「おお!見るからに美しい!」
「気持ち悪いからちゃん付けすんな!」
探偵社にて。坂口安吾は見事に捕縛されてしまい、縄に縛られたまま抗議をしていた。
それもそのはず、先ほどまで彼女は泣いてクレープを食っていたのだ。
「オレのクレープ!」
「お前はよくもうちの部下に脱がせてくれたな」
「あれはからかいなんだって」
「お前の能力はなんだ!」
わあこの人怖い。
坂口は、口籠り、太宰をみる。
「なあ、太宰治」
「なんでしょう?」
「なんかこいつにやってほしいことあるか?」
「うーん、それではまず一緒に自殺を……」
「それ以外は?」
「うーん、給料の半分を、私に献上、というのはどうだろう」
その額ナレーターにもください。
…………できるわけないか。
坂口はなんかを待っていたかのように、能力を発動した。
「異能力。堕落論」
国木田の目の色が消えた。
「国木田独歩は給料の半分を太宰治に献上する」
すると、国木田独歩は自分の机を漁り、通帳を取り出して、太宰治に通帳と印鑑を渡した。
「ありがとう国木田くん!」
「はっ!?なんで俺は渡したんだ!返せコラッ!」
国木田が怒鳴りまた強奪。
この能力はお願いが達成しても終わってしまう。
「ごめんごめん。でも、今ので異能力がわかったよ」
「なんだと?」
「僕もだいたいわかったけどねー」
「あ……俺も……」
「異能力。堕落論」
そして国木田の目の色が消える。
「オレの縄を解け」
「独歩吟客!短刀(ナイフ)」
「ありがとさん」
「またなんで俺がこんなことしてんだ!」
「国木田くん。彼女の能力は人を従わせる能力だと思っていい」
「それだけじゃないけど。まあいいか」
坂口は探偵社の入り口の目の前に仁王立ち。
「探偵社のやつらあ!よくもやってくれたなあ!」
と、怒鳴ると、探偵社のやつらが、構えた。だが生憎この女は戦うつもりなんて毛頭ない。
「オレのクレープの恨み!バーカバーカ!」
バタン。
扉を普通に閉めて帰って行った。
扉を閉めて出て行ったはいいが、ここがどこかわかっていない。彼女は極度の方向音痴。ただ帰巣本能はしっかりとしていて、必ず家に帰れるという……。
「オレのクレープ……。金ないからバイトしなきゃいけねえのに。探偵社めえ。逃げる時クレープ落としたじゃねえか」
なけなしの銭で購入したクレープを、びっくりして落とした。
「私は泉鏡花。お姉さんも異能力者の匂いがする」
「オレは異能力者じゃないんで」
きっぱり。
面倒ごとになりそうなことには極力避けていく。それが彼女のスタイル。