ソードアート・オンライン マザーズ・ロザリオ ボクの生きる意味 作:むこ(連載継続頑張ります)
こんばんは、たくさんのご贔屓にたばかりまして大変に恐れ多い筆者です。
一時的にではありますがキリト×ユウキ ヒロインはユウキ のタグで平均評価1位をいただきました。大変恐縮の至りで明日にでも自分は死んでしまうのではないかと思ってしまっています。UAも4000を突破し、お気に入り登録も伸びていて誠幸福の至りでございます。皆様のおかげでモチベを維持でき、書き続けられると思っております。改めて御礼を申し上げます。ご愛読、誠にありがとうございます。
更新ペースだけがウリなのでガンガン投稿を続けていきたいと思います。仕事の日は1話…休日は3~4話といったところでしょうか…。温かい目で見守っていただければと思います。皆様の声が何よりの支えです。前書きが長くなってしまったので切りたいと思います。第17話、それではご覧ください。
西暦2026年2月1日 日曜日午前10:20 神奈川県横浜市横浜港北総合病院
「木綿季……久しぶり!」
『明日奈……本当に……明日奈……』
「木綿季……また会えると思ってなかった……」
木綿季は声を震わせながら親友の名前を呼んだもう二度と会えないと思っていたからだ。スピーカーの向こうからでも涙ぐんでいる様子がわかる。明日奈の目から滝のような涙が溢れ出てくるのを、シノンがポケットからハンカチを出し明日奈の涙を優しく拭った。
「みんな、とりあえずここで立ち話もなんだ。ここからはALOで話し合おう。倉橋先生、隣の部屋を……またお借りしていいでしょうか?」
「それはかまいませんが……でも生憎アミュスフィアは一台しかないのですよ…」
倉橋がそういうと全員待ってましたと言わんばかりに、カバンからそれぞれアミュスフィアを取り出した。全員顔に「問題ありません」と描かれているかのように、準備万端といった表情を浮かべていた。倉橋は一瞬呆気にとられると「来客用の少しいい椅子をお持ちします」と扉の向こうへ消えていった。
『明日奈……また会えて嬉しいよ……ボク、話したいことがいっぱいあるんだ……』
「私も木綿季と……たくさん話したい……!!」
『うん……! えへへ……」
少しすると先ほど椅子を取りに別室に行った倉橋が看護師と一緒にせっせこせっせこと椅子を運んできた。キャスター付きで革素材で作られ、リラックス出来る結構いいやつだ。それをこの人数分用意したと言うのだから驚きというより、いい人過ぎるだろう。
「倉橋さん、わざわざすみません…」
翠が少し申し訳なさそうにそう言うと倉橋は「これぐらいのことはさせてください」と喜んで手を動かした。本当に木綿季の周りにはいい人ばっかり集まる。多分これが木綿季の本当の人望……人柄がもたらしていることなのだろう。
「よし木綿季、これからALOにログインするからお前も来てくれ。この前の…場所でな」
『うん! ボクもすぐ行くよ!』
和人がそういうと、木綿季のスピーカーからは心の底から明るく嬉しそうな声が聞こえてきた。和人と明日奈だけじゃない、みんなが……みんながボクに直接会いに来てくれた! 本当に嬉しい、いつかこのお礼はしないといけないな、でもどうやってお礼したらいいんだろうなあと、ユウキは久方ぶりに嬉しさの感情がこもった悩みを抱えていた。
「すみません桐ヶ谷さん、少しよろしいでしょうか」
木綿季が嬉しさで頭を抱えていると、倉橋が翠を呼び止めていた。大人だけでの話でもあるのだろうか。翠はこちらを向き「楽しんでらっしゃい」とだけ言うと、倉橋とともに無菌室の近くにある応接間に入っていった。和人は何の話だろう……と思いつつも木綿季を待たせるわけにはいかないのですぐさま自分のアミュスフィアをカバンから取り出し、LANケーブルをエギルが持ってきたHUBに差し体をリラックスさせる。直葉だけは持ってきていなかったので部屋の備え付きのアミュスフィアを借りていた。
「なっなんか…すごい光景ね…これ」
