ハイスクールD×D〜災厄のシスター〜 作:やっぱりマグロ食ってるやつは駄目だな。
……しくじった。本当にしくじってしまった。一体私はなんて馬鹿なことをしてしまったのだろうか
ん?なぜこのような事を言っているのかって? 理由は簡単。
何故か私は悪魔に囲まれているのだ。
「ぐへへ! おいおい、いきなり出てきて何者かと思ったがただの女かよ! しかもシスターみたいだぜ?こいつ」
「なんだぁ〜? こいつは何しに来たんだ? もしかしてこの猫又姉妹を助けに来た正義のヒーローのつもりか? それなら笑わせるな」
「はははは! それなら、この姉妹と一緒に遊んでやろうぜ! 痛ぶって痛ぶって、心身ともに犯し尽くしてやる!」
何かよく分からない下劣な声が聞こえてくるが無視をする。
……とりあえず状況を考えよう。どうやら私は幻想郷からの転移に失敗したようだ。いつもなら失敗しないが、久しぶりのレミリアとフランの可愛さにあてられてしまい、適当に転移したのが間違いだったようだ。
……ふむ、本当にどうしたものか、悪魔に囲まれているこの状況を。
「ぐふふ。なんだぁ〜?お前? 俺たちと遊びたいのかァ〜? なら遊んでやるよ! 沢山犯し尽くしてやる! そんでもって俺たちの女に――奴隷にしてやるよ! この上級悪魔のフロッグ・ベルフリー様の女になれることを腰をふって泣いて喜ぶがいい! ぐふぇふぇふぇ!」
……ふむ。更によく分からない言葉を発する汚物が目の前にきたようだ。なんだ?この汚物は…顔はまるでウシガエルのようだな。体なんて肥えたブタではないか。……こんな者が悪魔か。まだ、体の1部分が獣化しているはぐれ悪魔の方が見た目はいいな。
それと体臭が酷い。汗とイカ臭い匂いと甘ったるい匂いが合わさってとんでもなく吐き気がする。
ここまで醜い悪魔は初めてだ。……うぅ、気持ち悪いな。
……ブタウシガエルから視線を逃すようにふと周りを見渡しているとある1点に視線が向いた。
ブタウシガエルと眷属らしき周りの悪魔がいる奥の方にソファーと下布団があり、その上に辛うじて大切な部分が隠れたボロボロな衣装を着ている黒髪の女の子と白髪の女の子がいた。2人の女の子の頭分と尻部には猫妖怪特有の猫耳と尻尾があった。更に、肌の見える体の至るところに大きな青あざや切り傷が多数あり、とてもボロボロだった。
白髪の女の子は怯えるように黒髪の女の子に抱きつき、黒髪の女の子は怯える白髪の女の子を強く抱きしめ、口や頭から血を流し片目は青く腫れながらも、こっちを強く睨みつけていた。
「ん? どうした?あの猫又姉妹が気になるのか?」
すると私の視線に気がついたウシガエルが聞いてきた。
「気になるのなら教えてやるさ。あやつは元々ワシの眷属だった。しかし奴はある時ワシに攻撃してきて逃げよった。だから、ワシはこうして追いかけ捕まえ、お仕置きをしていた途中だったのだよ。」
ブタウシガエルはそう言いながら、猫又姉妹の方へと歩いて行く。
「……せっかく餓死し掛けているところを助けてやったと言うのに――この恩知らず共が!」
ドコッバキッ!
