東方高次元   作:セロリ

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漸く本編で100話達成いたしました。
もう少しで紅魔郷に入れるはずなので、今後ともよろしくお願いいたします。


100話 地上と地底の両方で……

結構需要もあるとはずだし、いいと思うんだよね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「煙草……ねえ……」

 

そう呟くのは、俺の隣に座っている紫。何時もの煽情的な容姿と艶やかさは身を顰め、1人の賢者としての頭を悩ませる姿がそこにはあった。

 

が、それだけではなく周りにも藍、幽香、勇儀、ヤマメ、パルスィ、さとり、映姫と言った地底、地上において有力な面々が顔を出している。

 

そして紫の反応の原因は、勿論俺の発言である。

 

まあ、確かにこの発言で頭を悩ますのは仕方がないと言えよう。何せ、俺が何の前触れも無く煙草を販売したいと言い始めたのだから。

 

「化閃さんが店を閉めてからすでに10年以上も経ってる。日雇やら創造関係の力を行使して、何とか凌いではいるけれどももうそろそろ本格的に安定した収入を得たいんだ」

 

と、俺は紫に説明していく。

 

そう、化閃が店を閉めてから早10年。その間に何とか色々と仕事をやってはみたものの、どれも日雇、あるいは短期的なモノばかりであったので収入が安定しないのだ。

 

だから、俺はこの際安定した収入を得るために何か商売をしようと思ったのだ。

 

が、あいにく俺が考えつくモノは皆やっている事ばかりであり、俺が新規参入したとしても潰されるのは当たり前。

 

ならばと思い、普段俺が愛飲している金ピやセッタ等と言った煙草を販売してみようと提案したのである。

 

地底と地上で商売をする。

 

地底の妖怪達は、まず煙草を手に入れる事が殆ど、といか全くと言っても過言ではないほど無い。

 

煙草の葉なんてこの地底で育つ訳も無ければ、育てようと思う妖怪もいない。

 

つまり、この地底において煙草を販売すれば、それなりに売れるのではないかと思うのだ。

 

そして、地上。

 

人里では、一応煙草の葉や煙管による煙草の普及は有りはするものの、紙巻などは何とも面白い事に普及してはいなかったのだ。

 

まあ、紫が上の境界を操ったのが100年よりさらに前なので、煙草が入っている事自体が不思議ではあるが、まあそこら辺は紫が調整したのだろう。外から入って来る人もいたようだし。

 

それに反し、俺が上で販売しようとしているのはフィルター付きの紙巻煙草。

 

煙管で吸う人が煙を肺に入れる訳も無いし、その習慣も無いだろう。だが、これは違う。

 

肺に入れる事を前提に作られているので、上の人間にとっては新感覚の煙草である事が容易に想像できる。上手くやれば地底以上の収入を生みだすこともできるのだ。

 

とはいえ、まずは地底の販売から始めなければならないのだが……。

 

そんな事を考えていると、紫は手を差しだして口を開く。

 

「煙管は私も喫んだことあるから、貴方の煙草も吸ってみたいわ……それから少しだけ考えさせて頂戴……? いいかしら?」

 

と、少しだけ時間をくれと言いつつ、俺の差し出した金ピを手に取る。

 

重さは殆ど感じない程で、誰が持っても煩わしさを感じず持てるサイズ。

 

紫はもらった煙草に視線を注ぎ、時折鼻を近づけて息を思いっきり吸いこむ。吸いこんだ瞬間の表情はまるで懐かしい香りを嗅いだとでも言うかのように顔を綻ばせる。

 

バニラ系の匂いなんて嗅いだ事あるのかどうかわからないが、紫が嗅いだ事あるならそうなのだろう。

 

「確か、このフィルター面を口に当てるのよね?」

 

頷く俺を後目に、紫はピースを口にくわえ、此方に煙草を

 

「ん」

 

と言いながら突き出してくる。

 

ああ、煙草に火をつけろと。俺が付けろという事なんですね。そう思いながら俺はターボライターを差しだして点火してやる。

 

「吸うときは一回口で空気をためるように吸って、吐く感じで。一回目を肺に入れると美味しくないからね」

 

そう言いながら火を付けた紫に言ってやる。

 

「すう~~……」

 

が、二口目を灰に入れた瞬間に紫に異変が起こった。

 

「っ~~~~~~!! ゲホッゲホッゲホ……!!」

 

余りにも煙が強かったのか、それとも吸い方が悪かったのかは分からないが、紫が突然むせてしまったのだ。ソレも盛大に。

 

ゲホゲホとむせつつ、机をバンバンと叩く様は、先ほどまで厳かに佇んでいた賢者とはとても思えない醜態を晒しているとしか思えない。

 

現に周りの幽香達は苦々しく煙草を見つめていたり、ゲラゲラ笑っていたり、慌てて背中をさすったりする。

 

