えぇ皆さん、大変お待たせしました。
色々行き詰ったりしましたが、最新話を投稿します。
皆さんにはお待たせしてしまいすみませんでした。
それとは別に、今鉄血のオルフェンズのガンプラに結構興味をもち、色々買っては改造したりしています。
それでは、本編どうぞ。
―紺碧会IS研究所―
『二人共、準備は出来た?』
「僕は大丈夫です」
「何時でも行けますわ」
研究所の少し離れた場所に設けられた、IS用アリーナにて2機のISが相対していた。片方は第3世代機である『ブルー・ティアーズ』、もう片方は第2世代機である『ラファール・リヴァイブ』だ。今回は試作兵器の試し撃ちも兼ねてと、前回のクリーチャーの件でまだまだ力量不足だと痛感した為、その特訓も含めての模擬戦だった。
さらに管制室には先ほど指示していた雪蓮だけでなく、冥琳や鈴、束や神崎重工の面々も見ていた。
『それじゃあ、模擬開始!!』
その合図と共にラファールを操るキラと、ティアーズを操るセシリアがお互いに距離を開ける。
「行きなさいブルー・ティアーズ!」
セシリアが叫ぶと同時に、ビットが2機射出される。少しラグがあるが、ビットを動かしながら、自身もラファールにレーザーライフルを放つ。
「・・・・・・」
キラはビットとスターライトからのレーザー攻撃を、瞬間加速を使って冷静にかわしながら観察する。
(まだまだ粗があるけど、かなり動かせるようになったね)
(やはりまだまだですわ。これではあの時の怪物の様な存在が現れたら、何も出来ず食い殺されますわ!!)
対するセシリアは、あの事件のことを思い出し、これではいけないと思いながらも撃ちながらキラに接近する。
《マスター、どうしますか?》
(『あれ』を試しますわ!)
《了解しました》
セシリアはティアーズの問いに答えると、ビットを一度収容して拡張領域からあるものをコールする。すると両手には刃の無い剣が1本ずつ握られる。そして柄の先にあるスイッチを押すと、刃の無い部分に桃色のレーザーが流れる。
これこそが、ブルーティアーズ用に新たに開発した、『レーザー重斬刀 カーテナー』である。
「はぁ!」
右手のカーテナーを左から右に一閃するが、キラは瞬間加速を用いて後方に避ける。セシリアはさらに連続で斬りかかるが、それもキラは避け続ける。
「剣を振る時は、なるべく動作を最小限にするんだ!二刀流ならば尚更だよ!」
「っ!?わかりましたわ!」
キラからの指摘にセシリアは頷き、出来る限りではあるが最小限の動きでカーテナーを振るいはじめる。すると少しずつキラのラファールに攻撃がかすり始めた。
(機体が第2世代というのもあるけど、セシリアもかなり成長してる・・・!!)
(掠りましたわ!?・・・いいえ、この程度のことで喜んでる場合ではありません!!)
一瞬嬉しくなってしまったセシリアは、自分に渇を入れて再度キラに攻撃を加える。
「ならば!」
と言ってキラはモードラピードに付いている、4つのパーツを『外した』。するとその武装はキラとセシリアの周りを飛び始めたのだ。
「これは、ビット!?」
「これが新兵装『ガンバレル』だよ。セシリアのおかげで無線で出来るようになったんだ」
《そういえば、データを貰うと言ってましたね?》
「それは嬉しいのやら・・・」
「一応褒め言葉なんだけど、ね!」
キラはガンバレルを動かした状態で瞬時加速で上昇し、一気に急降下しながらガンバレルとライフルを同時に放つ。
「くぅ!?」
《やはりお強いですね?》
「だからこその特訓ですわ!」
セシリアは瞬間加速を使って避けると、カーテナーを戻して再度スターライトをコールし、ビットを2機呼び出す。そして後方に飛びながらスターライトとビットを同時に放ち、キラに近づかせないよう弾幕を張る。
そんな二人の戦いを管制室から、雪蓮達が真剣な表情で眺めていた。
「まだまだ荒があるけど、強くなったねセッちゃん」
「確かにね。しょっぱなからキラに対して、近接攻撃を仕掛けるんだもの」
本来スナイパーの役割は長距離から周りの偵察や監視をし、前衛の味方を支援したり、指揮官や重要な人物を狙撃するというポジションだ。ブルーティアーズの場合はそこにビットを使って、複数の相手に攻撃するというコンセプトの機体である。しかし先ほどのセシリアは、新しく装備された武器を使って近接戦闘を行った。一応インターセプターというショートソードがあるのだが、今回は新武装であるレーザー重斬刀を使っている。とはいえセシリアは近接戦はからっきしのため、彼女の戦い方には粗があった。それでも二刀流で戦うあたり、かなりの度胸はある。
「前にキラはんの戦闘データを見ましたけど、あそこまで高水準のオールラウンダーは初めて見ましたわぁ」
「多分そうそう居ないわよ?あれだけ色々できる人間は」
「私も銃を取り扱ってはおりますが、キラ様程には・・・」
「真那はある意味で異常なだけよ」
生身でISを倒せる人間など早々居ないであろう。ただ、彼女達の周りにそういう存在が多いだけなのだ。
「・・・キラさんは、本当に強いのですね?」
キラの戦いを眺めている雪泉は、改めてキラが強いと称した。
「・・・確かにキラは強いわ。でも、キラ『自身』は弱いわよ?」
「キラさん『自身』は?」
「えぇ。それも、一人では生きていけない程にね・・・」
雪蓮のその言葉に、雪泉ははっと思い出したのだ。彼の中にはヘブンズウイルスが宿っている。それだけではなく、キラは多くの人の死の上に立っており、あの夢のように泣き叫んでいるのだ。
「・・・そうでしたね」
「だからこそ、私たちが居なくきゃいけないのかもしれないわね」
「キラ様を知った者として・・・ですね」
キラのことを思い出し、雪泉は改めて彼を守ると決める。
戻ってアリーナでは、キラとセシリアが尚もお互いに弾幕を張っていた。
「そろそろ・・・行くか!」
するとキラの脳内で何かが弾け、右の方に大きな『刃の無い』ブレードを構える。そして稲妻加速で一気にセシリアの懐に飛び込むと、刃のない部分にセシリアのカーテナーと同じ様に、ピンク色のビームが流れる。これもキラ達が開発した、対艦長刀『シュベルトゲベール』である。
「はあ!」
ズバ!
