東方高次元   作:セロリ

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65話 二人で結託かいな……

さとりが凄く苦労してそうだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?……毒…ですか?」

 

そう俺がさとりに聞き返すと、さとりは無言で眼を見開いたままゆっくりと頷く。

 

さとりの言葉を聞いて今度は燐の顔を見てみる。先ほどと同じく、燐はトレーを床に落としたまま此方を硬直して見ている。

 

まあ、当然であろう。さとりは直前で毒の存在に気づいたようだが、まさか生きているとは思わなかってはいなかったのだろうから。

 

また燐もさとりと同じく、簡単に手に入るはずだった死体が未だに生きて茶を啜っているのだから。

 

俺はそこまで見届けると、そのまま視線を茶に戻す。茶は綺麗な黄緑色をしており、毒が入っている事を全く感じさせないほどである。

 

本来なら飲みたいのだが、いくら領域があるからといってもさすがに猛毒入りの茶をこれ以上飲む気にはなれないのが正直なところ。

 

だからそのまま湯呑を置いてさとり達の硬直が解けるのを補助する。

 

「それで燐さん。どうして毒を入れたんですか? ……まあ、大方予想はつきますけども」

 

その言葉を言ったと同時に燐は硬直から解けて、再び耳としっぽをピンと上に立て、さらにはつま先立ちをする。

 

突然声を掛けられたことに驚いているのだろう。その表情は先ほどよりもさらに険しいモノとなっている。

 

また、さとりも俺の声に反応したのか、燐をジト目で見ている。

 

俺を見た後にさとりを見た燐は、驚きの表情から苦笑いへと変え、立っていた耳をぺたりとさせて口を開き始める。

 

「にゃあ……お、お兄さんの死体が……物凄く欲しくて……それにこいし様も―――――――」

 

え? こいしが? なんだって?

 

最後の方に呟いたこいしという言葉以降がよく聞こえなかった。もしかして今回の毒を入れたのは燐単独ではなく、こいしも絡んでいたのか?

 

先ほどのあの無邪気な笑顔を思い出し、それを思わず否定したくなっている自分がいる。もちろん今回は燐が毒を入れたという事自体も信じたくはない。

 

ただ、こいしと燐は確かに目的で利害が一致している部分があるため、一概に否定するという事ができないのだ。

 

こいしの場合、こいしは死体収集家という部分があり、おそらく肉体ではなく骨の部分が大きいとは思うが、とにかくそれが第一に来る。

 

そして燐は死体を運び、怨霊に仕立て上げる事ができる。本来ならば供養、まあキリスト教でも仏教でもどれでもいいが、死者を弔ってやらなければならないものをそのままかすめ取り、強制的に怨霊にする。

 

だから燐が本当に欲しいのは魂。また、こいしは肉体。完全に利害が一致している。

 

ただ、こいしの姿が見当たらないため、確証というものは得られないが……。

 

俺がそんな事を考えていると、さとりがため息をつきながら言ってくる。

 

「はぁ……こいしも関わっていたのですか……まったく、今回は私の客が来ているというのに私の面子を潰す気ですか?」

 

そういうと、先ほどよりもさらに厳しい目つきで燐の方を睨む。

 

睨まれた燐は苦笑いの表情からシュンとした悲しい表情になる。

 

さすがに妖怪の欲に忠実に従ったとはいえ、主であるさとりの面子を潰してしまいかねないという状況を作りだしてしまった事に、後悔の念が湧いて来たようだ。

 

まあ、俺としては気にするほどの事でもないのだけれどもね。

 

でも確かにさとりの言う事も分かる。客人に向かって従者が攻撃を加えるという事は、その主の威厳と名誉を傷つけるものであり、また主の影響力と実力不足を露呈させるのと同義なのである。

 

でも、それでも俺は気にしない。彼女が妖怪である限り、このような手段をとったとしてもおかしくない上に、今回はさとりが心を読んだ結果、こいしも関わっていることが発覚したのだ。

