23:11 『海を守護する大樹』緊急日本アジト
「夜宮の状態は?」
「回復魔術及び治療を続けている。だが、戦線復帰はまだ時間がかかる。」
「そんなに酷いのか?」
「傷そのものは大したことない。問題は夜宮の術式さ。さすがは禁書目録と呼ばれることはある。」
「術式の破壊か……。」
「ああ。本来なら強大な生命力を持つ吸血鬼ってのがアダになった。力がでかい分、マイナスになってもでかい。」
「『吸血鬼の陣』の再構築にどれくらいかかる?」
「“あっち”の方に時間が取られるからな。そうでなくても『吸血鬼の陣』は壊されていて不純物が多い。構築より除去作業の方に手がかかる。夜宮も万全じゃないし、今は“輸血”はさせられん。」
「確かに……。」
夜宮の術式、『吸血鬼の陣』。
血の霊装といったが、その血は“夜宮自身の血”だ。
この霊装は、夜宮の血を“霊装化”させたものである。
夜宮の血を抜き取り霊装化させ、夜宮自身に輸血する。
それを行なったのが、『魔科学者』仁代数樹。
科学を極めた上で、魔術の領域に踏み込んだ者。
現在の『海を守護する大樹』で“全ての”霊装を調整する人物。
サヴァン症候群ではあるが、精神障害はない。
奇跡の体質を持った男。
そして、彼の診断結果。
夜宮は、ここでリタイアという結果。
それを聞くリーダー。
「じゃあ夜宮の分も、俺たちがこなす。――『アレ』の準備はできてるか?」
「ああ、それは問題ない。量産は不可能だったが、戦闘要員分は用意できた。……やはりデューイには対応しないようだが……。“脳波が滅茶苦茶”なデューイには『アレ』はつけられない。」
「そこは理解している。……それに、頼らずともなんとかなる。」
「……“大丈夫”か?」
「ああ。」
「………………。」
「もう休もう。明日は“総力戦になる”。」
「やはり突き止められると思うか?」
「間違いない。禁書目録たるインデックスがここを見逃す訳はない。」
「まったくもってそのとおりだな。……なら明日は、僕も戦う。」
「“あっち”に支障は?」
「もう僕がやれることは終えている。それに、僕たちがかれらを止めて、皆に任せたほうが効率的だ。」
「お前がそう言うなら、そうなんだろうな。」
「だから、もう僕は休むよ。“最終調整”は終わっているからね。」
「ああ、おやすみ。」
「……おやすみ。」
ウィーン、と自動ドアが開き、閉じる。一人になったデューイ。
1人になったからであろうか。
ふと、彼らの『目的』を、小さく呟いた。
「待っててくれ………………エレン。」
激闘から少し過ぎ、上条たちは休息をとることに。
もちろん、その夜には作戦会議を控えていた。
次章『第5章 休息の宿 half_time』
科学と魔術が交わるとき、物語は始まる。