「少し前に天皇陛下のパレードがあったけどさ、なんかパレードがあるとどこかでスナイパーが狙ってるんじゃないかって思うんだよね?」
「解る!」
「ケネディ大統領もパレードの時に暗殺されたもんね?」
「そういうこともあって、最近はちゃんと狙撃できるポイントも調べられてるけど、やっぱり想像しちゃうよね」
「「するする」」
「だよね~・・・ってしまった、時間が!?」
「「あ・・・」」
「あ~痛かった~」
「時間を忘れてアーマードコアの話ばっかりしてるからですわ」
「一応自己紹介とかもしたんだけどね?」///
千冬に叩かれたキラと一夏とシャルルは、生徒達と一緒に座っていた。その際にキラは彼女達のISスーツを見てしまい、顔を赤くしながらセシリアの隣に座った。
「それにしても、まさか織斑先生が初代の企業が好きだったとはね?」
「おそらく、エムロードやクレストをひっくるめてクロームと呼んだのでは?」
「・・・まあそうだろうね?」
と小声で話し合っていると、ジャージ姿の千冬が生徒達の前にやってきた。もともとプロポーションが良い千冬はジャージ姿でもなかなかに様になっていた。
「さて、今日は諸君に実際にISに乗ってもらうが、その前に経験者達の実践演習を見てもらおう」
「実践演習?」
「そうだ。オルコットと凰、前に出ろ」
「「はい」」
千冬の指示に従い、セシリアと鈴は前に出る。
「それで、対戦は誰ですか?」
「私とセシリアですか?」
「そう急かすな。お前たちの相手は別にいる」
「それって、山田先生がいない理由ですか?」
「そうだ」
そこまで言って、誰と対戦するのかが理解できたセシリアと鈴。始まる前からグラウンドにいなかった真耶。それだけで誰と戦うのか察せない方がおかしい。
「あれ?山田先生は?」
一人を除いて。
「ひゃあああああああーーーーー!!ど、どいてくださーい!!??」
という悲鳴が何処からか聞こえてきた。そちらの方に向けば、なにかがこちらに突っ込んで来る光景が見えた。そう、ラファールをまとった真耶だった。しかも一夏のいる場所に向かって突っ込んで来た。察した一夏の周りにいた生徒達は彼からすぐさま離れる。
「ってなんでこっちに!?」
「主人公補正+ラッキースケベの所為なんじゃないかな?」
『わかる!』
「わかるかー!?」
ドゴーン!
一夏が叫んだ瞬間、真耶が彼に突っ込み砂嵐が飛び交った。
「一夏!?」
「大丈夫だ。咄嗟に白式を展開して防いだようだ」
千冬がそう言うと同時に砂嵐が晴れると、確かに一夏は白式を展開して真耶を受け止めていた。
一夏の右腕が彼女の豊満なそれを掴みながら。
「お、織斑君・・・その、こんな人前でそういうのは・・・せ、先生と生徒なんですから・・・。あ・・・でも、織斑君が望むのでしたら・・・」///
「ちょ、ちょっと待ってください山田先生!?これはそういうことじゃ・・・」///
尚も胸を触られながら変な感じに妄想している真耶と、一向に放そうとせずに顔を真っ赤にしながら否定する一夏。
「ねえセシリア?」
「なんですのキラさん?」
「僕もあれとおんなじなのかな?」
「キラさんと一夏さんとでは次元もベクトルも違いますわ」
キラはセシリアに一夏と同じなのかとセシリアに質問したが、GWにアルバムで見たことや実際にこの目でキラのラッキースケベを見たセシリアは、もはや彼とは違う場所に立っているということを説明した。そんなことをしてると、最近やたらと空気になっていた箒が一夏に近づいた。なにやら真剣を持って。
「一夏、覚悟は出来てるな?」
「ちょ、箒待ってくれ!?これは事故だ!?」
「・・・一夏」
「キラ!助けてくれ!」
キラに助けを求める一夏。そんな彼にキラも近づき、彼の方にポンと手を載せてこう答えた。
「恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ」
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!??」
