インフィニット・ストラトス - 二人の男性操縦者   作:白崎くろね

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投稿から一週間。


7.対無人機

敵ISを吹き飛ばしたが、完全な沈黙には至らなかった。

 ゆっくりと立ち上がり、無機質な機体がオレを射抜く。

 意識のスイッチが切り替わった状態のオレには、脅威にすら思えない。だが、後ろで気絶している一夏を背にした状態では面倒だ。

 

「――セシリア、鈴。一夏を連れて離れろ!」

「アンタ何言ってんのよ! アンタも離れなさいよ!」

「そうですわ! ここは政府の部隊に任せて――」

「部隊の突入には数分程度かかる。だから、それまでの足止めをオレがやる」

「それならわたくしたちもやりますわ!」

「誰が一夏を退避させるんだよ。気絶してるやつを放置して戦うのか?」

 

 実際、一夏を放置した状態で戦えないこともない。それでも被弾しないとは限らないのだ。既に絶対防御が外れ、無力化された一夏が攻撃されれば死ぬこともありえる。だったら、誰かが一夏を運ばなければならない。

 

 ――警告! ロックされています。

 

 極太のレーザー攻撃を回避し、《瞬時加速》でもって間合いを一気に詰め、《単分子ブレード》で片腕を吹き飛ばそうとする。が、腕を蹴られ攻撃を逸らされてしまう。

 

 ――■■■ ■■■■■■■■■。

 

 ノイズで完全にダメになった警告メッセージが耳に届く。

 まさか、ジャミング波まで出してるのか?

 直後、至近距離でレーザーが放たれる。単分子ブレードを盾にし、軌道上から身体を逸らす。盾に使った単分子ブレードがバチバチと音を鳴らし、機能を停止させる。なんて威力だ。どう考えても競技規定違反の威力。

 

「後で加勢でも来ていいから、さっさと一夏を運んでくれ!」

 

 意識のスイッチが切り替わり、自分でも驚愕レベルの動きができるようになっていたが……一夏を守りながら戦うのは非常に辛い。それにオレ自身がコイツとサシでやり合いたいと思っている。高揚感に似た感覚がオレの全身を駆け巡っている。ああ、今なら何でもできるかもな――。

 

「やられるんじゃないわよ!」

「すぐに戻りますわ!」

 

 そう言って一夏を二人が連れて行ってくれる。

 これで心置きなく本気が出せる。

 正直、今のオレがどの程度動けるのかはわからない。が、コイツに勝つ程度なら問題はないはずだ。

 

「行くぞ、無人機。ジャンクになる覚悟をしな。つっても、無人機にはムリか」

 

 無人機――。何故かオレは相対する全身装甲のISが無人機であると理解っていた。

 シルヴァリオ・ヴォルフの武装であるマシンガンを呼び出し、敵ISへ向けて撃ち放つ。奇妙な駆動でマシンガンを回避していく敵ISに笑みが漏れる。

 

 所詮は無人機のガラクタ。人間のような知性がない……。

 

 撃ちながら瞬時加速で接近し、頭蓋であろう場所へ向けて回し蹴り。そこから零距離でのマシンガン。装甲が火花を上げるが、構わずに狙った箇所を射撃。抵抗するように放たれる蹴りやら殴りを細かい加速で後ろへ周り、回避。ピッタリとまとわり付くオレの機動に敵ISは完全について行けてなかった。

 

 ――トドメだ。

 

 片手で故障した単分子ブレードを呼び出す。故障した単分子ブレードは切れ味を失っているが、もう一つの機能は生きている。そもそも単分子ブレードの切れ味は加圧された水をナノマシンによって制御することによって切断力を発生させている。そこにはもう一つの機能が備わっている。それは超音波振動による振動機能だ。水の切断力と振動切断。それが単分子ブレードの機能である。そして、その振動機能は生きている。

 単分子ブレードを宙でクルっと回し、逆手持ちへと切り替える。そして、マシンガンの攻撃によって開けられた穴に単分子ブレードを突き刺し――振動機能を作動させる。

 

 ギュィィィィンン――ッ!

