ガールズ&パンツァー Each of the everyday   作:メトロポリスパパ

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ポルシェが合流したが、イシダはポルシェを先行させ自動車部のソアラををブロックする。その意図は?


黒森峰MIDNIGHT【ACT.10 学園長イシダヨシアキ①】

ポルシェ合流!

 

テスタロッサ、ソアラ、ランサーの後ろにポルシェが付いた。

その状態のままA2のテクニカル区間を駆け抜ける。

ソアラはテスタロッサに張り付き、少し離れてランサーとポルシェ。

中嶋が言う。

 

「ポルシェはまだコースインしたばかりだから、多分A1に入ってから仕掛けてくるだろうね」

 

「うん」

 

4台がA2からA1の折り返しを立ち上がり加速していく。

だが、ソアラがクルーズしている車を左からパスしようとした瞬間、前を行くテスタロッサが左車線に

寄りソアラを軽くブロックする。

 

「な?!」

 

その時を見逃さずポルシェが右からランサーを抜き、そのままソアラとテスタロッサの前に出た。

それを見ていた星野と鈴木のランサー。

 

「ありゃわざとだな」

 

「学園長はポルシェを先に行かせたね・・・ここからが本番だ」

 

ポルシェを先頭にテスタロッサ、ソアラ、ランサーの4台編隊でクルーズ車をかわしながら駆け抜けていく。

ポルシェとテスタロッサは互いが右へ左へ、先行しつつされつつ、まるでラリーを繰り返しているかの如く走っている。

土屋のソアラも隙をついて前に出ようラインを見定めるがテスタロッサに先にそのラインを潰されてしまい2台に割って入れずにいる。

 

「まだだ、子猫ちゃん。そうじゃない・・・見ろ!そして感じて考えろ!」

 

その走りに中嶋が驚嘆する。

 

「すごい・・・まるで相手の動きが、そしてこっちの動きも分かっているような走りだ・・・」

 

そう言い中嶋は土屋を見る。

土屋は黙ってドライブしているが、目つきがいつもと違う・・・何かを感じようと、すべての情報を逃さないようにしているように見える。

 

「そうか、今、学園長は何かを伝えている。土屋はそれを感じてるんだな・・・わかるよ、言葉じゃ伝わらない何かを・・・」

 

そう言うと、中嶋は咽頭マイクを握り話し出した。

 

「学園長ってさ・・・優しいよね~」

 

鈴木も咽頭マイクを握る。

 

「え?なんでいまさら・・・」

 

「あの時さ~・・・」

 

あの時・・・・。

 

大洗女子学園が廃校を宣言され、転校の振り分けが完了するまで旧小学校に居たあの時・・・。

晴れた日の午後・・・中嶋達が戦車の整備をしていると・・・。

 

「中嶋さん・・・」

 

名前を呼ばれて中嶋が振り向くと、そこに、ある女生徒が立っていた。

 

「あれ?秘書ちゃん?」

 

彼女は学園長の秘書を担当している女生徒で、自動車部の通称は「秘書ちゃん」である。

彼女は振り向いた中嶋を少し怒ったように見ていた。

 

「どう・・・したの?」

 

あれ?わたし何かしたかな?と中嶋が思っていると突然・・・。

 

「わたし・・・」

 

そう言った瞬間、中嶋に抱き着き、彼女は言った・・・。

 

「わたし・・・悔しい・・・悔しい!」

 

彼女はそう言い、中嶋の背中をギュッと掴み、堰を切ったように泣き出した。

 

「え?!ちょ・・・」

 

中嶋が面食らっている所に星野たちが集まって来た。

 

「おいおい・・・なにやらかしたんだ中嶋・・・」

 

「素直に謝った方がいいよ中嶋・・・」

 

「ヒューヒュー!」

 

中嶋は手をわちゃわちゃしながら。

 

「え?!いやいやいや!何もしてないって!っていうか、秘書ちゃんどうしたの?悔しいって・・・泣いてちゃわかんないよ?」

 

