次の日
「それでは次は、ISで使う武器の・・・とその前に、クラス代表を決めなくてはな」
次の日の1時間目、千冬の言葉に生徒全員が疑問符を浮かべた。
「クラス代表はその名の通り、対抗戦に出るだけでなく生徒会の開く会議に出席したり、他にもあらゆる行事に参加する、まあクラス長だな」
「学級委員長の間違いでは?」
「・・・まあそうだな」
キラの言葉に千冬はそう返した。
「それで、自薦他薦問わない、誰かいないか?」
「はい! 織斑君が良いです!」
「私も!」
「私はヤマト君を推薦します!」
「右に同じ!」
「え!? おれ!?」
「・・・・・・」
クラス中が一夏とキラを推薦し始め、それを見ていたセシリアは苛立ちを覚えた。
何故男なのか?
実力で言えば自分の方が上なのに?
まったくのド素人である男にやらせるのか?
そんな大事なことを男に任せるのか?
納得がいかない!
そう思ってセシリアが抗議をしようとしたその時、
「・・・はい!」
突如キラが手を挙げたのだ。
「なんだヤマト?」
「僕はオルコットさんを推薦します」
『!?』
キラの放った言葉に、生徒達が驚愕した。
そして、苛立っていたセシリアもまた、キラの言葉で冷静さを取り戻したのだ。
「・・・何故だ?」
千冬は何かを確認するためにキラに理由を尋ねた。
「さっき織斑先生は、対抗戦に出るって言ってましたよね?」
「・・・ああ」
「僕と一夏は、まだISに触れた程度のド素人です。僕に至ってははじめの時にしか纏っていないし、試験の方もパスして来たからはっきり言って今の僕は雑魚同然です。それに比べてオルコットさんは、イギリス代表でしかも専用機を持っています。それならば実力があって尚且つ知識もある、オルコットさんが出た方が断然良いですよ」
キラの言葉は完全に的を当てていた。それを聞いた生徒達は黙ってしまい、一夏は何がなんだか解らなかった。
「・・・そうだな。だが推薦された以上は、拒否は出来んぞ」
そこでだ、と千冬は少し間を空けて口を開いた。
「来週の放課後、クラス代表を決める模擬戦をする。そうだな、先ずはヤマト対オルコット。それで勝った方が織斑と戦うことになる」
「・・・普通は僕と一夏が戦った後に、どっちかがオルコットさんと戦うんじゃないんですか?」
「少し事情があってな。・・・オルコットもそれで良いな?」
「・・・わかりましたわ」
「話は決まったな、それじゃあ改めてISの武器の特性の授業を開始する」
その後1組は昼食の時間になるまで、ISの武器の特性などの授業をするのだった。
「おうキラ! こっちだ!」
「うん」
お昼休み、食堂で注文したメニューを受け取ったキラは、一夏がいるテーブル席までやってきた。
「キラ、コイツが幼馴染の篠ノ之箒だ」
「・・・よろしくね、僕はキラ・ヤマト」
「ああ、それは聞いた」
席に座ったキラは、箒と自己紹介をした。
「それで一夏。模擬戦の方はどうするの?」
「それなんだけどさ、なんか俺に専用機が来るらしいんだ」
「・・・とりあえずは解った。一夏は男性初めてのIS操縦者だからね」
「・・・ヤマトはどうするのだ?」
「キラで良いよ。僕は別に言われていないから、とりあえず量産機で何とかするよ」
「そうか、それと私のことも箒で構わない」
とキラ達は昼食を食べながら模擬戦に関して話し合った。まず一夏の方は知識がキラで、体力は箒が担当することになった。
食べ終わるとキラは、少し屋上に行くと言って二人と別れた。
そして誰もいない屋上に着いたキラは、少し空を見ながら休んだ。
「はあ・・・どうしようかな?」
セシリアと戦うにあたって、キラはどうしようか悩んでいた。
すると、
「ここにいらしたのですね?」
「え?」
後から声が聞こえて来たので、キラは後に振り向いた。そこには、真剣な表情をしたセシリアが立っていた。
「どうしたのオルコットさん?」
「・・・・・・なぜ私を推薦したのですか?」
「え?」
キラはセシリアの言ったことが理解できなかった。
「えっと・・・あの時言ったことが本音なんだけど」
「・・・嬉しくないのですか? クラスの半分が貴方を推薦したのですよ?」
「・・・そりゃあ少しは嬉しいよ? ・・・けど」
「けど?」
「僕がやったら、色んなところから狙われる可能性が増えるから」
「・・・え?」
今度はセシリアが、キラの言ったことが理解出来ずにいた。
「一夏は織斑先生っていう最強の後ろ盾がいるけど、僕にはなにもないからね」
