俺の名は、ダドリー・ダーズリー   作:トメカ

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「ハリー、それはいけない」

 

本当にいけない。

ハリーがホグワーツにいかない。

それは、最悪のルートだ。

ヴォルデモートを倒せなくなり、俺たちはヴォルデモートに追い詰められ、俺はハリーの血族ということで確実に殺される。

それだけは、避けたい。

 

「なんで、ダドリー。だって僕たち『家族』だって、ずっと一緒にいてくれるって、ダドリー言ったじゃないか」

 

ハリーの目には、大粒の涙が溜まって今にも溢れ落ちそうになっていた。

 

「ハリー、君の居場所はここじゃないよ。きっと魔法界にある。それにずっと僕と会えなくなるわけじゃないだろ。長期休みには、会えるだろうし……」

 

お前は、ホグワーツにいた方が幸せなんだよ……。なんで分かんないかなぁ。

 

「やだ、やだ、やだ……、やだ、やだヤダヤダっ! 僕はダドリーと一緒にいたい」

 

ハリーは、泣きじゃくりながら、地団駄を踏む。ボロい小屋の床は、ギシギシと音を立てて軋む。

大丈夫だろうか? このままではハリー云々より先に、このボロい小屋が壊れてしまいそうだ。ボロボロの小屋でも、こんな嵐の中ないよりはマシだからな。

うん、ここは一旦、ハリーをなだめた方がいいに決まってる。

 

「そんな、駄々こねるな。お前は、魔法使いの素質があるけど、俺は、魔法が使えないマグルなんだ。しょうがないだろ」

 

「やだ、やだヤダヤダ」

 

子供ってなんで面倒くさいんだ。

おまけにハリーは、意外と頑固である。

 

「うるさい。そんなぐずってないで、さっさとホグワーツでも、どこでも行っちまえよ。もう、いい加減うざいんだよっ! お前は普通じゃないんだ。一緒にいれるわけないだろっ!」

 

一緒にいれるがわけない。

俺と一緒では、お前はいつになっても強くなれない。

それにお前は、ここに居てはいけない。俺を含めた多くの人が命を危険にさらされることになる。

それは、お前も例外じゃないんだよ。

だから、お前はなんとしてもホグワーツに行かなければならない。

 

「ダドリーのばかっ! もういい、僕はホグワーツに行く。ハグリッド連れてって」

 

ハリーは、びしょびしょに濡れた顔を服の袖で拭うとモジャモジャを無理やり引っ張るようにして、小屋から出て行った。

ハリーの去った小屋で俺たち、父さんと母さんと俺は嵐が止み、日が昇って、空が明るく色づき始めるまで、ぼんやりとしていることしかできなかった。

 

そして、小屋から家に帰るまで、父さんや母さんが俺にしゃべりかけることは、一度もなかった。

 

俺は誰とも会話をせず、隠れるように部屋に戻る。

 

あの人たちに俺がハリーに『家族』だって言ったことがばれてしまった。あの人たちは、俺の行為を裏切りだと思っただろうか。まともじゃないハリーのことを『家族』というなんてと、俺のことも軽蔑しているだろうか。

俺は、ベッドに倒れ込むように横になって、目を瞑った。

なんで、こんなにも面倒くさいのだろう。

 

再び目を開くとデスクチェアにフサフサした人が座っていた。ヒョロリと背が高く、髪も髭も銀色、半月形のメガネ、少なくとも2回は折れたように曲がっている高い鼻。

嫌な予感しかしなかった。

 

「あの、どちら様ですか?」

 

「こんにちは、ダドリー・ダーズリー君。わしは、アルバス・ダンブルドア。ホグワーツの校長をやっておる」

 

 

やっぱりか、この人がダンブルドア。

ああ、嫌な予感しかしない。俺の周りには、どうしてこんなにも面倒ごとがごろごろと道端の石ころのように転がっているんだよ。

さっきから一歩進むたびに問題に躓いているような気がする。こんな石ころばっかの道に来てしまったなんてどこでルート間違ったんだろ。

 

「えーと、ハリーがこれからお世話になります」

 

俺は、ぺこりと頭を下げる。が心の中では、さっさとホグワーツに戻れカスと悪態をついていた。

 

「ところで、君は何者じゃ?」

 

「俺は、俺ですけど……」

 

なんか感づかれている? 俺が心の中でついた悪態でもばれただろうか。

 

「あの小屋での会話聞いておったよ。なぜ、君はマグルという言葉を知っていた」

 

あっ、ヤベェ……。

確かにマグルは自分のことをマグルだなんて言ったりしない。魔法の使えない人をマグルというのは魔法使いと魔法に詳しい者だけだ。

完璧、ミスったわ。

 

「君は本当にダドリーかのう?」

 

ダンブルドアは、全てを見透かしていそうな目で、真っ直ぐ俺を見てくる。

 

「俺がダドリー以外の何者でもないということは、あなた自身がよく分かっているでしょう? ダンブルドア先生」

 

動揺していない感じを装って、余裕そうに答える。

 

そもそも、ダンブルドアはきっとハリーがこの家に預けられてからずっと、この家を見張っていたはずだ。それなら、俺が俺であることは、この人自身がよく知っている。

 

「ああ、そうじゃな。いらん質問じゃった」

 

よかった、なんとか誤魔化せたようだ。いや、たぶん誤魔化せてはないのだろうけど……。

今、追及されないだけマシか? 結局のところ面倒ごとを後回しにしただけなのだが……。

 

「それで、そのことを聞くためだけにここに?」

 

