リリカル・マジカル・オレ、自爆 作:ジャー・ジャック・ジョー
まぁ、戦闘にもなりませんが。
あと、主人公の動きがたまに常軌を逸していますが、全て超再生能力の恩恵です。深く考えてはいけません。
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オレは翠屋でなのはのお兄さんから呼び出しを食らったあと、翠屋の閉店時間までなのはと公園で遊び、そして今、何故か高町家の道場に居る。ドウシテコウナッタ。
前にここを通りかかった時に道場があるなんてすごい家だな。まぁ、運動音痴のなのはには関係ないだろうけどな。なんて思っていたが、まさかなのはの家とは思っていなかった。高町家の遺伝子さんの仕事は宛にならない。外見以外では。
「さあ、かかってこい。」
オレが小さめの木刀を正眼に構えた先には、なのはのお兄さん、恭也さんが普通の木刀を正眼に構えている。
黒髪で整った顔より、オレよりも遥かに高い身長からオレを見下ろす、若く生気に満ち溢れた鋭い眼光がオレを射抜く。相対しているオレには木刀を構えているお兄さんの周囲の空気が凍ったかのように止まっているのが体全体で感じられた。
正直めっちゃ怖い。
なのはが道場に居なくて良かった。こんなにビビってる姿みられたら後でどう言われるか分からん。
もう一度言おう、ドウシテコウナッタ。
やはり、なのはの周りにつく悪い虫の退治なのだろうか。
プルプル、ぼく悪い虫じゃないよ。
そう言ってもふざけてると思われて終わりだろう。
そうして、少しずつ時間がたつ内に目の前からのプレッシャーが大きくなっていく。
正直逃げ出したい。だけど、ここで目の前の勝負から逃げるのは、理由は分からないが、何故か癪に障る。
覚悟なら決めた。
ここは、先手必勝だ!
オレは全力で木刀をお兄さんの頭から胸にかけての体の上部目掛けてぶん投げ、同時に前へと走り出した。
お兄さんは一瞬驚いた目をしたが、すぐさま手首の力で少しだけ木刀を上にあげて振り下ろし、オレの投げた木刀を下に叩き落とした。
それでいい。
そしてオレは走りながら拳を後ろに引き、腰を落とし、足を踏み込み、走ってきた速度と自分の体重、その両方を全て拳にのせるようにパンチをお兄さんの金的に向けて繰り出した。
渾身の拳だ。勝つにはこれしかない。
がしかし、オレの拳はヒュッと音を鳴らしただけで、空を突いた。
まずいっ!
そう思った瞬間、後頭部に衝撃が走った。
「がぁッ...!」
「甘かったな。」
上からお兄さんの声が聞こえる。
オレの拳のすぐ横に、お兄さんの金的であろう位置があった。
最小限の動き、腰を少し捻るだけの動きで、オレの渾身の拳はかわされてしまったのだ。
鈍い痛みに意識がだんだん遠退いていく感じがする。
まだ、終われない!
このまま終わっていいのか!いや!だめだ!まだ、終われないんだ!
分からない、なにか分からないけど、勝ちたい!
オレの意識は覚醒し、カッと閉じかけていた目を開く。まだ後頭部の少し上にあったお兄さんの木刀を掴む。
「ほぅ...やけに頑張るな。」
「一回受けた勝負だ。石だろうが岩だろうが鉄だろうが!何にかじりついてでも勝つ!勝ちたい!勝ってやる!」
「ならばその意地、見せてみろ!」
オレが掴んでいた木刀が捻られ、手が離されてしまう。
オレはすぐさま下に落ちていた木刀を掴み、飛び込み前転をする。
これである程度の距離は取れた。
オレは体勢を立て直し、再び正眼に構え直す。
お兄さんは向きこそ変わってはいるが、最初の位置から一歩も動いておらず、こちらも再び正眼に構えている。
木刀を投げるのが通用しないことはもう分かった。
けど、正攻法なんて通用するわけがない。
ならば、とオレは構えを変える。正眼に構えていたのを腰構に変え、順手に木刀を持っていたのを逆手に変えた。
「......」
お兄さんはなにも言わずに目を細め、警戒の色を強くする。
オレとお兄さんの間にある緊張はどんどん高まっていき、いつ切れてもおかしくないくらいに張りつめた。
最初に動いたのは、オレだ。
オレは木刀を抜かずにそのまま走り出した。
お兄さんは向かってくるオレに対して、胴はさすがに身長差がありすぎて狙いが定まらなかったのか、胸に目掛けて木刀を横に薙ぐ。
それに対してオレは速度を落とすことはせずに、姿勢を低くして木刀をかわそうとする。
チッと髪に何かがかする音が鳴る。
頭の上に風が通り抜けた。
それを感じ取った瞬間、
「うおぉぉぉぉぉ!!」
気合いの叫びと共にオレは木刀を床に突き立て棒高跳びの要領で跳ぶ。
「んなっ!?」
そしてにやついたオレの顔と驚くお兄さんの顔、2つが同じ目線になったとき、オレは開いた足をガッチリと閉じお兄さんの体を腕ごと固定した。
そして持ったままであった木刀を素早く順手に持ち替え、その柄でお兄さんの頭を殴ろうとすると
ゴンッ!
