「竜がいる?寝ぼけているの?美鈴。」
「いっつも寝ていますからね。夢だと思います。」
目の前の椅子に座っている彼女の名前は‘‘レミリア・スカーレット‘‘紅魔館の主の吸血鬼だ。見た目は幼い少女だが、こう見えても年齢は500歳を超えている。
その横に並ぶのが紅魔館のメイド‘‘十六夜咲夜‘‘この館のメイドをまとめるメイド長だ。
「いや、本当ですって!信じてくださいよ~」
思ったとうり誰も信じてくれない…まあいきなり竜がいるなんていっても信じてくれない事ぐらい分かりきっているが。
「そんなこと言ったって、幻想郷に竜なんていないし…。分かったわ。嘘をついているようには見えないし。咲夜、その竜とやらを見てきなさい。もしかしたら外来竜かもしれないわ。」
「わかりました。お嬢様」とお辞儀をすると咲夜はパッと姿を消し、またすぐにパッと姿を現した。
「見に行ってきましたが、それらしきものは確認できませんでした。黒い服に身を包んだ少女ならいましたが」
「なんだ、やっぱりいなかったんじゃない。黒服の少女とやらは気になるけど」
「そんなはずは!本当に竜を見たんですって!」
竜がいなかった?そんなはずは…もしかしたら本当に夢だったのかもしれない。私がそう思い始めたとき、その思いを一瞬で覆させる出来事が起こった。
レミリアの後ろにある窓が青白く雷の様に一瞬だけ光り、その光とともに物凄い音と揺れが私達に襲ってきたのだ。
「な、何!?何が起きたの!?」
「お、お嬢様!美鈴!大丈夫ですか!お怪我はありませんか!?」
「は、はい!私は大丈夫です!」
案の定、皆慌てふためいている。
バンッ!!!
「「お姉様(レミィ)!また、何かやらかしたの!」」
ドアを開けてレミリアの実妹の吸血鬼’’フランドール・スカーレット’’とレミリアの親友の魔女’’パチュリー・ノーレッジ’’が飛び込んで来た。
「何で私なの!?別に私は何もしてないわよ!」
「はい。私が見ていましたから今回はお嬢様ではありません」
「ちょっと、今回はっ「じゃあ誰なの!裏の山を削るほどの威力の攻撃が出来るのは!」
「「……!や、山を削る?」」
「ええ、そうよ。さっきの攻撃で裏の山の半分が融解しているわ。あんな威力…魔理沙のマスタースパークより格段に強いわね。」
「「……!」」
(そ、そんな威力を出せる火力…いったい誰が)
「…竜よ。その竜がこの紅魔館を乗っ取ろうとしているに違いないわ!」
「「竜って何のこと?」」
「美鈴が向かいの草原で見たのよ!夢じゃなかったんだわ…」
「確かに…確かにそうですね。その可能性が高いと思われます。」
「図書館の本で読んだことはあるけど、実物は見たこと無いわ…それ本当に竜なの?」
「はい多分そうだと思います、真っ黒で所々紫が混じってあって、それに頭の角と大きい翼があったんで多分、竜です。」
「竜ってそんなに強いの?」
「ええ、本によると太古の昔か「ちょっと!竜の話は後で良いから、今は紅魔館を破壊しようとしてくれた竜とやらを退治しに行くわよ!」
話を遮られちょっと不機嫌そうなパチュリーだったが、「確かにそうだ」と納得して小悪魔も連れて来ると言うと部屋から出て行った。
「それじゃあ私はこの前やったように幻想郷を紅い霧で覆うわ。昼間だから外には出られないし。その間、咲夜と美鈴は竜が紅魔館を破壊されないように戦ってて頂戴!」
「「かしこまりました!」」そういうと咲夜と美鈴は外へと出て行った。
✤ ✤ ✤
まずい…この状況はまずいぞ。まあ結論から言えば私が悪いんだけれども…
今の状況?今はこの世界の、いや、あの館の住人二人と睨み合っているところだ。
「黒い服の少女というのは、あの方ですか?咲夜さん。」
緑色のチャイナ服を着ている女性は青いメイド服の女性に話しかけた。
「ええ、そうよ。」とメイドは言葉を返した。
黒い服?私は黒い服を着ているのか?自分の服を確認するのを忘れていた。確認したいところだが、今はそんな余裕は無い。
(絶対私を殺りにきてるよね、これ。)
(少なくとも私達を歓迎している空気ではないな…)
(ですよね…話せば許してもらえるかなぁ。)
(危ない!避けろ!)
