キラ・ヤマトの異世界転生記   作:エルシオンガンダム

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皆さんこんにちは。

今回で第2章は終わりです。

それでは本編どうぞ。



第21話:傷跡

 医療個室

 

 

 

【BGM:仁より メインテーマ】

 

「・・・ぅぅ・・」

「「キラさん!」」

 あれから数時間後、前回と同じ個室でキラは目を覚ました。

「セシリア・・・雪泉さん?」

「大丈夫なの?」

「雪蓮さん・・・大丈夫です」

 セシリアと雪泉の名前を呟くと、雪蓮が大丈夫か尋ねてきた。後には冥琳もいる。

「僕は・・・・うう!!??」

 その瞬間キラは何があったのかを思い出し、吐き気に見舞われて口を押さえた。

「キラ!?」

「誰かバケツを!」

「こちらに!」

 雪泉が持ってきたバケツに、キラは胃の中のものを吐き出した。

「・・・皆」

「キラ?」

 吐いた後、キラは震えだし涙を流し始めた。

「守れなかった・・・力があったのに・・・守れたはずなのに・・・・・」

「キラさん・・・」

 セシリア達には涙を流すキラが、余りにも悲しくボロボロに見えた。

 

 ギュ

 

「!」

 そんなキラが見ていられなかったのか、雪蓮は涙を流しているキラを優しく抱きしめた。

「悲しいわよね?苦しいわよね?辛いわよね?」

「・ぁあ・・・」

「キラ、いっぱい泣いて良いわ。私達が貴方の悲しみを受け止めてあげる」

「そうだな。お前は良く頑張ったな」

「そうですわ!キラさんは悪くありません!」

「キラさん、泣いて構いません」

『私もラファール達も、貴方を否定しません』

「だから、いっぱい泣きなさいキラ」

 雪蓮達は皆キラに微笑む。

 そしてキラは、

 

 

 

 

「ううぅ・・・・・ぅうぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」

 

 まるで赤ん坊のように泣き叫んだ。

 

「ごめんない!ごめんなさいぃぃぃぃぃぃーーーーー!!うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」

「キラさん・・・キラさん!!」

「どうして・・・どうしてキラばかり、こんな思いをしなくちゃいけないのよ!?」

「まったくだ・・・くっ!」

「いくらなんでも、これはあんまりです!」

 《ああ・・・キラ・ヤマト》

 

 

 後悔に懺悔、悲しみに苦しみが篭った涙を流し続け、キラは彼女達に包まれながら泣いていたのだ。

 そして彼女達もまた、キラを思い涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・少しは落ち着いた?」

「・・・はい」///

 少し恥ずかしかったのか、雪蓮の問いにキラは顔を赤くして答えた。

「セシリアに雪泉さん、ティアーズもありがとう」

「このくらい当然ですわ」

「そうです。善忍として、一人の女として当然のことです」

『私にとっても、貴方は大切な存在ですから』

「3人とも・・・本当にありがとう」

 この学園で出会った3人、自分を心配してくれて中国から来た雪蓮と冥琳には本当に感謝をしたキラ。

「あれ?真那さんは?」

「真那は千冬たちの方で事後処理とあの化け物のことででてるわ」

「そうなんですか」

 真那がいないことにキラは少し残念がった。

「そういえば、セシリア達は大丈夫なの?」

「そうね、あんなことがあったんですもの」

 キラと雪蓮に尋ねられたセシリアと雪泉は、少し暗い表情になった。

「・・・大丈夫とは言えませんわね。・・・ですがこの道を選び、ティアーズたちのことを知ってしまった以上、今更やめることは致しませんわ!」

「右に同じですキラさん。裏の世界で育った者として、この程度のことで退きはしません」

「セシリア・・・雪泉さん・・・」

 キラは改めて二人が強い存在だと解ったのだ。

「さてと、話すことは話したし、雪泉ちょっと鍵閉めてくれるかしら?」

「?解りました」

 雪泉は雪蓮に言われるがまま鍵を閉めた。すると今度は冥琳がため息を吐きながら窓のカーテンを閉め、雪蓮が拡張領域から縄を取り出した。

「えっと・・・雪蓮先生、一体なにをなさるおつもりで?」

「なにって決まってるじゃない、

 

