リリカル・マジカル・オレ、自爆 作:ジャー・ジャック・ジョー
感謝の気持ちを込めて書きます
キャラ崩壊注意
この短編はもし主人公が自爆に躊躇なかったらというifルートです。
if短編は本編とは完全に分けて考えてください。
「別に、倒してしまっても構わんのだろう?」
少年、鉤屋裁人はフラグを建てた。まるで某弓兵が強大な敵に挑むときのように。
「サイ君、それを今言うのは不味い気がするよ」
少女、高町なのははそれを諌める。
「二人とも、今はそんな場合じゃないでしょ!?」
フェレット、ユーノ・スクライアの言うとおりである。今、二人と一匹の目の前に化け物がおり、なのははまだユーノに魔法を教えてもらっていないので魔法を使うことが出来ない。
所謂絶望的といった状況だ。
「大丈夫だなのは、俺にいい考えがある」
「さらに重ねたね」
実際のところ、裁人には秘策がある。奥の手と言ってもいいそれは本来なら使用を躊躇うような代物である。
それは自爆。
もちろん、普通の人は爆薬でもない限り出来ないだろう。しかし、裁人にはそれが出来た。彼の転生特典である『魔力変換資質:自爆』があるから。
自爆といっても彼が死ぬわけではない。彼のもうひとつの転生特典、『超再生能力』の恩恵で死ぬことはない。
しかし、自爆には壮絶な痛みが伴う。それこそ、痛みで気絶することもあるし、なにより周りへの被害と説明が想像も出来ない。
だから本来なら体の一部だけを自爆させる。それでなければ酷い被害が出る。
「いくぜ...!」
そう、少年もそうするだろう。
「ひゃっはー!!自爆だー!!」
そう言って少年は黒い化け物に突っ込んでいき、
ド ワ ォ ! ! !
赤黒い光がなのは達の居た場所を包み込み、その後、壮絶な爆発音が聞こえた。
そう、普通なら体の一部を爆破させるだろう。裁人がバカでなければ。
しかし哀しいかな、彼はバカだったのだ。それも重度の。
「サイくーん!?いやぁぁ!!」
「じ、自爆!?魔力をそのまま爆発させた!?うわぁ!!」
なのはとユーノは爆風で10m程吹き飛ぶ。幸い、二人は爆心地からある程度遠かったので大きな怪我にはならなかった。
爆発が収まったあと、そこには暴力的な跡が残った。
「す、凄い...!」
「サイ君!?どこなの!?」
爆心地を見るとそこには青い宝石を手に持った裁人が倒れていた。ほぼ全裸で。
二人がほっとしたのも束の間、今度は大きな揺れが襲ってきた。
「な、なに!?これは!?」
なのはが驚くのも無理はない。地震大国とも言われる日本、そこでもこの揺れは経験することはない。何故ならば、
「次元震だ!あれほど膨大な魔力をぶつけたんだ、起きないはずがない!」
バリバリィ!
爆心地、もっといえば裁人の右手の中の宝石、そこから空間を裂いて歪みが生まれた。
裁人はその歪みの中に徐々に飲み込まれていく。
「サイ君!」
「近づいちゃダメだ!君まで飲み込まれる!」
そうして遂には頭と左腕しか見えないくらいまで歪みに飲み込まれてしまった裁人は今まで閉じていた口を開き、左手を握りしめ、親指を立て
「I'll be back.」
「シュワ...サイくーん!!」
そうして裁人は地球から消えた。
☆
「えぇ...」
青年、ティーダ・ランスターは戸惑っていた。
目の前にいる全裸で寝てる少年にだ。
正確には全裸ではない。体のあちこちに布だったと思われるものが巻き付いているからだ。
ただし、重要なとこは見えていた。
幸いティーダは今早朝のランニング中で人通りも少ない場所を通っている。騒ぎになる前にここから立ち去り無関係を決め込むのは簡単だ。
「仕方ない、家に連れて行くか」
しかしティーダは心の優しい青年だった。お人好しだった。
彼はそのほぼ全裸で寝ている少年を背負って家族が妹しかいない家に帰っていった。近所の人に見つからないように猛ダッシュで。
☆
時はいきなり10年後に移る。
かつて少女であったなのはも成長して今では19歳。
彼女はあの時消えた幼馴染、魔法、そしてそれから出会った友人、それらの経験を得て管理局に入隊していた。
あの時幼馴染を失った後悔、その感情をもとに一人でも多くの人を救うために管理局の仕事を意欲的にこなしていた。
今は友人である八神はやてが創設した対ロストロギアの部署、機動六課に在籍しており、その中の部隊の1つをまとめあげる立場に就いている。
さて、そんななのはだが、彼女は今困惑している。
「だぁかぁらぁ!何で指名手配犯捕まえて管理局に差し出してんのに懸賞金が貰えないんだよ!?」