そう言い、泣いている秘書ちゃんの肩を掴み身体から離す。

 

「ごめんなさい・・・でも・・・悔しくて・・・わたし・・・」

 

また泣き出しそうになる秘書ちゃんをなだめて、とりあえず置いてあったペール缶に彼女を座らせて話しを聞く自動車部の面々。

 

「実は・・・午前中に、学園長と文科省に行っていたんです」

 

文部科学省 学園艦教育局

 

「何か御用でしたか?イシダさん」

 

薄暗い部屋で机の上に肘をつき、鼻の下で指を組んでいる眼鏡を点けた男性。

学園艦教育局長 辻廉太は抑揚のない声で前に立っているイシダに言った。

 

「はい・・・あの・・・もう少し、待っていただけませんか?大洗を廃校にするのを」

 

辻は少し顔を上げ、軽くため息を吐いた。

メガネにはイシダの顔が映り込む。

 

「イシダさん、先日そちらでお話ししたとおり、すでに決定した事です。そして貴方には次の学校の学園長になっていただく事になっています。もう辞令も届いているはずですよ」

 

「そこをなんとか・・・せめて三月まで、何とかできませんか?」

 

「廃校の件は決定しているんです。ご理解ください」

 

「なら・・・」

 

イシダは内ポケットから「辞表」と書かれた封筒を出し、辻の机に置いた後、深緑色のカーペットに膝をつき、土下座をした。

 

「わたしのクビと引き換えに!どうか三月まで待ってください!せめて・・・今の三年生が卒業するまで!」

 

額をカーペットに擦り付けて懇願するイシダ・・・。

扉の外で待っていた秘書ちゃんにもその声が聞こえる。

 

「頭を上げてくださいイシダさん。あなたもいい大人でしょう、子供のように逆らってはいけませんよ」

 

まだ頭を下げているイシダに止めを刺す辻。

 

「イシダさん、我々も可能な限り善処したんです。ご理解ください」

 

辻は「辞表」をゆっくりと破りそう言った・・・。

扉の外でまっている秘書ちゃんは、ドアノブがガチャリと動くのを感じてドアの方を見ると、イシダが出てきた。

イシダは乱れた頭を掻きながら・・・。

 

「いや、ははは・・・駄目だったよ・・・」

 

秘書ちゃんはイシダのスーツの膝、肘にカーペットの屑が付いているのを見つけ、手を自分の口元にやった・・・。

 

旧小学校跡

 

秘書ちゃんの横にしゃがみ込んでいる中嶋。

 

「そんな事が・・・」

 

「・・・くそ!」

 

話を聞いた星野が軍手を地面に叩きつけた。

鈴木は秘書ちゃんの前に来てしゃがみ、秘書ちゃんの手を両手で握り、土屋は大きなスパナを持ちながら眉間に皺を寄せて地面を見ていた。

中嶋は三式を見ながら、思い出したように話し出す。

 

「ねえ、あの三式さ、学園長が『また潰されたらかなわないって』言って通勤用に買った物らしいんだけど、生徒会に接収されちゃってさ・・・あれ・・・ワザとなんじゃないかなって?」

 

「え?」

 

「結局置いたまま乗ってなかったみたいだし・・・実は、少しでも戦力なればって置いてくれたんじゃないかなって思ってるんだ~」

 

星野が頷く。

 

「そうかも・・・いや・・・きっとそうだ!」

 

鈴木は秘書ちゃんの手を握りながら。

 

「でも・・・このままじゃ・・・」

 

「・・・」

 

一同がうつむく中、中嶋が言う。

 

「いや・・・まだ何かあると思うよ。会長は戦車を守った。なら・・・今うちらに出来るのは、こいつ達をきっちり整備して、いつでも出せるようにする事なんじゃないかな?」

 

一同が中嶋を見てうなずいた。

 

「ああ、そうだな!」

 

「うん!」

 

「いっぱい練習して、いっぱい整備するもんねー!」

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