リズが苦笑いを浮かべながらこの状況の感想を述べた。なんせ9人ものALOプレイヤーが同じ部屋でほぼ同じ体勢でアミュスフィアをかぶっているのだから、外野からみれば何の集団だと思うに違いない。
「VRMMOのオフ会とかあったら…こうなることもあるんだろうな…きっと」
「集まってまで仮想世界で遊ぶのなら、それじゃあオフ会の意味がないじゃないの」
「まあまあ。細かいことは気にしないようにしようよ!今度はちゃんとユウキちゃんも一緒にオフ会を計画しようよ! きっと楽しいよ!」
シノンの野暮なツッコミに対して天使のような笑顔でフィリアが速攻でフォローを入れてくれた。ありがとうフィリア、君はこの中で数少ない常識人……いや、女神だ。
「そうね、みんなと一緒なら……リアルでもゲームでも、きっと楽しいに決まってる物ね」
「ああ……全くだな。それを現実にするためにも……いくぞ……ユウキのとこに……!」
和人の言葉と共に、全員アミュスフィアをしっかりと頭部に装着して電源と入れ、それぞれがALOのランチャーを起動して、一斉にログインの体制に入った。やがて身体をリラックスさせ、意識を仮想世界へと集中させていく。心と体の準備が整ったところで全員一斉に「リンク・スタート!」のセリフとともに、九人の意識は現実世界から仮想世界へと委ねられていった。
――――――
同日午前10:30 ALO アルンの街 転移門前広場
世界樹の街アルンの転移門広場の周辺には、既に先ほどのメンバーの九人中八人が集まっていた。まだ来ていないのはクラインだけでメッセを飛ばすと「悪い! 転移結晶切らした! 買ってくるから先に向かっててくれ!」とのことだった。キリトは呆れ顔をしながら頭をぽりぽり掻きながらため息を吐いた。いざという時は頼りになる男なんだがなと珍しくフォローを入れながら。
「あいつなあ……一々こういう肝心なときに限って間が悪いというか要領が悪いというか……」
「キリトくーん、クラインさんまだなの~? もう待ちくたびれちゃったよー!」
「ああ…今メッセが返ってきたよ、転移結晶切らしてるらしい。買ってから合流するから先に行っててくれだってよ」
「んじゃあ、そう言うんだから遠慮せずに先に行くとしますかっ」
そういいながらリズは先に翅を広げて、我先にと緑の丘へと飛び立った。アスナやシリカも慌ててその後を追うように翅を広げて地面を蹴り、アルンの街の大空へと飛び立った。そしてやがてそれは連鎖的にキリト、シノン、フィリア、エギルと続き、総勢八人の妖精たちが一斉にアルンの空を舞っていた。
「アスナ、先に行っててもいいぞ。いろいろ話したいことも……あるだろ?」
「う……うん! ありがとうキリト君!」
キリトがアスナに一足先に言って来いと促した。ここが出来る男と出来ない男の違いなのだろうか。アスナはキリトにお礼を言うと、翅に力を込め全力の最大速度で目的地まで飛んでいった。今まで飛んだみせた速度で最速なのではないだろうか。
「へぇ~……、気が利くじゃないキリト」
「そーゆーところが、クラインとの違いなんじゃないかしらね」
シノンがキリトに感心する一方でリズはいまだここにいないクラインに野次を入れた。どこにいてもクラインはいじくられている。悪いやつじゃあないのだがどことなく喋ると三枚目になってしまう。こんなにも女の子がいるのにもかかわらずもてないのは多分そういう事なのだろう。
――――――――
メンバーから一足先に知らされていた目的地に急いでいるアスナは最大速度を維持しつつ、上空からユウキの姿を探していた。一か月前、ほぼ一方的に頼みごとを押し付けてしまった。一緒にいるという約束を破ってしまった、ユウキに合わせる顔はないけど、それでも……それでも貴方に会いたい……! アスナはキリトに教えてもらった座標に近づくと上空から見下ろし地上をくまなく見て探していた。そしてそれらしい丘を見つけるとそこには一ヶ月ぶりに見る、ずっと会いたかった親友の姿があった。
「ユウキ……! ユウキィ――――ッ!!」
アスナは心から叫んだ、あの時いなくなってゴメン、大変なことを押し付けてゴメン、あなたに何を言われても構わない…だけど…今はあなたの側にいきたい…!
