ダンジョンで双璧が暴れるのはまちがっているだろうか 作:よづき
「ノエルたーーーん!」
ガネーシャ・ファミリア調教していたモンスターと謎の極彩色のモンスター暴れた数日後、オラリオはすっかり以前の様子を取り戻していた。
そんな朝に、天界きってのトリックスターの声が響く。
「ロキ…」
飛びついてくる女神をかわし、自然と向き直る彼女にロキは3年で変わったと思った。前であれば自分に向き直って会話をすることなどなくそこらに捨て置いてどこかへ行ってしまっていた。
「何してるんやー?」
「剣の新調に…この間の騒動の時にモンスターに溶かされて」
「…なぁ、ノエル。それを今うちらが探っとる言うたら遠征についてくるか?」
「今は無理」
絶対食いついてくると思っていたロキには予想外の返答。
「なんでやー」
「強制依頼。ファミリアのランクが上がったから」
そう答えつつも、少し腑に落ちない顔をするノエルに、再度ロキは問いかける。
「どうしたんや」
「…早すぎる」
2人がギルドに申請を出して間もない。本来であれば、強制依頼が出るのは精々1ヶ月後。ファミリアの体制が整ってからだ。
「心当たりはあるんか」
「…2つある」
「そーか。ノエル、今はもうウチの眷属ではないけどな、大事な子どもや。いつでも頼ってええねんで」
「ありがとう」
「えーよ。で、何回層まで行く予定なん?遠征ついでじゃあかんのか?」
にひっと表情を変えるロキに、気まずそうにノエルは答える。
「アルトが【ロキ・ファミリア】と行動するのは無理…。予定では42階層」
「2人でか!?あかん、いくらノエルたちでも無理や!」
レベル6が2人いようと、サポーターや魔導士なしに前衛タイプ2人では無茶である。
「それに自分、あの反則スキル、ダンジョンでは使えへんやろ!」
そういえばこの女神にはステイタスが割れていたな、と思い出す。
「大声で人のステイタス喋らないで」
使えないこともないが、咄嗟にでも施行すればさらにピンチを招く類のスキルである。
故に、18階層などダンジョン内の明るい場所でレベル6以上に襲われれば勝率が下がる。
それを現在知っているのはロキ、フィン、ガレス、リヴェリア、ベート、そしてアルトのみである。迂闊にバラされては適わない。
「す、すまん。で、ちゃんと帰って来れるんか?」
「…まだ、死ねないよ」
素直ではない言い方に変わってないところもあるんだと懐かしむ。
「それから帰ってきたら、遠征、行くよ」
「ほんまか!アイズたんやベート、あとカナも喜ぶなあ」
「カナ?遠征に、あの子が行くの?」
単独行動を繰り返す自分を見つけては、剣を教えろ、並行詠唱を教えろとついてまわったLv2の少女を思い出す。
「今はLv3やで。ノエルたんに追いつきたかったみたいやなぁ。退団後はソロで中層と下層を動き回っとる。まぁ、ノエルたんほどステイタスはソロに特化している訳でもないから心配やで」
ロキはノエルのステイタスを悲しいと評したことがある。
ファミリアに所属しながら、周りを頼ることなく1人で生き抜くことに特化した恩恵たち。
「…そう。じゃあ、ますます帰ってこなきゃだね」
目の前で裏切ったベート、置き去りにしたアイズ、目を向けてやれなかったカナ。それぞれに口下手な自分だが、自分を決して1人にしようとしなかった3人に向きなおろうと、そのためには強制依頼から無事に帰ることを目標に彼女はロキに微笑んだ。