「キャア!?」
キラが放った一閃は、見事セシリアのティアーズに直撃する。しかしセシリアはすぐさま体制を立て直し、カーテナーを叉も展開してキラに応戦しようとした。しかし、周りにいるガンバレルからの攻撃によりうまく動けず、さらにはビットも全部撃ち落とされてしまった。
(そんな!?初めてビット兵器を使うというのに、もうこれだけの動きが出来るなんて・・・・・・!?)
《これは女神の使いというだけではありえません!?》
(えぇ。前回も私の攻撃よりも恐ろしいのを、味わったとおっしゃっておりましたわ。もしやキラさんは、ビット兵器を扱うお方とお会いしたのでしょうか?)
ガンバレルを始めて使うというのに、まったくラグもブレも感じないキラの戦い方に、セシリアとティアーズは戦慄する。そして彼女達の推測は当たっていた。
キラ自身も出来るんじゃないか?と半身半疑で作ったのだが、まさか此処までできるとは思っても見なかったのである。
「まだですわ!」
と言ってセシリアは、もう二つのビットと二つのミサイル型ビットを展開してキラに応戦する。
「・・・・・・」
だがキラは対艦刀を引っ込めると、緑ライフルと盾を展開して構える。
「これで!」
そしてトリガーを引くと、ライフル、マイクロミサイル、ガンバレルのミサイルとレールガンの雨がセシリアを襲う。
ズドドドドドドーーーーーン!!
「キャアアァァァァァァーーーー!?」
『それまで! 勝者 キラ・ヤマト!』
その合図と共に、キラ対セシリアの模擬戦は終わった。
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―紺碧会IS研究所 宿舎庭園―
「はぁ・・・惨敗でしたわね」
《えぇ》
夜の宿舎の庭園にて、セシリアはティアーズと先ほどの模擬戦を思い出していた。最初の辺りはかなり前線していたのが、キラの雰囲気が変わった瞬間あっというまに倒されたのだから。
「・・・キラさんは、どうしてお強いのでしょうか?」
《・・・わかりません。ただ、それだけの経験があったとしか言いようがありません》
「そうですわね・・・」
ティアーズから発せられた『経験』という単語に、セシリアは時々見るあの夢を思い出す。
すると、
「あれ?セシリア?」
「キラさん?」
後の方からキラがパジャマ姿でやって来た。バスタオルも肩に掛けているところを見ると、どうやら風呂に入った後の様だ。
「どうしたの、こんなところで?」
「いえ。少し夜風に当たっていたところですわ」
「そっか・・・」
キラはそう言って、セシリアの隣に静かに立つ。キラ自身も彼女が何か悩んでいるのに気が付いたのだ。だがこういうときは、自分からはなにも言わない方が良いということをキラは知っている。
それからしばらくは沈黙が続いた。別にこのままでも良いとキラは思っているのだが、セシリアはそう
「・・・キラさんは、どうして強いのですの?」
「え?」
突然セシリアから如何して強いのかと言われて、キラは素っ頓狂な顔になる。
「模擬戦の頃から思いましたわ。初めてISを使った人が、私達代表候補生に勝てるわけがありません。幾ら武術や対術、スポーツをやっていたとしても、出来ないことの方が多いのですもの」
「・・・・・・」
「教えてくださいまし!如何してキラさんは、そこまで・・・」
「僕は強くなんかないよ」
「・・・え?」
最後まで言おうとすると、キラが悲しそうに口を開いた。そして彼から放たれた言葉に、セシリアはその意味が解らなかった。
「だってもし僕が強かったのなら、あの事件で誰も死なずに済んだからね・・・」
「あっ・・・」
そこまで聞いて、セシリアもあの時のことを思い出す。
「し、しかし・・・」
「そもそも、強さってなんだろうね?」
「・・・え?」
さらにキラから発せられた言葉に、セシリアは困惑していく。いきなり如何して強いのかと問いただした自分もあれだが、今キラが言ったこともその時は理解できなかった。
「拳を振るう、剣を振るう、銃を撃つ、武器を使う、それだけで強さっていうのかな?」
「・・・・・・」
「本当に大切なのは、『覚悟』なんだと思うんだ」
「覚悟・・・ですの?」
うんと言って、キラは自分の手を見る。セシリアから見れば、キラの手は綺麗に見えるかもしれないが、キラ自身はその手が血で濡れている様に見えるのだ。
「武術も体術も、『何か』から身を守るための『武器』なんだ。武器は使い方次第って言うけど、結局の処『何かを傷つける』ことしか出来ないんだ」
《・・・その中に、私たちも入っておられるのですね?》
「・・・残念だけど、ね」
ティアーズも、今の自分が兵器と同じと言う自覚はある。でなければ今日のカーテナーや、ブルーティアーズの増加に文句を言ってるはずだ。本来の姿とは大きく変わってしまった影響なのか、IS達も麻痺してしまったのかもしれない。
「でも・・・だからこそ覚悟が必要なんだろうね?大切な物を守るために、何かを傷つける覚悟が・・・」
あの時の自分にはあったのだろうか?