雲一つない青空に、一人の少年の悲鳴がこだました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はあ・・・オルコット、凰、お前たちの相手はあの山田先生だ」
「「山田先生が?」」
二人が相手をするのが真耶だと聞いて、1組と2組の生徒たちは驚いた。いつもはドジっ子教師として有名な彼女。先ほどのあれを見てもとても無理だと誰もが思っているし、本来であればセシリアも鈴もそう思っていたであろう。
「・・・それほど、山田先生はお強いということですか?」
「そうだ。山田先生は元日本代表候補生だからな」
「そんな、候補生どまりですよ?」
「・・・あっ!そういえば真那さん言ってたっけ?山田先生は嘗て『
「そのあだ名はやめてください!?」
キラからあだ名のこと触れられた所為もあってか、真耶は慌ててキラの言ったことを否定しだした。どうやら触れて欲しくない過去なのだろう。
「・・・前の私なら、第二世代なんて目じゃないわって言ってたけど・・・」
「第三世代のISを完膚なきまで叩きのめす方がおられますからね・・・」
と言って二人はその第三世代を完膚なきまで叩きのめす、自分は関係ないですよアピールしてる二人目の男性IS操縦者に顔を向ける。
「それで?お前たちはどうする?」
「勝てるとは思ってませんけど、今回は演習ですし何より教える側としてやりますよ」
「私もですわ」
「良く言った」
「ですがその前に、少しStrategy(作戦)を考えさせてはくれませんか?」
「どっかの馬鹿どもが色々やらかしたからそんなに時間はとれんぞ?」
「No problemですわ」
「それじゃあパパっと考えるわよ?」
「はい」
千冬からの許可をもらったセシリアと鈴は、二人して作戦を立て始めた。それを見ているキラと雪泉は、セシリアに顔を向けながらあることを考えていた。
(・・・セシリア大丈夫かな?みんなの前で『彼女』を呼んじゃって?)
(このことが政府か委員会に知られてしまえば、完全に狙われたしまいますが・・・)
「・・・そろそろ良いか?」
「私は大丈夫です」
「私もですわ」
「よし、それじゃあISを展開しろ」
千冬の指示によって鈴は甲龍を展開したが、セシリアはなにやらブルーティアーズを展開していなかった。
「む?何をしているオルコット?ISを展開しろ」
「その前に、皆さんにお願いがありますわ」
「お願い?」
「・・・今から起こることは、他言無用にお願い致します」
真剣な眼差しで訴えるセシリアに、千冬も真耶も、生徒達全員が本気だと感じた。だからこそセシリアの問いに全員が頷いた。
「・・・良いだろう」
「ありがとうございますわ。それでは・・・」
パンパン
「おいでなさい『ブルーティアーズ』!!」
「了解しました」
彼女の言葉に反応したのか、聞いたことのない女性の声が聞こえてきた。
「上から来るぞ!気を付けろ!」
っと一夏の聞いたことのあるセリフを聞いた全員が、上の方を向いた。そこには、一人の女性がこちらに向かって落ちて来た。
「な!?」
「白s」
「大丈夫だよ一夏」
「へ?」
全員が驚いてる中一夏がまた白式を展開しようとすると、キラが大丈夫だと言って止めた。そして女性が地面に近づくと、不思議なことに速度がゆっくりとなり綺麗に着地した。
金髪の髪を後ろで一部団子にしており、セシリアと同じ蒼い瞳。彼女の機体と同じ色をしたビジネススーツ越しからでも解る、その豊満な果実。スリットの深いタイトスカートの割れ目からは、黒目のガーターベルトが覗いている。瞳の色からしてセシリアの親戚だろうか?
「マスター、『ブルー・ティアーズ』参上致しました」
「見たところ調子は良さそうですわねティアーズ?」
「はい。マスターやキラ・ヤマト、皆様のお陰です」
『は?』
女性から聞いたことのある単語が放たれるやいなや、千冬達は唖然とするしかなかった。彼女は自分のことをなんと言った?
