とある覚悟の魔術結社(マジックキャバル)   作:赤川島起

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第1章 始まりの休日 break_holiday

某月某日 日本 学園都市 第七学区 男子寮

 

本日は土曜日、学園都市は休日でそろそろテストの時期かなと、ちょっと危機感を持っている生徒が多数いるこのとき、

とある高校生は家電製品とにらめっこしていた。

「…………消費が速すぎる、ってか小麦粉かさ増し大作戦がやくにたたないじゃねぇかあぁぁ!」

叫んでいる少年の名は、上条当麻。ごくごく普通の学園都市の少年である。

よくトラブルに巻き込まれたり、日常的に不幸な目にあっているので普通と言い難いのだが……。

そんな上条当麻は家庭の経済事情を回復するため居候の大食いシスターに対抗して、小麦粉による手作りうどん、ピザ、簡単なパン、などの小麦製の料理による大食い対抗策を用意した。

だが、件のシスターさんは量の増えた食事に素早く対応し小麦粉料理とその具材までたいらげ、結局は量の多い食事に期待するようになってしまったのだ。

上条当麻の右手には『幻想殺し』という変わったチカラがあるのだが、この事態には全く役に立たないのである。

「…………ふっ、くよくよしたって始まらねぇ。」

半ばあきらめ………あきらめ状態の調子で発する言葉は、かなり弱弱しかった。

一方、その原因の居候。真っ白で豪華な(安全ピンがあるため、そう見えづらいが。)修道服を身にまとった銀髪碧眼の少女、インデックスが申し訳なさそうに言う。

「ごめんね、とうま。やりすぎちゃったかも。……とうまの周りがすごく黒く、暗く見えるんだよ。」

インデックスは流石に悪いと思っているのか謝罪を口にしていた。

本人も、当麻が、朝早くにがんばってうどんを作ったりしていたところを見ていたので、少し後ろめたいのだ。

作った本人の苦労が、一瞬(文字どうり)で消し去られてしまったのだから。

最も、散々食べまくってしまったにもかかわらず、今ようやくそう思ったわけだが。

上条は普段聞かない謝罪の言葉を聞いて少し気を許したのか、少し間をおいてこんなことを言った。

「もういいよ、ってか、せっかくの休日だし買い物ついでに一緒に遊びに行くか?」

「いくいくー。スフィンクスもいっしょにねー。」

パァッと負の表情から、天真爛漫な満開の笑顔になった。当麻はそれを見て、まあ、いいかな とも思った。

「じゃあ、今日は近所のスーパーじゃなくて大きめのデパートにするか。」

「でぱーと♪でぱーと♪」

(インデックスも気分を良くしたことだし、まあ大目に見るか。………食材の調達は慎重にしないとな。まあ、ちょっとは一緒に楽しんでいくか。)

こうして上条当麻とインデックスは、デパートへ食料調達も兼ねてあそびに出かけたのだった。

 

 

 

 

 

窓のないビルその中で巨大なビーカーの中に人間はいた。

男にも女にも大人にも子供にも聖人にも囚人にも見える人間が。

その前に、虚空から人影が二つ現れた。

学園都市のエージェントであり、イギリス清教 必要悪の教会 所属の魔術師でもある男、土御門元春と学園都市の大能力者であり窓のないビルの案内人『座標移動』結標淡希。

結標は、その能力ですぐにその場からいなくなった。

残った土御門は話す。魔術師の顔で。

「何が起こっているか分かっているな。……少しヤバい状態だ、何が起こるか分からない。早急に手を打て、アレイスター。」

少し焦り気味な口調だった。いつ爆発するか分からない爆弾があるかのように。

「まあ、いい気分ではないな。ただそこまで焦ることでもなかろう。だが、やつらも手を出しづらい状況をうまく作ったものだな。」

「あれだけ滞空回線(アンダーライン)を、ばら撒いておきながら学園都市内で察知できなかったのか?」

「やつらは学園都市内ではなく、主に外に出て活動していたそうだ。あと今回の件は、『幻想殺し』と『禁書目録』にも協力してもらう必要があるだろう。」

「ふん、俺は今から出るぞ、何かが起こる前に阻止する。ただ、学園都市と同じでイギリス清教も手を出しにくい。今回は戦闘ではなく、あくまで調査だからな。だが、」

そこからは、怒りがこもった感情(もの)が感じられる。

「これにお前の言うプランが、組み込まれているのならいい加減にしろ。これ以上、表の友人に手を出すな。」

「前に別の男にも似たような事を言われたよ。それに、今回の出来事は計画外だ。私の仕組んだことではない。」

それを聞いても、土御門はどこか納得のいかない表情だった。

「ああ、今回はそういうことにしておこう。とりあえず俺は出る。異存ないな?」

「構わんよ。私とて、この面倒な状態はさっさと片づけたいものだからね。」

そして土御門は行った、残ったアレイスターは

「計画外ではあるが、プランは短縮できそうだな。」

アレイスターは笑う、男にも女にも大人にも子供にも聖人にも囚人にも見える表情で。

 

 

 

 

数時間前 英国 聖ジョージ大聖堂

 

