リリカル・マジカル・オレ、自爆   作:ジャー・ジャック・ジョー

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黒い影との戦闘です。

主人公にはドリフターズの豊久みたいな薩摩スピリッツなんて無いので今のとこあまり強くありません。

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オレ、魔法

一旦家に帰った後、オレは夕食を食べずにジジイの道場に行き、稽古をして帰って来た。

 

稽古のお陰か最近ではジジイに6回以上打たれても気絶しないようになってきた。ジジイとの稽古で変わったのはそれぐらいだ。あれ?打たれ強くなっただけじゃね?

 

まぁ、そう感じるのはジジイ相手だと未だに軽くあしらわれるので成長がまるで実感出来ないからだ。

 

お兄さんはオレの成長を感じてか、最近では小太刀の二刀流で相手してくれるようになった。結果は言わずもがな。てかジジイ強い。お兄さんも負けていた。

 

今日の稽古で約20回打たれてボロボロだった身体も『超再生能力』のお陰ですでにピンピンだ。

 

因みに2時間の稽古で気絶したらそれが休憩時間だ。ちょっと時間が経つとジジイが水を掛けて目を覚まさせてくる。

 

普通はここまでされると嫌になって投げ出す。オレが目指すのはHeartful Comedyだ、決してHurtfulではない。でも、諦めきれない。お兄さんに勝つまでは、ジジイを打ち負かすまでは、諦めたくない。悔しいままで終わりたくない。

 

これは意地だ、見栄だ、ワガママだ。そんなの分かってる。でも、譲れない、絶対に。

 

 

さて、次の稽古では何をしてやろう。小麦粉爆弾や水風船はもう使った。爆竹もだ。卑怯?色んなものに囚われないのがタイ捨流だ。なに、手裏剣が他のに変わっただけでジジイも許してくれたし。

 

はっ!道場の床にワックスを塗ってツルツルにしてジジイを滑らせるのはどうだろう?これでジジイに勝てる!

 

そうと決まったら次の土曜日の稽古でやるか。くくく...首を洗って待ってろよ!ジジイ!

 

そこまで考えていると、頭の中に声が響いてきた。

 

(助けて下さい!)

 

ん、この声は...ダメだ、思い出せない。何処かで聞いたことのある声だ。それは分かる。だが、何処で聞いた?何処から来てる?

 

次にオレの頭の中にノイズと砂嵐混じりの映像が流れてきた。

 

始めに見えたのは月だ。満月からは少し、ほんの少しだけ欠けた月だ。次に見えたのは黒いナニカ、そしてそれに襲われる動物。最後に見えたのは、今日フェレットを預けた動物病院だった。

 

黒いナニカ、月、それを見てオレの中で何かがカチッとはまった。

 

これは、そうか、昨日の夢か!

 

しかしおかしい、オレは今起きている。白昼夢というわけでもない。現在自分でほっぺをつねっているが、痛い、夢から覚めたという感覚は無い。

 

胸騒ぎがする。嫌な予感だ。

 

だー!なんか嫌な感じだ!無駄かもしれないが見に行ってみよう。動物病院なら走れば結構直ぐに着くだろう。

 

そうしてオレはパジャマからジャージに着替え、ジジイの道場からこっそりくすねた木刀を一振り持って家から出ていった。

 

パパさんとママさんに見つからないよう、忍び足で。

 

 

 

 

 

 

 

 

走って動物病院の近くに来ると、辺りが騒がしくなってきた。何らかの破壊音もする。

 

嫌な予感が的中したか。だったら非常に不味い!

 

オレは急いで動物病院に向かうと、ある光景を目にした。

 

一人の少女が、フェレットを抱えた少女が黒いナニカに向かっていた。

 

そして、その少女へ黒いナニカから出た触手が迫ってくる。少女は立ち尽くしたまま動かない。否、動けないのだろう。この距離からでもその怯えが見える。

 

その少女を見た瞬間、オレは頭が真っ白になり一目散にその少女のもとへ行った。

 

「なのはぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

オレは勢いのままその少女、なのはと黒いナニカの間に飛び込み、なのはへと迫っていた触手へ木刀を振り抜き、叩き潰した。

 

ぐちゃあ

 

触手が潰れる。黒いナニカは悶えている。

 

オレはすぐさまなのはの方へ向き、なのはの安否を確認する。

 