「いや、これを君に渡しに」

 

黄ばんだ封筒に緑色のペンでダドリー・ダーズリーと書かれている。まさか、アレだろうか。

黙って、ダンブルドアの手に戻す。

 

「これは、受け取れません」

 

「おや? なぜかのう? 君は魔法を嫌っているわけではないと思っていたのじゃが」

 

「嫌ってはいませんが、好いているわけでもないんですよ。何よりも俺は面倒ごとに巻き込まれるのが嫌いです。特にハリーの近くは嫌だ。だってアイツは面倒ごとのタネでしょう?」

 

とにかく、あいつの近くだけはいけない。いろいろと危険すぎる。

 

「確かに、お前さんのいうことは間違っていない。だけど、なぜじゃ? お前さんはハリーに優しくしてあげていたじゃないか」

 

「好きだから優しくしてた訳じゃないからですよ。人間は、愛情がなくたって、思惑さえあれば優しくしたって、愛したってなんだってできる生き物でしょう?」

 

「そうか。まあ、とりあえずこの手紙は渡しておこう」

 

そういうとダンブルドアは、俺に無理やり手紙を握らせる。そして、俺が瞬きした一瞬に消えてしまった。

ちっ、何なんだよあの迷惑じじい。

封筒ビリビリと適当に破いて中身を取り出す。予想通り、中に入っていたのは『ホグワーツ魔法魔術学校入学許可証』だった。

俺は、こんな手紙要らないって言っているだろう。母さんや父さんに見つかったらなんと言われるか……。

ああー、面倒くさい。

俺は、その手紙を木っ端みじんといえるぐらいにビリビリと破くと、ゴミ箱に捨ててしまった。

 

ことが起こったのは次の日の昼、俺の部屋でだった。

リビングにいると父さんがいて気まずいから、読書でもしようかと部屋に戻った。

すると、そこには母さんがいた。

たぶん、俺の部屋に掃除機をかけに来たのだろう。母さんは、ものすごくキレイ好きだからな、キッチンのシンクなんてピカピカだ。

母さんは昨日、ビリビリに引き裂いて捨てたはずの手紙を持って、立ち尽くしていた。

 

うん、ヤバイバイバイ……。

っていうかなんで?! 俺あの手紙ビリビリに破いて捨てたよね? もしかしてダンブルドアか? あの手紙になんか魔法でもかけていたのかっ?

 

「ねぇ、ダドリー」

 

母さんが真剣な表情で俺の方を真っ直ぐ見ている。

 

「母さん、それはダンブルドアが勝手に置いていったんだっ! 俺は、別に……」

 

「違うのダドリー、ごめんなさい。私たちのせいなんでしょ? あなたも本当はハリーと一緒にホグワーツに行きたいのでしょ……?」

 

母さんは、泣きそうな顔で俺を見ている。

 

「ち、違うよ」

 

「嘘つかなくていいわ、私もそうだったの……。私も本当はホグワーツに通いたかったの妹と一緒に。ハリーのお母さんと一緒に」

 

それは、初めて聞く話だった。

 

「けどね、私には魔法の力はなかったの。私、妹がとてもうらやましかった。だから、妹に酷い言葉を言ってしまったわ。『生まれそこない。お前は、まともじゃない』って。それから、長い時間仲直りすることが出来なくて、ついにあの子は死んでしまったわ」

 

はあ、そうなんですか……。

 

「私、すごく後悔してる。なんで、あの時あんなこと言っちゃったんだろうって。なんで、あの子が生きてるうちに仲直りしなかったんだろうって」

 

母さんの瞳からはボロボロと涙があふれ出てくる。

 

「父さんは、私が説得するわ。だから、あなたもホグワーツに行きなさい」

 

それだけ言うと、母さんは満足したのか俺の話は全く聞かず、部屋から出て行ってしまった。

えっ、ちょちょっと待ってっ! なんで、勝手に1人で納得してんの?

なんで、なんでなんだよ。

これから母さんのところに押しかけて、ちゃんとあらましを説明しようか。そしたら……。

いや、やめよう。なんだか1人、スッキリしている母さんに何を言ってもすでにダメな気がする。

また、嘘をつかないで、あなた本当はホグワーツに行きたいんでしょなんて言われておしまいだ。

たぶん……。

 

もうやだ。

なんで、こうも上手くいかない。

今日は、何1つ上手くいっていない。

 

 

夕飯を食べにリビングに行けば、怖い顔した父さんがダイニングテーブルの席に座っていた。

 

なんだか気まずくて、黙って俺も席に着く。

 

「なあ」

 

そう口を開いたのは父さんだった。

 

「わしは、魔法なんてもの認めない。普通であることが1番だ。魔法使いなんてもんは普通じゃない」

 

「お前は、ホグワーツにハリーを見張りに行くだけだ。ハリーが何かしでかさんように見張りに行くんだ。魔法使いだなんて変なものになろうとしてるハリーを止めに行くんだ。そうだろ? ああ?」

 

いえ、違うっていうか。

なんで、俺ホグワーツ行くことで決定されてんの?

これ、「はい」以外言える状況じゃなくなってんじゃん。

 

「あ、うん。えー、はい」

 

「そうか」

 

父さんは、どこか満足そうにそう呟いた。

 

 

 

俺は、何をどこで間違えてしまったんだろうか。

 

何故こうなったのか、俺はホグワーツに通うことになりそうです。

というか、なりました。

 

 




とりあえず、完成したこの話を投稿しました。
次回の投稿は未定です。
2週間以内、いや、1か月以内に投稿したいなと思っています。
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