んだほうがいいのかも…。」
『アミ、大丈夫!?』
『アミ…。』
デジヴァイスの中でドラコモンとBアグモンが心配そうに言った。
「大丈夫…大丈夫だから…私は、こんなことで取り乱したりしない…よ。とにかく…今は制御室に…行かないと。」
アミは胸を押さえながら管理室に入っていった。
「あった。このパソコンの中なら資料が入ってるはず。」
アミはパソコンの中にあるEDEN関連のフォルダを見つけて、それをクリックした。そこにはEDEN症候群の資料があった。
File:001【EDEN症候群について】
EDENネットワークを利用中に意識不明となり衰弱していく奇病。元々は、慣れない電脳空間を利用することによる。嘔吐やめまいなどの諸症状を総称してEDEN症候群と呼んでいた。
あるころから重病化し、EDENネットワークを利用中に意識不明となり昏倒する症状に使われるようになった。長期的な昏睡状態により、衰弱や合併症を引き起こし死亡する例もある。
File:002【EDEN症候群の対処と治療法】
現会い、治療法は発見されていない未分類疾患として、政府に許可を求め対応と原因を究明していくものとする。
File:003【カミシロ・エンタープライズとの協力方針】
EDENはカミシロ・エンタープライズが運営する大規模な電脳スペースである。行政機関との提携も根強く、EDENをウィ行エリアとしている企業も増えている。一刻も早い改善と、長時間のログインを注意勧告するよう運営による利用者の指導を徹底して行っていくべきである。
また、EDENを利用する際に用いられるインタフェイスは神代社による独自の技術を用いているため研究員との情報の共有も今後の課題となる。
「とりあえずこのファイルをコピーしなきゃ!」
アミは自分のデジヴァイスの中にファイルをコピーした。
「よし、これで一応仕事は終わったかな。後は外に出て…。」
アミは管理室から出ようとドアを開けると。何と目の前には、先程の黒髪の少女がいた。
「あ!?」
「どうして、あなたが…!?ここは、関係者以外立ち入り禁止のはずです。入口は一つ、警備員が厳しくチェックしている…。どうやって、入ったの?警備員に何かした?いったい、何者なの?」
「何者なの?って聞かれたら…しがない探偵…の、手伝い…かな?」
「ひょっとして、暮海…。そう、ですか。いえ、何でもありません。EDEN症候群について、調べに来たんですね。…何か、聞きたいことはありますか?」
「え?聞いていいの?」
「質問があれば答えます。いたくもない腹を探られたくない。潔白を証明しておきたいだけです。…私は、カミシロに世話になっている人間ですから少しくらいなら、あなたの疑問に答えられると思います。」
「それじゃあ、そこの患者について教えてくれない?」
アミが見たのは病室にある自分の体だった。
「この患者…ですか?最近、運ばれてきた患者ですね…数日前にはいなかった。何か気になる点でも…え…?こに人…あなたに似てませんか…?ひょっとして、お姉さんとか…?」
「ううん、私には姉妹はいないから…。」
「そう、ですか…でも…他人の空似にしては…。」
アミは他にも少女にEDEN症候群になったらどうなるのか、そして治るのかを聞いた。
少女はEDEN症候群になると昏睡状態になるということ、そして治った例は聞いたことがないといった。どうやら彼女の知っている人は、すでに8年間も昏睡状態のようだ。
「それじゃあ、カミシロの"黒い噂"は?」
「それは…誤解です!間違いです!カミシロも、EDEN症候群を治療したいんです…!そのために、こうして特別治療室だって用意した…。専門医たちが、治療法をずっと研究し続けています…!EDENのせいで、誰かが不幸になるなんて…あっちゃ駄目なんです…!なんとかしなきゃいけないんです…私が…!」