「・・・オルコット、私の聞き間違いか?彼女は自分のことをなんと言った?」
「ブルー・ティアーズですわ」
「それは確か、お前のISの名前ではなかったか?」
「えぇ、ですから彼女は『IS』ですわ」
『ええええええええーーーーーーーー!?』
更にセシリアからのとんでも発言に、キラ・鈴・雪泉以外の者たちが絶叫する。それはそうだ。目の前に女性がISだと彼女は言ったのだから、驚かない方がおかしいのだ。これにはラウラもシャルルも驚愕するほかない。
「ティアーズ、皆さんに自己紹介を」
「この姿では初めましてになる方もいるでしょうが、私は『ブルー・ティアーズ』。ISです」
「ほ、本当にあのブルー・ティアーズなのか?」
「正確には、ISのコアです千冬様」
「・・・私のことを知ってるのか?」
「勿論です。貴方のことはお母さまと白騎士達から聞いております」
「だろうな・・・」
「そして、貴方のことも知ってますよ山田真耶」
「わ、私もですか?」
いきなり振られた真耶は困惑するが、それよりも自分のことを知っていたのは驚いた。
「私はこの姿になる前から、ずっとマスターとおられましたから」
「は、はぁ・・・」
自分自身でもISには意思があると言っていたが、まさか自分のことまで知っていて人間にまでなっているとは思いもしなかった。
「・・・とりあえず、この件に関しては他言無用にしておこう」
「「ありがとうございます」」
「・・・このことを知っているのは?」
「キラさんと雪泉さんと鈴さん、雪蓮先生に冥琳先生、あとは紺碧会の方々ですわ」
「なるほど。・・・・諸君!オルコットが言ったように、このことに関しては他言無用だ。良いな?」
『はい!』
千冬の指示に生徒達は了承した。
「・・・また時間が潰れた。オルコット!」
「はい。ティアーズ、手を・・・」
「分かりました」
セシリアが差し出した手にティアーズはそっと手を添える。するとティアーズが光だし、一瞬でISとしてセシリアに装着した。
「織斑先生。演習をするにあたって、なにか制限とかはありますか?」
「そうだな。まずお前たちが使う稲妻加速とかは使うなよ?あれは私でさえ使えなかった加速技だからな?」
「分かりましたわ」
「武装面は?」
「オルコットはビット兵器を、凰は衝撃砲だ。今回は第二世代のラファールや打鉄を使うからな」
「「わかりました」」
今回は演習ということで、これからISを使うであろう生徒達の為に見せなければいけない。そう思ったセシリアと鈴は、演習をする際に制限がいるかを尋ねる。生徒達が使うISは第二世代機。そのため第三世代の兵器は禁ずると千冬は答えた。するとティアーズが彼女にあることを伝える。
《それと千冬様、伝えたいことがあるのですが》
「なんだ?」
《今スターライトは調整中の為、代わりのエネルギーライフルを使います》
「了解した。それにしても、その状態でも会話できるようになったのだな?」
《はい、神崎重工の方々が音声機能を改良してくださいました》
「・・・神崎重工が?」
神崎重工の名前は勿論千冬も知っていた。だからこそいきなり彼女からその名前が出て来たのには驚いた。
《マスター経由で神崎重工の方々とお知り合いになり、この機体を作った企業に許可を貰い改造いたしました》
「・・・なるほどな」
お嬢様であるセシリアならば、そういった知り合いもいるかと千冬は納得する。
「よし、準備は良いな?」
「「「はい!」」」
色々納得した千冬は何度もつぶれた時間を早急に思い出し、いい加減始めようと思い合図を送ることにする。準備が整った3人は生徒達から離れ、一気に上昇し屋上位のあたり急停止する。
「それでは・・・始め!」
千冬の合図と同時に、2対1の演習は始まる。
「そんじゃぁセシリア、作戦通りに!」
「解りましたわ!」
鈴は青龍刀『双天牙月』を構え、セシリアは後方に下がるとライフルをコールする。そして出てきたのは、最近セシリアもやり始めたアーマードコアのエネルギーライフルだった。
「あれって確か、AC2のE砂だよね?」
「うん。2での製品名は『NIGHT』で、LRPで復刻した時は『SKOLL』と呼ばれてたやつだよ」
「だよね。なんか結構改造されてるけど?」
「ACじゃないからね、サブグリップとストックを追加したんだ。あとチャージすることで威力を上げるように改造してもらったんだよ」
「それも神崎重工で?」
「あれは僕がお世話になってる処の整備班の人たちが改造してくれたんだ」
そう言ってキラは整備班にいる、陽気で整備の知識と技術が一級品なメガネの男性を思い出しながら、シャルル達にセシリアのライフルの説明をする。
処戻って、セシリアは後方から支援射撃で真耶の行動を制限し、鈴は接近戦闘を仕掛けるという形で真耶の相手をしていた。近接格闘が得意な甲龍が近距離を、中・遠距離主体のブルー・ティアーズが後方支援。シンプルだが理にかなった戦術で二人は真耶の相手をしていた。
しかし先ほどのドジっ子な彼女は何処へやら、二人の攻撃を最小限の動きでかわしながら、アサルトライフル『ヴェント』を二丁を使って、鈴とセシリア両方に放っていた。
(あぁもう・・・キラと言いいこの先生と言い、なんでラファール使う奴ってこんなに強いのよ!?)
