ガールズ&パンツァー Each of the everyday 作:メトロポリスパパ
ソアラとRSFactoryのランサーEVOⅤの2台はアウトバーンに来ていた。
エンジンセッティングの最終仕上げ、実走セッティング。
2台はA2のテクニカル区間を走行中である。
土屋はリアにトラクションを駆け若干のテールスライドを入れながらソアラを曲げていく。
「いい感じだよ!あれこれ軽量化したのとボンネットをカーボンにしたのが効いてるね!大分とマスが後ろに寄ったみたい」
中嶋もPCを見ながら言う。
「トラクションも良いね。鈴木のボディーワークが良いんだろうな。アクセル開度も前より開いてるよ」
星野がドライブするランサーの助手席にはリカコ、後部座席には鈴木が乗っている。
「いいですね!このランサー。3速4速のコーナーがすごく気持ちいいです!アクセルのピックアップが良いから意のままにグイグイいけますよコレ!」
「でしょ?いい腕してるよ君達・・・安心した」
「はい?」
「いや・・・なんでもないよ。ソアラの子もうまいね!FRをよく理解してる、良い走りだよ」
リカコは、二台で走り出す前にパーキングからとある人物に電話を掛けたのを思い出す。
トゥルルル、トゥルルル・・・
「・・・はい」
「もしもし、夜遅くにすみません、北見のおじさんですか?お久しぶりです、リカコです」
「ん?・・・ああ、リカコか、ククク・・・久しぶりだな」
「ええ・・・おじさんも元気そうで」
「クク・・・相変わらずの自転車操業だがな(笑)」
「ははは・・・ところで・・・一つ聞きたいんですけどいいですか?」
「ああ?Zのことか?」
「ええ、まあ・・・Zに積んでいたTD06って誰かに譲りましたか?」
「・・・なんで・・・それを聞く?」
「いえ・・・実は・・・その06を積んだソアラのセッティングに付き合ってるんですよ」
「・・・へぇ~・・・ああ、大洗のお嬢ちゃんに譲ったよ・・・そういえば、お前の店は黒森峰だったな」
「ええ・・・ただ・・・それだけなんですけどね」
「そうかい・・・で、アキオはどうなんだ?」
「アキオ君ですか?たまに連絡くれますよ。電話の度に、Zはどう?って聞かれます(笑)」
「ククク・・・そうか、ならいい」
「あの・・・ソアラなんですが・・・」
「ん?・・・ああ、俺には関係ない話だ・・・だが・・・ありがとよ」
「ええ・・・それじゃ・・・」
「ああ・・・」
電話を切ったリカコは自動車部の四人に目をやる。
「ちょっと違うかもしれないけど・・・おじさんもこんな気持ちなのかな?・・・」
自分の作った車が、最高の乗り手と、戦闘機として走り続けていく為にそれを追う車に手を貸す。
普通の人からしたら愚かな行為なのかもしれないけど・・・とびきりの瞬間がここにはある・・・。
いろんな代償と引き換えた・・・とびきりの瞬間が・・・。
リカコは、ソアラのエンジンルームを覗いていた中嶋の二の腕をギュッとつかむ。
「え?!なんですか?」
突然、二の腕を掴まれ面食らう中嶋。
「うん・・・女の子らしい腕だけど、ちゃんと筋があるね。このままやってりゃいいメカニックになるよ。もし行くとこなかったら、まじでうち来ない?親父の所でもいいよ」
中嶋は頭を掻きながら言う。
「いや~褒めすぎですよ~照れちゃいます」
「そお?けっこうマジなんだけど」
「でも、そう言っていただけると嬉しいです」
「そお・・・」
リカコは妹分が出来たようで、ちょっと嬉しい気分になっていた。腕もいい・・・だが・・・。
ソアラはアウトバーンを数周して細かい微調整がほぼ完了した所である。
中嶋はノックアンプの音を聞きながらPCと睨めっこしつつソアラはA2からA1に入る。
「最終仕上げだ!土屋!踏め!」
「わかった!」
ウエイストゲートの音を響かせ加速していくソアラを付かず離れず追う星野のランサー。
「踏み出した!最終仕上げだな!」
星野もアクセルを入れる。
クリアが取れず、クルーズしている他車をスラロームしながら抜いて行く二台。
「ほらどうした土屋!パスしちゃうぞ!」
ランサーは四駆のメリットとピックアップの良さを生かしソアラに張り付く。
星野は感嘆の声を上げる。
「付いて行くどころか、これならマジで頭張れるかもしれない!本当に450PSなのかコレ。それにこのフィール、4G63がこんなに綺麗に回るなんてすごいですよ!リカコさん」
「フフ・・・こんなもんじゃないよ、うちのランサーは。もうすぐクリアになるね。ソアラがどんな竜になったか、見せてもらうよ」
前方がクリアになり、土屋、星野がアクセルを開ける。
リアをを沈ませ加速していくソアラとランサー。
「ランサー速い!」
「集中だよ土屋!今燃調を詰めてる!」
中嶋がキーボードを叩く度にフィールが変わっていくソアラの7MーG。
ランサーも付いて行くがジリジリと離れだす。
そこでリカコはコンソールに有るボタンを押した。
「!!・・・伸びる!」
「スクランブルブーストとスペシャルマップだよ!10秒しか持たないけど」
「ええ!・・・でも・・・伸びる!」
ソアラでは中嶋が回転数と数字を読み上げる。
「6400・・・6450・・・6500、300キロ!」
ランサーでも
「7900・・・8000!300キロだ!」
リカコはボタンを押して通常マップに戻す。
ここでランサーは頭打ちだが、ソアラはぐんぐん伸びていく。
「6700・・・6750・・・6800・・・200マイル!」
ランサーの後部座席の鈴木が言う。
「ソアラの280からの加速・・・そしてまだ伸びてる。行けるよ星野!」
「ああ、そうだな!・・・私たちのソアラは・・・戦える!」