すると突然ウシガエルは猫又姉妹に暴行を加える。黒髪の女の子は白髪の女の子に攻撃が当たらないように必死にかばいながら耐えていた。
「この! 雌豚の! 分際! で! ワシに苦労を! 掛けやがって! 身のほどをわきまえろ! 下級悪魔風情が! 女は大人しくワシに従い腰を降っていればいいんだよ! ワシの言う事をだけを聞いていろ! この雌奴隷が!」
暴行を行いながらも、暴言をはくブタウシガエル。その暴行は男として、いや生物として最低の発言だった。やはりと思っていたが、権力を盾に好き放題やっている腐った奴らと同じタイプか……。
「それにな? 黒歌、お前の首には既に懸賞金がかけられている。良かったなぁ、晴れて貴様は『はぐれ悪魔』の仲間入りだ! はぐれ悪魔になった貴様ならなにをしてもかまわない。なんせ犯罪者なのだから。さぁ、ここからが始まりだ。まだまだくたばるんじゃないぞ? これから最もっとワシのために働いて貰うんだからなぁ! ぐふぇふぇふぇふぇふぇ!!!!」
下劣な笑みを浮べ大笑いしているウシガエル。それを見た周りの悪魔も同じ笑みを浮べ笑っていた。
はぐれ悪魔とは、主の元を離れたり殺したりして、眷属ではなくなった者達の事を示す。はぐれ悪魔には例外なくランクとその首には懸賞金がかけられており、ランクが高ければ高いほど危険で同時に懸賞金も高くなるのだ。
そんなはぐれ悪魔の中で、つい最近はぐれ悪魔の懸賞金が更新されていて、その中には"黒歌"という名前があった。しかもランクはSランク。はぐれ悪魔のランクには下はEから上はSSまであり、Sランクは上から2番目。つまり黒歌の懸賞金は物凄い事になっている。しかも、黒歌の懸賞金は他のSランクとは比べ物にならないほど高く、もうすぐSSランクにまでランクが上がるのではないかと噂されていた程だ。
ちなみに、今の私は悪魔に囲まれているので動けない……いまわね
「なに……が……眷属…よ……私…達、を……騙し…て……無理矢理……眷属に…した…くせに…………絶対…に……負け…る……もん……で…すか……っ!」
ボロボロになりなおも抵抗する黒歌と言われた黒髪の女の子。白髪の女の子はその黒髪の女の子――黒歌を心配そうに不安そうに見ていた。
「………………」
ズガッ!
「――あうっ!」
「うっせーんだよ! 貴様は奴隷だ! 俺の所有物だ! 俺の玩具をどう使おうと勝手だろ? いちいち指図すんじゃねぇ〜よ、この雌豚が!!」
「〜〜〜ッッッ!?」
更にヒートアップする暴行。私はそんな悪魔を冷めた目で見ていた。
……あぁ。やはりこの世界はこの様な下劣な輩がまだ存在するのですね。ここも、幻想郷の様な世界にならないのでしょうか…………いえ。無理ですね。幻想郷とは違いこういう輩が1人でも存在する限り、それは不可能でしょう。
なら話は簡単です。目の前にそんな下劣な輩の1人がいます。ならどうします? 答えは簡単――
「殺してしまえばいいんですよ」
私はボソッとそう呟いた。
「…はぁ…はぁ……ん?なんだ?なんて言った? もしや答えは出たのか? もちろんYesだよな。なんせここにはワシを含め上級悪魔が3人、中級悪魔が10人もいるんだ。たかが人間。それも女でただのシスター。確かにシスターとしては変わった服装ではあるが、見た感じ教会の戦士の様な特殊な力などもっていないと見た。なら勝ち目なぞあるまい。さぁ、ワシの女になるがy――」
パシッ!
私は、私の肩に手を置こうとしたブタウシガエルな悪魔の手を払い除ける。
突然の事に困惑している悪魔達を冷めた目で睨みながら口を開いた。
「気安く触れるなこの汚物が。私は貴様の様な汚物に触れられたくないのだ。そのウシガエルとブタをかけた様な醜い汚物が私に触れるでない。……いや、間違えたな。たとへ貴様がイケメンであっても同じことを言っていただろう。
――私は私自身が認めた者にしか肌を触れることを許さぬ。貴様の様な輩に触れることを許すほど甘い女ではないと思い知れ。だからとっとと視界から失せるがいい。このうす汚れた悪魔共」
私が挑発すると、目の前の悪魔達は怒り狂った表情でこちらを睨みつけていた。
「き、貴様ぁ! おい!眷属たちよ! この生意気な女に身の程を知らせろ! 女は好きにして構わん! 自分がどんな愚かな行為をしたのか、心身ともに刻み込んでやれ! 」
『うおおおおおおお!!』
するといっせいに襲いかかってくる悪魔たち。私がなにもせずに突っ立っていると、ウシガエル悪魔はニヤけた顔をして勝利を確信していた。
―――なら私はその顔を
「恐怖と絶望に塗り替えてあげましょう」
――ゴウ!
