おお、死んでしまうとは情けない! 作:団欒
グボロ・グボロ強すぎワロエナイ。
死んだ回数が2桁になるのは結構キツイ。心が折れそうだ……
いや、折れるというのは間違いだろうか?そこらへんはどうでもいいとして、
わたくし、前述の通りグボロ・グボロを討伐に来ています。
随伴者にはユウ、リンドウさん、サクヤさんの三人である。
わたくし、このメンバーなら間違いなく倒してくれるだろうと考えていた時もありました。
でも、まさか通常よりもオラクル反応が高いヴァジュラが乱入してくるなんて思わないでしょう?これにはオペレーターのヒバリさんもびっくり。
他の三人は強化ヴァジュラに釘付けになって、俺一人でグボロ・グボロを相手にしなきゃならなくなった。
いや、足止めだけでいい、とにかくヴァジュラと合流させないようにしてくれと頼まれたわけですが、最初はろくに戦闘が出来ずにくたばった。
二回目はパックリと喰われた。三回目は鰭に当たって死んだ。四回目は鰭にかすって動けなくなったところで喰われた。
その後も普通に殺されたり、喰われたり……あれ?喰われる割合高くない?
いや、アラガミだからかもしんないけどさ。
生きたまま喰われるってのはなかなかキツイものがある。
ああ、心が荒れる……
こんな時は、心を無に……子どもの頃からの口癖を……
「仁義八行……如是畜生発菩提心……」
「……?なにそれ?」
いきなり隣のユウに聞かれた。言葉に出てた?いや、聞かれてもいいやつだったからいいものの、こっぱずかしいやつだったら不味かったな。気をつけないと……
「いや、精神統一のためのおまじないかな。じいさんに教えてもらったんだよ」
「……へぇ、そうなんだ」
ユウはそれを機に興味を失ったのかヘリの外の風景に目を向けた。
別に気にしてほしいというわけじゃ無いけど……少し寂しいかな。まぁ、いいけど。と、ついたついた。
「……さてと、今日も気合入れていきますかね」
リンドウさんの台詞何回目だろう?十回超えてから忘れたよ。
頑張って、生き延びないとなぁ……
■
私たちは、なんとか乱入してきた変異ヴァジュラを討伐して、もう一つの変異体であるグボロ・グボロと戦闘しているトウヤの元に走っていた。
「多分あいつなら大丈夫だろうが……ヒバリがなんか悲鳴を何度もあげてる。心配だな」
「リンドウ!しゃべる暇があるなら走る!」
「わーってるよ!」
リンドウさんとサクヤさんの会話もあんまり頭に入ってこない。
彼のことだ、相当な無茶をしているのだろう。
何せ私たちという枷がない状態だ。思いっきり前のめりで戦ってるに違いない。
角を曲がり、その先の光景に私は慌てた。
「トウヤっ!」
なぜならトウヤはボロボロのグボロ・グボロに喰われそうになっていたからだ。
だがトウヤはそれでも前進する。そしてグボロ・グボロの大きく開かれた顎に銃口を突き立てる。
そして、アラガミバレットをグボロ・グボロの口内で解放した。
そのまま内部から食い破られたグボロ・グボロは絶命する。
倒れ伏したグボロ・グボロから神機を引き抜くトウヤに一同唖然とした。
「あ、皆!お疲れ様です!」
先ほどまでの剣呑な雰囲気は鳴りを潜め、こちらに大きく手を振って近づいてくるトウヤ。その在り方はたまらなく歪に見えた。
■
「トウヤさん」
「はい」
「正座」
「……はい」
只今ヒバリさんに説教されてます。何故ならばグボロ・グボロを単独で倒してしまったのが悪かったらしい。
相当な無茶をしたと思われているようだが、援軍を待ってたらどう足掻いても体力が先に尽きてグボロ・グボロに殺されるので頑張って一人で倒したのだ。
しかしそれをわかってもらえるはずもなく。
結果として無茶をしたと認識されたのだ。
「聴いてますか⁉︎」
「あ、はい。聴いてます」
しかしそうだとしてもまさか他の人たちの前でするこたぁないでしょう?恥ずか死ぬ。ヒバリさん好きのタツミさん、そんな恨めしそうな顔でこっち見ないで貴方が思っているほど居心地は良くないですよ。
「き、い、て、ま、す、か!」
「はい!ほんとにすいませんでした!だから耳元で叫ばないで!」
「まぁ、そこまでにしてやってくれや」
「リンドウさん?」
援護してくれたのはなんというか予想通りというか、リンドウさんだった。
おお、神よ。ありがとう……
「さて、支部長が呼んでるぜ。ほら立った」
「了解」
膝についた埃を払い、敬礼をする。正座には慣れているので足が痺れるという事は無かった。
そんな俺にリンドウさんは周りにわからないように耳打ちする。
「……気をつけろ。なに押し付けられるかわかんねぇからな」
「?」
訳がわからないので取り敢えず頷いておく。
この後支部長から厄介ごとを押し付けられるとは知らずに。
○
「ふむ、つまりヨハン。君は彼にウロヴォロスの討伐を命じたんだね?」
「ああ、何か問題でもあるかね?」
「いや疑問に思ってね。何故新型神機使いを死地に追いやる様な事をするのかとね」
ペイラーはくいっと眼鏡を指であげ、その眼鏡を介して支部長を見つめる。
「なに、ただ確かめたいのだよ。彼は本物であるのかを、ね」
「本物?何のだい?」
「彼は本当に神に愛されたものなのかをね……」
「神に愛された?……いやまさか、北の賢者が言っていたのが彼だと?」
「私はそう睨んでいる。だからこそ、私は彼に特務を任せたのだ」
パソコンをいじり、彼が無事に出撃した事を確認し支部長は嗤う。
「さて、どう転ぶ事やら」
「どうやら、科学者をやめても、その気質は変わらないようだね。かく言う私も少しだがワクワクしているよ。結果が待ち遠しいよ」
支部長に呼応するように、ペイラーは薄ら笑みを浮かべた。