「アスナ……! アスナァ――――ッ!!」
ユウキは声のした方を見上げると、一か月ぶりに…親友の姿をその眼に映していた。待っているのが我慢出来ずユウキは羽を広げ、アスナに向かい飛び出していった。ああ……アスナだ、ボクの大好きなアスナだ! ボクにたくさんの勇気をくれた初めての……本当の……友達……!
二人は上空20メートルほどのところですれ違うと互いの手を握り合い、遠心力に身を任せ美しい回転をしながら互いを抱擁した。心なしかそのまわりにはキレイなエフェクトが舞っているように見えたような気がした。
「ユウキ……会いたかった! ……ユウキ……!」
「アスナ……ボクも会いたかったよ……アスナ……!」
「ごめんね……ユウキにたくさんのこと押し付けちゃって……いなくなっちゃって……ホントにごめんね……」
「んーん、ボクは全然気にしてないよ……、むしろアスナの役に立てたのなら……すっごく嬉しい……」
二人は抱き合いながら胸の内に抱いていた想いを互いにぶつけあった。しかしそんなことよりも今はただ嬉しい、こうして再び再開出来たことが何よりも嬉しい。ユウキは瞳に涙を浮かばせながら満面の笑みでアスナを見つめた。キリトのことも大切だがアスナもユウキにとってかけがえのない存在であったのだ。
「アスナ……今日は来てくれてありがとう……。ボク、ホントに嬉しいよ……!」
「私も話したいこと……たくさんある! 私ね、母さんのこと誤解していたみたいなの……」
アスナがそう言うとユウキは「どういうこと?」と首をかしげながら質問を飛ばした。アスナはユウキの「ぶつからなければ伝わらないことがある」という信念を胸に抱きながら母親にぶつかった。しかしそれでも京子の厳しい姿勢を崩すことは出来ずに、更に厳しい環境に立たされてしまったのだ。それをユウキは自分の所為でアスナの家族をばらばらにしてしまったと、責任を感じていたのだ。
「私ね、母さんの気持ちを理解してなかった……ううん、理解しようとしてなかったの。SAO事件で二年も勉強が遅れてしまって、それで心配しない親なんていないのに……私はただただ反抗してただけなんだ……」
「アスナ…」
「でもね、とある切欠で母さんの本心を知ることが出来たの。母さんは多分不器用なだけだったんだ。でもまあ……それは私もなんだけど……」
「んじゃあ……お母さんとは仲直り出来たの……?」
「えっと、今日家を出てくるときに知ったからまだなんだ。今日は夜遅くに帰ってくるからその時に……全部話そうと思うの」
結城家の内情にとりあえずの解決の兆しが見えたことに、ユウキは少しだけほっと胸を撫でおろし、安堵の表情を浮かべていた。いろいろごたごたはあったけど、このままいけば何とか丸く収まりそうだなと安心していた。
「ユウキは? 一ヶ月前は体の調子がすごいくいいって言ってたけど……今も大丈夫なの?」
「うん、昨日ちょっと…心臓が停止しかけたらしいんだけど…今はこの通りだよ!」
ユウキのさりげなくとんでもない告白に、アスナの表情が固まった。キリトも感じてたことだったが物凄いことを口走ってることを、ユウキ自身はあまり自覚していなかった。自分の心の臓が止まるという、命の危機に関わることを。
「心臓……って……ユウキ大丈夫なの!?」
アスナはユウキの両肩を両手でガッチリつかみ、前後に激しくユウキの体をこれでもかとぐわんぐわんと揺らし続けた。こんなことをした方がユウキの体調が悪化しそうなものだがお構いなしに揺らし続けた。
「わわわっ。だ……大丈夫だよアスナ。先生が言うにはちょっと精神的なことから一時的に体調に影響が出ただけだって言ってたから……多分平気だよ!」
「そ、そうなの……よかった……。でも無理しちゃだめだからね……?」
アスナはユウキの言葉に安心すると、もう一度優しくユウキをぎゅっと抱き締めた。ふんわりとやわらかく包み込むような抱擁に、ユウキも目を閉じて安心して、アスナを自分の胸に受け入れていた。
「アスナ……やっぱり姉ちゃんのにおいがする。お日様のにおい……あったかくて……優しくて……安心出来て……」