「……!」
いつのまに、目の前に無数のナイフがある。そのナイフは刃を私に向けて飛んできている。
「……くっ!」
瞬時に翼脚を背中から出しナイフを叩き落とす。その瞬間、私の横腹に重い衝撃が走った。「うっ!」一瞬息が出来なくなるし衝撃も受け止めきれない。
私はそのまま横に飛ばされてしまった。痛みを堪えながら立ち上がり、先ほどまで自分の居た所を見るとさっきのチャイナ服が立っている。どうやら私は後ろから蹴られたらしい。
「私が見た竜とおんなじ翼ですね。やっぱり貴方が竜ですか」
「だ、誰ですか?貴方たち?」
「私ですか私は紅美鈴で、メイド服の彼女は十六夜咲夜です。私達は紅魔館、あの真っ赤な館ですね。そこで働いていて、貴方に攻撃を受けたので飛んで来た訳です。」
そこまで話すと彼女は、「おっと、そろそろですかね」と言い空へ浮かび上がった。勿論私は驚いたが、竜に「ここはお前のいた世界ではないからな」と一掃されてしまった。
そんなやり取りをしていると急に青空が紅空に変わった。紅い雲?霧?で覆われてしまったのだ。薄いカーテンのように直射日光は防がれるが、完璧に防ぐというものではないため、そこまで暗くは無い。
「空が…紅くなった」
「ええ、そろそろ来ると思います。」と咲夜という人が答えた。
来る?何が来ると言うんだ。せっかく人生が再開できたのに、すぐ死んでしまっては命の無駄遣いだ。そう思い攻撃に警戒していると、館の方から誰かが飛んで来た。
「待たせたわね!咲夜、美鈴」
「お姉さまぁ~ちょっと待ってよ~」
「これが竜…でいいのかしら。竜は人間にもなれるのね」
「お待たせしました!彼女が標的ですね!久々に腕が鳴りますねぇ」
うわ~勝てる気がしない…理不尽すぎるまさかの1対6。これは酷い…
「貴方が竜ね、私はレミリア・スカーレット。あの館の主よ」
人は見かけでは判断してはいけないと言うが、これは疑うだろう。なんせ自分よりも幼い女の子が紅魔館の主だというのだから。
「…お嬢様は吸血鬼で年齢はすでに500を超えています。」とメイドの方が付け足した。
なるほど、彼女は人間ではないのか。吸血鬼って長生きなんだな。あんな見た目でも、もう500越えらしい。
「こんにちわ。私はフランドール・スカーレット。貴方が竜なの?人間にしか見えないよ?」
次は横の女の子が挨拶をした。髪は金髪で宝石の様な翼を持っている。吸血鬼には見えないが、「スカーレット」というレミリアと共通の苗字を持つこと、レミリアを追いかけるときに「お姉様」と言っていたことから。姉妹であり彼女も吸血鬼なのだろう。
「…私はパチュリー・ノーレッジ、同じく紅魔館に住んでいる魔法使いよ。」
いままで寝ていたのだろうか…パジャマの様な服装で来ている。
それにしても魔法使いか、見た目はそうでもないな。魔法使いといえば尖がり帽子と魔法のステッキなのに、いや私の考えが古いだけか…
「私は小悪魔です!よろしくお願いします!」
いや、こちらとしてはよろしくお願いされたくないのだが、だってあれでしょ、今から戦うんでしょ?にしても小悪魔?名前が小悪魔か?と聞いてみると「悪魔は本名を名乗らないのですよ!」っていっていた。
「改めて自己紹介しますが、私が紅美鈴。紅魔館の門番ですね。」
「私は十六夜咲夜。紅魔館のメイド長を務めています。」
見た目で雰囲気は漂ってくる。咲夜さんの方は如何にも瀟洒ってかんじでメイド服も着ているし何事にも動じない様な目をしている。美鈴さんの方は優しいお姉さんって感じだがいざとなると強そうな、何故かそんな感じがする。
「これから戦う相手に名前を名乗るのは何故ですか?どうせ殺すのであれば意味が無いような気がします。」
「…そんなのカッコイイからに決まってるじゃない。」とレミリアが答えた。
私の中で竜が「嘘だな」と言った。(本音は多分、時間稼ぎをするつもりだ。仲間が来るのを待っているんだろうな。数が多くなるとまずい、私に代われ。)
(戦うつもりですか?)
(ああ、そのつもりだ。)
(もう少し話し合ってみて良いですか?…出来れば争い事は避けたいので)
(……ああ、良いぞ。だが戦闘にもつれ込むのならば私に代われ。お前はまだ弱い。)
(分かりました。ありがとうございます。)
私はこのチャンスを無駄にはしまいとレミリアに話しかける。
「…すみませんが、私に名前はありません。それよりも、あなた方は私を…殺そうと思っていますか?」
この場のみんなが思った、こいつストレートすぎだろ…と。
「……なんでそう思うの?」
「それは、私のビームが紅魔館の横を擦れたからです。」
私は話を続けようとする、しかしソレは叶わなかった。少女から光の球体の様な物が飛んできて私の話を遮ったのだ。私は間一髪でそれを回避し話を続けようとした。
「ちょっと!待っ「皆、聞いたわねやっぱりコイツが犯人よ!皆で捕まえましょう!」
「かしこまりました!」
「ええ!」
「了解です!」
「おもしろそう!」
「…まだ何か言おうと「さあ!向かうわよ!」
美鈴さんが私が何か言おうとしてくれたことに気付いてくれたが皆の波に負けている。
(え?お前何がしたかったんだ?)
(いや、これから弁解するつもりだったんですよ!)
そう、予定では今頃は誤解が解けているはずだったのに…
(とりあえず戦いになったから私と交代してくれ!早く戦いたい。)
…分かりました。私は爆音が辺りに響く中、深く目を閉じた。
という訳で次から戦闘回です。
戦闘描写ってかけの難しいよねッ!