「学園都市へ向かうのですか?」

少女の名は五和、イギリス清教 必要悪の教会 天草式十字凄教所属の魔術師である。

「ええ今回は、私はおろかステイルや建宮も動けません。今回は、調査という形ですから。先ほど土御門にも連絡を入れました。」

答えた女性は、神裂火織。新生天草式十字凄教の女教皇様(プリエステス)であり、世界に二十人といない聖人である。その会話の中にはもう一人いる。

「今回は、五和に任せるしかないのよな。事態が事態だ、あまり周りは騒いでもらっちゃ困るよな。」

その、男の名は建宮斎字。天草式十字凄教の魔術師で、神裂がいないときは教皇代理。

メンバーのまとめ役も担う男だ。

「あと、五和が向かうのは学園都市じゃなくてその近くの普通の空港。そっちの方が都合がいい、おっと忘れるとこだったよな。」

「「?」」

普通の空港へ向かうことは知っていた二人だったが、その次の言葉は聞かされていなかった。

「五和と一緒に向かうのはもう一人いる。本人の希望もあってな、イギリス清教ではないが今回は特例だ。」

「誰ですか?」

五和は聞く。かえって来た言葉は……

「それは、――――なのよな。」

「ええ――――!!」「何ですって!!」

二人の女性は、普段からは想像もできない大声をあげた。

無理もないだろう、その人物は二人も知っている人物だったのだから。

正確には話だけは聞いているが正解だが。

(………がんばります。)

恋する少女は、ひそかに決意するのだった。

 

 

 

 

 

学園都市 第七学区 常磐台中学学生寮前

 

学園都市の五本指、名門常磐台中学校の学生寮の前に二人の少女がいた。

一人は『空間移動』のチカラを持つ大能力者、一人は『超電磁砲』と呼ばれる超能力者。

普通、寮の前で立ち続けることはないだろう。

なぜ立っているかと言うと、単純に待ち合わせをしているからなのである。

「御坂さーん。」

少女に向けて、甘ったるい声が響く。待ち合わせをしていた友人の声だった。

「あっ、佐天さん 初春さんこっちこっち。」

「こちらですのよ。」

合流したので早速目的地へ向かう。目的地へは徒歩。

ちょっと遠いが歩いていけない距離ではないからだ。

その間、女の子特有の何気ない会話をしながら歩いていく。

「そういえば御坂さん、」

「なに?佐天さん。」

「初春から聞きましたよー、ある男子高校生とデートに出かけたとか。さっすが大人ですねー せ ん ぱ い。」

「で、デートって、た、ただの罰ゲームよ。ほ、ほら大覇星祭の。」

「そういえばお姉さま、いったいあの後何をしたんですの。……もしかして、もうあんなことやこんなことも………きぃー、あの類人猿がぁああ。」

「なにもないわよ!何であのバカと、そ、そんな状態にならなきゃいけないのよ。結局あの後はぐらかされたのよ。くっ、思い出したら腹が立ってきた。今度会ったら覚えてらっしゃいよ、あのクソバカぁー。」

「み、御坂さん落ち付いて、そんな強い電撃を人に向けて撃ったら死んじゃいますよー。白井さんも、その怖いオーラを何とかしてください。」

「無理だと思うよ初春。二人とも、もう何も聞こえてないと思うから…。」

この二人がこんなに取り乱すなんて、いったいどうゆう人なんだろうと二人は思ったが口に出すと突っ込みが返ってきそうだったのでやめといた。

あまり刺激しない方がいいだろう。

そして、興奮していた二人も落ち着いてきて会話が再開される。

「で、初春にはそういう恋愛じみた話って聞かないよねー。」

「むぅ、佐天さんだってそうじゃないですか。人のこと言えません。」

「初春のくせにー、このっ。」

ガバッ、と初春にスカートめくりをするものの、初春はとっさにガードすることができた。

結果的に太ももまで見えるものだったが。阻止はできた。

「っ―――、危ない。スカートめくりはもうやめてくださいよー、佐天さーん。」

「まあまあ、挨拶みたいなもんだし。」

「ハッ、では私もお姉さまにするのも挨拶ということに……。」

「なるわけないでしょ。」

ズガンッ。

「アォ!」

自業自得である。

(そろそろ何かに目覚めそうだ…。)という心配を御坂はちょっと本気で最近している。

「あ、あの、い、今から向かうデパートって、学園都市の中でもトップ5に入るほど大きいとこみたいですよ。」

「佐天さんは、どこを見てみたいですか?」

「うーん、服だと御坂さん達は無理だし………御坂さん達はどこがいいですか?」

「私はあそこにある、スポーツセンターがいいかな。お金払ったら遊び放題だし。」

「わたくしは、パジャマや下着などを見て回りたいですね。」

「じゃあ、スポーツセンターの次は昼食、デザートを食べて、デパート内のセブンスミストの支店に向かうということでいいですか。」

「なーんか、初春の私情が混じってたみたいだけどそれでOK。お二人はどうですか?」

「いいわよ。」

「構いませんわ。」

平和な時間を過ごす少女たちは向かう、ショッピングをするためにとある少年も向かうデパートへと。

 

 

 

 

 

「着いたー。」

第一声を放つインデックスの横で上条は思う。

(…………でけぇ…。)

それもそのはず、学園都市の数あるデパートの中でも大きさならば第4位、総売上 第2位、利用客数第1位という最大級のデパートなのだから。

「じゃあインデックス、昼飯の前にどこ行きたい?」

「うーん、お昼ごはんの前なら…げーむせんたーがいい!」

うーん、と上条は少し考える。ゲームセンターはお金のコントロールがしやすい。

そこでうまくお金を浮かせば、昼食をランチバイキングにして普通に満腹になるまで食べさせるより安く済むようにできるだろう。

考え終わった上条は言う。

「よし、じゃあそうすっか。というわけで……、勝負といくか?インデックス。」

「のぞむところなんだよ!とうま、絶対負けないんだからねー。」

なにをー、と、ちょっとけんか腰気味ながらでも楽しそうな二人は中に入って行った。

その様子を見ている二人の視線にも気付かずに…。




休日のデパートにやってきた面々。
各々が、自分たちの休日を過ごす。
そんな中、影を見せ始めたある者たち。

『第2章 集合する者たち battle_start』

科学と魔術が交わるとき、物語は始まる。
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