暫くむせていた紫が、何とも言えない苦しそうな表情をしながら

 

「無理! 私には無理よ! これを肺に入れるのは無理!」

 

そう言いながら、俺に言ってくる紫。煙管で口に入れてた経験は有るだろうが、肺に入れた事のない紫にとって金ピはきつかったのだろう。

 

少々此方を非難がましく見てくるが、それはお門違いと言う物であろう。

 

「もっと軽いモノがあるけど、そう言う物も合わせて売るのは……?」

 

勿論、世の中メンソールを含めて200以上の煙草の種類があるのだから、ソレを販売すればいずれ自分の好みを見つけられるだろう。

 

そう言う意味も込めて言ってみたのだが、紫はこれが売れるのかどうか疑問があるのか唸ったままである。

 

「八雲の、まあ一度試してみるのもいいじゃないか。私も煙管以外は喫んだ事がないから興味がある……」

 

と、今まで黙っていた勇儀が突然言い始める。

 

「南蛮の文字で読めないが、箱は綺麗なのが多いじゃないか、ほら、お前が吸っていたこれなんて鳩が草を咥えているじゃないか」

 

と、ピースのパッケージを見て勇儀がにっこりしながら。

 

ソレを紫は吸ってみなさいよとばかりの剣呑な目で見やる。が、勇儀はどこ吹く風で別の軽いたばこに手を出す。

 

おそらくパッケージの隅に書いてあった数字で最も小さい箱を見つけたからだろう。

 

ラークのウルトラ。1mgのタールと0.1mgのニコチンの吸引を目的に調製された煙草。勿論吸い方によって摂取量は異なるが、大凡そうなるとみて良いだろう。

 

「なら、私はこれを……」

 

と、勇儀が煙草を開けようとする前に、さとりが同じモノを口にくわえていた。

 

「はい、火」

 

「ありがとうございます」

 

そう言いながらさとりは火を付け、一度だけふかしてから二口目で肺に入れる。紫と同じ方法をとっている。

 

「ふう~……。煙管とは随分と違った味わいですね……しかも葉の味も全然違う、というよりも少し癖があるのね」

 

と言いながら何とも吸い易そうにしながらスパスパ紫煙を燻らせると、吸い終わった煙草を灰皿に置く。

 

そして何とも言えないぽやっとした表情になり

 

「これは……来ますね」

 

といって、ポテリと後ろに倒れて四肢を投げ出してしまう。

 

さとりは、そのぼやっとした顔で苦々しそうに口をゆがめながら

 

「口腔喫煙よりもかなりぽわぽわしますね……肺に入れるのはやはり結構来ます……」

 

さとりは偶に煙管を吸う程度らしいので、あまり煙草に慣れていないらしい。だから、たった1ミリの煙草でも、肺に入れてしまうとヤニクラがきつくなるのかもしれない。

 

煙管や葉巻きでもヤニクラは来るはずなのだが、肺喫煙のほうがよりニコチンを摂取しやすい。だから余り慣れてないさとりではセッタ等の高いニコチン濃度ではきついだろう。

 

「やはり肺喫煙はこの地底において慣れるまで少しの時間が必要でしょうね……」

 

そうさとりが言うと、ヤマメやパルスィが同調するようにウンウンと頷く。

 

まあ、確かに彼女達の思っているようにこの慣れない喫煙方法が広まるには少しの時間が必要となるだろう。

 

慣れてくればそれなりに売れるようになるかもしれないが、今は厳しいかもしれない。

 

「耕也、これは何かしら?」

 

と、卓袱台にある煙草の山から一つのパッケージを取り出して俺に質問してくる。

 

見れば、凹の文字を逆さにして角ばった部分を切り取ったようなマークが目につく。そして、全体の色としては黒とほんの少しの緑。

 

「それはマルボロブラックメンソールだね……。さとりさんが吸ってた奴よりも更に強い煙草だし、おまけに―――――」

 

と、俺が爽快感を齎すためのメンソールについて説明しようとしたら、火を自分で点けて吸い始めてしまった。

 

そして一口目をふかした時に、一瞬の惚けたような―――疑問符でも頭に浮かびあがりそうな表情し、二口目を肺に入れる。

 

すると

 

「ぶっは! な、何これ! こんなのが紙巻煙草なの!? 煙管と大違いじゃない!」

 

と、メンソールの刺激に圧倒されてか唐突にせき込み、涙と共に文句を言い始める。

 

「俺が言う前に吸うからだって…………ソレも立派な煙草だよ。メントールって言う冷感作用や、爽快感を引き起こすための薬物が入ってるからスースーするんだ」

 

と、俺が言う前に吸ってしまった幽香への言い訳と説明を同時に行って行く。

 

それでも幽香はちょっとむせてしまった事によって涙が目から溢れており、申し訳なさを引き起こさせる。

 

