ガールズ&パンツァー Each of the everyday   作:メトロポリスパパ

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自動車部のソアラと学園長の512TRとの高速バトルが始まる!



黒森峰MIDNIGHT 【ACT.3 撃墜】

自動車部の4人を乗せたソアラは、ランプを登りパーキングに入る。

車を停めて最終チェックの為4人が降りる。

パーキングには30台以上居るだろうか・・・フェラーリ、メルセデス、ランボルギーニ等の外国のスーパーカーに、スカイラインGT-R、フェアレディZ、スープラ、NSX等の国産スポーツカー。

半数以上は「雰囲気組」と呼ばれる車ばかりのようだが、よく見ると、雑誌や映像で見たことが有るような車や、実走セッティングに来ているのであろう、チューナーと思われる人物がノックアンプ用のヘッドホンを首からぶら下げ、ひざ元にノートPCを置き燃調マップと睨めっこをしている。

中嶋が辺りを見回し言う。

 

「いいね~・・・この雰囲気」

 

星野も頷く

 

「ああ・・昼間のサーキットとは違う感じだけど、いいな」

 

鈴木はキョロキョロしながら

 

「学園長は居ないようだね・・・」

 

「とっくに出てるみたいだね、よし、軽くチェックして、うち等も出よう」

 

中嶋の一声で各自がエンジンルーム、下回りの目視確認、タイヤ空気圧、ホイールナットのチェックをする。

 

「オールOK!」

 

「よし土屋、頼むぞ」

 

「よっしゃー!」

 

星野、鈴木は後部座席に座り、中嶋は助手席へ、そして土屋が運転席のバケットシートに体を沈める。

全員がフルハーネスの4点ベルトを装着。

 

「いいね、よし行こう」

 

土屋がクラッチを切り、多板クラッチ特有のシャラシャラ音が鳴り響く。

1速にシフトを入れクラッチを繋ぐ。

クラッチの音が止まり駆動が伝わり動き出したソアラ。

右にハンドルを切って、駐車スペースから出る。

デフからはゴキン!ゴキン!ゴキン!と機械式LSDの音がする。

リアタイヤを引きずりながら出ると、ゆっくりとパーキングを出てチェックゲートに向かった

高速道路の料金所のようなゲートに入り、パスカードを見せる土屋。

ゲートの先に警官だろうか?こちらを見ている。

基本的に公道を走れる車ならキャンピングカーでも走行OKであるが、危険に見える車や人間は止められるのだろう。

 

「OKです、お気を付けて」

 

「ありがとうございます」

 

カードを返してもらい、クラッチを繋ぎ加速していくソアラ。

2速・・・3速・・・4速と繋ぎ本線合流!

5速に入れ、150km程で左レーンをまずは巡航する。

中嶋はノートPCを開きデータを見る。

 

「油温、水温、油圧、負圧、排気温、燃圧、A/F、今の所OKだね」

 

「わかった」

 

「ここから先はしばらくテクニカルな高速ワインディングだからこの区間で足の調子を見ようか」

 

「あいよ!」

 

3速~4速の高速ワインディングをテールをスライドさせケツで曲げていく土屋。

土屋は若干てこずっているようである。

 

「やっぱ頭が重いよ、初期の応答はいいけど、その後直ぐにアンダーが出るね、でもトルクが有るからアクセルで曲げるのは楽だよ、足自体は悪くないと思うけど、リアのトラクションはもっと欲しいね」

 

「流石に・・・ちょっと、でかすぎたね・・・」

 

中嶋、星野、鈴木の卒業課題として制作した直列6気筒、5リッターエンジンであったが、ノーズの長いソアラですらギリギリで載っているような状態である。

ここ半年くらいは戦車のエンジンばかりいじっていたせいで感覚がおかしくなったか・・・。

ワインディングを抜け右高速コーナーを折り返しA1へ・・・。

4速でコーナーを立ち上がるソアラ。

7500rpmで5速にシフトし6000までドロップ。

ここからはパワー勝負である。

中嶋はヘッドホンを装着しノッキング音を聞きつつA/Fと燃料マップ、点火マップを見ている。

シャシーダイナモで高回転高負荷時のセッティングはしているが、あくまで暫定。

本当の空気の壁、本当の負荷を与えてのセッティングは大洗では出来なかったので、ここでやってしまおうという

事だろう。

クルーズしている他の車を右へ左へパスしながら徐々に加速していくソアラ。

鈴木が後部座席から指をさす。

 

「おい、土屋!あれ学園長じゃないか?」

 

赤いフェラーリ512TR、学園長だ。

 

「250クルーズを追い上げてくるのが居るな・・・来たな子猫ちゃん」

 

追いつかれる前にアクセルを入れ臨戦態勢に入るイシダ。

512TRがリアを沈めながら加速していく・・・。

ソアラは他の車をパスしながら512TRに追いついていく・・・。

星野が中嶋に確認する。

 

