9話
「うぉぉぉぉ! エリオきゅん、キャロちゃん、大丈夫だったか!?」
「はい、僕は大丈夫です」
「私も……エリオ君が守ってくれたから」
「そっかぁ……ほっ」
ゼストのおっさんと戦ってからすぐにみんなに合流したが、ガジェット達は他のみんなが倒してしまったとのこと。 流石仕事が早い。
「二人ともよく頑張ったな、特にエリオきゅんはキャロちゃんを守りながらだろ? 流石は男の子!」
「ぼ、僕は自分の仕事をしただけですよ」
「仕事を立派に果たすのは偉いことだってそれ一番言われてるから。 もっと胸張って、どうぞ」
「は、はい」
うーん、ちびっ子コンビは無事仕事を果たしていたみたいだな。 二人の状況も把握したし、早いとこなのはちゃん達にさっきの連中のことを教えないと……お?
「ティアナ……」
「…………」
なのはちゃんとティアナちゃん? どったのよ、特にティアナちゃん。 肩落としてるってレベルじゃねえぞ? あのままだと地面に落ちちまうぐらい凹んでるのか?
「さっき、ちょっとな」
「あ、翔次君。 ちょっとって何があったのよ?」
「さっきお前がいなかった時だが……」
オレは翔次君から話の大筋を聞いた。 どうやらティアナちゃんが無茶しちゃってスバルちゃんを誤射りそうになり、ギリギリでヴィータちゃんと翔次君が何とかするもヴィータちゃん激おこ。 ティアナちゃんめちゃ凹み中ってわけらしい。
「ほーん……で、今からなのはちゃんからなんか言われるってわけな」
「そうだ」
「ふーん……」
ティアナちゃんはフォワード陣の司令塔、それ相応の責任とプレッシャーがあるはず。 しかもガジェットはあの紫幼女のせいで訓練通りには行かなかった、その事による苛立ちとか色々あった結果無茶しちまったんだろうな……
「んじゃなのはちゃんのお話が終わるまで待ってますか」
「……何だ、フォローに行ったりしないのか?」
「……んだってよぉ? 俺は仲間だけど深い関係があるわけでもなし、上司でもなけりゃ旧知の仲でもない。 んだのに何か言うのはイカんでしょ?」
「……驚いた、お前からそんな深い考えを聞けるとは……」
「あのさぁ……」(半ギレ)
何て翔次君と話していたらいつの間にかなのはちゃんのお話は終わっていた。 やっべ、全然内容聞いてなかったわ。
「気にするな、どうせお前には大して関係ない」
「何でそんなこと分かるん?」
「ボクは台詞の一つひとつ全て暗記している」(ガチ勢)
「え、キモ……」
「お前には言われたくない!」
あ、なのはちゃんに言わないといけないんだった。 おーいなのはちゃんやー
「魔導師に遭遇した!?」
「え、さっきの戦闘で……ってこと?」
「あぁ、めちゃめちゃ強かった」
中にいた高町、フェイト・テスタロッサ、八神と共にキリンの報告を聞く。 キリンの言っている魔導師とは恐らくは原作のstrikersに登場した騎士ゼストだろう。 この時期はまだアギトは登場してないからあとはルーテシアと使い魔くらいか。 ……お前よく五体満足で戻ってこれたな。
「多分実力的には隊長陣レベルはあると思う。 オレの攻撃もだいたいは防がれていたし」
「ちゅうことはシグナムやヴィータと同等かそれ以上ってわけか……」
「あと紫の女の子も気になるね。 彼女がガジェットの遠隔操作をしていのなら警戒しないといけないし」
「でも一体どうしてジェイル・スカリエッティと……」
うーん……ここら辺は後で判明することだから仕方のないことだけど、ボクがここで無闇に改変しても意味ないだろう。 それじゃあ拳に申し訳がたたない。 ボクの世界の改変回数はもう少ない、タイミングをよく見ないとこの世界が崩壊してしまう。
「……どうやら帰ったらやる事が増えたみたいやな」
「お、そうだな」(他人事)
「……他人事みたいに言ってるけど君もやでキリン君」
「……当たり前だよなぁ?」(手の平クルー)
はぁ……どうやらボクもボチボチ『
「あ、やっぱりみんなだ」
ん? ……お前はーーーー
「久しぶりだねみんな」
「ユーノ君!」
ユーノ君やんけ! 何でいるんじゃ?
