ユリーカ十歳、デデンネと共に旅立つ   作:田中太郎丸

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ツタージャ

 プラターヌ博士はポケモンの研究をしている学者だ。

 

 それと同時に初心者用のポケモンをくれる人でもある。

 

 初心者用のポケモンとは旅を始める新しいトレーナーに渡される草、炎、水の三タイプのポケモンの事だ。

 

 地方ごとにそれは貰えるポケモンは違って、ここカロス地方ではハリマロン、フォッコ、ケロマツの三匹の内、どれか一匹が貰える。

 

 研究所は自宅からそう離れておらず、走れば十分で着く距離だった。

 

 だが今日、プラターヌには午前八時に来るよう言われていた。もう九時近い。

 

 トレーナーとして旅立つ大事な日と言うのに何故寝坊してしまったのか。いつまでもグダグダ考えてたって仕方ないのでもう考える事はやめる事にする。

 

「プラターヌ博士ー! こんにちはー!」

「デデネー!」

 

 研究所の扉を開けるとそこには白衣を着た一人の男がいた。

 

「おおユリーカ君! デデンネも、やっと来たのかい?」

「ごめんなさい博士、目覚まし時計壊れちゃったみたいで寝坊しちゃいました」

「デンネ…………」

 

 謝るユリーカに対しプラターヌは怒る様子もなく普通に接した。

 

「ノープロブレム! 失敗なんて誰でもあるさ! それよりも、今日はユリーカ君の旅立ちの日、僕の研究所からポケモン図鑑と、最初の三匹を貰いに来る日だったね」

「はい!」

 

 ポケモン図鑑とは出会ったポケモンのデータを教えてくれるハイテクなマシンである。これがないと初めて出会ったポケモンに何が効くのかとか、自分のポケモンが何を覚えているのかとか分からないので初心者は勿論熟練のトレーナーでも必須アイテムだったりする。

 

「これが図鑑だよ。それとモンスターボール」

「わぁー! ありがとう博士ー!」

 

 興奮で敬語をするのを忘れてしまっている事にユリーカは気付いていない。

 

「それじゃあ博士! 最初の三匹だけど!」

「あ、あー……ユリーカ君、実はだね……」

「早くください! 私、もうケロマツに決めているんです!」

 

 ケロマツとはサトシのゲッコウガの進化前の進化前だ。最終的にはゲッコウガになる。

 

 最初はハリマロンとフォッコとも迷ったが、最終的には目標である彼のゲッコウガになるケロマツに決めたのだった。

 

 だがプラターヌはすぐには出さず、代わりに出て来たのは彼の困り顔だった。

 

「は、博士……?」

「デネネ……?」

 

 すると突然、プラターヌが頭を下げて来た。

 

「すまないユリーカ君、実はハリマロン、フォッコ、ケロマツの三匹はもういないんだ!」

「え、えええええ!!?」

「デネネネネネー!!?」

 

 あまりの衝撃にユリーカは研究所全体に響くような大声を張り上げてしまった。

 

「そ、それどういう事なの博士ー!?」

「じ、実は君が来る前に三人トレーナーが来てしまってね……」

「えええ!? 博士今日旅立つトレーナーは私を含めて三人って言ってたじゃない!」

「すまない! 昨日の夜突然電話がかかってきてね……いや、本当に申し訳ない!」

「そ、そんなー……」

 

 がっくしと肩を落とすユリーカの頭をデデンネがよしよしと撫でてあげた。

 

 そんなデデンネに感謝しながらユリーカは気を取り直した。

 

「しょうがない……寝坊した私が悪いんだもんね。じゃあ博士、私ポケモン図鑑だけで……」

「おっと、でも安心してくれたまえユリーカ君!」

 

 プラターヌが自慢げな顔で人差し指をぴんと張り上げた。

 

「実はこんな事もあろうかと秘策を用意してあったのさ!」

「秘策?」

「デデンネ?」

 

 張り上げた人差し指と親指を擦り合わせて音を鳴らすと研究所の奥から三匹のポケモンが歩いてきた。

 

「うわあああぁー!! 可愛い~!!」

 

 思わず甘い声を出してしまう。

 

 出て来たポケモンはツタージャ、ポカブ、ミジュマルの三匹だった。

 

「博士! このポケモン達は!?」

「この前イッシュ地方の学会に行ってきて、その時アララギ博士と言うイッシュ地方の博士と親しくなってね。友情の証にと譲り受けたんだよ」

 

 こちらはハリマロンフォッコケロマツを上げたけどねと付け加えた。

 

「タジャ……」

「ポカ! ポカブゥ!」

「ミジュマ~」

 

 三匹共元気がある。だがツタージャはどちらかと言うと冷静、ポカブはやんちゃ、ミジュマルは呑気な印象を受けた。

 

「皆可愛いー! どれにしようかなー!?」

「デネネイデネ!」

 

 ユリーカとデデンネは三匹をじっくりと吟味する。

 

 その時、あるポケモンと目が合った。

 

 瞬間、心に電撃が走った。

 

「博士! 私この子にします!」

 

 そう言ってユリーカはツタージャを抱き上げた。

 

「ツタージャにするのかい? その子は頭の良い子だ。きっと頼りになると思うよ」

「ありがとうございます!」

「デネ! デネデネ!」

「タジャ……」

 

 ツタージャが照れくさそうに頬を赤らめた。

 

 

 

 研究所を後にしたユリーカとデデンネ、そしてツタージャはそのままミアレシティの出口に出る。

 

「よぉーし! まずはハクダンシティのジムだよ!」

 

 ここミアレシティにもジムはあるがそのジムはなるべく最後に回りたかった。

 

 そのため、まずは近くのハクダンシティから行く事にした。

 

「行くよ! デデンネ! ツタージャ!」

「デネネー!」

「タジャ」

 

 

 

 新たなる手持ち、ツタージャを迎えユリーカはハクダンシティに向かう。

 

 ユリーカの旅は、まだ始まったばかりだ。

 

 

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