私の回りに突風が起こった。その凄まじい突風に悪魔たちが一瞬怯み立ち尽くす。
「『その身に災厄を与えましょう』」
ズオオオオオオオオオオ!!!!!!
私の全身は闇に包まれ球体となり一瞬で弾ける。
すると、そこにあった私の姿は、右手に十字架模様の付いた変わった形の大剣と、左手には宙に浮く赤い十字架の模様がある黒い棺桶があった。
「さぁ、あなた達に本物の暴力を教えて差し上げましょう」
私は右手の大剣を地面に刺し、両手でスカートの両端を掴み軽く持ち上げお辞儀をした。
「……はっ! ひ、怯むな! たかが女1人だ! かかれぇぇぇ!!」
『う、うおおおおお!!!』
すると、先程まで怯んでいた悪魔達がまた一斉に襲いかかってくる。
私は刺していた大剣を右手に持ち上げ一言。
「邪魔」
ブンッ―――ブシュゥゥゥゥゥ―……
横薙ぎに一閃。ただそれだけの動作で5人もの中級悪魔が上下に別れた。
攻撃から逃れた5人の後ろにいた悪魔は、目の前の5人が一瞬で殺られた事に理解がついていかず保おけていた。そんな隙を私が見逃すわけがあらず。
「私に隙を見せたら死ぬと知りなさい」
ブゥン――ザシュッ!
「え?」
…………ドチャ―――ブシュゥゥゥゥゥ
1人の悪魔の首が飛び、しばらくしてから血が吹き出る。
「――ひ、ひぎゃぁぁぁぁ!!!?」
「ひいいいい! し、死にたくねぇぇよぉぉぉ!!!」
「だ、誰か助けてくれぇぇぇ」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
すると、残りの中級悪魔の四人が一斉に逃げ出した。
「――私は、狙った獲物は逃がさない。どんな事があろうとも。必ず仕留める」
フッ――ドシュ!
「ぎゃぁぁ!」
ブン! ブシュゥゥ
「ぐべっ」
ザン! ドシャ
「ゴフッ」
ドン!――ブチュ
「ギャブゥッフェ!?」
ドサドサドサドサ……
一瞬で近づいた私は素早く悪魔共を処理する。
「……ふぅ」
ヒュン――ベチャベチャ
剣に付いた血を薙ぎ払って落とし、残りの3人に向き直る。
「ひ、ヒィィィ! お、お前達! 全力でワシを守れ! 絶対にあの女を殺すのだ! 」
「「おまかせください、マイマスター」」
すると、2人の悪魔が前に出てきた。
「……む。あなた方、何処かで見たことがある顔と思いましたがはぐれ悪魔『殺戮兄弟』のベルドとゼルドですね?」
「フハハ!俺たちを知っていたか!いかにも、我らが『殺戮兄弟』。その兄ベルド!」
「我が名は弟ゼルド!」
「「我ら殺戮兄弟は無敵なり!」」
2人の名は殺戮兄弟。とある主の眷属だったが殺しを楽しむ性格のため、主を殺してはぐれ悪魔となり、幾度も自身の首を狙う輩を屠ってきたSランクのはぐれ悪魔の中でもだ。
「さぁ! 貴様の首を置いてk――」
「うるさい、黙れ」
ズバッ……ドチャ
「…………は? あ、兄貴?」
殺戮兄弟の兄、ベルド。話途中で私が切り殺した。私はただ目標を殺すだけです。なのに何故呑気に目の前で話しているのですか。それは即ち、殺してくださいと言ってる様なものですよ?