 

 

 キラとセ○クスするのよ」

 

 

 

「「!?」」///

「・・・」///

 雪蓮は戸惑いもなく卑猥な発言を言い放ち、それを聞いた3人は顔を赤くした。

「せっかくなんだし、二人もキラにはじめてあげちゃいなさい♪」

「いやいやいやいや!いきなりそんなことを言われても!?」///

「そうですわ!突然すぎます!?」///

「いいじゃない。一人で町を散策してる途中でそこらの不良とか柄の悪いお兄さん達に捕まって、あわよくば路地裏とか廃工場に連れ去られて純潔奪われて滅茶苦茶にされるよりは、今のうちに大好きな男の子にバージンを上げといた方が良いわよ」

「具体的すぎますわね・・・」

 セシリアと雪泉は呆れはしたが、正論でもあると思った。

「・・・まあ強制はしない。オルコットも雪泉も立場があるしな」

「・・・少し見てても構いませんか?」

「ええ良いわよ」

「「ありがとうございます」」

 

 ドクン

 

「!?」///

 二人が雪蓮にお礼の言葉を述べた瞬間、キラは余りにも都合がいいタイミングでヘブンズウイルスの発作が始まった。

「雪蓮さん・・・冥琳さん・・・」///

「本当に都合がいいわね?」

「まったくだな」

「うぅ・・・」///

 雪蓮と冥琳の呟きに否定できないキラ。

 

 チュ

 

「ん・・・」///

 そんなキラの唇に雪蓮は自分の唇を重ねた。

「・・・でも、私達はそんなキラも好きよ♥」

 唇を離し微笑む雪蓮は、嘗て漢の時代で戦って来た英雄とは思えないほど色気があり、美しかった。

「・・・ぁ!」///

 

 ガバ

 

「「『!!??』」」///

「・・・はぁ」///

 その姿を見たキラは、雪蓮の手から縄を奪い取り、そのまま雪蓮を押し倒した。それを見た2人と1機は顔を

 赤くし(多分ティアーズも)、冥琳は毎度のことで呆れていた。

 

 

 

 

 その日の夜、医療個室では沢山の喘ぎ声が聞こえたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 IS学園 地下研究室

 

 

「なんということだ」

「そんな・・・」

「・・・・」

 IS学園の地下深くにある研究室で、3人の女性が回収した化け物の死体を調べていた。キラ達のクラスの教師、織斑千冬と山田真耶。そしてキラのメイドである月詠真那である。

「このクリーチャーの脳は、完璧に『人間の脳』を使っています・・・」

「しかも、まだ4・5歳位の女の子の脳など」

「・・・狂っておられます」

 真耶は今も吐き気に襲われており、逆に千冬と真那は怒りと険悪感が襲う。

「それに、取り出されたクリーチャーの心臓には、ISのコアも発見されました」

「あの場にいた私達の脳内に声が聞こえて来たのも、ISのコアを経由して私達に念話で送ったのでしょう」

 真那は何故自分達の脳内にクリーチャーの悲鳴が聞こえたのかに合点が行った。確かにそれなら、ISを扱っていた自分達の頭に声が聞こえたのも納得できるのだ。

「・・・ISのコアは?」

「コアには傷一つついていませんでした」

「そうでございますか・・・」

 真耶からコアに傷がないと聞いた真那は一安心した。ISにも意思がある以上、人と同じ存在。生きていることに越したことはない。

 ピリリリリリ

「・・・私のでございます」

 そう言って真那は懐からスマートフォンを取り出した。

「はい月詠でございます」

『私だ、高野だ』

「・・・高野防衛大臣?」

 電話の向こうの相手は高野五十六だということに二人は驚いた。

『先ほど雪蓮君からクリーチャーのデータを貰った』

「・・・何かお解りになったのですか?」

『うむ。そちらでも解っていると思うが、クリーチャーの脳は人間・・・それもまだ幼い少女の脳を使っていることと、心臓にはISのコアが入っているのだよ』

「ええ、こちらでも解析しました」

『うむ、それで出所は何処なのか調査したところ、山梨の青木ヶ原に女性権利団体のIS研究所があることが発覚した』

「・・・そうですか」

『明日の午前2時に突入作戦の行うことになっているのだが』

「かしこまりました。私もそちらに合流いたします」

『良いのかね?キラ君に付いていなくても?』

「キラ様の方には雪蓮様方がおられます(私もいたかったのですが)///。それに、キラ様だけでは飽き足らず、学園の生徒を巻き込み何の罪もない少女を実験体にした団体には腹が立ちます」

