「うぅ・・・頭痛い・・・・。ここは?」
霊夢が眼を覚ますとそこは知らない天井だった。いつものボロい神社の天井ではない
「あ、霊夢さん。眼が覚めたんですね?まだ、動いちゃだめですよ。完全に貧血なんですから」
ぼんやりとした思考と眼で声の主の方に眼を向けると、そこには兎がいた。・・ええと確か名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。永遠亭の永琳のところの助手だったはずだ
「・・あ」
そこで思い出した
依頼で妖怪退治に出ていた事。妖怪退治の終盤で、アイツが出ていた事。それが、アイツではなく、妖怪で肩と腹を刺され出血が半端なかった事
そこで、自分の想いに気が付いた事
薄れていく意識の中で、アイツの、昴の声が聞こえた事
「昴・・・昴は・・・?」
「あ、霊夢さんを放そうとしなかった少年ですね?今は、彼は隣の部屋で寝ています」
隣の部屋で寝ている。
・・・私を運んでくれたのは、本物の昴?
でも、なんであいつがココにいるの?
「ねぇ、兎。昴はどうして寝ているの?」
「え?あれ?霊夢さんは知らないんですか?それと私の名前は鈴仙です」
「何をよ」
「彼、身体中に傷を負っていて出血多量で生死の淵を彷徨ってるんですよ。なんで彼あんなに傷だらけなんでしょう・・。霊夢さんは何か知りませんか?」
「ねぇ、うさ・・鈴仙。昴の身体・・見せてもらってもいい?」
「いいですよ」
私は鈴仙に支えてもらい、昴の身体を見た。そこで見たものは傷だらけの昴の身体だった
その傷には見覚えのあるものとないものがある
「あの傷・・私があの妖怪に付けられたものと同じよな傷?」
私は不思議に思い、刺されたハズの腹の傷を見る。・・・・ない。
肩に手を当ててみる。傷一つない。
私の身体になくて、昴の身体にある・・・?まさか昴の能力?
紫が前に言っていた。昴はなにかしろの能力であっちの世界にいれなくなったと
まさか・・・コレがそう?
私の直感が正解だと、告げている
この直感は外れた事がない
「ねぇ、鈴仙。ちょっと、昴って背中を見ることはできる?」
「いえ、今は師匠の許可が下りていないので、無理ですね。どうしました?」
「あいつの背中って見た?」
「あぁ。見ましたよ。物凄い痣が出来てましたね。」
痣。
この言葉ですべてが繋がった。
少し前、昴に湿布を張って貰った時だ。一日寝ると、回復していたから気にしていなかったけど、翌日確か昴は、腰が痛いと言っていた
私が知らなかった昴の能力。これが知らなかった代償?私が昴に近づかなかったための代償?
知らなかったせいで、昴を傷つけてしまっていた?
ぐるぐるとうまく回らない頭で考える
「あ、駄目ですって。安静にしないと。」
鈴仙に無理やり寝かされる
それでも、私は考え続けた
私のせいで、昴を傷つけた。私は・・・どうしたら?
「ねぇ、鈴仙。私は、いつ帰ってもいいのかしら」
「ええっと、そうですね。とりあえず、輸血は済んでますので、めまいなどが軽減されたら帰ってもいと師匠から聞きました。」
「・・・そう。わかったわ。もう少し休んだら、帰るわ。あと、お願いがあるんだけど・・・・」
「なんでしょう?」
器用に兎の長い耳を動かしながら鈴仙は答えた
「布団・・・昴の方に近付けてもいいかしら・・・?」
「ふふふ。お安い御用ですよ」
鈴仙は少し赤面しながら羨ましそうに笑い、布団を近づけてくれた
手が届く位置になった昴の手を私は握った
温かく、それでいて大きい。昴の手
もっと早く自分の気持ちに気が付けばよかった。もっと知りあえばよかった
そんな後悔があふれる
そして、そんな気持ちを抑えるかのように、私は言った
「ごめんね、これで最後にするから」
どうか、昴が眼を覚まさないで
このまま彼から離れなれなくなってしまうから
今、この時だけを感じさせていて
この手に伝わるぬくもりを感じたら、あなたを傷付ける私はいなくなるから。
ポロリと涙が伝う
こんなにも恋って、胸が痛いものだったのね
魔理沙や早苗が押しつけてきた恋愛モノの小説を軽く読んだけど、もっと甘いものだと信じていた
もっとも、博麗の巫女である私はそんな恋愛なんていうものに到底縁のないものだと信じて、いつか博麗神社の跡取りを産むために霊力の高い男と縁を結んで、子どもを産むのだとばっかり思っていた
昴が来てからは、そんな事は思わなくなった。今までい一番幸せだったかもしれない
恋ってこんなに苦くて痛いものならば知らなければよかった
でも、昴がうちに来てくれたからこそ、この感情を知れた。・・・うん。大丈夫
これから、行うことは許されることじゃない。
・・・。昴に対してもう会わないというケジメを付けないと
「紫。いるんでしょ?」
「はぁい。呼ばれたから、来たわよ」
「少し前にあったあの話。進めてもらいたいの。出来ればすぐにでも」
「・・・散々嫌がってたじゃない。」
ある意味親代わりの紫が顔を渋めた
そう、これから紫に勧めてもらうことは、彼女が大切にしているこの幻想郷にとっても、とても大切な事
「うん。・・・。いいの」
「昴はいいの?」
「・・・。うん。。もう・・・いいの。だから、早く、出来る事なら3日以内に」
「最後に聞くわ。本当にそれがあなたの意思?後悔はしない?」
ズキリと胸が痛む
「・・ええ。きっと。大丈夫。私は・・・・大丈夫だから」
「そう・・・。わかったわ。3日以内に確実に準備をしてみせるわ。・・・個人的な事を言わせてもらうと、あなたは・・・幸せになりなさい。いえ、幸せになって。お願いだから・・・・」
そういうと紫はスキマをすぐに閉じ、去って行った
そして私の眼からは、止まる事のない涙が今も流れていた。
こんばんわ。和菓子屋蜜柑でございます
今回でEpisode6は終りです。次からは、最終章に入っていきます
ここで休載に入ってしまいますが、必ず夏・・・8月末までに最終章をUPします
最後に、感想をくださっている皆様、ご愛読してくださっている皆様、そんな和菓子屋ですが、最後までお付き合いください。
次章予告
昴と霊夢の気持ちは交わることのないまま、霊夢は昴の前から姿を消した
治りきっていない傷を持つ身体で昴は霊夢を追う。口にしないと、伝わらない事があると学び昴は巫女を追い、その先に待っていたものはーーーー。
東方霊霊想・Episode Finalをお楽しみに