「き、貴様、良くも兄貴をぉ……」
「戦場で呑気にしていた者が悪い。死にたくなければここから立ち去りなさい。……そうだ。とある世界にはこんな言葉があるのは知っていますか?
―――寄らば斬る。寄らねば斬らぬ。何者も」
大剣を肩に担ぎながら睨みつける
「だから、貴方がいますぐ立ち去るのであれば斬りません。……ですが、邪魔をするのであれば――斬り殺します。さぁ、生か死か。どちらを選びますか?」
私がそう言うと、殺戮兄弟が片割れ、弟のゼルドは顔を下にして何かブツブツと呟いていた。
「……そんなものは簡単だ」
すると、ブツブツ言っていた声が大きくなり呟いた。
「貰うのは――貴様の命だよぉぉぉ!! 死ねぇぇぇぇぇ!!!!」
すると、魔方陣から取り出した剣のような鋭い刃物を持って襲いかかってきた。
「死ぬのは貴様だ」
私は大剣を振り下ろした……が
キィィィィン!
「む」
ゼルドの持っていた刃物に防がれてしまった。まさか防がれるとは思っていなかったので驚き少し硬直してしまう。
ニヤリと笑ったゼルドは好機といわんばかりに魔方陣から魔力を打ち出してくる。それに気づいた私は回避行動をとるが、一瞬判断が遅れたせいか肩に攻撃が少し当たってしまった。……ああ、服が一部焦げてしまったではないか。
「くははは! どうだ驚いたか! こいつの名は『黒剣・ブラックレックス』剣のくせに切れ味はみな皆無だが強度に冠してはピカイチよ。 普段は鈍器として扱っている俺のもう一つの相棒さ! さぁ、この黒剣で貴様を殴り殺してやる!」
そう言ったゼルドは羽を出して飛んできた。
「ひゃっはーーー!!! 死ねぇ!!」
私の頭上に剣が振り下ろされる。
あと5センチであたる寸前で私は……
パシッ!
「……へ?」
剣を手で掴んで受け止めた。
「――ふぅ。この程度で私を倒すつもりでしたか。……ふん。笑える冗談だな」
剣を掴んだまま私は悪魔を投げ飛ばした。
「ぐべ!?」
悪魔は勢いよく飛んで3mほどの距離にある木にぶつかった。
「……いつつ。き、貴様!よくも!!」
そう叫んでいた悪魔だが、私が飛んで目の前にいた事に驚いた。
私は既に右手の大剣を振りかぶる体勢になってジャンプして近づいていたので、慌てて悪魔は黒剣を盾にする様に横に構えるが
「――シッ!」
ブン――バキャァァァン!!!!
「……かふっ!」
……ドシャ
「ふん。ふざけているから殺られるのだ。」
私はゼルドの死体を見下しながら、後ろを向いた。
ゼルドの身体には縦に大きな切り傷があり、もたれていた5m程の大きさの木は、綺麗な真っ二つになっていた。
「……さて、後は貴方だけですね。ブタウシガエルさん?」
ニコリと微笑みながら私はウシガエルを睨みつけた。
―――――――――――――――――――――――
―黒歌 side―
私はいま、突然の状況に困惑していた。
私と妹の白音は、ある山で家族と一緒に暮らしていたけれど、ある日両親が病気で急死してしまい、私と白音だけになってしまった。
当時、まだ幼かった私と白音は食べ物がなく餓死寸前のところだったにゃ。でも、そこへ奴が現れたにゃ。
上級悪魔 フロッグ・ベルフリー。奴は私達の生活を保護する代わりに眷属になれといってきたにゃ。初めて会ったその日から既に怪しさは満点だったから白音には手を出さない事を条件に私は奴の眷属になったにゃ。
……だけども、本当の地獄はここからだったにゃ。
奴は生活を保証すると言っておきながら地下牢に私達を閉じ込め毎日の様に重労働をやらされたにゃ。その生活を一言で表すなら奴隷だったにゃ。