「ユウキ……」
ユウキとアスナはしばらく抱擁を交わすと互いに視線を合わし、にっこりと笑顔を見せあった。しかしアスナに言わなければならないことを思い出すと、次第にユウキの表情が曇っていった。
「あ、あのねアスナ……ボク、アスナに謝らないといけないのかもしれなくて……その…」
「……もしかしてキリト君のコト……?」
「え……あ……うん。知ってたんだね……アスナ……」
ユウキが少し気まずい表情を浮かべていた。ユウキからしてみればキリトを横取りしたように思ってしまったのだろう。しかし好きになってしまったものはしょうがないのである。キリトもユウキのことを好きだと言ってくれたし、今となってはかけがえのない絆で結ばれた仲だ。キリトがユウキを必要としているように、ユウキもキリトを必要としていたのだ。
「一緒にいるうちにね、ボク気が付いたら……キリトのこと好きになっちゃって……。一度ね、アスナのときみたいに拒絶して……逃げちゃったんだ」
「……うん……」
「んで……そしたらその後すぐね、アスナみたいに病院まで直接会いに来てくれて……ボ、ボクのこと……す……好きって言ってくれて……その……」
昨日の告白のことを思い返すように語っていると、ユウキは段々恥ずかしくなってきたようで顔が少しずつ真っ赤になっていった。アスナはそんなユウキの始めてみる女の子としての顔を見ると、少しだけほっこりとしていた。ユウキもなんだかんだ言って女の子だ、恋もするしお洒落もする、やっぱり女の子なんだなあと感じていた。
「ボク、キリトより先に死んじゃうよ? 寂しい思いさせちゃうよ? そう言ったら……絶対に死なせないって言ってくれて、絶対に病気を治してやるって、現実世界で一緒に歩こうって、そう言ってくれて……ボク……嬉しくなっちゃって……」
ユウキは昨日のことを語りながら、今度は大粒の涙を流し始めた。アスナは優しく手でユウキの涙を拭った。二人に血のつながりは全くないが、その仲睦まじい様子ははたから見てて、まるで本当の姉妹のようだった。
「うん……そうだね……キリト君は優しいからね。優しいところがキリト君の一番強いところなんだよ。ユウキは男を見る目があるね!」
「え……アスナ……?」
「私ね、ユウキのこと応援するよ! そりゃあちょっとだけ悔しいけど……キリト君になら安心してユウキをまかせられるし、逆にキリト君にだってユウキがついていてくれれば私は安心できるなあ!」
アスナの応援するよという言葉にユウキは目を丸くしてキョトンとしていた。少しぐらい責められると思っていた。それどころか背中を押すと言ってくれているではないか。本当は今でもキリトのことが好きなアスナであったが、しかしそれでも親友である二人の幸せを願って、心から応援してくれようとしていた。いい女というのはこういう子のことを言うのだろう。
「頑張ろうねユウキ! まずは……病気を治してから……ねっ!」
ユウキに元気を注入すると、アスナは三度ユウキを力いっぱい抱き締めた。ユウキもアスナに抱かれると、先ほど引っ込んだ涙がまた滝のように流れ出てきた。まるでキリトの泣き虫が移ったみたいに自分の頬を濡らしていた。
「うん……うん……、あり……がと……アスナ……」
ボクは本当に…幸せ者だ。死ぬために生まれてきたボクが…こんな幸せになっていいんだろうか…。でも…でも…ちょっとぐらい…贅沢しても…いいよね…パパ…ママ…姉ちゃん…。
ご観覧ありがとうございます。アスナは完全にSAO時代のリズベットポジションに落ち着きました。きっとリズとは美味い酒が飲めることでしょう。そして炙れたアスナは誰かと結ばれるのでしょうか。自分の知る限り、アスナほどの美人は美人すぎて恐れ多くて男が近寄らないといったパターンな気がするのですよね…。
ユウキの結末はもう決まっているんですが結構この物語、アスナがいないと成り立たない部分も多いのでどうにか彼女も幸せにしてあげれればと思うんですけど。ごめんよ今はユウキ優先で…!! それではまた以下次回!