ユリーカ十歳、デデンネと共に旅立つ   作:田中太郎丸

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ヤヤコマ

 ミアレシティを旅立ち、ユリーカ達は四番道路に来ていた。

 

 まずはハクダンシティのジム、及びジムリーダーのビオラに挑戦し、一つ目のバッヂを手に入れようとしたからだ。

 

 今日の天気は快晴である。旅立ちの日としては最高ではないか。

 

 まあ、寝坊してなかったらなおよかったのだろうが。

 

「デネ! デネデネネ!」

 

 歩いていると、ポーチから相棒のデデンネが顔を出して声を発していた。

 

「どうしたのデデンネ?」

「デネデネ! デーネネ!」

 

 デデンネの小さな指が空を指す。

 

 そこには一つの鳥ポケモンの姿があった。

 

「あれは!」

 

 ヤヤコマと呼ばれるポケモンだ。

 

 カロス地方に生息している鳥ポケモンである。

 

 あのポケモンは最終進化するとファイアローと呼ばれる強力なほのお・ひこうタイプのポケモンへと進化する。

 

 そして、ファイアローは憧れの少年、サトシも使っていたポケモンだ。

 

「よーし! デデンネ! ゲットしよ!」

「デネデネ!」

 

 デデンネの目つきが鋭くなり勢いよくポーチから飛び出した。

 

 頬の電気袋から電流がばちばちと唸る。

 

「コマ?」

 

 デデンネの戦意に気付いたかヤヤコマもこちらの方を見た。

 

「コーマ! コマコマ!」

 

 ヤヤコマも雄叫びを上げて威嚇する。

 

 戦闘開始だ。

 

「初めてのバトル! 気合入れて行こうデデンネ!」

「デーネネイ!」

「デデンネ! でんきショック!」

 

 デデンネの頬袋を唸っていた電流が更に激しくなり、そしてヤヤコマ目掛けて発射された。

 

「コマ!」

 

 しかし、ヤヤコマは空中で綺麗に旋回してこれを避ける。

 

「躱されちゃった!」

「デネネ!?」

 

 ユリーカとデデンネが驚く。この隙をヤヤコマは見逃さなかった。

 

「コマー!」

 

 ヤヤコマが勢いを付けて急降下してくる。

 

 そしてそのままデデンネに突撃した。

 

 たいあたりだ。

 

「デ、デデンネー!?」

 

 ヤヤコマのたいあたりを受け吹っ飛ばされ地面に叩きつけられたデデンネだったが首を振った後すぐに立ち上がった。

 

「デネネ!」

 

 おそらくこれは何ともないと言う意志の現れた鳴き声だろう。

 

 それを聞いたヤヤコマの目つきは鋭くなる。

 

「コマ!」

 

 ヤヤコマは再度勢いを付けて急降下してきた。

 

「デデンネ! あなたの得意技を見せてあげて!」

「デーネネ!」

 

 ユリーカの指示にデデンネは両手で自信のほっぺを擦り始める。

 

 すると、先程のでんきショックの時よりも更に電流が激しくなり、そして頬から髭まで覆う程の電気量となった。

 

「ほっぺすりすり!!」

 

 デデンネの得意技だ。自身の頬に電気を流し、それを相手に擦り付けると言う技だ。

 

「デーネー!」

 

 ヤヤコマのたいあたりに合わせてデデンネがヤヤコマに突撃していく。

 

「コマ!?」

 

 突然のデデンネの反撃に今度はヤヤコマが驚いた。そのためか一瞬だけだがヤヤコマのスピードが落ちる。

 

 そこにデデンネのほっぺすりすりが炸裂した。

 

「デネネネネネ!!」

「コマママママ!!?」

 

 体全体に電気を流し込まれたヤヤコマはたまらずたいあたりの勢いをなくして地面に伏せる。

 

 ひこうタイプのヤヤコマにとってでんきタイプの技であるほっぺすりすりは効果は抜群だ! ヤヤコマには大ダメージを与えられた。

 

 だが、デデンネの得意とするこの技の恐ろしい所はこれだけではない。

 

「コ……コマ!?」

 

 再び空に飛び立とうとしたヤヤコマを全身の痺れが襲った。

 

 ほっぺすりすりの真に恐ろしい所はこれである。ほっぺすりすりは威力こそ高くはないが絶対に相手をまひ状態にさせると言う追加効果がある技だ。

 

 まひ状態になったポケモンは体全体が痺れて動きが鈍ってスピードが遅くなるほか、体全体が痺れて動けないと言った事も起きる。

 

 今のヤヤコマがまさにそれだった。ヤヤコマは効果抜群の技を直に受け、更に体が痺れて動けない。

 

 まさに、ゲットするならここだろう。

 

「よし! 行けモンスターボール!」

 

 ユリーカが力を込めてヤヤコマにモンスターボールを投げつけた。

 

「コマ!?」

 

 頭にクリーンヒットしたヤヤコマをモンスターボールから出る赤い光線が包み込み、そしてモンスターボールの中に誘った。

 

 ヤヤコマを中に入れたモンスターボールはそのまま地面に落ち、そして真ん中の開閉ボタンを赤く点滅させながら横に横にゆらゆらと動く。

 

 中に入ったポケモンが抵抗しているのだ。

 

「…………」

「デネデネ…………」

 

 モンスターボールの動きがなくなり、開閉ボタンの点滅がなくなった時がゲットした瞬間である。

 

 その時がくるのを今か今かとユリーカとデデンネは待ち侘びる。

 

 そして……

 

「コマー!」

 

 モンスターボールからヤヤコマが飛び出した。

 

「……あれ?」

 

 どうやらゲットできなかったらしい。

 

 ポケモンを捕まえるのは相手を弱らせ、更に状態異常にしてボールを投げるのが効果的なのだが勿論上手くいかない場合もある。

 

「コママー!」

 

 最悪な事に、自分では歯が立たないと思ったかヤヤコマはそのまま遥か上空まで飛びそのまま逃げて行った。

 

「あ! ま、待ってー!」

「デ、デネネー!」

 

 ヤヤコマはユリーカとデデンネの声など聞こえないと言った様子で一目散に飛んでいき、そして影すら見えなくなってしまった。

 

「そ、そんな~」

 

 人生初ゲットは、失敗に終わってしまった。

 

「デデンネー……」

 

 デデンネもその場に尻から崩れ落ちる。

 

 その顔には悲しさと悔しさが滲み出ていた。

 

 現在の空に、ポケモンはいなかった。   




デデンネ ♂ Lv8 特性:ほおぶくろ 持ち物なし 親ユリーカ

やんちゃな性格 いねむりがおおい

覚えている技
たいあたり しっぽをふる でんきショック ほっぺすりすり
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