「キラさん、それはなんですの?」
「トマトとコンビーフと魚肉ソーセージと牛乳瓶だよ?」
「あなたはショー〇ンですか!?」
「セシリアよく知ってるね?」
キーンコーンカーンコーン
「おはよう諸君」
『おはようございます』
楯無が去って30分が経ち、ようやく全員集合した1組。しかしその人数は入学式の時よりもかなり減っていた。あの事件にて死傷者がでて、さらに怖くなって自ら退学した者もいるのだから。あのようなことがあったのにまだこの学園にいるのは、なかなかに強いとキラ達は思った。HRが始まる前に一夏がなにか言いたそうだったが、その前に千冬と真耶がやってきたので言えずに自分の席に戻った。
「さて、もう知ってると思うが、今日からこのクラスに転校生が入ることになった。それも二人だ」
「さらに今回養護教諭の先生が入れ替わり、その助手として看護婦も二人来ることになりました」
彼女たちからの報告に生徒達はがやがやと騒ぎ出す。
「静まれ!」
『・・・』
しかし千冬の一声で収まる。
「それではまず、転校生を紹介します」
「うむ、二人とも入れ!」
千冬が扉の方に指示を送ると、二人の生徒が入ってきた。教卓の前に立つと、片方の生徒に1組全員が目を開いた。
片方は銀髪で背が小さく、眼帯をした少女。
そしてもう片方は、
「初めまして、『シャルル・デュノア』と言います」
金髪をした『少年』だった。
「お・・・男?」
「はい。こちらに同じような人がいると聞いて」
シャルルと呼ばれた『少年』が肯定すると、キラは耳を塞いだ。次の瞬間教室に黄色い悲鳴が響いた。
「キャアアアアアアアアアーーーーー!!」
「織斑君やヤマト君とは違った男子ーーーー!!」
「守ってあげたくなる系美少年!!」
「入ってよかったこの学園!!」
「今年のコミケはさらにいいものが!」
とまた生徒達がはしゃぎだした。最後の方を聞いたキラは、
「・・・僕男だと受けになっちゃんだよね・・・」
「そうなのですか!?」///
と呟きそれを聞いたセシリアは顔を赤くしながら驚く。
因みに1組の外で待機してる女性三人は、
「・・・若いって良いわね?」
「・・・そうですね」
「あの・・・私はお姉さまたちもまだ若いと思いますよ?」
と話し合っていた。
「ええい静まれ!まだ紹介が終わってない」
「それでは、『ボーデヴィッヒ』さんお願いします」
「・・・・・・」
「はぁ・・・ボーデヴィッヒ、自己紹介をしろ」
「はっ教官!」
真耶とは違い千冬の指示には従うボーデヴィッヒと呼ばれた少女。それだけでキラとセシリアと雪泉は瞬時に理解した。
「私はもうお前の教官ではない。ここでは私は教師であり、お前は生徒なんだ」
「しかし・・・」
「また私がお前に色々教えるんだ。それだけでもうれしいだろ?」
「・・・はい」
「ほら、自己紹介をしろ」
「了解しました!」
「だから・・・はあ」
なんだか少し和むやり取りをした後、ボーデヴィッヒはこちらに身体を向ける。
「『ラウラ・ボーデヴィッヒ』だ。私はドイツ代表候補生であり、ドイツ軍に入籍している!だから色々失礼な態度をしてしまうかもしれないが、どうか了承してほしい!よろしく頼む」
以上だと言って一歩前に下がると、生徒達は皆彼女に拍手を送った。
「さて、転校生の自己紹介も終わったことだし、今度は養護教諭の紹介に入る」
「それではお三方、お入りください」
またもや扉があくと、今度は白衣を着た銀髪の女性とナース服を着た女性二人が入ってきた。しかし片方の桃色の髪をした女性は、真耶と同じ位の背な為少女に間違われている。そんな女性三人を、今度はキラがこれでもかというほど目を開けていた。セシリアと雪泉もその女性たちを見て驚いていた。
「本日付けでIS学園の養護教諭になりました『御堂江美子』です。よろしくお願いします」
「助手としてきました『岩崎留美』です」
「同じく『米田栞』と言います!」
彼女たちが自己紹介を終えると、キラは顔を真っ赤にしながら机の中に入ろうとした。
「ってヤマトさんなにしてるのですか?」
「あなたはそこにいますか?僕はここにいません!」///
「いきなりキャラが壊れてますわよ!?とにかく出てきてください!」
と言ってセシリアはなにやら壊れかけているキラを机から出そうとするが、彼はそれを抵抗する。
【BGM:sunrise スペクトラム】
「HA☆NA☆SE!ウゾダドンドコドーン!これも全部〇巧って奴の仕業なんだーーー!!」
「一体どうしたのですか!?さっきからキャラがブレブレなんですけど!?」
「どうしたんだよキラ!?お前あの先生と知り合いなのか!?」
「一夏とセシリアには判るまい!身内が皆の前に現れた時の恥ずかしさは!?」
「キラさん、いくら突然『主治医』の方が目の前にいらっしゃったからと言って、いきなり混乱するのはどうかと・・・」
『しゅ・・・主治医!?』
セシリアから放たれたワードに、教室内にいた生徒と教師、転校生の二人が驚愕し全員が江美子に顔を向けた。とうの本人と隣の二人は少々苦笑いしていた。
「ほ、本当なんですか御堂先生?」
「え、えぇ。ヤマト君とは彼が6歳の頃からの知り合いなんです」
『長?!』
「私と栞も、ほかにも多くの看護婦や先生がキラ君と知り合いなんですよ」
(更に言えば肉体関係も持ったとも言ってましたしね・・・)
アルバムを一緒に見たセシリアと雪泉は、江美子達とキラがそういう関係を持っているということを知ってる為、なんとも言えない表情になる。
「・・・ヤマピーモテモテだね~?」
「僕の場合は悪い方向が多いけどね!!」
(良い方向でもモテモテなのだけど・・・)
キラが自分は悪い方向でモテると言っているが、江美子自身は良い方向でもモテると内心呟いた。
するとラウラがキラに近づいて、
「ふん!」
バコ!
