とある覚悟の魔術結社(マジックキャバル)   作:赤川島起

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第2章 集合する者たち battle_start 5

上条とインデックスは、病院に運ばれた白井黒子のお見舞いに向かい病院の廊下を歩いていた。

時刻は4時ほど。

二人の戦闘時間も、治療の時間もそこまで長くなかった。

上条のその足取りは重い。

そこには自責の念があり、悔しさがあり、不甲斐無さがある。

上条もわかっていた。

背中を預けるというのは危険を共有すること。

それを望んだ白井自身の結果なのだ。

しかし、そんなことで話を終わらせる上条ではない。

もともと、自分のことに人を巻き込みたくない性格なのだ。

しかも今回は上条を狙った事件。

上条は事件に巻き込まれたことはあっても、自分の事件に人を自ら巻き込んだことなどほとんどなかった。

だいたい、望まれたなら断ればいい。

かつて一緒に戦場に行こうとした御坂美琴と同じように。

「とうま!そんな顔だとお見舞いする人に失礼かも。」

「ああ、ごめん。」

「………とうま、自分が巻き込んだからこんなことになったって思ってる?」

「えっ。」

「とうまはいつもそうなんだもん。それともとうまは、一緒に戦ってくれた人にありがとう、って言わずにごめんなさいとしか言えない人なの?」

そう言われ上条は少しだけ嫌なものがとれたような気がした。

多分、吹っ切れたのだろうと自分で考察する。

なんだかんだで、こんなふうに人を癒せるインデックスもシスターなんだなー、とそう思った。

 

(なぜか、割と失礼なことを思われた気がするかも。)

 

大正解である。

 

バシッと一発、気付けをする上条。

その一発で頭を切り替える。

「そうだよな…、俺らしくもない。起こってしまったことより、これからのことを考えないと。白井もそういうかな?」

「そうかも。」

「しかし、あの能力者について調べられねえかな。白井もやられたってことはもう一人も能力者の可能性が高い。ものすごいジャンプしてたし。」

今回は、魔術ではなく超能力。

科学側が上条の『幻想殺し』を狙っていたのだ。

正直、魔術サイドで多少有名になっているが上条は学園都市ではあまり知られていない。

そんな『無能力』扱いの上条をよく調べたところだろう。

だが…。

「違うよとうま!」

「え、何が違うんだ。」

インデックスがいきなり口を挟んだ。

核心を持った顔で。

 

「あの人に行ってた攻撃は魔術だよ。」

 

「はぁ!?あいつら二人は仲間みたいな様子だったぞ。仮に魔術だとしても、なんで魔術師と科学者が手を組んでるんだよ?」

「それはわからないけど、魔術だったのは本当。魔力の残滓が残ってたもん。」

魔術と科学が手を組んだ。

浮き出るのはさきほど述べたフレーズ。

なぜそうなったのか、本当にそうなのか。

上条が知る由もなかった。

「いったい何が起こってるんだよ?」

 

 

 

 

 

第七学区のいつもの病院。

そこの病室に白井は入院していた。

カエル医者の話では、電気による麻痺で気絶していたぐらいなので大事には至らなかったそうだ。

念のための入院らしい。

そしてその病室に白井と先にお見舞いに来ていた御坂、初春、佐天。後から来た上条、インデックスがいた。

現在の話題は事件の話。

白井自身、あの男の正体を気にしているようだ。

一応、名前は伝えておいた。

白井は名前を聞いたが、気絶して忘れてしまったらしい。

「そのデューイという男。おそらく風力系の能力者ですの。本人は操っているのではないと言っておりましたが、そこが気になりますわね。使ったのは、大気圧と空気摩擦でしたの。調べられますか初春?」

「ええ、あの、『書庫』にアクセスしたんですけど…。」

初春は少し口ごもり。そして答える。

「風力系のそれも『大能力者』クラスの中に、二十代の英国風の男性の姿をした人はいなかったんです。」

「!?それ、どういうことですの?」

驚いている白井に上条が言う。

インデックスを少し後ろに下げインデックスもそれに少し間をおいて従った。

このメンバーに魔術のことに巻き込みたくないのはインデックスも同じなのだ

「たぶん、非公式に開発されたからじゃないかな?」

その一言に皆、注目する。

「それどういうことですの。」

「俺が戦ったやつは由香里って名乗ってたんだけど、科学者が自分で自分を開発した、って言ってた。実際、そいつは『完全武装(オールウエポン)』っていう念動力の弾を飛ばす能力者だった。」

それを聞き初春が口を開く。

「狙撃能力者ですか。『風紀委員』の先輩にもいます。」

「あ、そうなのか。じゃあよく知ってるよな。確か本人は『大能力者』って言ってたけど…。」

何気なく言ったことだった。

が、その先輩を知っているのでその能力に詳しいからか『風紀委員』の二人は反応した。

「待ってください。『大能力者』!?学園都市に狙撃能力者は『強能力者』までしかいないんですのよ。」

そう言い、一息ついてから一番に口を開いたのは御坂だった。

「辻妻が…合ってきたわね。」

しかし、御坂たちは知らない。

この事件に魔術なんて未知のシロモノが関係していること。

そして、上条とインデックスが魔術に関係し続けてきたことを。

 

 

 

 

 

しばらくして上条とインデックスの二人は病室を後にした。

病室を少し出たあたりで御坂がこっちに向かってきた。

「ちょっとアンタ!!」

「ん?御坂、何の用だ?」

強い調子で呼び止められた。

「アンタ、また事件に首突っ込もうとしてるの?」

「…さあな、あいつら知らねえし。」

「そう…。」

上条は嘘をついた。

知らないでそのままにしておく人間ではない。

これは、彼女らのためなのだ。

これ以上、魔術とは関係ない御坂たちを巻き込まないために。

彼の目的は決まっていた。

こんなふうに誰かを傷つけることを彼らがするのなら、自分はそれを全力で止めてみせると。




これは、『彼ら』の過去と今。

次回『第2.5章 行間一』

科学と魔術が交わるとき、物語は始まる。
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