毎日毎日、私は妹の白音の為にひたすら頑張ったにゃ。……でも、奴はある時白音も自分の眷属にしようと企んでいたにゃ。たまたまそれを知った私は、牢の鍵を持った眷属を倒し、牢を開けたらそのまま白音を連れて屋敷から逃げ出したにゃ。
だが、奴はスグに気付き私を捕まえようとした。だからこそ私は全力で奴を殴った。物凄い吹っ飛んだ奴は無視して、私は白音と一緒に逃げ切った。
屋敷から逃げたした数日後、私はとうとう力尽きて倒れ、見つかってしまったにゃ。
捕まった私達は、人間界で使われてない廃墟の工場に連れてこられ、こうして白音と一緒に暴行をひたすら受けた。
全身を殴られ蹴られ、切り刻まれ、私達の叫び声を嬉々として喜び更に痛めつける。私は殴られながらも、白音だけは助けようと抱き寄せ盾になる。しかし、私の意識が飛ぼうとすれば無理やり意識を覚醒され、また殴られる。
いつまで殴られていたのだろうか……だんだんと痛みが感じなくなったとき、ふと突然悪魔達の暴行が止まった。
私は不思議に思い見渡すと、そこには黒いシスター服を着た女性がたたずんでいた。
私は最初は絶望した。また悪魔が増えたのかと思った。……でも、少し気配を探ると人間だった。……いや、正確にはちゃんとした人間ではないような気もしたが、気のせいだと思い置いといた。
周りの悪魔達がその女性にくぎづけになる。その女性の体は出ているところはでて、引っ込めるところは引っ込んでいる。つまりボンキュッボンといった感じのプロモーションだった。
変態悪魔の巣窟でもあるこの眷属達が見過ごすわけもなく、その女性を醜い言葉で勧誘しだした。……いや、もっと正確に言えば脅迫といったところだにゃ。
ふと女性と目があった。……その時私はこう感じた。
――この人間は危険だと。
私はその女性と目線があった時、正直、死を覚悟した。それほどまでに冷たく暗い瞳をしていたからだ。
先程まで感じていた気配ももっと鮮明によく感じていた。その気配はもはや人間のものでは無かった。
人間、妖怪、妖精、魔物、神……そんないろんな気配が混じった、いわゆる化け物みたいな"何か"だった。
なぜこの悪魔達はこの気配に気がつかないのか、なぜ私はこの化け物に目をつけられたのか……そんな疑問が頭の中を数多く流れ、気がついた時には白音をめいいっぱい抱きしめていた。
……そうにゃ。私は黒歌。白音のお姉ちゃん。可愛い妹を守る大事な指名を持った唯一無二の家族。そんな大切な家族を守れるのなら、この命捨ててやる!!
そうおもった私は白音を抱きしめながら、そのシスターを睨みつける。
しばらく睨みつけていると、その女性は私から視線を外し下を向いた。
そこからは、また私は殴られ蹴られつつも白音をかばった。
すると、満足したのか、その女性の声が聞こえたのかは知らないが私の元主、フロッグ・ベルフリーはその女性に近づいていった。
フロッグ・ベルフリーが女性の肩に触れようとした時
パシッ
乾いた音がなった。
「気安く触れるなこの汚物が。私は貴様の様な汚物に触れられたくないのだ。そのウシガエルとブタをかけた様な醜い汚物が私に触れるでない。……いや、間違えたな。たとへ貴様がイケメンであっても同じことを言っていただろう。
――私は私自身が認めた者にしか肌を触れることを許さぬ。貴様の様な輩に触れることを許すほど甘い女ではないと思い知れ。だからとっとと視界から失せるがいい。このうす汚れた悪魔共」
その言葉に怒り狂ったフロッグ・ベルフリーとその眷属達が一斉に襲いかかった。……でも
「恐怖と絶望に塗り替えてあげましょう」
――ゴウ!
彼女の回りに突風が起こった。その凄まじい突風に悪魔たちが一瞬怯み立ち尽くす。
「『その身に災厄を与えましょう』」
ズオオオオオオオオオオ!!!!!!
