ファンタシースターオンライン2 「Reborn」EPISODE 4(休止中)   作:超天元突破メガネ

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*謝罪

投稿が大変遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
ここ1か月ほど忙しかったのもありますが、1番の理由は自分のモチベが下がってしまったことです。
オリジナルパートを作ったは良いものの、自分で作った背景にどう肉付けすればいいのかわからず、悩んでいるうちに時間だけが経ってしまいました。


現状、ひとまず自分の中で書きたいストーリーはまとまりました。
更新も内容もgdgdになるかもしれませんが、こんなアークスの三文小説でも宜しければ、付き合ってください。


SB5-4「伸ばしたその手は」

『———これは、あなたにしか出来ないことだ』

全知存在(アカシックレコード)の言葉に、私は惹かれた。

こんな私にも何かを成せると、あの人は言ったから。

 

『———貴様(わたし)の力では……彼女は救えない!』

絶望が振るった刃に、私は抗った。

彼女も救済を願っていると、私は知っていたから。

 

『———あたしは、守ってみせるんだ!!』

剣を取った少女に、私は手を差し伸べた。

それが、私のすべき事だと、当たり前のように考えた。

 

———そうしないと、私は生きていてはいけないと。

当たり前のように、考えていた。

 

AP241:4/15 20:00

アークスシップ:アメリアスのマイルーム

 

「……マトイの言う通りだよ」

マトイは答えない。

ただ「全てを語れ」と、その瞳が存外に告げている。

「……何度も、忘れようとした。別段、気にするようなことでもないと思ってたから」

 

だけど、どうしても。

私の過去は、私の心を縛り続けた。

きっと呼び水になったのは、二年半前の「再誕の日」。「虚空機関(ヴォイド)」の悪行が白日の下にさらされる中で、埋もれていた生い立ちへの慚愧も膨れ上がっていた。

もともと弱気な性質(タチ)だったのもあって、「私はここに居てはいけないのではないか」と何日も悩んだのを、よく覚えている。

 

そしてある日、私は決めた。

「アメリアスというニンゲンの、有用性を証明し続けよう」と。

過去から逃れるために、自分の存在意義を、「有用性」に定義したのだ。

実際、それでかなり楽になった。進むべき道はシャオ君のマターボードが示してくれたし、ちょっと特別な「目」も、私を助けてくれた。

 

「———ただ、あなたが居なくなったときは、正直どうしようかと思った」

マトイが『双子』の策略で『深遠なる闇』になった時……あの人の思いを知らなければ、私はマトイを救おうと決意できなかっただろう。

結局私は、誰かの為という大義名分がなければ、何もできなかったという訳だ。

 

「……じゃあ、ナベリウスであんな戦い方をしたのは」

「……私なりの巻き返しだと思ってた。誰よりも強いところを見せなきゃ、って」

マトイの方を見れなくなって、俯く。

もう、言葉が続かなかった。

 

「……アメリアス」

不意に、何かが……マトイの手が肩に乗った。

「マトイ……」

恐る恐る、顔をマトイの方へ向ける。

こちらを見つめるマトイは、何故か

 

「………恥ずかしいの?」

「………は??」

その言葉に、目が点になった。

 

「え、えっと?一体どうすれば今までの文脈からその結論に?」

「文脈というか、顔………?あ、ううん、今話してくれたことを言い訳だと思ってるんじゃなくて……」

たどたどしい返答を聞いていると、何となく私もわかった。

段々マトイの方を見れなくなったり、言葉が続かなかったり。

それは結局、話していて恥ずかしかったのだ。

 

いやでも、それとこれとは関係ない……いや。

「……そうかもね。昔貴女に散々言っといて、同じようなことで悩んでたなんて言いづらいもの」

「うーん、それはちょっと違うかな」

え?と首をかしげると、マトイは胸に手を当てて、

「わたしは、わたしの役割しか知らなかった。ダーカーを倒すっていう義務以外に何も持ってなかったけど」

 

その手が、私を指さす。

「あなたは、自分がしたいことを考えられた。だからこそ逆に、それを脅かすものが怖くて仕方なかったんじゃないかな」

ぐうの音も出ないほどに図星だった。

生という「自由」を知っていたからこそ、「過去」を恐れた。

それこそ、自分で自分に呪いをかけてしまうほどに。

 

「誰かのために戦うあなたは好き。だけどわたしが信じたあなたは……それに、縛られるような人じゃない」

マトイは言う。

その言葉は、否定でも後悔でもなかった。

それは祈り。

自分が信じた少女に、過去に囚われていてほしくないという、純粋な祈りだった。

 

「それでも、あなたが誰かに認めてもらえないと生きていけないのなら」

マトイの手が、私の手を握る。

「………わたしは、あなたを信じ続ける。あなたは、わたしを救ってくれたひとだから」

「………何を、言うのやら」

握り返した手に、涙が伝う。

私は、顔を上げた。

 

マトイの紅い瞳は、変わらない柔らかさで私を見ていた。

「あんたに世話焼かれるほど、私は弱くありませんっ」

「ふふっ………よかった」

マトイは笑う。

いつだって……違う。いつも私は、この笑顔に救われていた。

 