いや、おそらく無かっただろう。
でなければ彼らを守ることが出来たはずだ。
自分にその覚悟があったならば・・・。
「キラさん・・・」
《キラ・ヤマト》
セシリアとティアーズは、まるでその言葉がキラ自身に対してそう言っているかのようにも聞こえた。でなければ、あんな悲しそうな顔にならないのだから。
「・・・と言っても、これは僕にとっての強さだから。セシリア、ティアーズ。二人の強さは、二人で見つけてみなよ」
「私達が?」
「強さなんて、人それぞれなんだから。自分の強さは自分で見つけないとね」
「自分の、強さ・・・」
セシリアはキラの言ったことを呟き、自分の右手を見つめた。そこにはキラの様に血が見える訳でもない。だが彼女には、何かが見えた気がした。
「解りましたわキラさん!私は、私にしかない強さを見つけてみせますわ!勿論、ティアーズと一緒にですわ!」
《マスター・・・》
セシリアは待機状態のティアーズを握り締めながら、キラに向かって力強く言い放った。それには少しキラも唖然としたが、少ししてクスリと笑い出した。
「・・・ふふっ。じゃあ一つだけ、僕からアドバイスするね?」
「アドバイス?」
そう言ってキラは、真剣な眼差しでセシリアを見つめる。対するセシリアは急に自分を見つめて来たので、少し顔を赤くしてしまう。しかしすぐにセシリアも真剣な顔になる。
「『強さ』を求めるのならば、自分の『弱さ』もちゃんと自覚するんだ」
「《弱さも?》」
「うん。後は自分で考えてみて」
それじゃあお休み、と言ってキラは施設の方に戻って言った。残されたセシリアとティアーズは、静かに空を見上げる。そこには無数の星が輝いていた。
「・・・見えますかティアーズ?」
《えぇ、とてもお美しいですね》
「そうですわね。・・・・・・なのに」
『あははははは!! こんなことに引っかかるなんて、本当におバカね『化け物』』
『それだけじゃないわよ。この屑は私達の千冬様と一緒にいるのよ? 男で化け物の分際で千冬様の傍にいるなんて、調子に乗るのも大概にしなさいよね』
『織斑君は特別に良いのよ。千冬様の弟ですし、彼だけは許されているのよ』
『あははははははは!! 無様な物ね化け物!』
「この世界は、汚れておりますわ・・・・・・」
あの時のことを今も覚えている。お人よしな彼を、化け物と称して殺そうとした女性権利団体。あれ以降も、自分の居ないところで何度も遭遇したという。
「ティアーズ、今度は此方から言いますわ。よろしいですわね?」
《・・・畏まりました。マスター、私を椅子の上に乗せてください》
「えぇ」
セシリアが何を言おうとしているのかを理解したティアーズは、自分を椅子の上に乗せてくれと言った。セシリアはティアーズの言葉どおりに椅子の上に乗せて、一歩後に引くと深呼吸をした。
「私は、キラさんを守りたいですわ。お父様やミスタータカノ達とは違った強さを持った、泣き虫で甘い物が好きで、ですが誰よりも優しいあのお方を・・・。ですが私の力だけでは、あの方を守れません。ですから・・・・・・」
それはまるで、誓いの儀式の様な光景。
雲一つ無い夜空から、綺麗に輝く月が二人を照らしていた。
カッ!
「ひゃあ!?」
そしてそれは、
「い、一体なんですの!?」
一機の天使が、
「や・・・やっと収まって・・・・・・え?」
「これは、私もビックリですね。ですがその前に・・・・・・」
姿を変えて、
「改めまして、私は『ブルー・ティアーズ』と申します」
一人の女性へとなるトリガーでもあった。
「え・・・・・・ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!??」
その日の夜、一人の少女の叫びが研究所内に響き渡ったのだった。
次回は番外編とか、やってみたい。