彼女の全身は闇に包まれ球体となり一瞬で弾ける。
すると、そこにあった姿は、右手に十字架模様の付いた変わった形の大剣と、左手には宙に浮く赤い十字架の模様がある黒い棺桶を持った服が闇のように黒いシスターがいた。
「さぁ、あなた達に本物の暴力を教えて差し上げましょう」
そのシスターは右手の大剣を地面に刺し、両手でスカートの両端を掴み軽く持ち上げお辞儀をした。
「……はっ! ひ、怯むな! たかが女1人だ! かかれぇぇぇ!!」
『う、うおおおおお!!!』
すると、先程まで怯んでいた悪魔達がまた一斉に襲いかかった。
しかし、彼女は地面に刺していた大剣を右手に持ち上げ一言。
「邪魔」
ブンッ―――ブシュゥゥゥゥゥ―……
――横薙ぎに一線。ただそれだけの動作で5人もの中級悪魔が上下に別れた。
私は一瞬の事に驚き言葉を無くしていた。攻撃から逃れた残りの5人の悪魔も、目の前の5人が一瞬で殺られた事に理解がついていかず保おけていた。そんな隙を彼女は近づいていき
「私に隙を見せたら死ぬと知りなさい」
また1人が首を飛ばされあっけなく死んでいった。
そこからはただの蹂躙だった。悪魔達は何も出来ずに斬られ呆気なく死んでいく。
途中で私を捕まえる為に雇っていた、はぐれ悪魔の殺戮兄弟も出てきたが、兄貴は瞬殺され、弟は少し粘ったがこれも一撃で殺された。
……そして、とうとう最後のひとり、フロッグ・ベルフリーだけとなった。
「ひ、ひぃぃぃぃ!? な、ななななな、なんで…こんな事にぃぃぃ!!?」
フロッグ・ベルフリーは尻餅をついて肥えた体を動かしながらズルズルと後ろに下がっていった。
「…………」
カツン…カツン……と彼女のヒールがなる音が静かに、しかし大きく聞こえる。その音はまるで、自らの身に迫ってくる死神の様な感覚だった。
「ま、まってくれ! か、金ならやろう! だからワシの命だけはどうか助けてくれ! 頼む!」
カツン…カツゥン…………
すると、彼女はフロッグ・ベルフリーから3mほど離れた場所で止まった。
フロッグ・ベルフリーは彼女が止まったのをいい事に、あくどい笑を浮べながら彼女を見た。
「く、くくくく。やはり人間だな。金に目がくらんだか。金ならたんまりやろう。それこそ好きな額をな。もしもワシの女になるのであれば、その倍は払おう。女になってくれるのであればの話だがな。さぁ、どうする?」
フロッグ・ベルフリーはニヤニヤと笑いながらシスターに質問した。とうのシスターは、顔は見えないが何かを考えている様子だった。
すると……
「……はぁ。全くもって救えな人…いや、汚物だな」
彼女は顔を上げる。しかし、その瞳には光は灯っておらずフロッグ・ベルフリーを本当に汚物を見るような目で見下し嘆息していた。
「な、なにを……」
「なにを?……本当に解らないのなら貴方は汚物以下です。むしろ、汚物が可愛そうだ。
そんな頭の腐った汚物に言ってやろう。私は貴様の様な汚物に金をもらうほど腐っちゃいないし、何よりお金自体は腐るほどある。なので私はそもそもお金自体には困っていないし、使い道があまり無いから貯まる一方だ。なのに貴様はそんな私に金を恵んで命だけは助けてください?