(織斑先生の後輩というだけあって、本当に恐ろしいですわ。私と鈴さんの攻撃を最小限の動きでかわしながら、鈴さんだけでなくこちらにまで攻撃してくるとは・・・)
《どうしますかマスター?》
(とりあえず今はこのままで、山田先生が何かをすれば考えますわ)
第三世代のISを使っている三人は、目の前にいる強者に内心戦慄していた。しかしそれは真耶も同じだった。
(お二人とも凄いです。シンプルな戦術ですが、二人とも自分のやるべきことをちゃんと理解していますね。先ほどから崩そうにも崩ませんし、やはりあの時のことで色々思うことはあったようですね・・・)
『
「ふむ・・・なかなかに耐えてるな?」
真耶相手にかなり耐えているセシリアと鈴に千冬は感心していた。
「山田先生すごいね?」
「うん。鈴の攻撃をいなしながらセシリアにも牽制してるだけでもレベルが高いね」
「・・・お前たちもそう思ったか」
キラとシャルルが話し合っていると、今まで黙っていたラウラが割って入ってきた。
「ボーデヴィッヒさん?」
「ラウラで良い。教官の後輩と言われるだけあって、恐ろしく強いな。あの二人と同じように制限があるか、あの女史が第三世代の機体に乗っていれば私も負けていた」
「君もそう思うんだ」
「それにあの二人もだ。このような場所にいるのだからどんなボンボンかと思ったが、なるほど・・・実践を経験した目をしている」
「・・・こっちも色々あったからね」
あの時のことを思い出したキラは、悲しい表情をしながらもラウラにそう答える。ラウラも失言だと感じたのか「すまない」と謝罪し、キラは「大丈夫だよ」と返す。
「・・・そして織斑一夏は・・・」
「織斑君はどっちが勝つと思う?」
「え?う~ん・・・セシリアと鈴かな?」
「教官の弟だからどのような存在かと思ったが・・・」
「仕方ないよ。一夏は少し前までISとは無縁の存在だったのだから」
「・・・そういうヤマト君は?」
恐る恐るキラに問いかけるシャルル。
「僕は・・・なんでか女性権利団体に襲われるんだよね」
「あの無能どもにか?」
「うん。それも6歳の頃からね」
『え!?』
近くで聞いていた者達は、キラが6歳の頃から女性権利団体に襲われていることに驚愕した。千冬は前から知っていた為そんなに驚きはしなかったが、内心罪悪感でいっぱいになっていた。
「・・・あっ、別に同情して欲しい訳じゃないから。世の中僕以上に悲惨な思いをしてる人なんてごまんといるからね」
「っ!?」
「僕はなんだかんだで恵まれたからね。色んな人が僕を支えてくれたから、今もこうやって生きていられるんだ」
「そ、そうなんだ」
キラは何ともないと言ったが、それを聞いたシャルルは千冬とは違った意味で罪悪感でいっぱいになった。
「・・・あっ!織斑先生、そろそろじゃないですか?」
「そ、そうだな?時間だ。山田先生、オルコット、凰、そろそろ降りてこい!」
「「「はい!」」」
千冬に言われた3人は、すぐに戦闘をやめておりて来た。よく見る、セシリアと鈴の方はかなりダメージが入っていた。真耶の方は少しだけというだけでも、かなりの実力だということが理解できる。
「さて、これで彼女の実力は解っただろう。今後はちゃんと教師に敬意をもって接するように」
『はい!』
千冬からの言葉に全員が返事を送ると、今度はキラが手を挙げる。
「織斑先生、ちょっと良いですか?」
「ヤマトか、一体どうした?」
「ちょっとラウラとやりたいことがあるんですけど」
「私と?」
「うん」
「・・・・・・それはいま必要なことか?」
「多分必要だと思いますよ。ISを持つんですから」
キラは真剣な表情で千冬に対して必要だと訴えた。ここまで言うのだから、本当に必要なのだろうと思った千冬は「良いだろう」と了承した。
「それじゃあラウラ、ちょっと耳貸して?」
「なに?」
