ガールズ&パンツァー Each of the everyday 作:メトロポリスパパ
黒森峰学園艦
日が落ちた頃・・・。
『RSfactory』代表のオオタリカコは、工場のエンジン室でエンジンを組んでいると、外に車が2台停まる音がした。
バタンバタンと車のドアが閉まる音がして工場の鉄扉から4人の女性が顔をのぞかせる。
「こんばんは!リカコさん」
挨拶の主は大洗女子学園自動車部部長の中嶋であった。
リカコは窓越しに手をヒラヒラと振りながらエンジン室から出てきた。
「やあ、いらっしゃい。車・・・出来たんだね」
「はい、まだ最後の実走セッティングが残ってますが、今日はそのために来ました」
「そっか、よかったら工場に車入れなよ」
「わかりました~」
工場に入れられたソアラを眺める自動車部の4人とリカコ。
ホワイトとシャンパンゴールドのツートンカラーのボディー。
右のヘッドライトにはタービンに新気を送るダクトが開けられ、フロントのエアロバンパーには開口部一杯のインタークーラー、その左右に丸いフォグライトが埋め込まれている。
ボンネットにはエア抜きのダクト、控えめなサイドステップ、リアトランクには小ぶりなダックテールのスポイラー。
一見ノーマル然に見えるフェンダーは綺麗に叩き出されており、そこにパナスポーツG7-C5Cが収まる。
室内はダッシュ貫通の8点式のロールケージ、リアシートは取り除かれ2名乗車仕様。
運転席と助手席のフルバケットにはウィランズのフルハーネス4点ベルトがぶら下がっている。
リカコは外観を一通り眺め
「・・・これが君達の”竜”なんだね」
「はい」
「エンジン・・・見せてもらっていいかな?」
「はい、どうぞ」
大洗の4人はテストでも受けているかのような表情でボンネットを開ける。
エンジンルームのど真ん中には7MーGエンジン。
そのエンジンの向かって右にはワンオフのアルミサージタンクと6連スロットル。
スロットルとヘッドの間には大容量インジェクターとデリバリーパイプが収まる。
左側には三菱重工製TD06-19Cタービンが2基収まり、奥の方にはうねったワンオフのエキマニとウエイストゲートが見える。
ストラットタワー等、ボディー各所にはスポット増しがしてある。
「06ツインか・・・渋いチョイスだね。うん・・・いい仕事してる」
「ありがとうございます!」
「いい仕事してるってさ、私のボディー」
「違うだろう、やっぱあたしの手曲げのタコ足とサージタンクが・・・」
「足回りだって負けてないもんね!」
リカコはもう一度タービンをのぞき込む。
じ・・・っとタービンを見た後、突然エンジン室に走り出した。
「あれ?なんだろう?」
4人が首をかしげていると、ノートを一冊持ってこちらに戻って来た。
「ねえ!このタービン・・・何処で手に入れたの?」
「これは・・・」
中嶋は「北見サイクル」なる自転車屋からバイト代として頂いた事を説明した。
「北見の・・・おじさんから・・・」
中嶋は不思議そうな顔で質問する。
「北見さんを御存知なんですか?」
リカコは、ふぅ・・・と息を吐き話し始めた。
「そのタービンはね、元は、北見のおじさんが作ったS30Zに積まれていた物だよ」
リカコはノートをめくり4人にメモを見せた。
「ほら、このシリアルナンバー、そして北見のおじさんから貰ったなら間違いないよ。このタービンは”悪魔のZ”に積まれていたタービンだよ」
「悪魔の・・・Z」
自動車部の4人が顔を見合わせる。
「L28改3.1ツインターボ。キャブターボで600PSオーバー、湾岸を200マイルで駆け抜ける伝説のS30Zだよ。その車を作ったのは地獄のチューナーと呼ばれた人で、名前は北見淳。悟子ちゃんが知ってる人だよ」
「ええ!あの人が?!」
中嶋は自転車屋には不釣り合いな工具達を思い出す。
「だから・・・か」
星野が質問する。
「あの・・・なぜ、”地獄のチューナー”なんて名前なんですか?」
リカコは少しうつむき加減に答える。
「おじさんの作る車は・・・速すぎたんだよ。おじさんの作った車で何人の最高速ランナーが命を落としたか・・・そしてその、地獄のチューナーが作った最後のL型・・・それが・・・」
リカコは工場の奥を指を指す。
その指した指の先にはカバーを掛けられた車が1台・・・。
「悪魔の・・・Zだよ」
次回
黒森峰MIDNIGHT 【ACT.6 悪魔と言われたZ】
よろしくお願いします。