――はん。お断りだ。なぜ貴様の様な汚物を生かしておかなきゃならない。そもそも私は最初に言ったはずだぞ? 『狙った獲物は逃がさない。どんな事があろうとも、必ず仕留める』……と。だからこそ貴方をはなから見逃すわけがありません。」
「な、ならなぜ…殺戮兄弟のゼルドにはあんな言葉を……」
「あんな言葉?……あぁ、『寄らば斬る。寄らねば斬らぬ。何者も。だから、貴方がいますぐ立ち去るのであれば斬りません。……ですが、邪魔をするのであれば――斬り殺します。さぁ、生か死か。どちらを選びますか?』ってやつですか? それは勿論、まだ彼らにはチャンスがあったから。ただそれだけですよ。
……ですが、貴方にはそもそもチャンスなんてありません。だからこそ、こうして殺すのです」
カツン…カツン…カツゥン……
徐々に徐々にと、ゆっくり距離を縮めて行くシスター。大剣を右手に持ちガリガリと地面を削りながら近づいて来るのは恐怖のほかでもない。
「ひ、ひぃぃぃぃ!? い、嫌だ! まだ、まだ死にたくなぃ……死にたくねぇ〜よぉぉぉぉぉ!!!!」
フロッグ・ベルフリーはあまりの恐怖に失禁していたが、凄まじい殺気を当てられていて気絶をしたくてもできないようだ。
「あぁ、そうだ。貴方に大切な事を言うのを忘れていました。」
遂に、そのシスターはフロッグ・ベルフリーから1mの所まで近づいてきた。
「あそこの猫又姉妹は貰いますね。気に入ったので。あ、返事は入りませんよ? 勝手に貰いますから……あとそれと最後に一言」
そしてとうとう、フロッグ・ベルフリーとの距離は0mとなってしまった。
シスターは右手の大剣を頭上に持ち上げ、最後にニコリと微笑みながら目を開き、フロッグ・ベルフリーを見下し
「―――図に乗るな。身の程を知れ」
ズバン!!!――――ブシュゥゥゥゥゥ――………
……ドチャ。
大剣は容赦無く振り下ろされ、絶叫する間もなくフロッグ・ベルフリーは真っ二つに斬られてしまった。
……ふとここで、私はある事に気づいた。……そう、私は知っている。いや、正確には私達悪魔は絶対に知っていたのだ彼女の存在を…
――その者、黒き修道服を纏いて赤き十字架を背負い、右手には赤き十字架の模様の付いた大剣を、左手には同じく赤き十字架の模様が彫られた闇のような黒き棺桶を持っている……
その修道服…いやシスター服を着た女性に会えば命は無いと思え、彼女の機嫌が良ければもしかしたら助かるかもしれない。しかし、彼女は『狙った獲物は逃がさない。どんな事があろうとも、必ず仕留める。』という口癖と共に現れる。その言葉を聴いたら最後、もう自分の命は無いと思え。
……彼女に会うな。彼女に会っても怒らせるな。決して…彼女に近寄るな。もしも彼女に近づいてしまったが最後。全てを諦めろ。
――その彼女の名はシスター・ナイア。本名をナイア・ルラトホテップ。
さぁ、その身に災厄を……彼女は人でも魔物でも妖怪でも妖精でも神でもない――ただの化け物なのだから。
……そう、そんな伝説が悪魔の中で語り継がれていた。当時は所詮、伝説上の噂話としか思っていなかったし私だってそんな化け物が存在するなんて思ってもいなかった。所詮は空想上の存在。そう…思っていた。
……でも、私の目の前には、まさにその伝説と一致する存在がいる。黒き修道服を纏いて赤き十字架を背負い、右手には赤き十字架の模様の付いた大剣を、左手には同じく赤き十字架の模様が彫られた闇のような黒き棺桶を持っている。まさに、伝説上の人物像と同じだ。
すると、彼女がこちらに視線を向けてきた。思わず私はビクッとなる。すると彼女は血濡れた大剣と宙に浮いている真っ黒な棺桶を持ってこちらに近づいてきた。
――あぁ、私はもう。ここで、死んじゃうんだ。…本当に、ろくな人生じゃなかったなぁ……。でも、せめて、せめて妹だけは助ける。私の命を差し出してでも、妹の白音の命を守ってやる。だから心配しないで、お姉ちゃんが白音を何としてでも守ってあげるから。
