ガールズ&パンツァー Each of the everyday 作:メトロポリスパパ
A1に入り、ソアラを抑えつつポルシェを射程に入れ続けるテスタロッサのイシダ。
「ハァ・・・ハァ・・・本当にそっくりだな・・・お前はブラックバードに・・・あの時の事を思い出すぜ・・・」
あの時・・・。
ブラックバード、レイナのR、そしてアキオの乗る悪魔のZと走ったあの時を・・・。
オレは死んでもいいと思っていた。
オレの身体はガンに侵され
どの道、先は長くない・・・今手術すれば助かるとブラックバードは言ったが・・・
オレには無理だった・・・リハビリを含めて半年の間、Zと走る事が出来ないなんて・・・。
今・・・今こうしてZと走っている時だけが生きている事を感じられる・・・
オヤジ・・・なあオヤジ
アンタには一瞬でもこーゆう時があったかい?
ずっとキライだったんだアンタが・・・
ろくな学歴もなく、いつも工場で油にまみれていた
酒も女遊びもせず
毎日朝早くから何十年も同じ工場に通い続けたアンタ・・・
アンタがガンで死んだあの日も
オレは朝まで大騒ぎしてた
キラキラした街でうまい酒と
キラキラした女たちと大さわぎさ
「ヨシアキ・・・お前のために。お父さん毎日貯金してたのよ少しずつ・・・ヨシアキはやくざな仕事を選んだから、いつ食えなくなるかわからないからって・・・」
少しでも
”少しでもヨシアキのためにって・・・”
オレは間違っていたのか
オレが手にしたかったものは
こんな惨めな気持ちだったのか・・・
そしてZは・・・俺とブラックバードをかばい、パス出来たはずのトラックに突っ込んで大破した・・・
その時・・・Zはオレに「生きろ」と言ったような気がした
・・・死にたくない
まだ死にたくない
もっとみんなと走りたい・・・
そしてブラックバードと病院に行き
手術は成功し余命は伸びた
でも駄目だった・・・
俺の悪い癖だ・・・俺はいつだってこうなのヨ
楽しいコトがガマン出来なくて気が付けばどんづまりだ・・・
身体はとても走りに耐えられるものじゃなくなっていたのさ
オヤジ・・・
オレは間違っていた
どうしてもっと早く病院にいかなかった
オヤジもそうだ
どうしてずっと痛みをこらえて仕事を続けた
どうしてオレなんかのために・・・
オヤジ・・・Zはそれを教えてくれたよ
生きる事の代償としてZと走ることは出来なくなったけれど
今ならわかる
オヤジの生きた意味が
アンタが何かを残そうとしてくれたように・・・
オレにも残したいものが出来たよ・・・。
ポルシェの前にZのテールランプの幻影が見える・・・。
「ハァハァ・・・Z・・・もう少しの間オレに力をくれよ・・・たのむよ・・・さあついて来い子猫ちゃん達!あの時の走りを見せてやる!」