とある覚悟の魔術結社(マジックキャバル)   作:赤川島起

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第6章それぞれの戦いone_or_one 3

海上人工基地内 通路

 

基地内に侵入した4人は通路を駆ける。

インデックスが言うには、此処もあの研究所と同じ多重構成魔方陣が使用されているらしい。

研究所のように本棚ではなく、円状の基地の通路で構成された陣。

通路だけではない。

電気回線、水道管、排水管、補うために付与された陣以外に用途のない回線など。

「でも、この魔方陣には何か意図がある。隠蔽やほかの術式に紛れてとても大きな術式が準備されている。」

「その内容は…………不明だよな。」

「うん、私じゃ解析できない。魔術隠蔽だけじゃなくて、科学技術が多量に紛れているの。」

「そうか。じゃあインデックス、この基地の“どこを目指せばいい”かにゃー。」

この巨大な術式。

その中に意図が不明の術式が紛れている。

“科学側にアプローチされた術式”が紛れているのだ。

 

つまるところ、――――――――それが彼らの目的である可能性が高い。

 

「うん、わかるよ。」

はっきりとした肯定。

彼らの中には魔術の天才、仁大数樹がいる。

完全記憶能力者とサヴァン症候群との化かし合い。

専門外の科学が混じるその中で、インデックスは情報を掴んだ。

 

「この基地の中央。そこに力が集まるように術式が組まれている。そこに“何か”がある。」

 

完全に定まった目的地。

彼らが向かう先は、海上人工基地中央部。

 

「こちらD-5エリア!!侵入者4人を確認、これより迎撃に移ります。」

 

「見つかった!!」

通路の先から現れたのは少年をリーダーとした3人の集団。

その中に、昨日確認したメンバーはいない。

彼らは全員日本人。

上条とそう変わらない年齢の少年からやや(おさな)さの残る少女までの年代。

ほぼ間違いなく、学園都市をともに離脱した置き去り(チャイルドエラー)である。

 

「はぁっ!!」

 

中学生ぐらいの少女が一気に上条に迫る。

その速度は通常のものではない。

十中八九、肉体強化系の能力者である。

「くっ。」

間一髪、直撃を避ける上条。

避けたのを確認したのかバックステップで距離をとる少女。

状況は不利。

能力者相手にインデックスは無力だ。

そして基本的に打撃攻撃をする土御門は肉体強化系には相性が悪い。

魔術攻撃の五和か、幻想殺し(イマジンブレイカー)の上条ならば有効だろう。

が、後方にいる2人の少年がそれを許さない。

年下であろう少年のほうが、指パッチンの要領で左手を出す。

 

ビッカアアアアアアァァァァァ!!

 

閃光が周りを白く塗りつぶす。

少年の能力は光学操作系の能力だったらしい。

 

 

 

 

 

同時刻 英国 聖ジョージ大聖堂

 

日本で上条たちが奮戦している間、-9時間の時差であるイギリスでは午前3時程。

深夜の時間だが交代制で情報を収集するイギリス清教の面々。

それは魔術サイドにおいて核兵器の扱いを受ける聖人も同様にだ。

むしろその超人的な体力でデスクワークをこなす神裂。

その横ではルーン魔術の天才と呼ばれるステイルが同様にこなしていく。

ただ、やはり聖人の肉体能力には勝てないようで、神裂よりはやや遅い。

それでなおかつ、神裂はこの中の誰よりも長く仕事をしているのだ。

その中でも、鬼気迫るような集中力が切れる様子はない。

「無関係、無関係、無関係、無関係、無関係、無関係――――――――。」

「…………相変わらずすげぇのよな。」

「どうやら今回は、情報を集めることがあの少年の手助けとなると張り切っているみたいです。」

「自分が前線に出れないなら、せめて後衛で活躍するってことか。」

「香焼!!建宮!!口を動かさずに手を動かす!!」

「「はいっ!!すみませんでした!!」」

そんな様子なので天草式十字凄教にとっては、女教皇(プリエステス)がここまでやっているのに自分たちがやらないわけにはいかない、と実に日本人らしい思考で奮闘しているわけである。

「アンジェレネ!!次の書類まだですか!!」

「は、はいっ!!すぐにお持ちします!!」

そんな状況だ、当然他のメンバーにもその波は波及する。

イギリス清教は対魔術師に特化した組織だ。

ただでさえ高い魔術師の捜査能力は、確実に引き上げられていた。

「む?」

声を上げたのはステイル。

隣で作業をしていた神裂の耳には当然入る。

「どうしましたステイル?」

「この資料が間違っている。処刑塔(ロンドンとう)の収監人数と事件の確保人数がイコールじゃない。」

「見せてください。」

資料を受け取る神裂。

そこに書かれているのは現在の処刑塔(ロンドンとう)の収監人数と事件により確保した人物や処刑されたり脱獄した人物をマイナスとした値などを計算した値が書かれている。

「確かに一人ずれていますね。誤差、でしょうか?」

「それは考えづらいかな。これでもかなりやりなおしたんだよ。」

「………………まさか。」

「ああ、僕も同じ結論だ。」

とてもとても、小さな違和感。

だが、戦闘など小さな違和感が命取りなる状況を経験している彼らにとって、見過ごすことのできない情報。

 

「聞いてください!!」

 

声を上げる神裂。

その声に、皆の視線が集中する。

 

「ここの情報から“何かもみ消された事件”がないか、重点的に調べてください!!」

 

その話を聞いた面々はピンとして、すぐさま捜査する情報を切り替える。

天草式のメンバーも、元アニェーゼ部隊のメンバーも、今交代したシェリーも皆同様に。

積み上げられる事件の資料。

もみ消されたかどうか、それを照らし合わせるのは自分たちの記憶。

より一層、集中力を釣り上げる。

「………………もし、この予想が当たっているなら。」

「僕たちにとっては、かなり嬉しくない情報だね。」

先ほども言ったが、イギリス清教は対魔術師分野に特化した魔術師の治安維持組織である。

そんな彼らの持つ、事件の情報が間違っている。

いや、“意図的に間違えられたもの”だとすれば。

するのは嫌な予感。

彼らにとって、とてもとても不名誉なこと。

イギリス清教(わたしたち)の情報が捻じ曲げられている。………………そんなことができるのは。」

イギリス清教(ぼくたち)しかいない。」

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