幽香は手に持っている煙草を恨めしそうに持ちながら暫く眺める。いくらせき込んだと言っても、彼女の手はずっと煙草を保持し続けている。

 

もったいないという感情があったのかは分からないが、幽香は眺めた後もう一度口に着けて吸い、白煙を吐きだす。

 

「強いわねこれ……確かにスースーするし、クラクラも来る。…………まあ、悪いとは言わないけど人を選ぶ煙草ね、そのめんそーるってやつは」

 

白煙を吐きだしつつその感想を言う。

 

メンソール系は結構好き嫌いが分かれるのだが、ソレがこの地底で流行るかどうかは未知数としか言いようがない。

 

そして、勇儀も吸って味について色々と言い始める。

 

一度吸った煙を口から洩れる寸前まで留めてから一気に吸いこんで肺へと送り込む。

 

「このらーくってんだっけ? ちょっと嗅ぎなれない臭いがあるねえ……煙管とは大違いだ……」

 

煙管とは何から何まで違ってくる紙巻煙草、その中でも癖のあるラークは勇儀に対して結構な驚きを齎したらしい。

 

 

 

 

 

 

 

各々が吸い終わった頃、空気の入れ替えが完了したのを見計らって、思い切って全員に聞いてみる。

 

「で、どう……? 地底での販売については」

 

と、この地底での販売の許可と今後の売れ行きについての予測を意見としてもらう。

 

俺が創造するので原価は無しに近い。それにこの地底で流行る、というよりも一定の顧客を確保できれば、安定的な収入を得る事が出来る。

 

元々嗜好品が地上よりも不足しがちな地底では、この煙草が一つの嗜好品として加わってくれればいいかなと俺は思いつつ、俺は皆の返事――――特に紫とさとりの返事を待つ。

 

紫は何か考えがあるのか、ジッと顔を下げて眉を顰める。その恐ろしい速度で物事を考える頭脳が、地上での煙草の販売に関して凄まじい予測を立てているのだろう。

 

生憎俺の脳では彼女の考えを知る事が出来ないので、黙って見ているほかない。

 

さとりも紫と同じく地底における煙草の販売を考えているのだろう。地底における管理者は悟りに一任されているのだから、この新しい商売が一体どのような影響を、利益を、不利益を及ぼすのかについて考えなくてはならないのだ。

 

此方としては、安定的な収入が得られる手段としては是非販売を開始してみたい。できればその煙草の美味しさを知ってもらいたいし、何よりも喫煙仲間と言うモノも欲しい。

 

周りのギャラリーは、紫とさとりの真剣さが分かっているのか、特に騒ぎもせずジッと黙って見ている。

 

彼女達が一体どのような判定を下すのか。そして、どういったレベルの規模で販売を許すのか。

 

と、俺達が暫く黙っていると紫が顔を上げて

 

「地上での、販売は許可します。……耕也の頼みですからね。とはいっても、10年後あたりになりそうな感じですけど」

 

と、心がふわふわと舞いあがってしまいそうな程嬉しい事を言ってくれる。

 

許可も勿論そうだが、やはり俺の事を考えてくれていたのは嬉しい。

 

「幸い、特に耕也が進出する事によって人里が危険な状態に晒される事も無いでしょうし、元々人里にも煙草屋はあるしね……新しい紙巻煙草もいいのではないかしら?」

 

と、紫が許可の理由を含めて説明してくれる。

 

これでまず第一のルートは確保したと言っても過言ではない。地底と比べていられる時間は少しばかり少ないだろうが、それでも収入を得られるという事に繋がるのは嬉しい。

 

そんな感想を持っていると、今度はさとりが顔を上げて口を開く。

 

「許可します……。ですが、この煙草を販売する際には以下の事を気を付けてもらいたいと思います。恐らく八雲も後で言うと思いますが……」

 

そうさとりは一息で言うと、何度か呼吸をしてから切りだしてくる。

 

「一つ目は、此方で販売する際には、子供には決して売らない事。また、子供のいる親にも必ず注意してください。そして、ゴミは回収するようお願いします」

 

紫も同じ意見だったのか、コクリと頷き、俺の方を向く。

 

これについては俺も同意見で、外装のビニールなどと言った人里では処理しきれないゴミは俺が集めて消去する。

 

勿論、人妖問わず未成年には煙草を決して売らない。それは勿論大人より子供への影響の方が遥かに強いのでそれなりの注意をしなければならないだろう。

 

そして、分煙等と言った対策も今後練って行かなければならない。

 

「俺もそれについては賛成ですし、実行するつもりでもあります。今後は紫とも分煙等と言った対策練って行く予定ですので安心して下さい」

 

そう言いつつ、俺は有る事に気が付いた。

 

それはどこで販売すればいいのか。と言う事である。一応商店などは自分の縄張りと言うか、同じ店が近くになるのは嫌がる。更に地底で言えば、初めて来る煙草屋なんて得体の知れない店ができるのは遠慮願いたいという部分もあるのではないだろうか?

