午前10時は旅《グランドオーダー》がない場合は各々サーヴァント達も自由行動している。
ある者は修練に励み
ある者は遊んでいたり
ある者は妹を弄ったり、まだ食べ物をねだっていたり
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俺は自室に篭っていた。
体験した事のある脱力感に苛まれていた。
体に力が入らない。
ーーいや、身体的には健康であるがーー
ーー…このまま自室にいても埒があかないーー
顔に両サイドから"パチンッ"と無理やり顔を引き締めて立ち上がる。
水が入ったコップ。
一気に飲み干し
自室を後にした。
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「むっ。マスター」
呼び止められた。
自室を出て食堂付近を歩いていた時だった。
イオリ「‥あぁ。アルトリアか。さっきはすまなかったな」
アルトリア「いえいえ。もう気にしてませんよ。あの時はお腹が空いていたので」
イオリ「そっか。…ありがとな」
アルトリア。気高き騎士王であり聖剣エクスカリバーを持つ円卓の騎士のボスだ。
アルトリアは数がバカに多いのでこの人は"青王"とか"青いセイバー"とか呼んでいるが彼女達が一人の時はこの名前で呼んでいる。
アルトリア(青)「‥どうかしましたか?」
イオリ「ん?」
アルトリア(青)「顔に覇気が見られませんね…」
イオリ「‥あぁそうか。少しぼぅっとしてな‥」
イオリ「気分転換がてら散歩してたんだよ」
アルトリア(青)「そうですか‥体調には気を付けてくださいね?
貴方がいなければ皆が困ってしまうので」
イオリ「おうさ。気をつけるよ」
ーーあれ?何か"貴方がいなければ困ってしまう"この言葉がすごく心にのしかかってくる。なんでだ?ーー
内心頭を振った。アルトリア(青)は心配してくれてるんだから…
イオリ「ってかまだ食ってるの?」
アルトリア(青)「はい。アーチャーのエミヤがケバブを作ってくれました」
イオリ「そ・そっか。でも食うなら歩きながらじゃなくて
座って食えよ?」
アルトリア(青)「分かりました」
そう言って食堂に入って行き椅子に座って食べ始めた。
えっ??まだエミヤに作ってもらうの?まだ食べるの?
"放っておこう…"
食堂を後にして散歩を再開した。
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散歩をして30分ぐらいがたった。
その間にジャックに解体させてとせがまれたり
メイブがクーフーリン'sにタックルに似た抱擁をして全て矢避けの加護で避けられるのを目撃したり
ランスロット(剣)がマシュに避けられていてしょげていたり
清姫に求婚されたりしたが…
全部が全部上の空だった。それを見ても感じても何も思わなかった。
ただ俺の視線は空を切っていた。
ジャックや清姫にも大丈夫か心配された程だった。
これは前にもあった事だ。
自分でも今分かった。
うつ病の兆候だ。
ほんとだったらしっかり休まないといけないが
俺は世界最後のマスターで人類を救わないといけない存在だ。
それを放棄したらここにいる意味。ましてやここで生きていく価値がない。
ーーそれが分かっているだけまだマシな方か…ーー
散歩を中断し医務室に足を運んだ。
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ロマン「いらっしゃい。イオリ君」
イオリ「あぁ…。Dr.に相談があって来ました‥。」
ロマン「…その顔見れば大体察したよ」
イオリ「すみません…。本当にすみません…」
Dr.には最初の特異点が終わって自分の過去の事は話しておいた。
…自分の置かれている状況が分かっていたがそれでも‥
その時、Dr.はDr.自身も混乱している状況でも関わらず定期的なカウセリングをやってくれるようにしてくれた。
そしてこの事は内密にしておく事を約束してくれた。
残ったマスターがこの様な精神状態の場合、カルデア内の混乱を招く恐れがあるため少しでも当時の混乱した状況を回復させるために‥
ロマン「‥やはり無理がきたかい?」
イオリ「‥はい」
ロマン「こんな状況は逃げ出したい?」
イオリ「…はい」
分かってる。そんな事言える状況じゃないって事ぐらい。
でも…自分に対する甘さがどんどん滲み出てくる。
世界と一個人。天秤にかけたら当たり前に世界に傾く。
でも…それでも…
この背負った十字架の重さにはもう耐えきれそうにない。
ーー何で生き残ったのか俺なのかーー
早く俺の代わりが欲しかった。
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ロマン「…僕は。ここの責任者でもあるから厳しい事も言う。」
イオリ「はい…」
ロマン「イオリ君。君がいなくなったら僕たちは人類史の修復ができない」
ロマン「だから君には安心できる休み何て与えたくない」
イオリ「…」
ロマン「最後のマスターなんだよ?あと少しで全ての歪みが修復できる」
イオリ「…」
ロマン「しかも魔術王は次の工程に移ってるって言うじゃないか」
イオリ「…」
ロマン「過去の事は聞いた。だけど君をここで邪険に扱う人いる?」
イオリ「‥い‥ないです」
ロマン「そうだよね」
イオリ「‥」
ロマン「…」
ロマン「‥っとここまでが責任者の僕の言葉だ」
イオリ「‥?」
ロマン「君は過去に大きな闇を背負っている。そう簡単には削られた精神は戻ってこない」
ロマン「まずは"自覚"しよう!イオリ君。君自身がもっと自分の大変さを自覚しよう」
ロマン「僕はカルデア内で一番の味方だと自負してる。」
ロマン「だから自覚した上でその闇とどう歩んでいくか‥
一緒に考えよう‥!」
イオリ「‥はい‥」
ロマン「最後の特異点の計測まで少し時間がかかる。その間に精神をできる限り回復させたい‥だから」
イオリ「‥?」
ロマン「だから…ここにいるサーヴァント達でカウセリングみたいなのをやろうと思う!」
イオリ「で‥でも」
ロマン「あぁ。ここまで秘密にしてきたからね。でも今はたくさんのサーヴァント‥いや英雄達がここにはいる。」
ロマン「その彼らを"仲間"と思ってくれるなら。そしてもうこれは秘密にしなくても職員達も最近は落ち着いてきたからね」
ロマン「別に混乱しないだろうさ。最初はみんなこのような状況に戸惑っていたけどね」
ロマン「こんな事じゃ混乱なんてしないさ」
イオリ「‥」
ロマン「どうかな‥?」
イオリ「お・お願いします‥!みんなに相談させてください‥!」
ロマン「よしっ!じゃあ明日の10時頃にここに来てくれ!」
ロマン「待ってるからね」
イオリ「よ・よろしくお願いします‥!」
自室に帰る時は少し心が軽かった。
みんなに相談して、みんなに頼る事ができて・