「なにもないって貴方、ミスタータカノとお知り合いなのでは?」
「確かにお世話にはなってるけど、あんまりあの人達に迷惑は掛けたくないから」
キラの言葉にセシリアがあっけに取られた。
高野は日本の自衛隊を指揮する防衛大臣。
その高野に迷惑を掛けたくないと目の前の男は言い張ったのだ。
「それに僕の場合は、ずっと前から女性権利団体に狙われてるからね」
「そうなのですか!?」
「色々あってね、今まではメイドさんが守ってくれたんだ。いまはちょっと離れてるけど」
「・・・そうですか」
セシリアはそこまで言ってキラに追及しなかった。セシリア自身も過去に色々あったので、これ以上は聞けないと解ったのだ。
「・・・話は変わりますが、貴方は私にどう挑むのですか? 織斑さんは専用機が来るらしいですが」
「まだ戦ってもいないし、少し余裕があるから色々頑張ってみるよ」
「・・・まあ、せいぜい足掻くのですわね」
そう言ってセシリアはドアの方に向かって去って行った。
「・・・よし!」
キラは何かを決意し、屋上を後にするのだった。
放課後
「此処が第7整備室だ」
「お広いですね」
「今年新しく作られた整備室です」
放課後、キラは千冬に頼んで支給されたラファールをカスタムする為に、新しく出来た第7整備室にやって来た。セシリアと戦うにあたり、ただのラファールでは勝ち目がなく、何よりもキラの反応速度に付いてこれないのだ。なのでラファールを調整、ならびに改造する必要があった。
キラだけじゃあれなので、真那も呼んで手伝ってもらうことになった。
「ラファールはあらゆる武装を取り付けることができる、第2世代型のISだ。このテキストにラファールに使える武装が全て載ってある。それにチェックして、明日提出しろ」
「なにからなにまでありがとうございます」
「お前は私の生徒だ。出来るだけ生徒の要望に応えるのが教師だからな」
がんばれよと言って千冬は整備室を去って行った。
「先ずは機体の調整ですね?」
「うん」
キラは支給されたラファールを、自分たちの前に出した。そこには、頭と胴体のない緑色の機体が鎮座していた。
それを見たキラは、自分の部屋から台車で持ってきたPCを繋げて、早速ラファールを調整することにしたのだ。
「・・・う~ん、やっぱりこのOSじゃすぐに追いつけなくなるね? それに駆動系とかその他のシステムも、ほぼ全部組み直さないと使い物にならないよ」
「高野防衛大臣に頼みますか?」
「でもあんまり高野さん達に迷惑を掛けたくないからな・・」
「頼めるだけ頼んで見るのも一つですよキラ様」
「・・・そうですね、後で高野さん達に聞いてみます」
そう言うとキラは、片手でタイピングしながら千冬に貰ったテキストを見た。
「・・・あれ? なんかACに出てくる武器もある!?」
「それは本当でございますか?」
「うん、ホラ」
キラは真那にテキストを差し出した。
「・・・確かに、AAの緑ライフルに2の12連ミサイル、そしてグレネードランチャーですね?」
「試作武器の所には、レーザーブレードがあるし、どういうことなんだろ?」
キラと真那はアーマード・コアの武器があることに疑問を浮かべていた。
「確か、ラファールの武器はあらゆる企業が開発していると聞いたことがありますが・・・」
「どれもエムロードの武器パーツだね?」
「・・・チェックしますか?」
「そうだね、レーザーブレードはシールドに取り付けることができるらしいし」
そう言ってキラは必要な武器をチェックした。
「ですが、いくら武器を持っても相手は第3世代です。機動力ではあちらの方が上ですが、どういたしますか?」
「う~ん・・・・・・そうだ! 前にプラモ屋さんで見た、『フライトユニット』っていうのを作ってみよう!!」
「『フライトユニット』でございますか?」
「うん。空を飛ぶこと自体はPICで何とかなるから、ウイングバインダーとブースターを取り付けて、機動力を強化させるんだ。後は翼の下にミサイルを取り付けて火力も上げよう」
「確かにそれでしたら、第3世代にも対抗できますね」
「とにかく必要な機材を用意して、来週の模擬戦までに完成させよう」
「畏まりました」
そしてキラと真那は、セシリアと戦う為にラファールを改造するのだった。
そんな光景を、
「へぇ~、ヤマト君は知的な生徒ね?」
廊下の方からは、青い髪の少女
「・・・」
そして窓の外にある近くの建物から、白いリボンを付けた少女が眺めていたのだった。