ガールズ&パンツァー Each of the everyday 作:メトロポリスパパ
黒森峰MIDNIGHT【ACT.1 プロローグ】
《漆黒のその車は・・・まるで狂おしく・・・身をよじるように、走るという・・・》
黒森峰女学園 黒森峰空港
着陸したMe 323輸送機から黄色いツナギを着た4人の女性と・・・鼻の下に口髭を蓄えた、六本木辺りに居そうなスーツを着た紳士が一人、降りてくる。
「いや~着きましたね~学園長」
「そうだねぇ、悟子ちゃん」
「速度無制限なんでしょ?!早く走りたいなー!」
「まずは下見だよ、土屋」
「ここから学園艦GPの第一歩が始まるんだな・・・」
ツナギを着た女性・・・大洗女子学園自動車部兼戦車道レオポンさんチーム。
中嶋悟子、土屋圭子、鈴木亜由里、星野和世の4人と・・・。
同じく大洗女子学園学園長 イシダヨシアキであった。
なぜ彼女達が黒森峰に来たのか・・・。
彼女達、自動車部は以前にも一度、黒森峰学園艦に乗艦したことが有る。
それは、黒森峰アウトバーンを好きなだけ走らせてもらう事と引き換えに、黒森峰のティーガーⅠ212号車の整備をする為である。
それは、敵に塩を送る行為ではあったのだが、結果として大洗女子学園を廃校から救う事になる。
あの大洗騒動での大学選抜との試合の土壇場、大洗戦車道隊長「西住みほ」が車長を務めるⅣ号戦車H型と、黒森峰戦車道隊長「西住まほ」が車長を務めるティーガーⅠ212号車。
対峙するのは、大学選抜隊長「島田愛里寿」が車長を務める、WW2末期に生産された最新式と言えるセンチュリオンmkⅠ。
あの重い車体、駆動系や足回りに不安を抱えるティーガーⅠが試合終盤の激しい機動に耐え切り、みほのⅣ号との連携でセンチュリオンを仕留める事が出来たのは、自動車部の整備が有ったればこそであった。
大洗騒動のゴタゴタで、時期は遅れてしまったが、この度、西住まほからの招待を受けて、晴れて黒森峰アウトバーンを走らせてもらう為、好き者の学園長と共に黒森峰に乗り込んだのである。
中嶋が土屋に指示を出す。
「さて、土屋~、ソアラ降ろそうか」
「りょーかーい」
「よし、じゃあ僕も車を降ろそう」
既にMe323の前方扉は開かれスロープが設置されている。
そこから土屋とイシダが機内に入り、それぞれの車に乗り込んだ。
自動車部所有のMZ20ソアラに乗り込んだ土屋はキーをONまでゆっくり回し、燃料ポンプの作動音を確認し、セルを回す。
キュルっという音と共に、7MーGを手本にして一から制作した5リッターエンジンが目を覚ます。
「快調快調!」
イシダも自分の車に乗り込みセルを回す。
キュル!ガオン!ガオン!
180度V型12気筒の独特のエンジン音が機内に響く。
今回のイシダの車は・・・鮮やかな赤色のフェラーリ512TRである。
土屋はゆっくりとソアラを前進させスロープを降りる。
「オーラーイ!オーラーイ!」
ソアラとフェラーリは車高が低く、スロープの終端で引っかかるので、それを防ぐため中嶋、星野、鈴木がアルミラダーを敷き誘導する。
二台は無事輸送機から降りた所で、遠くからキューベルワーゲンが1台、こちらに向かって近づいてきた。
キューベルワーゲンは中嶋達の前で止まり、2人の女性が降りてくる。
「お待たせいたしました。お迎えに上がりました」
「ようこそ、黒森峰へ。待たせてしまったかな?」
黒森峰女学園戦車道副隊長 逸見エリカと、同隊長 西住まほであった。
「あっ!エッちゃんだ!エッちゃーん!」
「エッちゃーん!久しぶりー!」
自動車部の四人が黒森峰の二人に駆け寄る。
エリカも微笑み挨拶をする。
「フフ・・・久しぶりね」
中嶋がまほの前に行き
「まほちんも久しぶりー!」
「ちょっと!うちの隊長を変な名前で呼ばないでよ」
「いいじゃ~ん!ねえ、まほちん?」
まほもフフ・・・と笑い答える。
「ああ・・・かまわないさ」
「あー・・・お取込みの所すまないね・・・」
中嶋達の後ろからそ~っと顔を出す学園長のイシダ。