 

さすがに燐もこいしが共犯だとしたら途中で止めることもできないだろう。

 

「まぁ、そこまで気にはしてませんよ? さとりさん」

 

そう言うと、さとりは額に手を当てながら首を横に振る。

 

「そういう問題ではないのよ耕也……。これは主自身の問題でもあるの」

 

そう言って額から手を離して再び湯呑を手にとって茶を飲んでいく。もちろんさとりの飲んでいる茶には毒は入っていない。それは心を読むことで判断する事ができる上に、何より燐はさとりのペットなのである。

 

とはいっても、俺がさとりの立場だったらさすがに茶を飲む気にはなれない。別にさとりを批判しているわけではないのだが、ここにも妖怪と人間の差というモノが表れてくるのだろう。

 

そしてそんな事を考えていると、急にドアの向こう側からドタドタとうるさい音が聞こえてくる。それは段々と大きくなっており、こちらに近づいているという事がよく分かるものであった。

 

それから少しすると、その音が扉の前まできたという事が分かった。

 

分かったと同時にドアが乱暴に開かれ一人の妖怪が入って来た。

 

その闖入者はさとりの妹であるこいしその人であり、入ってくるなりこう言い放った。

 

「お燐お燐っ!? 耕也は死んだ?」

 

俺はその言葉を聞いた瞬間に複雑な気持ちになり、嫌でもテーブルに突っ伏せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいし……貴方まで何を言い出すのよもう…」

 

頭が痛いと言いながらこめかみを押さえてさとりは言う。

 

当の本人は何がいけなったのかという感じに首を傾げているだけ。大方予想するに、彼女の考えとしては、妖怪の本文を果たしているのに一体何がいけないのだろうか? といった具合だろう。

 

そしてさとりの言葉を聞いて、首を傾げながらこいしは俺の方を見つつため息を吐く。

 

「なぁ~んだ。……生きてるじゃない。…まったくお燐、ちゃんと毒は入れたの?」

 

そう言いながら両手を腰に当てながらお燐に冗談半分で怒るように言う。

 

それを聞いた燐は、両手を広げてブンブンと縦に振りながら弁明を始めていく。

 

「ちゃんと入れましたよこいし様! でもなぜか死ななかったんです。」

 

その言葉にこいしは頷きながら考えを述べていく。

 

「えぇ~~? ……なんで死んでないの? なるべく綺麗な方法で手に入れたかったんだけどなぁ。耕也の死体」

 

さとりはこいしが喋るたびに頭痛がひどくなるような仕草をしながらこいしの言葉を聞いていく。

 

「あれ? ……もしかしたら…私の能力も効かないし、お姉ちゃんが言うには心も読めないらしいし…………ねえ、耕也?」

 

そう言って右手の人差し指をフリフリさせながら俺達のテーブルを歩いてゆっくりと回り始める。

 

その目は、あの時ドアの前で見せた輝いた眼ではなく、ただ目の前の獲物をどうやって手に入れるかという歪な輝きを見せていた。

 

また口角は釣り上がり目は細められ、無邪気な笑顔からどこかしら大人の妖艶さを兼ね備えている雰囲気さえ感じさせる。

 

なんだか嫌に背中が続々させられるような感覚を覚え、俺はその感覚があまり心地よくないために服の上から背中を掻く。

 

そして数周回って結論を出したのだろうか? 少し考えるそぶりを見せていたこいしは、眼を大きくさせながら何かを思いついたように、再び指を上に立てて笑顔で言ってくる。

 

「ああ、そうだ。そうそう、そうよそう。……ねえ、耕也。貴方って攻撃を一切無効化しちゃったりするんでしょ?」

 

そう言いながら自分がまるで全て分かっているんだぞとでもいうかのような雰囲気を醸し出している。

 

俺としても、よくこの少ないヒントの中から答えを導き出せる事ができたなと少し感心してしまう。

 