 

そう思いつつ、俺はさとりに聞いてみる。

 

「ところでさとりさん、この地底での販売場所はどこが良いでしょうかね……?」

 

と。

 

すると、さとりはすでに考えていたようで俺の言葉にすぐに返答してきた。

 

「そうですね、それは考えてあります。煙草は恐らく相当珍しい嗜好品のはずなので……商店街から少し離れた場所、つまりはあなたの家と商店街の中間場所に位置させるのはいかがでしょうか?」

 

そう言ってくる。確かにその方が別の店とのイザコザも起きないだろうし、人里と違って此処は地底なので妖怪のみ、要は危険が無いゆえにおける配置場所であった。

 

それに買いたくない人は買わないだろうし、買いたい人は簡単に足を運ぶことのできる場所でもあるため、それなりの差別化も図る事が出来る。

 

まあ、携帯灰皿を新規の客には配らなければならないという面倒さも有りそうではあるが、それは地上で商売する際にも同じ配慮が必要なので気にしない。

 

「了解ですさとりさん」

 

そう言いつつ、俺は紫の方を見る。

 

「紫、まだ……と言うよりも地底出身だけで嫌がられるし現時点では人里で商売するのは難しいだろうけど、今後……10年後に商売を始める際には、どういった場所、大まかでも良いから教えてほしい。それによって分煙とか立地条件とか見ておきたいから」

 

と、言ってみる。

 

すると、紫はクスクスと笑いながら

 

「焦り過ぎよ耕也。まだ10年も先の話しをしたって、今後人里がどうなるか分からないわ。外来人もごく少数だけど入っているし、人口も変動してる。建物だって壊れるものもあれば新たに建てられる事だって予想できるわ。だから、その話は後。……ね?」

 

と、焦り過ぎだという事を指摘されてしまう。

 

確かに焦り過ぎだという事を実感し、恥ずかしさのせいか顔が少し暑くなってしまうが、素直にありがとうと言って地上での販売については封印しておく。

 

俺の言葉を受けた紫は、うん、と頷いて手をパンパンと鳴らして口を開く。

 

「なら、今日はこれでお開きね……。では、解散しましょうか?」

 

そう言うと、ヤマメ達はいそいそと席を立って自分の家へと帰って行く。

 

俺は皆にありがとうと礼を言ってから一つの事に気がつく。

 

それは、今日この場に集まった面子で一言もしゃべらず唯ひたすら黙していた藍の事であった。

 

彼女は紫の言葉を聞くだけで、今回は煙草の味見もしないし感想も一言も話さなかった。そればかりか物憂げに溜息を吐いたり、煙草の葉の匂いを嗅ぎ続けたりしていたのだ。

 

一体何が彼女をそのような行動に移させたのか、俺は理解できなかったので、非常に気になったのだ。

 

だから、俺は藍が紫の後を付いて帰ろうとする所を呼びとめることにした。

 

「紫……藍と少し話がしたいから残らせてもらえるかい?」

 

そう俺が言うと、紫も何がしたいのかすぐにわかったらしく、意味ありげに笑うとコクリと頷いて藍に向かって話す。

 

「藍、耕也が話したい事があるそうよ……? だから、少しの間話してきなさいな。帰りは耕也のジャンプで送ってもらいなさい?」

 

そう言うと、藍は少し迷った上でかしこまりましたと頭を下げて、此方に近寄ってくる。

 

そして、後に付いて行く幽香も何かを察していたのか

 

「まあ……がんばんなさい」

 

そう言って笑って隙間の中へと身を滑らせていく。

 

俺と藍だけになったこの部屋は一気に静かとなり、卓袱台の上にある時計が小さく時を刻む音だけが木霊す。

 

藍は俺の前に正座したまま視線を下に向けたまま。顔を上げようとはしない。

 

俺も話そうとは思うのだが、中々そのタイミングが見つからず、両者そのまま黙りこくってしまった。

 

静かに、されど確実に刻み続ける時計の針は、まるで俺達にサッサと用件を済ませろとでも言うかのように進み続ける。

 

このままでは埒が明かない。

 

そう思った俺は、思いきって話す事にした。

 

「藍……煙草に何か思い入れでもあるのかい……?」

 

俺の推測が正しければ、彼女に煙草に関して何かしらの思い入れ、因縁があったのかもしれないと。

 

アレだけ真剣に煙草を見ていたのにも拘らず、それから眼を離して天井を見上げたり溜息を吐くのは何かしらの事があったとみてもおかしくないのではないだろうか?