「なのは!大丈夫か!」

 

「サイ君!」

 

なのはは安堵した表情になるが、なのはの瞳の端には涙があった。

 

オレは黒いナニカへと身体を向けた。

 

声が荒ぐ、自然に手に力がこもる、眼は血走り、頭に血が上っているのが分かる。

 

あいつが、あのナニカが

 

「あいつがなのはを泣かせたのか...!」

 

オレは左足を前に、右足を後ろに、身体はナニカに対して斜に構え、木刀を両手で持ち、切っ先は自分の後ろにぶら下げる。

 

「サイ君。」

 

後ろからなのはの声がした。

 

「あの怪物を倒せる手段が私にはあるみたい。だから、それを準備するための時間稼ぎは出来る?」

 

「へっ、当たり前だ、何だったら倒してもいいんだろ?」

 

「心強いよ。」

 

そこで聴いたことはあるが、実際に聴くのは始めてである声がした。

 

「な、なのは!大丈夫なの!?」

 

おそらくあのフェレットの声だろう。それを安心させるためにオレは答える。

 

「おう、安心しろ。伊達にタイ捨流やってるわけじゃねえよ。」

 

「そ、そうじゃなくて!あれは...」

 

フェレットが何かを言い終わらないうちにナニカからの触手が襲ってきた。

 

「セイヤァァァァッ!」

 

掛け声と共に伸びてきた触手に斜めに斬り込む袈裟斬りを浴びせる。

 

ぶちぶちぃッ

 

という音がして触手が地面と木刀に擦り潰されちぎれる。

 

「はっ!あと何本だよ、タコ野郎!」

 

ナニカは次々と触手を放ってくるが、オレはそれを尽く必殺の袈裟斬りで切り伏せ、ちぎっていく。

 

が、十何本目の触手を斬った頃、オレの腕が触手に掴まれた。

 

「んな!?全部斬ってたはずだぞ!?」

 

足元を見ると、オレが斬った触手が全て再生していた。

 

「そいつはジュエルシードによって産まれた、型となる元がない魔法生物です!魔力がある限り再生します!」

 

フェレットがオレに先程言いそびれた情報を与えてくる。

 

「そんなんありかよ!?」

 

「サイ君!」

 

「やっぱり...魔法の使えない現地住民を巻き込むべきじゃ...」

 

なのはが悲痛な表情でオレを心配する。フェレットが絶望の表情で俯く。

 

なのはにそんな表情は似合わない、フェレットの絶望が心に痛い。

 

何より、やるべきことを出来てない自分に腹が立つ。

 

やるしかないか...

 

「おい!フェレット!」

 

「はい!?」

 

オレが強く呼び掛けると、フェレットがそれに答える。

 

「さっさとなのはにコレを倒す手段を教えろ!」

 

「で、でも...」

 

フェレットが迷う。

 

「オレは時間稼ぎを引き受けたんだ!心配すんな!」

 

それを聞いてなのはは覚悟を決めた表情になり

 

「続きを教えて!」

 

それを聞き、フェレットも覚悟を決めた表情になり

 

「うん、分かった。」

 

そう頷いた。

 

さて、触手は既にオレの右腕全体に絡まっていた。次に身体を縛ろうと触手を伸ばすが、オレは自分を縛ろうとしている触手を掴んだ。

 

「さぁ、一緒に吹っ飛ぼうぜ。」

 

そして右腕に満ちていた力を微量、極繊細なイメージで放出し、赤黒い光が一瞬だけ煌めく。

 

ズドォォォォォォォォン!!!

 

赤黒い爆発が起き、ナニカの触手は吹き飛び、ついでにオレも吹っ飛ぶ。

 

爆発音にビックリしたなのはとフェレットがこっちへ声をかける。

 

「サイ君!大丈夫!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「続けろ!」

 

心配の声に対して痛みを堪えながら一喝し、ナニカを倒す方法を教えることへの集中だけを促す。

 

化け物の方を見ると、悶えてはいるが既に触手の再生が始まっていた。

 

対するオレの腕はもう既に再生が終わっており、爆発で無くなってしまったジャージの右腕部分からは風呂場で見るのと変わらない腕が伸びていた。

 

オレの再生力は化け物以上かよ。ちょっと傷つくな。

 

さっきの爆発で木刀は粉々だ。しかもオレの腕に、いや、全身に爆発の痛みが残っている。もう一回爆発を起こせばそれこそ気を失ってしまうだろう。

 

ナニカが動き出した。なのはに向けてではなく、オレに向けて触手を放ってきた。

 

それでいい、これで時間稼ぎになる。

 

触手が腕に絡まる。腕が動かしにくくなる。力が入らない。

 

身体に絡まる。もう完全に動けない。

 

首と頭に絡まる。息苦しくなる。

 

今だ、気を失ってもいい、爆発して...