 

 耳を塞ぎたくなるような高音がアリーナ中に響き、ISコアのある中枢へと到達する。

 無人機であっても、ISコアを貫く勢いで攻撃をされてはひとたまりもない。どうせなら、ISコアごと破壊しても良かったのだが……後で学園側が調査することを考えればやめておいた。面倒なことで怒られたくないしな。

 というか、この時点で怒られるんだろうなあ……。

 

 それにしても――オレの身体はどういう仕組みなんだ? この身体能力といい、瞬時に判断が下される思考。まるで訓練された軍人のようで――

 

 瞬間、記憶にない情報が濁流のように流れ込んできた。

 

 

 ◆

 

 白い研究室のような場所に立っていた。

 目の前の男が目覚めたばかりの■■■■■■に話し掛けてくる。

 

 ――■■■■■■。試■ナンバー、■-0002。

 

 それが自分の名前であり、識別番号でもあった。

 

 ――お目■めかな、■■■■■■君。

 

 再度目覚め、また別の男が■■■■■に話し掛けてくる。

 男は後ろにいる人物を見せ、紹介をする。

 

 ――■■■■■試■体、■■■■■。

 

 その人物は少女だった。年端もいかない少女で、身体は痩せている。

 銀の流れるような銀髪に、赤い瞳が特徴。しかし、片目は輝く黄金の瞳が綺麗だった。

 ……■■■■■■は少女に見覚えがあっ――なかった。その少女のことを■■■■■は知らない。

 

 ――今日から、彼女の面倒を見てあげてくれ。

 

 男がそう言うので、仕方なく頷く。

 所詮は■■■■■試■体の一人だ。逆らえるわけもなく、そうする理由もない。

 

 ――よろしく、■■■ちゃん。

 

 ■■■■■■が言うと、少女は小さい声で返事をした。

 

 ――よろしくお願いします、お兄、様。

 

 少女は確かに『お兄様』と言った。

 意味は理解できる。

 では、目の前の少女は■■■■■■の妹だ。なら、守らなければならないと思った。

 

 ――暗転し、シーンが切り替わる。

 

『……お前は私と違って才能があるのだな』

 

 白い研究室のような場所で、銀髪の少女が言う。

 

『私は見ての通りの出来損ないだ』

 

 憂いを帯びた瞳で言う少女の姿に、■■■■■■は何か出来ないかと考えた。

 そこで■■■■■■が考えたのは、少女と一緒に居てあげることだった。他の誰かが少女を『出来損ない』と烙印を押して見られるのであれば、自分だけは味方でいてあげよう、と。この妹みたいな少女をそっと抱きしめながら、■■■■■■は決意した。

 

 ――それから、程なくして■■■■■■と銀髪の少女は別の施設へと移送されることとなる。

 

 仕方のないことだと思った。所詮は研究対象だ。普通の兄妹が成立するわけもなかったのだ。

 だから、■■■と別れたことに不満はない。不満を覚える方がおかしいのであって、■■■■■■はおかしくはないのだから当たり前だ。至って正常である。

 

 ――正常、ではない。

 

 ――その思考が、正常であるわけがない。

 

 ――今更、気づいても遅い。

 

 ――もう既に、適合結果は出ているのだから。

 

 次に、目覚めた時は違う意思の■■■■■■の個体が目覚める。

 コード名から察するに、次の■■は3回目――。

 

 ■■は■■■■■■を知っている。

 

 この記憶が偽りの記憶で、■■としての記憶ではないことを。

 それでも、次があれば、絶対に守るのだと魂に誓った。

 

『目覚めろ、■■■■■■/    』

 

 その言葉と共に、人格は塗り替えられる。

 

 そして、新しい■■■■■■が生まれるのだ。

 

 次に与えられた名前は――、 




投稿して始めてから一週間です!
本当は一週間で第二章まで終わらせたかったのですが、無理でした。

今回は静馬が乱入してきた敵ISを仕留める話です。
本当はもう少し長くなるかな……とか思ってたら瞬殺レベルで決着がついてしまいました。
作品の中でキャラが動くって本当にあるんですね。

ここらへんで静馬が使っている武器に付いて紹介しようと思います。
静馬の専用機である《シルヴァリオ・ヴォルフ》には初期装備として二つの武器が搭載されています。その内、一つが《単分子ブレード》です。

《単分子ブレード》――正式名称は超音波振動型水圧ブレード。圧縮された高密度の水をナノマシンで制御し、その水と刃を振動させることによって『何でも』斬り裂くことのできるブレード。現在は試作段階である。

《マシンガン》――正式名称は正式名称はヴァナルガンド。使用される弾丸はD特殊弾と呼ばれ、銃弾の先端には多結晶ダイヤモンドが埋め込まれている。装弾数は800。

《シルヴァリオ・ヴォルフ》にはあと二つの武装が搭載されているが、第2形態時までロック中である。

という感じです。残り二つの武装も設定は既にあります。

……てか、こういう設定って別に用意した方がいいんですかね。後書きに書いてしまいましたが。
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