ガールズ&パンツァー Each of the everyday   作:メトロポリスパパ

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案内役のエリカを乗せた中嶋のドライブする512TRとソアラが黒森峰アウトバーンを走る。
そして・・・。


黒森峰MIDNIGHT【ACT.2 黒森峰アウトバーン】

空港を出た中嶋とエリカの乗る512TR。

それに付いて行く星野、土屋、鈴木の乗るソアラ。

2台はエリカの案内で空港から最寄りのランプへ向かった。

エリカが指を差し中嶋に指示をしながら説明をする。

 

「ほら、あそこに橋と、その下を通る道路の絵の標識が有るでしょう?あれがアウトバーンの看板よ。看板の指示通りに走ればアウトバーンに乗れるわ」

 

「わかったよ、エッちゃん」

 

《黒森峰アウトバーン》

学園艦を一周する高速道路で、オーバルに近い形になっており、左舷側は片側3車線、約15kmのフラットな直線道路。

右舷側は艦橋から後方は片側2車線でアップダウンとコーナーが有る山間道路。

前後終端部の右舷側、左舷側を繋ぐのは大きい高速コーナー。

外回り左舷側が「A1」外回り右舷側が「A2」

内回り左舷側が「B1]内回り右舷側が「B2」となっており、A2、B2の艦橋辺りからA1、B1になるまでのテクニカル部分は速度規制区間である。

そして、このアウトバーンは原則無料で走る事ができ、左側通行である。

 

「エッちゃん、あそこを右折してランプに乗ればアウトバーンだね!」

 

「そうね、A1に乗るわね」

 

高架をくぐり右折する512TRとソアラ。

2台はランプを登り、加速レーンをきっちり加速し流れに乗った。

とりあえず130km/h辺りで真ん中のレーンを走行してみる。

土曜日の午前中ではあるが、交通量はそれほど多くは無い。

たまに、ベンツやゴルフが右側から追い抜いていくが、その後ちゃんと走行レーンに戻っていく。

一番右は追い越し専用としてルールが徹底されているようだ。

路面の状態も悪くない。

中嶋はご満悦のようである。

 

「いい道だねーエッちゃん」

 

「そうでしょう?こんな道路が有るのは、うちか、後はサンダース位よ」

 

鼻高々に自慢をするエリカ。

 

「エッちゃん、ここはA1だから規制は無いんだよね?」

 

「もちろん。規制なんか無くても黒森峰の人達はちゃんとルールを守るから安全なのよ」

 

「すごいね~羨ましいよ。ねぇ、エッちゃん・・・ちょっと踏んでいい?」

 

「えっ?ええ、いいわよ。私なんか200kmも出た車の横に乗ったことがあるんだから」

 

「へぇ~そうなんだぁ~」

 

中嶋は5速のまま徐々にアクセルを開けていく。

 

「お?中嶋のやつ踏み出したぞ、土屋」

 

ソアラをドライブする星野が気付く。

 

「そうこなくっちゃね~」

 

ニカーッと笑う土屋に後部座席から鈴木が言う。

 

「軽く様子見って感じじゃないかな?」

 

さほどの加速Gも感じずに、しかし確実に加速していく512TRとソアラ。

速度は200kmに達した。

前を走る車は左へ避けてくれる。

 

「エッちゃん!200kmだよ!」

 

「そ、そうね・・・これ位は・・・普通よね・・・」

 

「そうだよね~・・・」

 

中嶋は更にぐい~っとアクセルをいれた。

 

「ひい!」

 

恐らく真っ当に生活している人なら生涯感じる事の無い加速Gを浴びるエリカ。

230・・・240・・・250・255・260・・・。

右側の中央分離帯の植え込みがただの緑色の線になり視界が狭まる。

 

「ちょ・・・ちょっと・・・ちょとぉーーー!」

 

「え?なに?エッちゃん」

 

「そ、そろそろ・・・そろそろカーブが・・・」

 

「あ~たしかA1からA2に行く高速コーナーだね」

 

240km程度を維持しながらコーナーに入っていく2台。

何時もなら、殆ど直線のようなコーナーが今はとても急なコーナーに感じるエリカ。

シートの左側へ身体を押さえつけられ、意識が遠のいていく・・・。

薄れゆく意識の中、中嶋を見ると、軽く修正蛇を当てながら鼻歌交じりである。

ああ・・・わたし・・・ここで死ぬんだ・・・。

そんな錯覚に襲われた所でコーナーが終わり、2台は減速する。

 

ああ・・生きてる・・・。

 