「あべし!」
「キラさん!?」
なぜかキラを殴った。
「な・・・殴ったね?」
「殴って何故悪いか!貴様はいい、そうやってわめいていれば気が晴れるのだからな?」
「ぼ、僕がそんなに安っぽい人間に見えますか!?」
バシ!
「うっ!二度もぶった・・・・・・!父さんにもぶたれたこともないのに!?」
《それ以外の人たちには沢山殴られてるけど・・・》
「それが甘ったれなんだ!殴られもせずに一人前になった奴が何処にいるものか!」
――どこかの街――
ティキーン!
「・・・はっ!」
「どうしたアムロ?」
「誰かが聞いたことあるセリフを言ったような?」
――戻って1組――
「も、もうやらないからね!誰が二度とISなんかに乗ってやるもんか!!」
「でもヤマピー。ISに乗らないと研究所行きだよ~?」
「・・・今の無しで」
「良いだろう」
『だあ!?』
ドンガラガッシャン!
先ほどまでシリアスだったのに、いきなり空気が壊れたことによりその場にいた全員がずっこけた。
「はあ・・・1時限目からは実習だ!全員着替えてグラウンドに集合だ!」
『はい!』
溜息を吐いた後、千冬は生徒達に指示を出して江美子達に顔を向ける。
「申し訳ありませんお三方。生徒達が騒いでしまい」
「いえ。このクラスの人たちは元気だって解りましたから」
「そうですか」
「それじゃあ、私達は他のクラスにも挨拶に行きますので」
「はい」
「後ヤマト君に放課後、保健室に来てもらうよう伝えてくれませんか?」
「わかりました」
「ありがとうございます。行きましょうか留美さん、栞さん?」
「「は~い!」」
そう言って江美子達は留美と栞を連れて教室から去っていった。
「ヤマトと織斑は、デュノアの面倒を見ろ!良いな?」
「わかりました」
「わかったよ千冬姉」
スパン!
「織斑先生だ!」
「はい・・・」
またもや出席簿で叩かれた一夏。
「えっと、ヤマト君と織斑君だよね?」
「うん、でも自己紹介は後。今は更衣室に急ごう?」
「だな」
ガシ!
