IS〜神速の貴公子〜   作:ネオバレットファイア

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パンダ滑りの1号、唐突の2号

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 視線、視線、視線感じるのはそればかり、そう、俺は当然の権利のようにこの女の園にいる。いや、当然の権利というよりそれ以外の選択肢はDieなので確定事項なんだが…

 これも全て織斑一夏ってやつが悪いんだ!やつが動かさなければ俺は間違いなく穴の開く様な視線を浴びる事はなかった筈なので一つ隣(・・・)のクラスにいるであろうもう一人のパンダに気持ちだけの視線を送っておく。

 それにしても、一つの教室に2人のパンダを纏めると人がごった返すという理由で織斑一夏と別の教室の2組にされたが、刺さる視線を分散する為に是非とも織斑一夏と同じクラスにして欲しかった。

 さて、視線を下ろしてハイテクな机に向けると一冊の文庫本が置いてある、著者は黄金征人、そのタイトルは…

 

 

 

  『正しいパンダの見られ方』

 

 

 そう、朝家を出る前にぐったりした兄から渡された本だったのだが総司さんに急かされ今の今まで確認できていなかったのだが、これは、確認すべきではなかった。しかも所々に付箋が貼られている。

 ごくり、覚悟と同時に喉がなる。表紙から比較的近い付箋のページを開く。

 

『人に見られるという事はよくも悪くも目立っているという事。それは、貴様がこれからパンダから果ては有名人になるか、晒し者になるかという些細な問題である。……』

 

 などとつらつらと書かれている。要は目立った事をして、失敗するか成功するかという事を一例として有名動画投稿サイトで失敗したオフ会0人の投稿者を失敗例として、一部では音の出るゴミと揶揄されているが一度世界的に有名なロックバンドとコラボした事のあるボイスパーカッションが本業のゲーム実況者を成功例にあげてわかりやすく解説されている。

 

「なんだ、いい事書いてあるじゃん」

 

 そうつぶやいて次の付箋のページを開くと

 

『この度、私事ではありますが我が家の弟がIS学園でパンダになる事が決まりました。是非とも道化になっていただきたい』

 

 そっと本を閉じた。今までの良いながれを返せと言いたい。

 いや、まだ、まだこっからワンチャンあるから!

 パラパラと付箋が貼ってあるページをめくって行くとただひたすらに俺がdisられてるだけだった。そりゃ、もう面白、おかしくと。ワンチャンなんてなかったんだ。奇跡も魔法も無いんだよ…

 ふと、あとがきのページに目がいった。あとがきのページには本人が書いたとは思えないほどの美辞麗句が並んでおり、自分の直感が警報を鳴らし、自然と席から立ち上がり本を振り上げた。

 

「うまくまとめてんじゃねーよッッ!」

 

 多分一生のうちで1番床に本を叩きつけた時の音が良かったと思う。どうでもいいけど。

 ここに女子9男子1の比率の教室があるじゃろ?

 そこでな?急に立ち上がり本を床に叩きつけるじゃろ?

 そうするとな?こうじゃ

 そう、元からチラチラと感じてた視線が一気に集まりそりゃあもう、ひどく痛いぐらい刺さるわけでして。

 

「…」

 

 沈黙は視線と合わさりすごく痛かった。

 

「おーっす、新入生諸君HRはじめん…お?流石男子朝から元気だな」

 

「その誤解を招く言い方はやめていただきたい!」

 

 多分このクラスの担任であろう女性が入ってきた。ジャージで入ってきた。

 

「ん、元気だな。そうさな、まずは自己紹介から始めようか。アタシの名前は三上千鶴(みかみちづる)だ。これからあんた達の担任になるんだ3年間よろしくな!よし!じゃあ、窓際の列から順番に自己紹介してけ!軽い趣味とか自己アピールとかしてけよー。あっ、男子は最後な。」

 

 へっ、知ってたさ。こうなる定めだったんだよ。

 うだうだと愚痴を心の中で言ってると時間が過ぎるのは早いもので気がつけば最後の自分の番になっていた。

 

「黄金丈二だ。趣味は、読書と筋トレ、苦手なものはカタツムリ、好きな食べ物はピザとパスタ。休日はピザを焼いたりして過ごしてる。以上!」

 

無難な自己紹介だったと思う。可もなく不可もなくといったところか。

ふっ、どうだ。

千鶴先生を見ると、どこかで見た事があるようないい顔をしていた。いや、この流れは間違いない。

 

「諸君、丈二に質問があるだろう?好きなだけ質問したまえ」

 

そう、質問攻めだ。もちろんこの後チャイムが鳴るまでめちゃくちゃ質問された。





全然すすまねぇなこれ。

三上千鶴:ジャージ、アッサリしてる、姉御肌
正しいパンダの見られ方:定価750円

ジェノベーゼのパスタとジェノベーゼのピザが好きです

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