インフィニット・ストラトス - 二人の男性操縦者 作:白崎くろね
1.入学
「みんな揃ってますねー。それじゃあ
黒板の前に立っているのは、クラス副担任の
山田先生は背が低く、顔つきはやや童顔。掛けている黒縁眼鏡がなければ、おおよそ教師には見えない幼い容姿をしている。まあ、その大人っぽく見せる眼鏡も少しズレているのだが……。
そんな山田先生の特徴を他に挙げるとすれば、彼女が見た目に似合わぬ巨乳であることだろうか。たしか、こういう人のことを"ロリ巨乳"と呼ぶらしい。
うん、かなりどうでもいいな。
「それでは皆さん、これから一年間よろしくお願いしますね」
その言葉に反応する生徒はいない。だからといって、俺が反応するのも面倒なので、先生には緊張感に包まれた教室での進行をそのまま頑張ってもらうことにしよう。頑張れ、先生。
「えっと、自己紹介をお願いします……出席番号順で」
さて。ここまでくれば、察しの悪い人間でも理解できるだろうか。今日は学校の入学式で、記念すべき最初のSHRだ。
この学園は"
(……これは、なんというか、想像以上に辛いな)
全員の突き刺すような視線が辛いし、隣に座っている金髪ロングヘアの女生徒がじっとこちらを見ているのも辛かった。
「
「は、はいっ!?」
織斑一夏と呼ばれた"男"が、驚いたような声を上げる。その様子に、周りはくすくすと笑い声を上げ、織斑は居心地悪そうに肩を縮こまらせていた。
その影響で、俺を見る視線の数は大分減ったように思える。まあ、隣の視線は常に俺を見てるんだけどね?
「ご、ごめんなさいっ。驚かせちゃったかな? ゴメンね? でも、自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」
とても教師とは思えない弱腰で、山田先生は織斑に自己紹介を促していた。新米教師なんだろうか。というか、実は年下だったりして。ありえないけど。
ペコペコと頭を下げる弱腰な山田先生に対して、織斑は困ったように返事をしていた。
「あの、そんなに謝らなくても……ていうか、自己紹介しますから、落ち着いてください」
織斑はその場で立ち上がり、後ろを向いた。そんな織斑へ視線が一斉に集まり、困ったように頬を掻きながらも自己紹介を始めた。
「えー、えっと……織斑一夏です。よろしくお願いします」
……実に簡素な自己紹介だった。妥当なラインだろうな……と俺は思ったのだが、他の生徒は違うみたいだ。彼に向ける視線は『もっと喋ってよ』と言いたげなもので、流石の織斑も困っている様子。
だが、意を決したのか、織斑は深く息を吸い込んで溜めをつくり、
「以上です」
っておい! 自己紹介を続けるんじゃないんかい! ほら、見ろ! 周りもガッカリして肩を落としてるじゃねぇか。
そこへ、何者かが静かに近寄ってきていた。気配もなく、音もなく。意識していなければ見落してしまいそうなほどの。そして、その人物は――
織斑の頭を出席簿が叩いた。それは見事な音が鳴り響き、教室に響き渡る。
「げぇ、関羽!?」
「誰が三国志の英雄だ、馬鹿者」
トーンの低い声。滲み出る気迫は尋常じゃない。俺は一瞬でその人物が並々ならぬ人物であると察してしまう。
あの人にだけは逆らうべきではない、そう直感が告げているのだ。
「あ、織斑先生」
「ああ、山田君。クラスの挨拶を押し付けてすまなかったな」
先程の気迫はどこへやら、優しげな声色で山田先生に謝っている。たぶん、この人がこのクラスの担任だろう。
「諸君、私が
それはまるで軍隊式の挨拶だった。致命的なまで教師とは程遠い存在。
……軍の教官にでもなれよ。
と、俺は思っていたのだが……周りは違うことを思っていたようで、騒がしいまでの黄色い声援が教室中に響き渡る。
「本物の千冬様よ!」
「ファンです!」
「わたし、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北海道から!」
「きゃーー! お姉様のためなら死ねる!」
「抱いてー!」
……ああ、どこに行っても女子という生き物は騒がしいのだと改めて実感した。肝心の織斑先生は引き攣った顔をしていることに、誰も気付かないのだろうか。
「私のクラスにだけ馬鹿者を集めてるのか?」
頭を抑え、小声気味に言う織斑先生。……流石に同情した。
「お姉様! もっと、もっとよ! 罵って!」
「あーんっ! もっとキツく、躾けて~!」
あー、はいはい。この織斑先生が人気なのはわかりましたよ。だからさ、もう少し声のボリューム抑えような? な?
