おお、死んでしまうとは情けない! 作:団欒
「お疲れ様です、トウヤさん」
「あ、どうも。ヒバリさん。オペレートありがとうございます」
「いえいえ、では報酬はトウヤさんの個人口座に振り込んでおきますね」
「あ、ちょっと待っていただけますか?」
「?」
エントランスにあった紙を取り出してそこに昨日までに調べておいた口座を書き込む。
「ここに報酬の5割を振り込んでいただけませんか?」
「この口座に……ですか?」
「はい、ここに」
その口座は以前に俺がお世話になった孤児の保護団体であった。
「ですが、5割というのは……」
「正直、お金って使いどころがわかんないので、ここにお任せしたいんですよ」
「はぁ……そうですか」
もともとホームレスみたいな生活してたもんだから逆にお金がある方がなんか違和感があるなんてアホらしくて言えない。
「む?何をやっている?」
「あ、ツバキ教官。こんにちは」
「馬酔木、榊博士の講義があるのだろう?早く行け」
「了解です、ではヒバリさん。よろしくお願いしますね」
「わ、わかりました」
軽い足取りで俺は榊博士の元へと向かう。エレベーターを待っているとき、エントランスからヒバリさんの「うそ……」という声や、ツバキ教官の「これは……」と言った声が聞こえたけど、なんだったのだろうか?
○
榊博士の講義が終わってから俺は神機の整備士である楠リッカさんに呼び出しをされた。
「やぁ、きたね問題児くん」
「も、問題児……ですか?」
少なからずショックを受ける。清く正しく生きてきただけあって結構なダメージになった。
「そりゃそうだよ。神機の消耗の仕方が一番激しいんだから。しかも変な方向に」
「はぁ、わかるものですか?」
「そりゃあね。場数は踏んでるつもりだよ。で、本題なんだけど。君、自殺志願者?」
「……はい?」
何故そうなる。マジで
「何故ですか?」
「君の神機を見てるとわかるものだよ。自分の命を鑑みない戦い方をしている事はね」
「ふむ、そう見える?」
「うん」
「……そりゃ困った」
そう見えていたなんて、全くの想定外だ。確かに巻き戻りがあるから死ぬ事に対して恐怖が薄い。別に死ぬ事に対して忌避感がないというわけではないし、狂っていないところを見ると死にたがりでもないだろう。しかし、このままでは心配されてしまう。
「そうですか。次から(バレないように)気をつけます」
「……そう。ならいいよ」
俺の返事に何やら思うところがあったのかもしれないが、納得したリッカさん。
「では、失礼させてもらいます」
「うん、また今度ね。あと敬語はいいよ、年も近いしね」
「そうか、ならリッカさん。今後ともよろしく」
そう言って俺はその場から立ち去る。
そろそろ出撃の時間だ。さて、何回でクリアできる事やら。