これから、私に何ができるかは分からない。だけど、今は。

「……ありがとう。マトイ」

マトイの想いに応えるために、私も思いっきり笑った。

 

 

「———了解。急行します」

「……見つかった?」

立ち上がったアメリアスに、マトイが声を掛ける。

「うん………行ってくる」

歩き出そうとしたアメリアスを、マトイは「ちょっと待って」と引き留めた。

 

アメリアスは振り返らないまま、右手を背後へ向ける。

マトイが投げ渡したのは、一本のメモリだった。

「クーナさんから。解析、終わったって」

「なんなら直接渡せばいいのに……了解。確認しとく」

 

メモリをしまったアメリアスの背中に、マトイは呼びかける。

「………気を付けて」

「何を言いますことやら。心配せず寝ててもらっていいよー」

「いや、寝るなら自分の部屋で寝るからね」

そんな会話を残して、部屋を出る。

 

区画移動用テレポーターの前には、見飽きた顔が揃って待っていた。

「あ、姉ちゃん来た」

——生意気な実妹。

「漸く引きこもりが出てきたか」

『こら、言い方ってものがあるだろう?』

——義兄妹とも言える、同じ過去を背負った2人。

 

「心配かけてごめんね。ちゃちゃっとヒツギ取り返してくるから」

「前々から思っていたが、アリスはトークのセンスが壊滅的だな。そこは『囚われのお姫様を助けてくる』くらい言っておくものだろう?」

「姉ちゃんリアリストだから……」『これリアリストって言うのかな?』

私が出てきたというのに、好き勝手喋り出すステラ達。

 

「……これでも緊張してるんだけど。何があるか分からないし」

私がため息を吐くと、ステラが「何言ってんのさ」と笑う。

「姉ちゃんなら大丈夫だよ!アークスの『守護輝士(ガーディアン)』だもん!」

後ろで頷く2人。

変わらない3人を見ていると、なんだかひとりで悩んでいたのが馬鹿らしくなってきた。

 

「……じゃあ、期待に応えるとしようかな」

「うん……行ってらっしゃい、姉ちゃん」

3人と別れ、テレポーターに乗る。

背後に視えたステラの顔は、見えなくなる瞬間まで笑っていた。

 

 

AP241:4/15 21:00

アークスシップ:艦橋

 

 

艦橋のゲートが開く。

シエラとアル、エンガが一斉に振り向くと、そこには守護輝士(ガーディアン)の少女がいた。

「アリスお姉ちゃん……!」

「………見つかったみたいだね、ヒツギ」

「はい。アースガイドの協力で」

頷いたシエラは、意地悪く笑って続ける。

 

「ああそうだ、聞いてくださいよアメリアスさん、エンガさん、1人で連れ戻しに行くとか言い出したんですよ?」

「なっ……そりゃあ、馬鹿妹の不始末は家長がケリをつけるべきだと思っただけで」

バツの悪い顔で言い返すエンガを見て、アメリアスは苦笑した。

「エンガさん、そんな水臭いこと言わないでください。尻拭いであれば、私も共犯ですから」

 

歩み寄りながら、アメリアスは想起した。

ヒツギを守り切れなかったのは、彼女のことを理解してあげられなかったから。

似たような歪みを抱えていながら、それに手を差し伸べてあげられなかったから。

 

———ならば、今度こそ。

自らの意思を武器に変えた彼女のように、自らの誓いを証明してみせる。

「彼女を……ヒツギさんを取り戻す。それが今、私がすべきことなんですから」

過去から逃げるためではなく。

今を確かに、生きるために。

 

エンガも、シエラも気づいていた。

今のアメリアスは、昨日までとは違う方向を向いていると。

「……世話かけて、すまん」

「だから、謝らなくていいですって」

かつん、と、戦闘服(マギアセイヴァー)のヒールが床を鳴らす。

 

「それで、作戦要綱は?」

「はい、先ほど申し上げた通り、アースガイドからの情報提供により、ヒツギさんがいるであろう座標を捕捉しました」

『……それに関しては、僕から説明願えるでしょうか』

不意に通信……アーデムの声が割り込む。

 

『実はアースガイドでは、マザー・クラスタの本拠地についての情報をある程度掴んでいたんです。アークス側の技術によって解析したところ、そのエリアに特異なエーテルの反応……八坂ヒツギさんの具現武装と同値の反応が確認されました』

ふとアメリアスは、足元が一瞬揺れるのを感じた。

 

『……それは古より存在し、人の近くに在りしもの』

アークスシップが回頭する。

正面ウィンドウの景色が、地球を離れて、異世界の星の海を映し出す。

『しかしそれでいて、人を狂気に引き込むと言われ、忌避されていたもの』

 

再び、シップが僅かに揺れる。

船首が指し示したのは、この惑星(ほし)に最も近い衛星(ほし)

『即ち………地球がただ一つ従える衛星、月です』

 




「伸ばしたその手は届かない」

痛みは消えないけれど 今貴女がここにいる
それだけでいい
言葉にできずにいるけど 守りたい

—————

……いいや。
伸ばしたその手は、きっと届く。届けて見せる。

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