「君が!?」
アミはどういうことか問おうとした瞬間デジヴァイスに杏子から着信が入った。
『会話が弾んでいるところを邪魔して済まないが…招かれざる客の登場だ。』
アミと黒髪の少女は特別病棟入り口の扉のほうを見た。
「こんにちには、警備員さん♪お仕事、お疲れ様~♪今日もいい男ね♡」
扉の向こうから随分色っぽいような声が聞こえてきた。
「り、リエさん…?!今日は来ないはずなのに…!」
『「岸辺リエ」…"背後"のお出ましか。カミシロの条約が、何をしに来たのか気になるが…長居は無用だ、そこを出なさいおっと、私の方にも来客だ。ではロビーで落ち合おうあわてず騒がず、な』
「はい!それじゃあ、私はここでお暇するね!」
「え…?でもどうやって…?」
アミは管理室の中へ入って扉を閉めた。アミはすぐにパソコンにコネクトジャンプして一般病棟の端末に出た。
そしてロビーへ行き杏子と無事合流して事務所に戻った。
中野 暮海探偵事務所
アミは先程のファイルのことと少女の話を杏子に話た。
「自分の体を外から見る衝撃の大きさは、想像に難しくない。大概離脱現象の一種と考えれば、解決法もありそうだが…。君は、EDEN症候群の未知なる症状の発症者、イレギュラーな被害者なのだろう。それが分かっただけでも…成果はまずまず、としておこう。」
「分かりました…。」
「調査は焦ってはいけない、慌ててもいけない、急ぎすぎても、急がせすぎてもいけない。"ただひたすらに、粘り強く 徹頭徹尾、頑固な黒鉄のごとき忍耐力であたれ"…父の言葉だ。」
「いい言葉ですね。」
「さて、本題だが…君は、これからどうするつもりなのかな?」
「これからですか?」
「元の体に、戻りたくないか?君の身になにが起きているのか、真相を知りたくないか?」
「私は…。元の体に戻りたいです。そしてEDEN症候群の真相を知りたいです!!」
「ふっでは、決まりだな。私の助手として、ここで働きたまえ。」
「助手ですか!?」
「依頼には、EDENや電脳犯罪に関連した事件も多い。仕事をこなしていくうちに、手掛かりもつかめるだろう。安心しなさい、君の素質は私が保証する。ついでに当面の衣食住も、ね…ふふ。君の能力は、電脳がらみの事件の調査にこれ以上のない適正を示している。…期待しているよ。」
「はい!」
「よし、契約成立だな。君はたった今から私の助手兼「電脳探偵(サイバースルゥース)」だ。」
「サイバー…スルゥース…。」
「うむ、ソファにかけて待っていたまえ。珈琲を淹れてこよう。我々の前途を祝して、乾杯と行こうじゃないか。」
杏子は珈琲を淹れに行った。
「え?コーヒー?…はっ!?」
アミは又吉の言ったことを思い出した。杏子の珈琲は鑑識に出すかもしれないほど危険だとということを…。
杏子はアミの間の前にコーヒーを出した。だが明らかにおかしい。本来コーヒーに入っていないものが見える。
アミは冷や汗をかいた。
「「海ぶどうつぶあん珈琲」、私の自信作だ。」
「海ぶどう…?つぶあん…?」
いったい何を言ってるんだこの人は!?という表情で杏子を見るアミ。
「見かけによらず芸術的だが、味も芳香も格別だぞ?では、電脳探偵誕生を祝して…乾杯。」
「か、乾杯…。(どうしよ…味も芳香も格別なんて言ってるけど。そんなの絶対嘘だよ~~~。こ、ここは一気に飲み干してしまおう…そうすれば味もあんまりわからないし…その方がいいよね。うん…。)」
…ぐびぐびぐびぐびっ!という音が鳴るほどアミは一気に飲み干したが次の瞬間アミの意識が沈んでいき、気絶してしまうのであった。
次回 Chapter02 父を探して~山科悠子の依頼
さて、今回はここまでですね。次回からは本格的にアミの電脳探偵生活が始まります。
引き続きアミのパートナーデジモン候補を探しているので、コメントいただけると嬉しいです。