キラから耳を貸してほしいと言われたラウラは、言う通り彼に耳を貸す。言った本人は彼女にしか聞こえない位の声で、これからやることを伝える。
「っ・・・!?貴様正気か!?」
「正気?僕は本気だよ」
「しかしだな・・・」
「ISを使うものとして、なにより兵器を使うものとして教えると思って・・・ね?」
「うむ・・・本気でやるが良いのか?」
「大丈夫だよ『慣れてる』から」
「・・・わかった」
よしと言って、キラとラウラは先ほどまでセシリア達が演習していた場所に立った。そしてキラはラファールを、ラウラは専用機である『シュヴァルツェア・レーゲン』を手足だけ部分展開する。お互いシールドバリアの展開を確認した後、キラが千冬達の方に顔を向ける。
「今から行うことは、全部僕の責任です。ラウラ・ボーデヴィッヒに対して責任はないので悪しからず」
『?』
そう言い終えると、キラとラウラはお互いに向き直ると、キラだけがブレードコールし、突きの構えをし始める。対するラウラは、武器をコールせずに構え始めた。
(ラウラだけ武器を持ってない?一体何をするつもりだ?)
千冬がラウラだけ武器を持っていないことに疑問を覚えていると、キラが彼女に突きを放った。しかしラウラはそれを見切り。左にかわすとすかさずキラの左腕を掴み、そのまま彼の背後に回る。
そしてラウラはもう片方の腕で、
ボキン!
「ぐぅ・・・!?」
『!?』
なんとキラの左腕を『折った』のだ。
「ぁ・・・ぐぅぁ・・・」
「キラさん!?」
「キラ!?」
「来ないで!!」
『!?』
すぐさま行こうとしたセシリア達だが、キラがそれを制す。するとキラは折れた左腕をすぐさま戻す。
「はぁ・・・はぁ・・・皆、これで解ったかな?」
『えっ?』
「ISのSEや絶対防御は確かに武器などの攻撃は防いでくれるけど、それはあくまで『外からの攻撃』だけ。
今も尚左腕を押さえながら、キラはSBと絶対防御の弱点を千冬達も含めた生徒達に説明をする。口だけでは何とでも言える為、今回ラウラの力も借りて彼女達の前でやることで、それが嘘ではないということを理解してもらおうと思ったのだ。
「それに高出力のレーザーやビーム、後は今一夏が使っている白式の零落白夜もSBを無視して攻撃できるから、相手を『殺す』こともできるよ」
『っ!?』
「お、俺の零落白夜も!?」
今更になって自分のワンオフアビリティもSBを無視して相手を殺せると聞かされて、一夏はあり得ないと言いたそうな顔になる。
「織斑先生はそれを理解して、なるべく相手に当たらないようにして倒して来たんだ」
「・・・・・・」
「ISはスポーツだのなんだの言われてるけど、持っているものは全部兵器だ。武器を持たない人に鈴やセシリアの使ってる武器を一発でも当てれば、それだけで命を奪うことはできるんだ。現に僕はGW中に数回、ISを纏った女性権利団体に襲われたし、仲間の人がISで殺したところも見た」
『!?』
またもやとんでもないワードがキラの口から放たれ、生徒たちは青ざめてしまった。
「皆、ISを扱うならそういうことも理解して欲しいんだ。解った?」
『は、はい!!』
「ふぅ・・・すいません織斑先生、時間を取らせちゃって。それじゃあ先に進んでください」
「ふむ、そうだな。お前の演習もためになった。
なんて言うと思ったかこの大馬鹿がああああああ――――!!」
ドゴーン!
「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!??」
一気に近づいた千冬の右ストレートがキラの無防備な腹にクリーンヒットし、そのままキラは200m程吹っ飛んだ。よく見ると目を回しながら気絶していた。
「はぁ・・・雪泉、あのバカを保健室に連れていけ。御堂先生達はもう着いてるハズだ」
「解りました」
一年生のIS実習は、まだまだ続くのだった。
キラは 目の前が 真っ暗に なった!