とある覚悟の魔術結社(マジックキャバル)   作:赤川島起

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第4章 研究所 first_stage 9

「夜宮!!」

デューイが叫ぶさまを見て、上条と土御門はもう一つの戦闘を確認する。

どうやら彼女たちは組織のナンバー2を倒したらしい。

これで形勢は5対1。

ただ、彼女たち三人はかなり消耗している様子だ。

だが、戦闘に参加できないほどではないだろう。

(あとはコイツだ。時間はまだそんなに………………)

 

そこに、数多の“実験器具”が乱入した。

 

「よけろっ!カミやん!!」

突如現れた実験器具。

その数は多く、パッと見では数えられない。

ふわふわと浮いている実験器具。

その器具たちはデューイを守るように上条たちを遠ざけ、夜宮の周りから三人を追い出す。

おそらくは異能の力のたぐいだが、上条に相性の悪い多量及び多方向の力。

予想だが、一つ一つに強力な力が込められている。

 

『浮遊を解除せよ』

 

そこで響くのはインデックスの『強制詠唱(スペルインターセプト)』。

狙うは力の解除。

だが、インデックスが魔術に反応したのは“科学系の実験器具”。

それに“魔術”が付加されているその事実。

それに驚く暇も無く、さらに追加されるその言葉。

 

『自らの意思で行動せよ』

 

二つ目の『強制詠唱(スペルインターセプト)』。

 

効果は、遠隔操作から自動制御への変更。

強制詠唱(スペルインターセプト)』は魔術の命令に横槍を入れることで妨害する技である。

しかし、この『強制詠唱(スペルインターセプト)』はまた勝手が違う。

既存の魔術に横槍ではなく付加をかける事で、その魔術はさらなる意味を持つ。

言ってしまえば多重詠唱。

それを、既に『強制詠唱(スペルインターセプト)』で妨害された術式に行う超絶技巧。

だが、それを行なったもの声はインデックスの澄んだ声ではなく、―――――若き“科学者”の声だった。

「間に合った……わけでもない…か………。」

 

その男、仁代数樹。

 

日本人にありがちながら整った顔立ち、そこにどこか鋭い雰囲気を持つ。

整った姿勢とキリッとした表情がそれを増加させる。

その男は、いつの間にか夜宮のそばに立っていた。

「うっ…。」

夜宮は既に吸血鬼としての力も、ダンピールとしての力も出ていない。

彼の魔術は既に解除されている。

だが、弱点の十字架の術式を受けていても意識はあるようだ。

実は、吸血鬼が十字架を本当に苦手とするかには諸説ある。

苦手とするのならなぜ十字架の描かれた棺桶で眠るのか説明できないといった具合にだ。

そもそもの弱点が不明瞭。

それが、ダメージ軽減の原因なのだろう。

しかし、誰の目から見ても、明らかな戦闘不能。

彼はもう戦えないだろう。

 

そもそも、戦う必要がなくなったのだから。

 

タンッ!シュバッ!トン。ガッ!

いくつもの着地音。

それぞれ順に、『完全武装(オールウェポン)』を持つ能力者、仁大由香里。

貴族風の金髪の少年、ルイ=ケース。

黒髪ショートカットの少女、デイジー=リムズ。

高身長の銀髪の青年、ジャック=リドル。

手ぶらの彼ら。

おそらくは壊したか、五和が車に対してそうしたように、縮小して持ち歩いているのか。

だが、それは重要ではない。

そんなことよりも、彼らの集合の方が重要なのだから。

証拠隠滅作業にあたっていた全5名の集結。

 

それは無言に、そして無情に、――上条たちへタイムアップを告げていた。

 

だが、それでも納得できない事実に、インデックスが叫んでいた。

「なんでっ!“科学者”のあなたが………そんな“技”を。」

少し間を開け、“科学者”は答えた。

別に隠すことでもない、そう言うように。

 

「僕は、……サヴァン症候群(savant syndrome)だ。」

 

………………。

 

「全員撤退!!」

勝利を決めたその中でも、決して奢らないデューイの声。その声に従う“科学者”、数樹。

彼が懐から取り出したのは栓のされた試験管。

その栓を外し、中の液体を振り撒く。

それは科学による薬品か、はたまた魔術による魔法薬か。

どちらでも、変わりはないだろう。

要するに、ただの強力な“煙幕”なのだから。

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