「そんなの、貴方が犯罪者だからですよ!この女性とPTAの敵!」
「んだとぉ!?オレはこうして指名手配犯捕まえて正義に貢献してんじゃねーか!さてはお前バカだな!?バーカバーカ!ブワァーカ!」
「そんなの言ったらそっちがお馬鹿ですよ!この性犯罪者!」
たまたま通った道で女と男が口論していた。
これだけならただの痴話喧嘩だと思うだろう。
足元に転がっている縄でがんじがらめにされた手配書に顔が載るほどの次元犯罪者と、口論している女が管理局の制服を着ていて、男が顔につけている狐の仮面以外の一切の衣類を身に着けていないことを除けば。いや、辛うじて男を象徴する部分は葉っぱで隠している、生きているだけでラッキーなスタイルだ。
いや、確かに"痴"話喧嘩ではあるのだろう。男の葉っぱ隊スタイル的な意味で。
「もう!賞金払わなくても次元犯罪者が捕まるからって放置してる上の意向なんか知ったこったないです!今日こそあなたを捕まえます!」
「やべっ!」
管理局の女は自分のデバイスを起動させ魔力を込め、魔法を発動する。
それを見た狐面の男は慌てて女に背を向け一目散に走って逃げ出そうとする。
「バインド!」
「うおっ!?」
男の手にはさっきまでなかった光の輪が掛けられており、その手はどんなに男が頑張ってもその場から動かすことが出来なくなっていた。
「へっへ~ん、どんなもんですか!」
女は自信満々にドヤ顔を決め、確保のために男に近づくと
「待った!」
男からの静止の声がかかる。
「これ以上近づくな、危ないぞ」
当然、現状の立場としては捕まってる犯罪者の男が下、捕まえてる管理局の女が上だ。女にはそんな事を聞く道理はない。
「なにが危険ですか!貴方を放置してる方が世間にとって危険です!」
「忠告はしたぞ」
そんな男の言葉を無視して女が男に近寄ると
ボンッ!!
赤黒い閃光と共に爆発が起きた。
「キャアッ!」
女は近づき過ぎていたせいでふっ飛び、地面に大きな尻餅をついてしまう。
「ふははは!また会おう!」
男は女が動けないうちにとんでもないスピードで走り去っていった。
「もう会いたくないですよー!」
なのはは動けないでいた。
呆然としていたわけではない。愕然としていたのだ。
あの赤黒い閃光と爆発。見たことがあるなんてもんじゃない。あれは、あの光景は、彼女が管理局を目指した根底であった。
なのはの心から、あり得ないと思いつつも1つの可能性が離れなかった。
自分の始まりである少年、鉤矢裁人は生きている。
次元震に巻き込まれて生き残る確率はほぼ0だ。ほぼ0というのは実証するデータが少なすぎて正確な数字が出せないだけで、今までの例で生き残った人物は0だ。
諦めていた。でも、生きているのかもしれない。
そのことだけで胸がいっぱいになる。
涙が溢れそうになる。
「あ!もしかして、なのはさんですか!?」
さっきの管理局の女がこちらに気付いたようで声をかけてくる。
とっさに涙を押し込めそれに応対する。
「うん、そうだよ」
「わぁ!本物だぁ!あ、あの、私、なのはさんのファンなんです!管理局に入ったのもなのはさんに憧れたのがりゆうなんです!」
女は顔をパアッと輝かせ、まるで仔犬のようになついてくる。
「ありがとね。ところで、さっきのは?」
それを聞くと女は顔を青くして
「二重の意味で本っっ当にお見苦しい所をお見せしましたぁーっ!!」
地面に頭がぶつかるんじゃないかという程に頭を下げる。
「いやいや、あれじゃ武器を持って無いって思っちゃうよ。」
「うぅ...ありがとうございます...。アンチクショウは自称正義のヒーロー天狐仮面、他称いやに陽気な性犯罪者ゼンラマンです。管理局も性犯罪者に仕事を取られているので情けなくて世間に公表できませんが...」
なのははそこでさっきの男が性犯罪者であることを思い出し、さっきの男が裁人であるかどうか少し悩んだりした。だがある一点を思いだし、やはりさっきの男は裁人であると確信した。
「なんか毎回ここに次元犯罪者持ってきていて、いつの間にか局では私が担当になっていたり。更に最近では家にいる友達を呼ぶかのような感覚で私を呼んでくるんです...」
紹介がだんだん愚痴になっていった辺りでなのはは彼女の話を聞き流し、男が裁人であると確信したある一点につい思いを馳せていた。
(やっぱり変わってなかったんだ)
「いいお尻だったなぁ...」
「えっ」
一応続きはありますが反応を見て、筆が乗ったときに書きます。