 

そして、俺の言葉に藍は眉をピクリと動かすと、クスクスと苦笑してから眉をへの字にして

 

「やはり分かってしまうか……?」

 

そう呟く。

 

「分かるさ……何年一緒にいると思ってるんだよ」

 

「そうだな、分かってしまうよな……そう、ちょっと昔を思い出してね……」

 

そう藍は呟くと、大きく溜息をついてから一言一言切りだしていく。

 

「私が昔……今の中国において妃になっていた事は知っているな? ……そこで香を焚いていた事があってな……その匂いが燃える前の煙草の様な気がしたでつい思い出してしまってな……」

 

そう言うと、少し悲しそうな顔をして俺に近寄って肩に頭を預けてくる。

 

俺はやはり彼女は煙草から昔の事を思い出していたのだという事を把握した。

 

彼女がいたのは殷という大昔の国。そこで妃としていたのなら、それぐらいの高級品を嗜んでいた事は有っただろう。

 

そんな事を思いながら俺は身体を抱きしめてやろうとする。すると、藍は肩ではなく胸の方に頭を預けてくる。

 

表情は見えないが、何とも悲しそうで、しかし同時に嬉しさが両方混ざった様な声色をしながら吐露してくる。

 

「私は本当に、唯本当に愛されたかっただけなんだ……そう、最初は私も唯の化け狐だったんだ。でも、人の営みを見るうちに家族と言うモノに惹かれてね…………でも、長かった……本当に長かった。なあ耕也、本当にありがとう。でも人間と妖怪の差ってのは此処まで有るものだなんて最初は思わなかったんだ……」

 

恐らく悲しさと今の状況における安堵が重なってしまっているのだろう。今の境遇と昔の境遇のさがあまりにも大きいため、思いだした時の感情の落差が激しくなってしまっている。

 

だから、こんなにも儚げな笑みや縋るような事をしてくるのだ。

 

俺はそんな感想を持ちながら、少しだけ強く抱きしめてやる。

 

迫害され、それでも自分の幸せを求め続けた結果、辿りついたのはこの日本。

 

しかし、それでも自分の幸せを掴む事が出来ずに、注ぎ込んだ愛の返事は矢と札の応酬。

 

必死に誤解だと叫んでも帰ってくるのは

 

「化け物め! この世から消えされ!」

 

積み上げてきた全てが崩される否定の言葉。

 

だが、それでもまだ諦めきれず、俺の所へと満身創痍で辿りついた。

 

紫を主にする事ができ、俺も共に歩む事ができ、幽香とも友人となる事ができた。

 

今の境遇が信じられないほど良いため、涙もろくなってしまったのだろう。

 

妖怪にだって、九尾の狐にだってそう言う事はあるのだ。そう思いたい。

 

だから、俺は背中を痛いほど爪を立てて抱きしめ、ブルブルと震えて涙をこぼす藍を抱きしめてやろうと。

 

そう思って、更に更に強く抱きしめてやった。

 

 

 

 

 

 

 

「す、すまない……昨日は少し搾りとり過ぎた」

 

そう言いながら藍はヨロヨロと起き上がる俺に言ってくる。

 

「大丈夫だよ……」

 

そう言いつつも、俺の体力は朝から最低値を記録している。

 

まあ、男にとっても重労働なのだから仕方がないのだが、人と妖怪の差がどうしても表れる。

 

「朝食は食べてく……?」

 

俺は腹が減っていたので、ついでにと藍を誘ってみる。

 

 

「いや、紫様と食べなくてはならないので、此処で御暇させて頂くよ」

 

と、苦笑しながら俺の方へと返してくる藍。

 

まあ、俺としても流石に藍のジャンプで体力を使い果たしてしまいそうだからそれはそれで助かるのだが。

 

そう思いつつ、俺は立ち上がって藍へと近寄る。

 

「じゃあ、送るよ?」

 

そう言うと藍は準備がすでに完了しているのかコクリと頷いて

 

「ああ、お願いするよ。準備はできているし、早く戻らないと紫様を心配させてしまう」

 

そう返してくる。

 

「分かった。なら――――」

 

その言葉を呟くと同時に、藍へ右手を翳して意識を集中させる。目的地は紫の屋敷前の庭。

 

ゆっくりとしたまどろみの中で藍が青白く発光し、消滅、転移をしていく姿は何だかとても神聖なモノに感じてしまう。

 

まあ、白面金毛九尾の狐ならば神獣と言われてもいるのだから、神聖なという表現は間違ってはいないのだろう。

 

「ありがとう耕也。また、宜しくな?」

 

衣服を正し、剥き出た右手の人差し指を口元にやり、ペロリと舐めながら誘う姿はまさしく傾国の美女以外の何ものでもない。

 

唾液からかは分からないが、舐めた瞬間にフワッと甘ったるい匂いがし、クラリとまた靡いてしまいそうになる。

 

男を誘惑するために生まれたのではないのかという感想を持ってしまうが

 

「うん、また今度ね」

 

表情を笑みに変えるだけに留めておく。

 