「射程に捉えた、中嶋!どうだ?」

 

「今、燃料と点火を追い込んでる!実馬力ならソアラの方が有る筈だよ!」

 

だが・・・土屋と鈴木は厳しい顔をしていた。

土屋が訴えるように言う

 

「やっぱ重いよ!しかも4人乗車!」

 

鈴木も言う。

 

「パワーは上でも、圧倒的に512の方が軽い、見てよあの動き・・・ていうか・・・あれは、学園長なの?!」

 

まだ早い時間帯で、雰囲気組が多く、なかなかクリアが取れないが、学園長はヒラヒラと車をかわしながら250~280でクルーズしていく。

それに必死で付いて行くソアラ。

まるでこの道を走り慣れているような・・・ここの走り方を教えてやる・・・そう言わんばかりの走りをする学園長。

 

「手ごわいね・・・こりゃ・・・」

 

中嶋に焦りの表情ががみえる・・・。

土屋は学園長が作ってくれるリズムに合わせて必死で付いて行くが・・・土屋は後ろからのプレッシャーを感じてミラーを見た。

 

「後ろ!・・・速いの来てない?!」

 

「?!」

 

中嶋達が振り向くと、車線を目いっぱい使いながら徐々に接近してくる車を見つけた。

丸目の二灯の車?・・・なんだろう?

ぐんぐんと追いついてくるその車・・・・。

イシダも、速いのを確認した。

 

「速いな・・・しかし・・・あの走り方・・・」

 

初めての場所で知らない筈なのに、自分はその走りを知っている・・・そんな錯覚を感じたイシダ・・・。

もうすぐA2への折り返しが近い!

その瞬間、前方がクリアになる・・・。

星野が叫ぶ

「土屋!クリアになる!スリップに入って!コーナー飛び込みで勝負だ!」

 

512TRにソアラがビタりと付ける!

 

が・・・。

 

280で行くその二台の横を抜いて行く車・・・・。

4人の視線が一点に集中し、世界が一瞬スローモーションになる。

 

「ポルシェ・・・964・・・ターボ・・・」

 

中嶋は、そう言った・・・。

 

真っ黒なそのポルシェはソアラをスリップを使わず抜いて行く。

排気で真っ赤になったタービンが2個、マフラー辺りから見える。

イシダもミラーでそれを確認している。

イシダの横に並ぶポルシェ。

 

「ブラックバード⁈」

 

2台があっけにとられている間に、その真っ黒なポルシェはチョンとブレーキランプを光らせコーナーに進入していく。

呆気にとられたせいでソアラは512TRをパスする事が出来ず、512が先にコーナーに入っていく。

ズル、ズルっとソアラはアウトへ膨らむが、土屋はステアを拳一つくらい素早く入れて姿勢を変える。

テールをスライドさせながらソアラを曲げる土屋。

しかしこれ以上踏む事が出来ず離されていく・・・。

土屋が悔しがる・・・。

 

「ちっくしょー!」

 

イシダもポルシェに付いて行こうとするが、若干のテールスライドでトラクションを駆けながらビタッと安定させ曲がっていくポルシェに離されていく・・・。

 

「吊るしじゃ無理か・・・でも居るんだよな、こういう場所には、本物の”竜”が・・・それにしても・・・似てるな、アイツに・・・」

 

A2への折り返しコーナーを立ち上がる頃にはポルシェは遥か先に居た。

 

「子猫ちゃん達は降りたか、これ以上は意味が無い・・・」

 

イシダもアクセルを緩め降りた。

パーキングに入り車から降りたイシダ。

自動車部のソアラもパーキングに入って来て512TRの横へ停め、降りてきた。

中島達4人がイシダの元に集まる。

イシダは4人に言う。

 

「あやふやになっちゃったけど・・・どうする?もう一周やるかい?」

 

中嶋は首を横に振った。

 

「いや〜、今回はやめときます。自分達もまだまだなのも分かりました。それに、このコースやりがいありますよ!車もやり直しますんで、もし学園長が良かったらその時にもう一度リベンジさせてください」

 

「分かった、おじさんも、もうホテルに戻るよ。気を付けて戻るんだよ」

 

「わかりましたー」

 

イシダは車に乗り込みパーキングを出てランプを降りた。

 

「子猫ちゃん達、ポルシェの事は一言も言わなかったな・・・だがあの目・・・見てしまったもんな、本物の竜を・・・既に俺の事は眼中に無い感じだった・・・俺は知っているよ、その目を。そうなったら後戻りは・・・無いって事を」

 

イシダは一抹の不安を感じながらホテルへ戻った。




次回
黒森峰MIDNIGHT 【ポルシェターボ ACT.1】
よろしくお願いします。
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