まあ、今は結構心も落ち着いてきているし、話しても大丈夫そうだな。……ああ、ヤマメにも話しておかなければね。

 

そこまで考えながら俺はこいしの質問に返答していく。

 

「ええ、ドンピシャリですよ。いやあ、よく分かりましたね」

 

そういって素直にそれをほめたたえると、こいしは嬉しそうに両手を挙げて喜びを表現する。

 

しかし不思議だ。……いや、同然というべきなのだろうか? 長い年月を生きているからこそこの高校生のような、まだ子供のような身体から大人の雰囲気が出るのは。

 

例えるならアレだ。ベンゼンの炭素が二重結合と単結合を高速で繰り返しているのと同じようだと。こいしは何故かそんな不思議な雰囲気を持っている。

 

俺がそんな事を考えていると、こいしは何度も何度も深く頷いて、自分の考えが合っていた事に喜びを感じていた。

 

「でしょでしょ? やっぱり妖怪である以上それぐらいの考えはできないとね?」

 

こいしが口を開いて自分が妖怪であり、それは人間よりも優れているという事を暗に示していると、横からさとりがこいしを咎める。

 

「こいし……いい加減にしなさい」

 

「分かってるわよ……」

 

そう姉の咎める言葉に素直に応じるこいし。しかしこいしはそこで終わらせるような事はしなかった。

 

「……でもねえお姉ちゃん。私達は面子云々の前に妖怪なの。人間を怖がらせる妖怪なの。そして彼は人間。……だとすればする事は一つでしょう? 妖怪は人間を怖がらせてなんぼよ?」

 

そして一度大きく深呼吸して自分の喋りによって不足してしまった酸素を補う。

 

こいしは深呼吸が終わると、また口を開いて自分の言い分を姉に聞かせ始める。

 

「それにね、私はここに来てから一度も人間にあった事が無いの。もちろんこの場にいるのが妖怪だったらこんな事はしないわ。そして何年ぶりかは忘れてしまったけれども、ついに現れた人間耕也。しかも今まであった人間で、比べ物にならない水準で妖怪の欲を誘ってくる。この人間の死体があれば他の人間の死体なんてゴミのようだ……ってね? ここまでくれば仕方ないと思うんだけど……お姉ちゃんも思ってるでしょ? 心を覗いてみたいって。心を犯してみたいって。……違う?」

 

と、そんな物騒な事を延々と言ってくる。ターゲットとなっている俺としては非常に居心地の悪い話であり、できればサッサと終わらせて仕事や住居を探したい。

 

おまけに助言をもらいに来たはずなのに、いつの間にか暗殺会議になっているし……なんだか凹んできたぞ?

 

俺がこの会話にそんな感想を抱いていると、さとりがこいしの言っている事が嫌に心に残ったのか、顔をしかめる。

 

まあ、さとりがそう言った妖怪としての欲を持っている事自体は何ら問題ない。ただ、俺の目の前でそう言った事を話されると色々と複雑な気持ちにはなるが。

 

俺の視線の先にいるさとりは、こいしを少し睨みつけた後、俺の方を見て少し居づらそうに手をスイスイと動かしてからまた湯呑をとって誤魔化すように茶を飲んでいく。

 

あたりにはこいしと燐の服から発せられる布の音と、さとりから発せられる茶を啜る音がしばらく響き渡る。

 

……どうにもこれは、俺から切り出さないと事態に収拾がつきそうにないな。

 

そう思ったと同時に俺は自然と声を出していた。

 

「まあまあ、さとりさん。こいしさんの言い分も強ち間違っているわけではないのですから。それに俺は全く気にしてません。……そうですね、私が来た目的をそろそろ進めたいと思うのですが、……いかがでしょうか?」

 

そう言うと、さとりは険しい顔から一気に何かを思い出したような驚きの表情へと変わり、言葉を紡ぎだす。

 

「そうね、こいしとの会話ですっかり忘れていたわ。貴方の補助をする約束だったわね……。そうね……こいし、燐。貴方達も相談に乗りなさい」

 

