ラブライブ!サンシャイン!!~shiny tales~   作:ゐろり

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伊崎さんのターンです。
輝きの縁では見れない櫂さんのかっこよさがあります。
どうぞ!


第二話~火と火、二つ合わせりゃ炎~

陽香の提案でおれ達は二人一組で行動することになった。早速彼方のヤツは曜と一緒に魚とりに行ったようだ。気がつけば高海兄妹もいない。大方ココらへんの散策にでも行ったんだろう。食材調達はしてくれよ。

 

 おれは一人取り残された桜内さんに声をかけた。

 

「それじゃおれ達はかまどを造ろうか」

 

「うん」

 

 俺と桜内さんは河原の程よい大きさの石を拾い集め、それを並べて積み上げて、石造りのかまどを造り上げた。後は薪の調達だな。

 

「紫堂くん、薪はどうするの?」

 

「んー、確か……」

 

 キャンプ場の入り口で買った薪のセットとキャンプグッズにあった鉈を取り出した。こいつを割って燃やしやすくするか。

 

「あの、紫堂くん」

 

「ん?」

 

 桜内さんが控えめにおれの服の袖を引っ張ってきた。控えめに言って、可愛い。

 

「私、薪割りやってみたいんだけど……」

 

「え?」

 

「都会じゃ中々出来ないから、ちょっとやってみたいなーって思ってるんだけど……」

 

「そっか。それじゃあ……、はいっ」

 

 手渡された鉈の重みに一瞬顔をしかめる桜内さん。大丈夫かな。

 

「よーしっ、えいっ」

 

 桜内さんは薪目掛けて鉈を振り下ろすが上手く当たらず、薪が倒れてしまった。

 

「えいっ、えいっ!!」

 

 その後も何度も試すが、薪は彼女の努力を嘲笑うかのように割れなかった。

 

「紫堂くーん……」

 

 ちょっと眼を潤ませて俺に助けを求める桜内さん。おれはくすっと笑って後ろから彼女の両手を握った。

 

「あっ……」

 

「最初っから振り下ろすのがダメなんだ。まず最初に……」

 

 桜内さんの右手の鉈を薪にコツコツと小さく当てていく。

 

「そーすっと徐々に鉈が薪に食い込んでいくから後は……」

 

 ふとそこで桜内さんの顔を見る。よく見ると顔が真っ赤だ。どうしたんだろと考えて、今おれ達の状況を改めて確認する。おれ、すっげぇ密着してるな。桜内さんの手も握ってるし。

 

「こ、ここまで行けば何度か叩きつけるだけで割れるから、試してみて……」

 

「う、うん……」

 

 意識したら俺も恥ずかしくなって。ぱっと身を離した。彼女も恥ずかしいのか、それからは何も言わずにコツコツと薪を割っていった。

 

 

 

 薪割りを終えたおれ達は、それをかまどに放り込むと種木に火をつけた。後は薪に火がつくまで空気を送るだけだ。桜内さんがかまどの前で竹筒で吹いていた。

 

「すーっ、はーっ……。っぇほっけほっ!!」

 

 煙を吸ってしまったのか、むせてしまう桜内さん。おれは彼女の隣に立ち、ペットボトルを渡した。

 

「大丈夫か? ほらこれ」

 

「っあ…、ありがとう……」

 

「おれに任しといて。こういうのは――」

 

 桜内さんを小さな椅子に座らせると、おれはうちわを取り出した。ぱたぱたと煽ってやると種火はみるみると薪に燃え広がっていった。桜内さんはペットボトルから口を離すと、ため息をついた。

 

「紫堂くんはスゴイね。すっごく慣れてる」

 

「小さいころから高海兄妹とよくキャンプ行ってるからね。気がついたら覚えてたってわけ」

 

「私、ほとんどこういう機会なかったからなぁ……」

 

「こういうのは場数がものを――」

 

 するとかまどからパキっと音を立てて木片の一部が俺の右腕を掠めていった。熱さと痛みが一緒に肌を襲う。

 

「っ!!」

 

「紫堂くん!?」

 

 桜内さんがびっくりしておれに近づいてきた。おれは心配させないように笑顔を作った。

 

「っ、油断大敵ってことだな。平気平気、これぐらいキャンプするときはよくあることで――」

 

「無理しちゃダメだよ! っ――」

 

 桜内さんはペットボトルの水をそのままおれの腕にかけ始めた。

 

「え、ちょっ、桜内さん!?」

 

「ちゃんと水で冷やさなきゃダメだよ!」

 

「じゃなくて、そのペットボトル――」

 

「大丈夫、私しか口づけて――」

 

 そこまで言いかけて桜内さんの動きが止まった。顔を真っ赤にしてちょっと涙目でおれを見つめている。顔が熱い。これは多分かまどの火に当てられたからじゃない。

 

「ほ、包帯巻くね……」

 

「あ、ああ。うん……」

 

 それからおれ達は黙々とかまどの火をいじっていた。右腕に巻かれた包帯を触れて、視線を桜内さんに向ける。彼女の顔は炎に当てられてか赤かった。何だか恥ずかしくて話しかけ辛いな。

 

「千歌ちゃん達、どこまで行ったんだろうね?」

 

 桜内さんが話題をふってきてくれた。助かった。

 

「そんな遠くまでは行ってないと思うんだけどな。あいつら、ちゃんと食材調達してるんだろうな……」

 

「あの二人なら、イノシシとか捕まえてそう」

 

「あー、その可能性は否定出来ないなー」

 

 あの兄妹なら落とし穴でも設置して捕まえかねない。

 

「流石のおれもイノシシの解剖は出来ないなぁ」

 

「うん。目の前で解体ショーされたら私倒れちゃいそう」

 

「シカなら出来るんだけどなぁ」

 

「嘘でしょ!?」

 

「うん、嘘」

 

「もう、からかわないでよ~」

 

 なんて笑い合っていると、彼方と曜が戻ってきた。

 

「戻ったぞ~」

 

「櫂! たっだいま~」

 

 彼方の後ろから曜がひょっこり顔を出してきた。気のせいか、あの二人以前より距離が近くないか?

 

「どんくらい釣れた?」

 

「12匹だよ! 私が10匹で彼方君が2匹!」

 

「くっ、性能差が勝敗を分つ絶対条件ではないと証明したかったのに……」

 

 彼方がボロい釣り竿を握りしめて悔しがっている。曜はふふ~んと勝ち誇った顔をしている。

 

「あれぇ? 彼方君ったら負け惜しみ? 男らしくないぞぉ~?」

 

「ほっとけよ、曜……」

 

 間違いない、この二人。確実に距離を縮めている。おれは頬を緩めると、魚の入ったバケツを受け取った。

 

「よし、じゃあこの魚は串焼きにすっか」

 

「ヨーソロー!!」

 

 曜の元気な掛け声が響く。ふとおれと曜、高海兄妹とキャンプに行ったことを思い出した。あの頃も、楽しかったなぁ。今は彼方と、桜内さんがいる。これからもっと楽しくなる日々が続くんだろうな。

 

 

「にしても陽香達、どこまで行ったのやら……」

 

 俺は視線を山の方へと向けたのだった。

 

 




次はなこHIMのターン。
千歌ちゃんが健気です。アホさも健在です。
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