『そうか・・・了解した』

 それではと言って真那は電話を切り、千冬と真耶に顔を向けた。

「織斑先生、山田先生。私は少し用事であけます」

「解りました。ヤマト達のことは私達が守ります」

「ありがとうございます」

 そう言って真那は一瞬で消えたのだった。

「さ・・・さすが航空自衛隊最強の兵士ですね?」

「そうだな・・・。それよりも、こちらはこちらで調査を続けよう」

「はい」

 千冬に言われて真耶はキーボードにおいている手を再び動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 2日後 1組教室

 

 

『・・・・・・』

 1組の教室は何時にもまして静かだった。理由は簡単、一昨日に起きた事件の影響だった。

 アリーナに現れた化け物によって、決して少なくない犠牲者が出たのだ。しかも観客席にいた生徒は全員1年生である。あんなのとは無縁だった彼女達に何時もどうりにしろなど無理な話である。それもあってか、一部の生徒が退学届けを出し自ら退学するということもあった。それに付いて教師陣は戸惑いもせず了承した。そしてもう一つおかしなことがあった。

 それは、キラとセシリア、そして雪泉がいなかったのだ。

 生徒達全員が静かにしていると、教室のドアが開き教師が入って来た。

「おはよう皆」

「雪蓮先生?」

 入って来たのは、社会担当の雪蓮だった。

「えぇ、織斑先生と山田先生は用事があって今日は来ないわ。今日は1日自習よ」

 雪蓮から今日は自習と言われて、一部の生徒は少し喜んだ。

「あの!」

 そのなかで、一夏は誰よりも早く手を挙げた。

「・・・何かしら一夏?」

「あの、キラとセシリアと雪泉は?」

 やはり来たと内心思いながら、雪蓮は一夏達に答えた。

「キラ達3人は色々あってね、昨日から用事(と言うなの休み)があってIS学園を離れてるわ。帰ってくるのはGWの休み頃よ」

 雪蓮の言葉に一夏は少し苛立った。事件のことでキラに何か言いたかったのだろう。

 実は一夏は、前日に鈴にどうして自分が怒ったのかを教えてもらったのだ。それは鈴から一夏に対してのプロポーズだということと、自分が中学の時に沢山の女の子を傷つけていたこと。全てを聞かされて、一夏はわけが解らなくなったのだ。その後鈴は『私のことは良いから、他の子を傷つけたことは絶対に忘れないで』と言って去っていった。

「それと、私と冥琳は、2組にいる鈴と用事があって明日からしばらく休むわ。私達もGWの終わりごろには帰ってくるから安心して頂戴」

 因みに鈴は、一夏の部屋から出たあと、雪蓮と冥琳がいる部屋に行き、二人に抱きしめられる形で泣いていたのだ。

 一夏が苛立っている頃、箒は雪蓮の言葉に少し歓喜していた。

(ふん、大方試合の時のイカサマで本国に呼ばれたんだろう。これで一夏は私の・・・)

 

 ヒュン ズドン!

 

「!?」

 箒がなにかよからぬことを思っていた瞬間、彼女の横に白い何かが通りすぎた。後で音が聞こえ振り向くと、そこにはチョークが壁に減り込んでいたのだ。そして前に顔を向けると、チョークを投げた本人が箒を睨んでいた。

「・・・貴方、今失礼なことを考えてたでしょ?」

「い・・・いえ・・」

 低い声で問いて来たので、箒は震えながら答えた。

「・・・そう」

 そう言って雪蓮は教室から出て行った。

 

 

 

 その日から、生徒の間で雪蓮を絶対に怒らせてはいけないという掟が決まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から第3章、GW編に入ります。

3章はギャグテイストを積極的に出して行こうと思います。

ラウラとシャルロットの話は4章ですので気をつけてください。

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