さとりの声で、燐とこいしは動き出し、両者とも返事をしながら残りの椅子に座っていく。

 

「分かりましたさとり様」

 

「仕方が無いな~、今回だけだよ? 耕也」

 

と、言いながら。

 

それにさとりは不満そうな表情を浮かべるが、すぐに元の表情に戻し、俺に向かって多数の質問をしてくる。

 

「それでは耕也。……まず一つ目に聞くけれども、貴方は何が得意かしら?」

 

俺はそう聞かれると、色々なモノが頭の中に浮かんでくる。

 

まず真っ先に浮かんできたのは、陰陽師の仕事である妖怪退治。これが長年やってきた日銭の稼ぎであり、またここに追いやられた要因の一つである。

 

二つ目は創造。文字通り色々と創造できるから木材や鉄骨を売りつけるのはお手の物。

 

三つ目は生活支援。この時代ではブルドーザーやショベルカー、クレーン車やダンプなどは無いので、この生活支援を使う事によって超重量の岩などを持つ事ができる。これは建設などで役に立つだろう。

 

そして最後の領域。これは正直なところ、使い道が全くない。俺に対しては役に立つ事が山ほどあるが、他人に対してはむしろマイナスにしか働かない。

 

相手の力を削ぎ落としたり攻撃を防いだり……仕事での出番はあまりなさそうだ。

 

となると、地底での仕事で役に立ちそうなのは、創造と生活支援ぐらいのものだろう。

 

と、俺が少しの間、これらの事を整理していると、さとりからダメ出しが入る。

 

「耕也、言っておくけれども、妖怪退治ができますなんて言ったら駄目よ? 妖怪だらけの所でそんなのやってたら本末転倒だわ」

 

と、俺の心を見透かしたように言う。本当は心なんて見えない筈なのに……。顔にでも書いてあったか?

 

そんなどうでもいい事を考えながら、さとりに答えを出していく。

 

「一応、能力で力の制御と物質を創造するぐらいなのですが……」

 

さとりは間髪いれずに

 

「どんなモノを創造できるのかしら?」

 

と言ってくるので、俺はその場で創造の力を使用して純金の円柱を創る。

 

すると、この創造した事により、皆様々な反応をする。

 

さとりは眼を見開いてマジマジと金塊を見つめる。燐は目を輝かせながら美しく輝く金に眼を奪われており、こいしはどうやったらそんな事を出来るのかといった具合に、自分の手と俺の手を見比べながら握ったり開いたりしている。

 

やがてさとりが金塊から眼を離して、こちらの方を見て言ってくる。

 

「確かに凄まじい力ね。世が世なら貴方は神に奉られるでしょうね。……でも、この地底ではその能力を使った仕事は厳しいわ」

 

その言葉を聞いた瞬間に、やっぱりかと思う。確かにこの力は生活と戦いにおいて絶大な力を発揮するが、妖怪の前でホイホイ使っていたら色々と妬みなどを持たれるかもしれない。

 

そしてさとりの言った言葉も、大体俺の考えている事と差異はなかった。

 

「そう、確かにその力は絶大。でも、それゆえに妖怪のいる前で使って見てごらんなさい? すぐに妖怪が貴方の力を欲しがったりして襲って来たりするわ。そうなるともう貴方は地底での仕事は無くなってしまう」

 

「確かにこれは使わない方がよさそうですね……」

 

「では、次の力を教えて頂戴」

 

「はい、これは力を制御するモノなのですが、妖怪でも持つ事は到底無理な物凄く重たい岩を持ちあげたりする事ができますね」

 

そういうと、さとりは俺の力の説明を受けて暫し考えを始めていく。

 

表情を見た限りでは、多くの事を考えているようである。また、他のこいしや燐も考えに沈んでおり、色々と手段を導き出そうとしてるようだ。

 

