アンジュ・ヴィエルジュ ダメ人間によるメインストーリー 作:ヤドリ
この世界は【異変】による危機に瀕している……!
数年前、そう告げられて幼年期の妄想と思わなかった者はどれだけ居るだろうか。
僕の場合はテレビや新聞に目を通さなかったし、学校にも会話できるようなクラスメイトは一人も居なかったので、夕食の席で妹から初めて聞かされた。
『……そういう妄想を聞かされても反応に困るというか。あー、でもそういう子供っぽい空想は逆に兄として安心するな。大人びすぎてたし』
『もう、本当にニュース見ないんだから。テレビ、つけるからね』
こうして、目の前に飛び込んできた映像は、それこそ映像処理を疑いたくなるものだった。報道ヘリか何かから上空、つまりは青空や白雲を映し出している事は分かる。
問題なのは、本来は空にあるべきでないものだ。
――黒、赤、白
まるで小さい太陽のような、三色の輝きが蒼穹に囲まれて浮かんでいた。
映画か何かのPVかとも思ったが違う。ニュースキャスターの口からは深刻な様子で、世界の危機や異変、異世界といった単語が漏れていた。
やがて、画面は切り替わり、内閣だの国防省だのの偉い人に大勢のマスコミが駆け寄り、マイクを突きつけようとする映像が流れた。
もちろん、公なコメントを発せた人物は誰一人としていない。
スタジオでは識者や専門家を自称する人々が、それらしい批評を重ねていく。
想定、不手際、対応の遅さ、といった言葉が散見したが、少し馬鹿馬鹿しく思える。
前例がない事態の専門家など存在するはずもないし、居たとすればテレビに出る暇もない程、多忙だろう。それに異変だの異世界だのを相手に、何を想定し、何に対応するというのだろうか。
ただ、そういった馬鹿馬鹿しさはあまりに、生々しい程に現実的だった。
『……マジか』
『本当だよ。あと、お兄ちゃんに軽薄口調って似合わないと思うよ』
その後、お前は母親かとつっこめば、半分ぐらいは母親業務してるよ、などと妹に返されてぐうの音も出なかった覚えがある。が、それはまた別の話だ。
さて、当時は前例がない事態の専門家など存在するはずもない、と子供心ながらに思ったのは間違いだった。
どうやら、専門家は居たらしい、と思えるぐらい世間の対応は早かった。
三色の輝き、つまりは三つの異世界への
その詳細の全てが世間一般に公開されているとは言い難いが、少なくとも一つの合意に至った事は周知の事だった。
すなわち、世界連結と時を同じくして発生した異変。異常気象や危険な生命体の活発化など形は異なるが、これは各世界が協力して解決すべき危機であるという事。
そして、その手段として、
原因不明の異変には、原理不明の異能を、という事だろうか。
こうして、信じ難い速度で教育機関、【青蘭学園】は成立、整備されていった。
世界連結という大事件から数年後、僕はこうして船上の人となっている。
もちろん、異変や世界連結と無関係の話ではない。それらが原因で成立した青蘭学園は太平洋上の孤島、青蘭島に存在する。
当然ながら、そこに向かうなら飛行機か船を使うしかない。
僕のような新入生も当然、そういった移動手段を利用する。
――そして、僕は思いっきり学園行きの船の上で孤立してた。
「うわぁ、あの人ってキモくない?」
「こら。臭くないだけマシ……潮の香りで誤魔化されてるだけかも?」
「というか正直、人避けのエクシードかと思った」
「まあ、性格まで分からないし、人によるんじゃないの。私は生理的に無理だけど」
見渡す限り、女子女子女子。圧倒的な男女比。
そこから形成される空気もあるのか、異性への品定めも容赦がない。
(あと、ことごとく評価が最悪じゃないか?)
とはいえ、それなりの自覚はあった。
清潔感のない長髪、普段の姿勢も、あまり良くない。服装は制服なのでセーフ。
前髪も顔の半ばが隠れるほど長いが、これは仕方ない。悲しい事だが、隠さない方がより絶望的な事態になるからだ。
つまりは、控えめにいっても、怪しげな髪の毛お化けとしか言えない容貌で、彼女たちの評価にもあまり文句は言えないのだ。
しかし、それでダメージがなくなる訳でもない。少女達に陰湿な
その中で悪口に慣れていない大人しげな少女が控えめに頷いている、という構図。
僕としては逆にダメージが大きい。元から性格が悪い人間に攻撃されるならともかく、普通の子達から集中砲火を浴びているという事は、要するに僕は集団から弾かれているという事だ。
(いつもの事だけど。あー、死にたい)
今すぐ海にダイブすれば死ねるのだが、そこまでやる勇気も無い。
気分がどん底でも、臆病さが勝つという、どうしようもない人間、というのが僕だ。
「でも、これ絶対聞こえてるよね。あれ、聞こえてないふり?」
しばらくすれば、こんな台詞が出て、クスクス笑いが続くのだが、これはさすがに自意識過剰という他ない。
自分の話題に対して、何か反応を返すという真っ当なコミュニケーションを行う能力が僕にあるとでも思ってるのだろうか。
つまりは、聞こえないふり以前に、聞こえようが聞こえまいが、無反応に違いないのだ。
そんな事を考えながら、ぼんやりと甲板の手すりに、もたれ掛かる。
青蘭学園は男子に比べて、圧倒的に女子が多い。役得と考える人も居れば、実際にチャンスをモノに出来る人も居るだろう。
しかし、現実的に考えれば、男子は異物そのもので、孤立してしまう場合の方が多いだろう。そうなれば、ハーレムどころではない。
(華やかなのにはいいけど、僕にとっては地獄と変わらないよな)
筆者はアニメ組、厳密に言えばアニメ化情報を聞いて、先にソシャゲ始めた組。
設定わからない、と思って、近くの書店にある漫画とラノベを置いてあるだけ買ったが、もっと分からなくなったので、そのまま執筆を開始。
という訳で、設定は大いにガバガバなまま通すことになると思われます。その点に関しては、ご承知ください。
反映/修正するかは別として、もしソース付きで正しい設定を知っている方が居たら、教えてくれるとありがたいです。実際、どういうエクシード持っているかすら分からない子が結構多いので。
・登場人物&用語解説
『僕』
この物語の主人公。公式では想定されながらも、多くは語られないプレイヤーの分身。
『あなた』に代わって、空欄に収まった中心人物。
プログレスの能力を引き出すαドライバーではあるが、あまり才能はない。
容貌が悪く、臆病で卑屈な性格。趣味はカードゲーム。
見事に平均以下だが、万人が納得するほどダメ人間かというと微妙。
一応、主人公枠なだけあって可愛らしい妹と親戚が居る。
公式エピソードを見る限り、ストライプの下着を使用しているようだ(いらない情報)
プログレス
異能を持つ少女。男性は未確認であり、現状は例外なく女性。
基本的に異能に法則性はなく様々。また似通ったものはあっても、完全に同一のものは存在しない。共通項目として身体能力の向上がある。固有の異能とは別に、飛行能力を持つ者も居るがこれは人によってまちまち。
四世界
地球を含む、突如連結してしまった四つの世界の事を指す。
青の世界、黒の世界など、色で識別される。固有名詞もあるがそれは後の話で。
現時点では、一色欠けている。
異変
世界連結と同時期に頻発し始めた、世界にとって有害な何か。
公式動画、なぜなにアンジュ・ヴィエルジュで解説されている。
とにかく色々な異常事態が起こってるんですよ、という話らしい。
明確な「世界の敵」が現れるのは、まだ先の事。