そして、一際激しい青白光を放った瞬間に藍の姿はこの部屋から消えていた。完全に紫の家へと転移したのだ。

 

そして見届けたその瞬間に

 

「うわっと……」

 

俺は腰が砕けてしまい、その場で布団の上に寝転んでしまう。

 

何とも言えないこの虚脱感。普段ならこの感覚をずっと保ってそのまま眠りに入ってしまいたいのだが、今日に限ってはそうはいかない。

 

「煙草の見本を配らなければなあ……試喫会のようなモノも催さないといけないし……」

 

と、今日の予定を呟くように言って確認していく。

 

そう、今日は俺がタバコを初めてこの地底で販売に繰り出す予定であり、有る程度どのようなものなのかを知ってもらうために試喫をしてもらうのだ。

 

俺も煙草の巻紙の違いによって風味を特定できるなんて事はできないが、美味しさぐらいは分かるし、香りの違いも分かりはする。

 

まあ、だからこそその美味しさを分かって貰いたいし、何よりそれで俺の生活費を稼ぎたい。本音は儲かりたいというのが一番なんだが。

 

でもやっぱり眠たい。睡魔が俺の脳を蕩かし、そのまま眠りの世界へ誘おうとする瞬間

 

「耕也さん、起きてますか?」

 

その声に俺は強制的に脳を覚醒させられ、起き上がらせる。

 

今日のたばこ販売に関して、監視と住民の反応を見るらしい。地底全体に関わることであるためか、何時もより俺に対する声の掛け方が堅い。

 

まあ、この地底の責任者である彼女ならば、その反応や態度も仕方がないだろう。

 

俺はもうちっと寝たかったなあと思いつつ、大きく両腕を真っ直ぐに伸ばして伸びをする。

 

「くぅ~っ!!」

 

そんな変な声が出るとともに、収縮していた筋肉や血管が伸ばされて、心地よさが身体全体に伝わって行く。

 

「ふう……」

 

伸びを行った後の溜息を吐いてから、俺はさとりの声に返事をする事にする。

 

「は~い、起きてますよ!」

 

そう言うと、さとりは俺の返事を聞けたのか、ほんの少しだけ柔らかな声に変えて

 

「今日は試喫会の様なモノを催すのですよね? でしたら、早く言った方が吉ですよ?」

 

この地底の妖怪達は、基本的に朝早くから仕事をし始める。特に建設系等はえらい速度で建物を組みあげなければならないため、自ずと労働開始時間が早くなる。

 

俺は寝惚けた頭でその事に漸く気付いて、急いで支度をし始める。

 

「ちょ、ちょっと待ってて下さいね! 今行きますから!」

 

そうヨレヨレではあるが、なるべく大きな声で返事をしてから、服を寝間着から何時も通りの適当な服に着替える。

 

そして、中々力が入らない足と腰に踏ん張りを入れ、玄関まで小走りで行き玄関の戸をあけていく。

 

「おはようございますさとりさん。お待たせしました……」

 

玄関を開けた先には、暇そうにあくびをしているさとりがおり、此方の声に会釈をして

 

「おはよう耕也……では、行きましょうか?」

 

待っていましたとばかりに口を開き始めるさとり。まあ、待たせてしまったのだから行きたいという気持ちが強くなるのは仕方がないだろう。

 

俺はそんな感想を持ちながら、すみませんでは行きましょうかと言って、並んで歩き始める。

 

「ところで、今回はどのようにタバコを配るのですか? 全住民を把握している訳ではないのでしょう? まあ、そのために私がいるというのもありますが」

 

そう補足しながら俺に質問をしてくるさとり。

 

確かにその通りである。俺はこの地底に住む全住民を把握している訳ではないので、タバコをどのように配るかを考えなければならなかったのだ。

 

だが、それくらいは考えてある。というよりも、この場合考えてるなんて御立派な事はしてはいない。むしろ考えなしに近いようなモノである。

 

そして、その事を言おうと思った矢先に

 

「耕也、まさかとは思いますがであった人に片っ端から声をかけて配って行くなんて事はしないでしょうね?」

 

という俺の考えと100%合致したモノを言ってきた。

 

まあ、彼女のジト眼具合からも分かるが、この考えには相当反対のようである。

 

俺は彼女の言葉に何とも答えづらいモノを感じながらも、諦めて正直に話す事にする。

 

「ええ、そうです。適当に見繕って暇そうにしてる10~30人ぐらいに声をかけて、街の外れまで来てもらうんです。そこで、一応試喫をしてもらおうかなと思ってます」

 

すると、さとりは合点がいったように眉毛をピクリとさせてから。

 

「ああ、そこで私の出番ですか……ええと、宣伝役と言う事ですか?」

 

「まあ、そんなところです」

 

特に彼女が宣伝役になった所で、特に問題はあるまい。今回は耕也が持ってきた新しい嗜好品を私が許可しました。とでも言えば誰かしらは興味を持ってくれるだろう。

 