俺は三人の様子を見て、少し嬉しくなってしまう。なにせ、こんな俺の為に態々考えてくれているのだ。普通なら適当に答えを出してもかまわないというのに。

 

面子という問題もあるだろう。しかし、それを抜きにしても彼女達の行動は嬉しいモノがある。

 

俺の目の前ではあんな怨霊にしたいだの死体が欲しいだの心を犯したいだの物騒なことになっていたが、それを抜きにすると、彼女達は優しい妖怪なのだろう。

 

確かに意地の悪い妖怪とは言われている。だがそれは、彼女達の持つ能力ゆえに周りが変化していき、彼女たちを追い詰め歪めさせただけであり、本来はそんな妖怪ではないのだ。

 

だから、俺を手伝ってくれた代わりに、彼女達の相談、要求には最大限こたえてあげようと思う。さすがに死体をくれとか言われると返答に困ってしまうが……。

 

やがて彼女達は答えを導き出したのか、三人とも顔を上げていた。

 

まずさとりが口を開く。

 

「そうね……建築などで確かに使えるけれども、今はヤマメとかが頑張っているし……難しかもしれないわ。ヤマメは別として、縄張り意識が強い妖怪が多いから。」

 

やはり思ったような良い答えが返ってはこない。

 

つぎにこいしが俺に言う。

 

「私も……家具の移動ぐらいしか使い道が無いような……家具移動させるうちなんてほとんどないだろうし」

 

そうだよなあ……。引っ越しなんてこの地底という閉鎖的な空間でするわけないだろうし。

 

俺はいよいよ最後の意見となった燐の答えに耳を傾ける。

 

「にゃあ~…………おっきな岩の玉転がしならできると思うのだけれども……」

 

………………もう何も言うまい。燐が猫だというのは良く伝わったからね。

 

……さて、本当にどうしようか? 仕事を探さなければ交流も無いだろうし、何より地底での暮らしが非常につまらなく、苦しいモノとなる。

 

しかしどうにも難しい。飲食店なんて俺が人間だというだけで門前払いだろうし、この地底は閉鎖的なために宿も無い。

 

本当にどうしたものか……。

 

俺がしばらく考えていると、さとりが少し小さな声で言ってくる。

 

「……すみません。今日は良い案が浮かばないですね……。また、明日という事にしませんか? 今日は地霊殿に泊っていただいて構いませんので」

 

そう言って少し残念そうな顔で俺に言ってくる。

 

本来ならば俺の問題なのに、彼女が謝ってくると、非常に罪悪感が湧いてきてしまう。それと同時に彼女の優しさに感謝している自分がいる。

 

その二つが混ざった不思議な感情を覚えながらも、さとりに気にする必要はないという旨を伝える。

 

「泊めて下さるとは……ありがとうございます。そして本当にお気になさらないでください。本来ならばこちらが解決しなければならないのですから」

 

そう言うと、さとりも少しは気持ちが楽になったようで、表情が柔らかくなる。

 

所が、さとりとは正反対の表情でこいしがブツブツ言いながら考え事をしている。

 

もしかして何か妙案を思い付きそうなのだろうか? 俺はこいしの言っている言葉を聞いてみることにした。

 

「泊る……この家にいるんだよね…………つまりはこの館の主である私達の下で泊るという事……つまり、格は下になる。…いや、でも客だから上になるのかな? ……いや、でもでも私達は妖怪だし、今回はお燐たちのような部屋で寝ることになるだろうから………………」

 

部屋の格だとか上だの下だの言っていたが、詳しくは分からない。

 

しばらくその場でこいしの言葉を待っていると、突然立ち上がって叫びだした。

 

突然の行動に燐もさとりも驚いてしまっている。だがこいしはその事を気にせず

 

「ああっ!? ……良い案があるよ!」

 

そう言って俺の方を見ながら言ってくる。物凄く良い笑顔で。

 

そしてその言葉を聞いた瞬間に、またもやテーブルに突っ伏する羽目になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耕也が私達のペットになればいいんだよっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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