私はそんな覚悟を胸に目の前の女性。シスター・ナイアを精一杯睨む。
カラカラ…カラカラ……
カツン…カツゥン……
――と、徐々にゆっくりと近づいてくる。
とうとう私達と彼女の距離がなくなった時、私は見上げて彼女の顔を見る。
彼女の顔は無表情だった。赤い瞳にも光なんて一切なかった。
私は覚悟を持って彼女に最後のお願いをした。
「私の命はどうなっても構いません。……でも、妹の―白音の命だけはどうかお助けください。私の命を全て上げます。どんな事をしてくださっても構いません。……だから…だから! どうか! 妹の命だけは助けてください! お願いします! ナイア・ルラトホテップ様!!」
私は精一杯の願いと思いを込めてお願いをした。すると一瞬、ピクッと眉が動いた気がしたが無表情には代わりないので気のせいだと思い思考の外へ追いやった。
しばらくの沈黙の中、シスター・ナイアは右手の大剣を、頭上にゆっくりと振りかぶった。
――あぁ、とうとうその時は来たんだにゃぁ。私の願いは届いてくれたかにゃ? 届いてくれたら嬉しいにゃぁ……白音、お姉ちゃん先に逝くにゃ。ずっと側にいて守る約束、守れなくてゴメンにゃ。 こんなダメなお姉ちゃんで本当にゴメンにゃ。
振り下ろされる、大剣がスローモーションに見えた。
――あぁ、本音を言うなら白音ともっと生きていきたかったにゃぁ……白音、大好きだよ。ずっと愛してる
もう少しで大剣が振り下ろされる所で、私は目を瞑りくる痛みを待った。
そして―――
ザシュッ!!
…………………あれ? 痛みがこない?
そう、不思議に思ったその瞬間――
――フワリッ
何かに、柔らかく包まれる感触を感じた。
「……もう大丈夫。大丈夫よ。もう、あなた達を苦しめる存在はいなくなったから、だから安心して、ね?……もう、怖がらなくてもいいよ、痛い思いも苦しい思いもしなくていいよ。これからは、私が――私達が守ってあげる。だから安心して。もう、我慢しなくてもいいのだから 」
そんな、優しい言葉と共に頭を優しく撫でてくれる感覚を感じた。
その言葉は、全てに絶望し恐怖していた私の心にスゥーっと入ってきた。
そんな言葉に私は……
「ほ、ほんとう?……ほんとうに……もう……怖がらなくてもいいの…………本当に、守ってくれるの?」
「うん。守ってあげる。お姉さんがあなた達をどんな手を使ってでも守ってあげるから。だから、もう心配しなくてもいいよ、怖がらなくてもいいよ……もう、安心してもいいから…ね?」
私の言葉に優しく返してくれた。その間もただただ優しく頭を撫でてくれるシスター・ナイア。ふと見ると、白音にも私と同じ様に撫でられていた。
ふと気づくと、私の頬から水が流れていた。……いや、これは涙だ。腕で拭こうとするが、一向に止まることはなかった。すると、シスター・ナイアが優しい声で喋りかけてきた。
「涙を拭かなくてもいいわよ。そのまま泣いて全部吐き出しちゃいなさい。それが1番いいわ……」
その一言によって、私の涙腺は完全に崩落した。
私はいっぱい泣いた。やっと本当の意味で心の底から安心出来る場所に出会えたのだと、本当に幸せになれるのだと、そんな思いが溢れに溢れ、ただただたくさん泣いた。私の胸の中で白音も私と同じように、悲しい鳴き声ではなく嬉し泣きをしていた。
しばらく泣いた私達は、安心しきってしまったのか意識をそのまま手放した
―side out―
――――――――――――――――――――――
―ナイア side―
あれから安心し泣き疲れたのかそのまま意識を手放してしまった猫又姉妹。
私はそんな姉妹を優しく抱っこし持ち上げ、魔方陣を作った。
場所はこの世界での私の住居。……さぁ、ひとまず帰ってこの娘達の治療をしなくちゃね。
そうして私は家に帰って来たのだった……
頑張った。頑張ったよ…俺……。頑張り過ぎて10000字を超えちゃったよ……うん。
さて、どうしよう。全然進まないんDAZE☆