東方高次元   作:セロリ

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書きなおしたいけど我慢する……。105話の執筆を頑張ります。


11話 洩矢の鉄の輪……チタン合金なら……

分かってはいたけどなんともまあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、本命の登場かい? 洩ヤ神。」

 

私が落ちて行く耕也を地上付近で抱きとめると、八坂神奈子が降りてきて尋ねてくる。

 

「そういうお前こそ、侵略の張本人だな? 八坂神奈子。」

 

「ああ、まさに。それにしても不思議だな。祟り神の王であるお前がなぜ人間に親しくしている? お前の本職は畏れを人間に抱かせる事だろう?」

 

「はっ、随分とまあ視野狭窄なもんだな大和の神は。人間が家族で何が悪い?」

 

私の家族という言葉を聞いた八坂は、嫌な笑みを浮かべながら口を開く。

 

「家族? 祟り神が? 傑作だなこれは。まあ、この国をもらうのは決まりきっているのだから関係ないがな。」

 

「ほう? 随分と自信があるじゃないか。祟り神の王を倒せるとでも?」

 

「それは……。」

 

そう言って八坂は攻撃の構えをとる。

 

私は耕也をミジャグジに任せ、迎撃の態勢をとる。そして、態勢が整ったところで

 

「やってみないと分からんなぁ!」

 

八坂が巨木を撃ち放ってきた。

 

「まったくもって、愚かな神だな!」

 

そう言って私は、地面から岩で構成された槍を乱発する。だがそれを八坂はまるで予知していたかのように次々とかわしていく。

 

さすが戦い慣れした神。全く厄介な奴だ。そもそも力に差がある上に相性が悪い。

 

「この程度の攻撃で私を倒せると思うな!」

 

その声と共に神力の弾が連射される。

 

「小癪な!」

 

私はその威力から身を守るために、地面から壁を生やし相殺する。

 

そして、八坂の攻撃がやんだ瞬間に地面から大岩を複数生成し、射出する。

 

だが八坂はそれすらも見抜いていたようで、巨木をそれぞれの岩に当てて相殺していく。

 

くそっ、強い! 強すぎる! ……だが!

 

私は地面に両手をついて、土の中に眠る固き意思を読み取る。そして念じる。

 

(我に集え。堅き土よ。その堅き意思を持って我が怨敵を撃ち滅ぼせ。)

 

これを食らって生き抜いた神はいない。ならば倒せるはず!

 

そして、その意思を一つにまとめ、輪をイメージする。

 

食らえ、我が王国の力を!

 

「八坂! これでお前も終わりだ! 洩矢の鉄の輪!」

 

そう叫びながら、生成した無数の鉄の輪を撃ち放った。

 

私は勝利を確信していた。まだどこの国にもない鉄という新しい堅き土。それは青銅よりも遥かに堅く、粘り強く、そして何より美しい銀色。

 

それはこの国の象徴であり、また私の存在をより一層知らしめるものだった。それが負けるわけがない。

 

そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八坂が蔓を出すまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んあ……俺はなんで寝て……あっ! 戦いはどうなった!八坂神「私の勝ちで終わったよ。」…はあ、終わっちまったか。」

 

目を開けると横に神奈子と諏訪子がいるのが分かった。

 

諏訪子によると俺は2週間も寝ていたらしく、その間に守矢への改名や大和への報告、ミジャグジへの対処は終わってしまったらしい。

 

戦いは諏訪最新の鉄の輪を武器に戦った諏訪子だが、八坂の風の力の前には勝てなかったらしい。チタン合金とかステンレスだったら勝てたかも知れないのに。

 

俺が諏訪子に目を向けてみると不機嫌だった。どうも負けた事が少々悔しかったらしい。でも負けは負けなので、おとなしく国を明け渡したとのこと。

 

色々と話を聞いているうちに原作通りになったのだなという事が分かる。しかし俺という大きなイレギュラーがいる。この先何が起こるか分からないし、もしくは何も起こらないかもしれない。

 

そう俺が思考していると突然神奈子が俺に質問してきた。

 

「大正耕「耕也でいいよ。」…耕也。お前は一体何者なんだ? お前は自分を凡人なんて言っていたが、数多の神が存在する地に来てなおかつ私の威圧にも全く動じない。ましてやあの場にはアマテラスもいたんだぞ? 人間だったらすぐに気絶するはずだ。」

 

どうも、諏訪子もその質問に興味を持ったらしく、こちらに目を向けてくる。

 

神奈子の質問に俺は、どう答えたらいいのか迷う。心理的にはもうゲームの世界だって分かっちまったから怖くもなんともないし、攻撃は全然効かないのだから恐れる必要もない。

 

まあ、もっともらしい理由でもつけようか。ふざけたら怒りそうだし。

 

「いや、まあ何と答えたらいいのやら……まあ、凡人だよ。本当に。」

 

「答えになっとらん!」

 

「いや、答えになってないのは分かるんだけど……。ああもう、正直に答えよう。」

 

その言葉に神奈子と諏訪子は身体を近づけてくる。

 

「正直に言うと、……答えられません! 以上! この話は終わり!」

 

その言葉に落胆したように

 

「なんだよ、この小心者!」

 

「宿提供してやってるのに!」

 

と言ってくる。

 

随分な事を言ってくれるじゃないか。それに話せるわけないだろうが。お前たちが実はゲームの存在なんです。だなんて。

 

「話せないものは話せないんだ。頼むから、納得できなくても納得してくれ。」

 

「ちっ。」

 

「ちぇっ。」

 

全く好奇心旺盛な奴らだ。

 

そうだ、そろそろここを出て旅をしたいという事を告げなければな。

 

先が思いやられる。諏訪子の事だからグチグチ言われるぞきっと。はぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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