という鈍い音と共に顔面への衝撃を受け、体を仰け反らせた。
頭突きを食らわせられた。
鼻の奥が熱くなる。痛い。今にも泣き出しそうだ。さっきの衝撃で木刀を手から離してしまった。
だけど!
オレは足はしっかりとお兄さんの体に固定したまま、腹筋を使い仰け反ってしまった体を勢いよく戻し
ゴンッ!
頭突きを食らわせる。
今度はお兄さんの体が仰け反る。
視界が霞がかかってきた。
頭がクラクラする。
お兄さんは足を踏ん張らせて耐えて体勢を戻そうとするが、オレという重りがありうまくバランスが取れずに仰向けに倒れてしまう。
これでマウントを取れた!あとは、叩き込むだけだ!
そして、お兄さんの顔に拳を叩き込もうとする。
その瞬間
ガンッ
脳天に衝撃が走る。
カランッカランッ
床に木刀が転がる。オレの持っていた小さな木刀ではない。お兄さんの持っていた、普通の木刀だ。
そうか、木刀を投げて、オレの、上に...
あぁ、畜生、悔しいなぁ...
くや、しい、なぁ...
そしてオレは気絶した。
☆
高町恭也が道場から家に続く廊下を歩いていると、待っていた妹の高町美由希が話しかけてきた。
「どうだった?恭ちゃん、なのはのお友だちは。」
「あぁ、確かにワルイ子だったな。」
「そう。」
「だが、悪い子ではない。」
「ふふっ、そうみたいだね。」
「?お前はあそこに居なかっただろ?何で分かったんだ?」
「なのはがあんなに嬉しそうに話す子が悪い子のはずがないってことと、恭ちゃんが今、スッゴい楽しそうな顔をしてるからだよ。」
「ん...そんな顔してたか?」
恭也が自分の顔を触り確認していると、前からドタドタと走ってくる音が聞こえた。
「おにーちゃん!サイ君はとの用事は終わった!?」
妹のなのはである。よほど裁人が心配だったのだろう。
「ああ、今は道場で寝転がっているぞ。」
「分かった!」
そう言って元気そうに道場へ走っていくなのはの後ろ姿を眺めながら恭也は
「付き合うのは認めんぞ。」
そう、呟いた。
「もう!恭ちゃんってば気が早すぎるし、心狭すぎるよ!」
美由希には聞かれていたらしい。
恭也はフンッと鼻を鳴らして、家の方へと歩いていった。
☆
「サイくーん、起きてよー。」
「んんっ...」
「サイくーん!」
「むにゃむにゃ...コーヒーゼリー、シロップとミルクアリアリで...」
「サイくーん!!」ぺちんっ!
「んひぃっ!」
「おはよう!サイ君!」
「なのはぁ...何で起こすのに尻はたく必要があるんだよ!?」
「サイ君だから。」
「意味が分からねぇよ!」
少年の表情にはさっきまでの疲れなど微塵も残っていないようで、楽しそうな笑顔が。
少女の表情には安堵と、いじわるな笑顔が浮かんでいた。
高町式オハナシ、いわゆるテンプレ回でした。
今回がはじめての戦闘描写で苦労しました。なので少し短めでした。
もうちょっとで原作に入ります。
あと1、2話程度です。
活動報告の方ではもう少し詳しい今後の展開や、ウラっぽい設定などを書いていこうと思いますので、よかったらそっちの方もご覧になってください。
ご意見、ご感想などがあれば励みになります!
では、次回もよろしくお願いします!