「うわわ!?」
一夏がシャルロットの手を引っ張り、キラが先導する形で更衣室に向かって走り出した。
「ごめんね?男用の更衣室は限られてて、校舎の近くにあるんだ!」
「だから早くいかねえと遅れちまうんだ!」
「な、なるほど・・・」
走りながらも説明するキラと一夏に、シャルロットは納得しながらも走る。そんな彼らの前から、多くの生徒達がやってきた。
「いたわ!噂の男子転校生!!」
「者ども、出会え出会え!!」
「げっ!?もう来やがった!?」
「くそ!多分薫子さん経由でもう知れ渡ってる!!」
キラは新聞部にいる『黛薫子』から知れ渡ったと推測した。
「こうなったら!」
するとキラは廊下の窓を開けて、すぐさま窓の下枠あたりに足をのせる。
「お、おいキラまさか!?」
「ここ2階だよ?」
「二人とも、ISの脚部を部分展開して!」
「そ、そっか!」
「それなら行けるね?・・・ってヤマト君は?」
「僕は慣れてるからね!」
と言ってキラは窓の外に向かってジャンプした。そしてバク宙した後見事に着地し、そのまま更衣室に向かって全速力で走りだした。そのスピードは、オリンピックの金メダリスト以上だった。
「ってはや!?」
「言ってる場合じゃねえ!俺たちも行くぞ!」
「う、うん!」
そう言って一夏とシャルルも、ISを部分展開をして窓から飛び降りるのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――更衣室――
「ふふふふふふふふ~ん♪」
先に着いたキラは、嘗てフ〇テレビでやっていた某雑学バラエティの中で出た、とあるサッカー協会の会長の回で流れた曲を歌いながら着替えていた。その後ろから一夏とシャルルがやってきた。
「遅かったじゃないか・・・」
「お前は何処のレイヴンだよ?」
「どこかと言えばフリーかな?僕の機体クレストとミラージュのパーツ、両方使ってるから。因みに右腕は緑ライフルで左はヴィクセンブレードかな?」
「あんな使い辛い武器よく使えるな?俺なんてクレストオンリーでジナブレとか両腕ブレードだぞ?」
「そっちもすごいね!?僕なんてミラージュ寄りで、マシンガンとかショットガンとかだったよ?AC戦だと偶にパイルバンカー使うけど・・・」
冗談のつもりで言ったのだが、まさか二人もレイヴンだったことに少し驚いたキラ。しかしそれは一夏とシャルルも同じだった。
「とっつき使うんだ。雪蓮先生みたいだね?」
「雪蓮先生?」
「此処の社会の先生で中国から来た先生。それでキラの古くからの知り合いなんだって」
「へぇ・・・」
「あの人はOBで一気に接近して一気にとっつきとか月光使って来るから怖いんだよ」
「その先生豪快だね?」
「もともと豪快な人だからね」
「そういえば千冬姉もアセンはクレストオンリーだったけど、武器に関しては月光のブレオンだったな?」
「織斑先生が!?」
「あの人のことだから光波と一緒に当ててきそうなんだけど」
「おう正解だ。おかげで俺も鈴も千冬姉にはトラウマを植え付けられたぜ」
「こわいなーとづまりすとこ」
「戸締りしても多分こじ開けて来るし、なにより千冬姉はトラじゃねえよ!?」
「織斑君、そのネタよく知ってるね?」
「もしかしてレイヴンじゃなくてゲイヴン?」
「普通にレイヴンだ!」
キラ達はまさに男子校の更衣室のやり取りの様な感じで、服を着替えながら楽しく話していた。これはある意味でキラと一夏、(ある意味でだが)シャルルがやりたかったことでもある。因みにシャルルは中にもう着ていたのかすぐに終わっていた。
「そういえばキラのラファールのさ?あのバーグラリーって奴初代から続くACのアセンそっくりだったな?」
「僕も真那さんも最初は驚いたよ。まさかラファールの武器カタログ見た時に、2のエムロード社のパーツがあったんだもん」
「具体的には?」
「AAの緑ライフルと折り畳みのグレネードランチャー、12連ミサイルだよ。試作兵器の方にはレーザーブレードがあったから、ラファールのシールドにくっつけてヴィクセンブレードみたいにしたんだよ」
「まじかよ!?」
「・・・・・・そういえば、ラファールの武器を作る会社の中に、ACが大好きな女社長さんがいるって聞いたことが・・・」
「そうなんだ・・・」
「その会社、其のうちレヴィアタンとかグレイクラウドとか作りそうだな?」
「もし似たような物が来たら、『あんなものを浮かべて喜ぶか、変態どもが!』って言ってみる?」
「「それな!!」」
もはや遅れが確定しているというのに、それでも彼らは止まることなく話し続ける。
「そういえば、セシリアと雪泉さんもACやり始めたんだ」
「セシリアと雪泉さんが?」
「そのセシリアって言うのは、イギリスの代表候補生のオルコットさん?」
「そうだよ。雪泉さんは訳あって1年に来た転校生なんだ」
「その人たちもやるんだね?」
「僕が誘ったんだけどね。僕んちACシリーズは初代からあるから色々教えてあげたよ」
「初代からか。俺も初代から始めた身だけど今思えば本当に時代はここまで来たんだなって思うよな?」
「だよね?僕も死んだお母さんが持ってた初代から始めたら、それはもうハマっちゃってヴァーディクトデイまでやっちゃったんだ」
「そのたびにパーツが増えたりとかしてアセンの幅が広がったり、このパーツ復刻して欲しかったなっていう残念さもあったよね?」
「NXシリーズの時なんて、強化人間にできなくなった癖に光波とかは使えるんだぜ?ならクリア後特典でせめてキャノンの制限とか欲しかったよな?!」
「それは解る。リロードとか一部のハンデは良いから、キャノンの制限解除は欲しかった」
「それだけでも少しは面白いアセンとか出来たんだけどね?」
「「それな!?」」
「「「あははははははは!!」」」
その日、男子更衣室の中では3人の笑い声が響いていた。
「それで、なにか言いたいことはあるか?」
「「「織斑先生はクレスト派?それともミラージュ派?」」」
「私はクローム派だフロム脳共が!!」
スパンスパンスパン!!
それから数分後、グラウンドにて出席簿の音が響いた。
次回はISの戦闘訓練です。