「で、だ。お前は挨拶も満足にできんのか」
「千冬姉、俺は――」
再度、出席簿が織斑の頭に振るわれた。
名字が一緒な時点で気になってたが、二人は姉弟だったみたい。織斑一夏の驚き様からして、事前に知らされていなかったと思われる。
「学園では織斑先生と呼べ」
「……はい、織斑先生」
そのやり取りが後押しになったのか、周りから次々と疑問の声が上がる。
「……え? あの織斑先生の弟?」
「ISが使えるのも弟だから……?」
「でももう一人いるわよね」
「もしかして、もう一人も家族が凄腕のIS操縦者なのかしら?」
勝手な推測が上がってるところ申し訳ないが、俺の家族にIS操縦者はいないんだ、悪いね。
いや、別に悪いとは思ってないけどさ。
……さて、ここで一つ。
この学園はIS学園と呼ばれるIS操縦者育成特殊国立高等学校だ。操縦者育成を目的とした教育機関であり、運営の責任などを日本国が負担している。ただ、協定というものがあるので、日本国が情報の独占を行うことはない。また、日本国は協定参加国が理解できる解決を行うことが義務付けられている。といっても、この学園がある土地は国家機関に属さない。という国際規約があるので、学園の関係者に対して一切の干渉が許されないというのが大まかな学園の実態である。
なぜ、日本国が負担しているかというと、インフィニット・ストラトスを製作者が日本人という理由に過ぎない。
「さて、SHRは終わりだ。と言いたいところだが、このクラスにはもう一人男性操縦者がいるんでな。ついでに挨拶しろ
「……うっす」
「ちゃんと返事をしろ」
「はい」
……まじか。自己紹介しない流れかと思ったが、見逃してはくれないみたいだ。
恨むぞ、織斑先生……。
「あー。紹介に預かりました深見
普通の高校生は入学時はまだ15歳だろうけど、残念なことに俺の年齢は16歳だ。今年の誕生日で17歳になる感じ。
何故、俺の年齢が皆よりも年上なのか、それは今まで男性のIS操縦者がいなかったせいでもある。本来であれば、二年生として編入するのが普通なのだが……何の知識もなければ、素人である男性が二年生になったところで意味がない。そういう理由で、俺は二年生ではなく一年生としてIS学園へと通うことになったのである。
……まさか、一年生を連続でやることになるとはね。それも留年したわけでもなく。いや、この場合留年って形になるのか……? ああ、くそ、ISに関わってしまったばっかりに。誰だよ、こんな兵器開発したのは!
……って、アレ? まだ皆が期待した目でこっちを見てるぞ……?
つまり、もう少し喋れと? 面倒だが、後で質問責めにされるよりはマシか。
そう考え、俺は質問を受け付けることにした。我ながら名案である。
「……あー。質問があれば三つぐらいなら答えるけど、質問あるか?」
「好みの女性はどんな人?」
「そうだなあ。特に好みがあるわけじゃないけど、敢えて言うなら……声が綺麗な人かな」
「兄妹はいるー?」
「姉が一人いる」
「恋人はいますか!?」
「…………いない」
おい、人によって深い悲しみを背負う質問やめろよ。彼女いない歴=年齢で悪かったな!?
「さあ、今度こそSHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作も半月で身体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉は絶対だ」
うわ、なんというスパルタ。
こんなんでやっていけるのかね……?
みなさん、はじめまして。白咲くろねです。
二次創作を書いて投稿するのは初めてになります。
……すいません、少し嘘です。といっても過去に台本形式で軽いSSを書いたことがある程度ですが。
なので、こんな感じの小説を投稿するのは初ということになりますね。
この作品のタイトルは「インフィニット・ストラトス-二人の男性操縦者」です。少し長いですが、最近のラノベ作品は名前がとにかく長いってことで許してください。
どうでもいいことですが、この作品を書こうと思ってから原作を買いました。
えっと、詳しくは活動報告などで書くと思いますが……「インフィニット・ストラトス-二人の男性操縦者」をよろしくお願いします!