「今日のオークションで挨拶とか色々してたんですよ」
「あぁ〜だからそんなビシッとした格好してるんだね」
「そうです。 ……最初なのは達には気付いてもらえなかったですけどね」
『うっ!』
君たちさぁ……確かにユーノ君は背がおっきくなって凛々しい顔立ちになってるけどさぁ……オレ達以上に一緒にいたんだからさぁ……(呆れ)
「にしてもそっかぁ……今のユーノ君は確か無限書庫の司書長だっけ? めちゃめちゃえれーもんなぁ」
「そんな、キリンさんの方がとても立派ですよ」
「お、下のことか?」
『申し訳ないが下ネタはNG。 マスターは自重して、どうぞ』
「あはは、ミョルニルも元気そうだね」
『いえまったく、ユーノ様と違ってウチのは年々アホになっていきますからね。 気苦労が絶えませんよ』
「ふざけんじゃねぇよミョルニル、お前も大概だルルォ!?」
つーかお前は普段から会話に横ヤリ入れるのやめない? 会話が乱れるってレベルじゃねぇぞ。
「あ、そうだ。 キリンさん、翔次、二人に聞きたい事が」
「ん? どったの?」
ユーノ君は突然真面目な顔をしてメガネをクイっと上げる。
「……拳さんの最期について」
「!?」
ティアナはなのはと話した後、一人膝を抱えて座っていた。 心配していたスバルも、一人にして欲しいと本人に言われ渋々遠くから見守ることに。 ティアナは一人先ほどなのはに言われた言葉を反芻していた。
「『ほんのちょぴり無茶しちゃっただけなんだよね?』……か」
ティアナは思った、ティアナにとっての無茶はなのはにとってはちょっぴりなものなのだと。 それが自分との力量の差なのだとティアナは受け取っていた。 だがティアナはなのはのことを改めて優しい人なのだと思い知った。
「普通なら……一発殴られてもおかしくないってのに、なのはさんは優しい……優しすぎる」
ティアナに優しく触れるなのはの事を誰かは甘いと言うのだろう。 だがティアナにとっては身に余るほどの優しさ、その優しさがティアナを良い方向へと進むといいのだが。
「……今思えば、あの時の私は無駄に焦っていた。 わざわざクロスシフトAをやらなくてもいい状況だったのに」
あの時の魔法弾、カートリッジを4つ消費したあの魔法弾は無駄が多かった。 破壊されたガジェットを見ると破壊し過ぎていることがよく分かる。 それは消費するカートリッジの量を減らせることを示している、そうすれば操作を誤ることもないはず。 そしてなのはの訓練の内容を焦らず守っていればそもそもクロスシフトAを実行せずともよかった。
「……ダメだなぁ私」
「ティアナ……」
目を閉じて自らの行動を悔いていると心配していたスバルがそばまで来ていた。 さっきは怒鳴り散らして向こうにやったが、今は静かにスバルを見ている。
「ねぇスバル……」
「何、ティアナ?」
「強くなりたいわね……」
「……うん」
「もう絶対に……あんなことにならないように」
「……うん!」
ティアナは立ち上がり空を見る。 その表情に先ほどまでの憂さはなく、凛々しい表情を見せていた。 そんなティアナの姿が嬉しいのかスバルは蔓延の笑みでティアナを見ていた。
(次で証明するんだ……私の力を!)
だがそんなスバルの思いとは裏腹にティアナの中には未だ我執の炎消えず。
ヴィータとシグナムはキリン達に気を使い少し離れた所で固まっていた。 ユーノとはそれなりに仲良くはしている方だと自負しているが、それでも仲が良かった同年代の彼女らの方がきっと話が弾むはず。 そう思い簡単な挨拶だけに済ませた。
「にしても、つーかやっぱりキリンの奴もユーノとは知り合いだったんだな」
「テスタロッサが言うには、高町と同じくらいの古株だそうだ」
「……んでもあたしらが出会った時はいなかったよな。 事情があって地球にはいなかったらしいけどさ」
ヴィータ達は遠目にキリン達を見ながら話し合っている。 と、そこに辺りを見回って来たザフィーラとフォワード陣の体調を確認してきたシャマルが戻ってくる。
「ただいま戻った。 特に異常は無しだ」
「みんなも目立ったケガはなし、みんな切り傷とか小さいケガだけだったわ」
「うむ、ご苦労様だ」
後ははやての指示があるまで基本は警戒しつつも待機。 一息入れる中、シャマルは遠くで会話しているキリン達を見てある事を思い出す。
「……あれ? そう言えば……」
「どうしたシャマル?」
「なのはちゃんが言っていた、地球から出て行った三人の男の子の内の二人がキリン君と翔次君なのよね?」
「……確かにそう言ってたな」
いつかなのは達が言っていた三人の男の子。 一人がキリン、一人が翔次であることはヴォルケン達も把握した。 ならば後一人は?
「なら後の一人はどうしてなのはちゃん達の元に帰ってこないのかしら?」
『確かに……』、そう思わずにはいられない至極真っ当なシャマルの意見。 その問いの答えは、遠くにいるキリンが口にしていた。
手を抜いているってはっきりわかんだね。 こんなの上げて恥ずかしくないの?
次回は拳君が消える前の話とかそんなの。
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。 ……ハーメルン君の誤字報告システム使いづらい!