「あ、学園長」
中嶋の言葉を聞き、まほは姿勢を正し挨拶をする。
「失礼しました。黒森峰女学園機甲科3年、戦車道隊長 西住まほです」
「大洗女子学園で学園長やってます。イシダヨシアキです。うちの子猫ちゃん達に誘われて付いて来ちゃいました。よろしく」
二人は握手を交わし、イシダが話し出す。
「改めてなんですが・・・うちの廃校騒動の時に増援を出して頂き、本当にありがとう。感謝します」
イシダが頭を下げる。
それを見た自動車部の4人も、まほに頭を下げた。
「いえ、イシダ学園長、頭を上げてください。あの時、学園長の短期転校の無条件許可が無ければ、作戦は成立しませんでした。それと・・・みほの事・・・よろしくお願いします」
「いやあとんでもない・・・彼女が我が学園の救世主ですよ、ははは・・・私など、言われるがままハンコを押しただけの、ただのお飾り学園長ですから・・・」
頭を掻きながら苦笑いするイシダはエリカの方に目をやると、目が合ったエリカも自己紹介をする
「黒森峰女学園機甲科二年、戦車道副隊長 逸見エリカです」
イシダは、グッと顔をエリカに近づける・・・。
エリカも、え?という顔をする・・・するとイシダは。
「君、綺麗だね・・・写真・・・撮らせて貰っても良いかな?」
「は?・・・・え?!・・・私・・・綺麗って・・・写真?!・・・え?」
イシダはポケットからデジカメを取り出すと、パシャパシャと撮影を始めた。
「いいね~!その表情頂き!腕を組んでみようか・・・そう、肘を持つ感じで・・・いいね・・・もう少し脇締めようか・・・胸を寄せる感じで・・・そう、さらに綺麗になったよ・・・君センスあるよマジで・・・」
「こうですか?いやそんな・・・センスあるだなんて・・・綺麗ってそんな・・・フフフ・・・」
恍惚の表情でノリノリになってくるエリカに、褒めまくるイシダ。
またはじまった・・・・。
自動車部の4人は顔を見合わせた後・・・。
「エッちゃんてさ~・・・もしかして・・・ちょろい?」
土屋がいつもの笑顔でサラッと言った言葉に、まほもニヤッとして答える。
「ああ・・・エリカはちょろい」
それを聞きエリカは我に返る。
「え?!ちょ!隊長!!」
イシダが畳みかける。
「でも、綺麗なのは・・・事実だよ、エリカちゃん」
「ちょっと、やめてください・・・もお・・・」
「はいはい、学園長は下がっててください!」
「ははは・・・いやあ・・・つい・・・」
一同爆笑で場が和んだ所で、まほが本題に入る。
「イシダ学園長、我が校の学園長に御挨拶がしたいと伺っていますが、よろしければ私が御案内致しますが・・・」
「そうだった・・・まほちゃん、悪いんだけどお願いしていいかな?」
「ええ、よろこんで。エリカ、自動車部の方々の案内をお願いしていいか?」
「わかりました」
イシダは中嶋に言う。
「悟子ちゃん、悪いんだけど、僕はまほちゃんと一緒に黒森峰の学園長に挨拶に行くから、512TRを代わりに乗って行ってくれないかな?」
「わかりました、学園長」
「よろしく頼むね~、まほちゃん、乗せてもらってもいいかな?」
「わかりました、どうぞこちらへ」
まほはキューベルワーゲンの助手席のドアを開け、イシダを乗せた後、運転席に乗り込み発進した。
まほ達の車が視界から消えた後、エリカは中嶋に言う。
「あなたの所の学園長・・・変わってるわね・・・」
中嶋はへへっと笑い
「でしょ?昔は有名なグラビアカメラマンだったみたいなんだけどね~」
「グラビアカメラマンの・・・学園長・・・・」
複雑な表情をするエリカを気にも留めず中嶋は言う。
「それよりエッちゃん、案内してもらっていいかな?あのフェラーリの助手席に乗ってよ」
「あ、そうだったわね。わかったわ」
「土屋~星野~鈴木~、そろそろ行くよ~!」
「はーい」
中嶋、エリカは512TRへ、土屋、星野、鈴木はソアラに乗り込み空港を後にした。
目指すは黒森峰アウトバーンである。
次回
黒森峰MIDNIGHT【黒森峰アウトバーン】
よろしくお願いします。