ぐったりとしたエリカが生の喜びを感じている所で中嶋が言った。

 

「ごめんねエッちゃん。様子見だからあんまり踏まなかったよ」

 

エリカの中で・・・何かが切れた音がした・・・。

 

「あんた達スピード出しすぎよ!殺す気?!」

 

「あれ?怒ってる?様子見のつもりだったんだけど・・・ごめんね!今度エッちゃんのティーガーⅡも整備するから・・・許して」

 

テヘペロっとする中嶋に、ぐぬぬ・・とするエリカ。

 

「もう・・・安全運転で頼むわよ・・・」

 

「了解であります!副隊長殿!」

 

敬礼をしてニカッと笑う中嶋・・・だが。

 

「でも・・・本番は・・・今じゃぁないんだよな・・・」

 

そう言うと中嶋は、今度は不敵な笑みを浮かべた・・・。

 

夕方・・・黒森峰女学園戦車道整備科の一角。

 

アウトバーンを一通り回った自動車部は整備科の一角を借りてソアラのセットアップをしていた。

そこへイシダが一人でトボトボとやってきた。

 

「やぁ・・・子猫ちゃんたち、調子はどうだい?」

 

「あ、学園長。黒森峰の学園長に挨拶に行ってたんですよね?どうでした?」

 

中嶋の質問に頭を掻きながら答えるイシダ。

 

「いやぁ・・・まいったよ・・・チョビ髭七三のおっさんに延々と自慢話を聞かされてね。挨拶なんか行くんじゃなかったよホント・・・」

 

「はははは・・・・」

 

苦笑いする中嶋がイシダに言う。

 

「512の点検は終わってますよ」

 

「ああ、ありがとう。んじゃ、ちょっと一周回って来るよ。そのまま帰って来ないで何処かで寝てるから、また夜に合流しようか」

 

「わかりました」

 

イシダは512TRに乗り行ってしまった。

 

「中嶋~こっちも点検完了したよ」

 

鈴木が中嶋に報告する。

 

「わかった~、んじゃ夜まで仮眠しますか」

 

「眠れるかな~?ワクワクするなー!」

 

「土屋、お前がドライバーなんだから頼むぞ」

 

星野が檄を飛ばす。

 

「二ヒヒ!まかせといて!」

 

午前0時・・・。

 

整備科に西住まほがやってきた。

自動車部の面々は既に準備を終えている。

 

「やあ、例の奴を持ってきた」

 

まほはパスケースに入ったカードを中嶋に手渡した。

 

「まほちん、ありがとう。これがあれば朝まで無料で走れるんだね?」

 

「そうだ。そのカードの期限は無期限だから、好きな時に来て、好きなだけ走るといい。イシダ学園長にも渡してある。ただし、あの時間に、あのゲートをくぐった瞬間、そこからはすべて自己責任になる。何がおきても保証するものは無い・・・そう思ってくれ・・・」

 

星野が不敵な笑みを浮かべる。

 

「へへ・・・上等」

 

黒森峰アウトバーンは・・・土曜日の、正確には日曜日の午前0時から午前5時までの間だけ、A1とA2がサーキットになりすべての制限が解除される。

ニュルブルクリンクと同じようなシステムであるが、A2のテクニカルセクションに入る手前にゲートが有り、一周するごとにそこで一度停止してパスチェックと料金の支払いをする。

パーキングやサービスエリア、ランプはゲート直前にあるパーキングとランプを除きすべて閉鎖される。

そして、そこで起きたアクシデントは犯罪を除きすべて《自己責任》である。

中嶋はイシダに電話を掛ける。

 

トゥルルル♪トゥルルル♪

 

「はい~」

 

「学園長、私達も今から上がりますが、そっちはどうですか?」

 

「あ~もう絶好調、今すぐ走り出してもいいくらい。今はパーキングだけど、先にゲート抜けとくよ」

 

「わかりました~」

 

自動車部が円陣を組む。

 

「土屋、頼んだぞ!学園長に勝って部費をゲットして、来年も戦車道を続けられるようにな!」

 

「よっしゃー!絶対負けないもんねー!」

 

「よし!いくぞ!」

 

「おーー!」

 

4人がソアラに乗り込もうとしたが、まほが呼び止める。

 

「お前達・・・気を・・・付けてな・・・」

 

「ありがとう、行ってくる」

 

中嶋が親指を立てる。

 

土屋がドライブするソアラが整備科の作業場から出て行く・・・それを見送るまほであった。




次回
黒森峰MIDNIGHT【撃墜】
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