 

しかしその時、なのはの声が聞こえた。

 

「我、使命を受けし者なり。

 契約の下、その力を解き放て。

 風は空に、星は天に。

 そして、不屈の心はこの胸に。

 この手に魔法を。

 レイジングハート、セット・アップ!」

 

「stand by ready.set up.」

 

なのはの服装はみるみるうちに変わり、オレ達が通う小学校の制服をアレンジしたものになり、その手には杖が握られている。

 

ナニカはそれを見た瞬間、急いでなのはに触手を伸ばすが

 

「protection.」

 

という言葉と共になのはの周りにバリアが張られ、触手を弾く。

 

そして

 

「封印すべきは忌まわしき器。ジュエルシード!」

 

「ジュエルシードを封印。」

 

「sealing mode.set up.stand by ready.」

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」

 

「sealing.receipt number XXI.」

 

杖から光が放たれ、ナニカは消えていった。

 

ナニカが消えた後には青い宝石が現れた。

 

「これが、ジュエルシード...」

 

なのはがそう呟く。

 

ジュエルシードとは何か、さっきのは何なのか、聞きたいことはいっぱいあったが

 

ウーウーウーウー

 

というサイレンの音が鳴り、それを聞くことは出来なくなる。

 

辺りを見渡せばクレーターがあり、辺りはボロボロ、さらに小学生が夜中に此処にいる。

 

何処を取ってもヤバイ。

 

警察に事情を聞かれて何を言えばいいのだ。

 

オレとなのはは顔を見合せ、ひとつ頷くと

 

「逃げるぞ!なのは!」

 

「了解!」

 

オレはフェレットを抱えてもう片方の手でなのはが転けないようなのはの片手を握って走り出した。

 

「「ごめんなさーい!」」

 

誰に向けてか分からない謝罪を添えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中に小学生らしき男女がフェレットを連れて歩いている。

 

「ところでなのは、服はどうなってんだ?」

 

「え?あ、そうだね。服はどうなるの?ユーノ君。」

 

「ちゃんとバリアジャケットを解除すればもとに戻るよ。」

 

「へぇー、何かそれ便利だな。しかし、脱げないのか。お色気シーンが消えて残念というか何というか...」

 

少年、裁人は後半部分を呟くように言ったが、少女、なのはには聞こえていたようで

 

「な、何を言ってるの!サイ君のバカーッ!」

 

顔を真っ赤にして手に持っていた杖で裁人の尻を叩く。

 

「んひぃ!」

 

裁人は悲鳴(?)を上げて道路に倒れる。なのははそのまま走り去って行った。

 

「なあ、フェレット。」

 

「あ、ユーノ・スクライアです。ユーノと呼んでください。」

 

「おう、鉤矢裁人だ。裁人って呼んでくれ。」

 

「はい。」

 

「で、だユーノ。」

 

「何でしょう?」

 

「魔法の杖って、木製でなく金属製なんだな。凄い痛かった。」

 

「えっ、木製のを受けたことがあるんですか?」

 

それを聞くと裁人は暗い表情になり

 

「馬の鞭は革製だよな、決して木の棒じゃないよな...」

 

「なんか知らないけど、ごめんなさい...」

 

一人と一匹はため息をつきながら帰っていった。ユーノは今晩家に泊めることにした。

 

それと、裁人はジャージを破ってしまったのでママさんからお尻ペンペンの刑が後日執行された。




遅くなり申し訳ありません。

なのはちゃんの思考としては裁人を苛めるのはなのはだけで、裁人に苛められていいのはなのはだけ。という若干ヤンデレの入った思考ですが、現在の予定ではそこからは進行しません。

因みに裁人はなのはちゃんに苛められることにも、なのはちゃんを苛めることにも満更ではないです。

ご感想、ご意見があると励みになります。

では、次回もよろしくお願いします!
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