そう思いつつ、俺は先に進んでいくさとりの姿を後ろから見つつ、どんな反応が返ってくるか楽しみにしていた。

 

 

 

 

 

 

商店街の中央広場。交通の要所でもあり、様々な業種の妖怪が往来する場所でもある。

 

「さて、今回は地底でもこのような嗜好品を取り扱う事になりました。皆さんどうですか?」

 

最初に言った作戦とは大違いなモノになってしまっているが、さとりの立場がこの中でも最上位に位置するので、道行く人は皆足を止めて彼女の言葉に耳を傾けていく。

 

反応は

 

「煙管とは違うのか……昔を思い出すなあ……」

 

そう言いつつ地上で煙管を喫んでいた頃の自分を思いだして懐かしむ者もいれば

 

「は、あんな妖怪が紹介する物なんてできるか」

 

と、さとりを見ただけで露骨に反応する阿呆や

 

「ちょっと興味あるな……300年生きてるし、大丈夫だろ?」

 

と、何とも人間くさく自分の身体を気にする輩もいる。

 

が、それぞれの反応に対して言葉を返すさとりではなく、唯淡々と説明をしていくだけ。

 

「この紙巻煙草は、地上でも嗜まれている煙管とは違い、肺に煙を入れて楽しむものだそうです。興味のある方は此方の大正耕也が催す試喫会にご参加ください」

 

そう言うと、さとりは俺の手を引っ張って、サッサと商店街の外へと向かって歩き出していく。

 

俺は、引っ張られながらも試喫会の場所を言わなければならないので、少々急ぎぎみに述べる。

 

「試喫会は、この後すぐに行いますので、もし興味のある方は私に付いてきて下さい!」

 

俺とさとり、そして俺の後をぞろぞろと付いてくる妖怪が40人程という大所帯になりながら街を通過していく。

 

が、この状況になってもさとりが俺の手を離さない事に違和感を覚え、俺は少し聞いてみる。

 

「何かあったのかい?」

 

何となく聞いてみた質問ではあるが、俺の言葉にさとりは少し悲しそうな顔をすると

 

「ええ、まあ。やはり言葉に出さなくても此処の妖怪達の言葉は伝わってきますからね……」

 

その言葉を聞いた瞬間に、俺はさとりの思っている事が全て分かり、途端に申し訳ない気持ちになってしまった。

 

以前燐や空が言っていた事が思い出される。いや、あの時は空の言葉だったか。

 

「さとり様を馬鹿にしたりしないし……」

 

この言葉である。

 

俺は彼女の何となく悲しそうな表情を見ながら、やはり彼女はこの地底でも未だに忌避される存在なのだと思った。

 

表面上で取り繕っている妖怪が居ても、さとりを前にすると自ずと心の中で悪意を丸出しにしてしまう。

 

心が否応にも読めてしまうという能力の弊害である。

 

だから、彼女は俺とは気軽に話す事が出来るのだ。心が読めないから。そして、なによりも自然な人間の姿を見る事が出来るから。

 

俺はそんな事を考えながらさとりの方を見てると

 

「でも、貴方と手を繋ぐと何故か心を覗く事が出来なくなるのよね。貴方限定ではなく、他の妖怪の心まで」

 

と、先ほどとは反対に、妙に嬉しそうな声を出してくる。そしてその瞬間に、俺は

 

(ああ、そう言う事か)

 

そう思って、思わず両の手を打ち合わせそうになってしまった。

 

つまりは、彼女は現時点で俺に触れてしまっている。それは俺の内部領域の影響下に置かれている事自体の何ものでもない。

 

だから、さとりの能力自体が使えなくなってしまったのだ。

 

そこで俺は一つの事実に辿りついた。ひょっとして、さとりが能力を使えなくなったのは初めてなんじゃないか? と。

 

思い出してみれば、俺はさとりに対して領域を拡大させた事はないし、内部領域に曝したことも無い。

 

彼女にとってみれば初体験なのだ。だからか、彼女の様子が悲しさから一変して嬉しそうな顔に転じているのだ。

 

そんな事を極短い時間の中で考えながら、彼女の言葉に返答をしていく。

 

「まあ、自分も心を読まれたら、吃驚します。まあ、でもソレが取柄であって、燐や空達との意志疎通もできるという利点も存在するのですから……他の妖怪の事は気にしなくてもいいと思います」

 

とはいえ、もし俺も領域が無かったら碌にさとりと話す事が出来なかった可能性も無いとは言えない。

 

彼女の心を読む能力というのは、本当に人の内側にまで浸透してくるのだから。

 

ふうっと、俺は溜息をつきながらさとりのすぐ後ろを歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

「では、今回皆様に試喫して頂くのはこの煙草です」

 

そう言いながら俺は一つのタバコのパッケージを取り出す。

 

場所は丁度俺の家と商店街の中間地点。

 

何も無い平地で、岩盤がむき出し状態の所がいくつかあり、多くが岩盤の上を薄い砂の膜が覆っている荒野である。

 

そして掲げたそのパッケージは、外側が白く彩られており、その中心部分には平和を象徴するハトがオリーブの葉を咥えている姿。その背景は蒼く、煌びやかな金色の鳩の下に文字が綴られている。

 

Peace Lights

 

ニコチン10mg タール0.9mgの紙巻タバコの中では比較的強めな部類に入る。

 

金ピ程ではないが、美味しさでは俺の中で片手で数えられるぐらいの順位にいるので、是非今回の試喫会で吸ってもらいたかったのだ。

 

俺は集まった40人ほどの妖怪達に良く見えるように、手を大きく上に伸ばしてアピールする。

 

すると、そのデザインについていい意匠だとか、俺はもっと派手なのが良いとか色々と言われるが、それに一々反応していたらキリが無い。

 

だから、俺は包装の薄いビニールを外して、パッケージを開封していく。

 

そして、中にある金色の紙を前半分だけ上に引っ張って破り、タバコを露出させる。

 

「紙巻煙草はこのようにして吸います」

 

少し高めの台を創造して、皆が見えるような位置まで上がってからタバコを一本取り出して手に持つ。

 

そして、一度口にくわえてライターで火を付け、一度ふかしてから二度目で肺喫煙を開始する。

 

薄らとしたバニラの甘い香りに、上級ヴァージニア葉特有の芳醇な香りが鼻、口を犯して、一杯にして外界へと吐き出されていく。

 

やはり美味しいという言葉以外は出てこない。

 

三口目まで吸ってから、俺はタバコを持った手を腰の近くにまで落として、集まった人達に声を掛ける。

 

「このような感じで、一度目は口の中で溜めた煙を吐きだしてから、二口目を肺に入れていきます。そして、風味を味わうとともに、吐き出していきます。宜しいでしょうか?」

 

そう言うと、集まった妖怪達は一斉に頷いている。

 

煙管を懐かしんでいた者は、早くも吸いたそうに目をキラキラと輝かせており、此方としても早く配らなければという気持ちになってしまう。

 

俺は、自分の手に持っているタバコを消去しつつ、台から降りて皆にタバコを一本ずつ配り始めていく。

 

「では、ライターとタバコを一つずつ回して下さい」

 

そう言いつつ、俺は40本のタバコと同数のライターを手渡しで渡していく。

 

「ライターは、その黒い部分を押せば火が付く仕組みなので、簡単に使えると思います。御自分の術で付けられる方も、今回はライターでお試しください」

 

そう言いつつ、俺はコンビニに良く置かれている灰皿を、等間隔で10台創造して配置する。

 

「落ちそうになった灰や、吸い骸はその中に入れて下さい」

 

そう言うや否や、皆思い思いに吸い始める。

 

一口目でむせてしまう者や、数口すって、ヤニクラを起こしてふらつく者等様々。

 

だが煙管を嗜んでいた者は肺に入れる事自体に慣れていなかったものの、すぐにタバコの味を楽しむ事ができるようになり、3分程度で根元まで吸ってしまった。

 

そして、有る程度時間が過ぎ、他にもメンソールを含めた数種類を吸ってもらったが、以外にも紙巻き煙草は好評で有ったようで、販売してもらえないかという声を聞く事に成功した。

 

(これで俺も漸く本格的に商売を始められる……)

 

そう思いつつ、俺は此方を向くように少し大きめの声で話していく。

 

「今回の試喫会を踏まえまして、一週間後からタバコの販売をこの場で行いたいと思います。もし、御興味のある方は是非お求めください。では、今回の試喫会を終わらせて頂きます。ソレと一応試供品としてですが、気に入られた銘柄を一箱ずつ試供品として進呈いたします」

 

そう言いつつ、俺は灰皿を消去していくと、妖怪達は俺の所に集まって、口々に自分の吸いたいタバコの銘柄を言ってくる。

 

とはいえ、今回吸った銘柄はタバコ全体の中のほんの一部なので、言ってくる銘柄も限られていた。

 

特に多かったのは最初に吸ったPeace Lightsである。

 

中には、余り自分の口に合わなかったのか、何も貰わず返ってしまった者もいたが、それは仕方がない。

 

まあ、固定客は付くだろう。

 

そう思いつつタバコを配って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これまでの話しはいかがでしょうか。もし宜しければ御感想等を宜しくお願い致します。

ちなみに、咲夜は赤子のころに紅魔館のメイド妖精と美鈴に拾われてから、パチュリー、美鈴、小悪魔、フラン、レミリアに大事に大事に育てられたといった感じであります。
東方高次元の中ではですが。

では、また次回。

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